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甲陽軍鑑

 
【オープンアクセス NDLJP:1】

甲陽叢書第一篇

甲陽軍鑑 上

甲陽 温故堂 梓

 
 
【オープンアクセス NDLJP:4】【甲陽軍艦全集ニ載スル所起巻九ケ条トモ多少文意相違アリ即チ左ノ如シ】

甲陽軍鑑起巻第一

【(一)此書物仮名つかひ万事無穿鑿威を盛ふる家にて心の至りたる人々見給ては大に笑給はんつるとも是は又左様乃善き人へは深く密して当年勝頼公三州長篠にておくれを取給ひ能武士百人は九十八人討死し生れかはりて衰ふる家の奉公人に心をつけんが為なれバいかにも愚痴なる事共也其謂は我等文盲第一なれ共武功分別有る大剛の名人に親み常に雑談を聞百に一ツ計り覚へ少し心も付たる故か又自余乃傍輩よき程の人〳〵申たる儀迄聞書只今紙面にあらはす長坂釣閑跡部大炊助女人に見せ給ふべからず若又当御家に二代も奉公いたし子共余多乃人には見せらる〻共牢人衆などに見せ給はゞ中〳〵高坂が現世未来迄の耻且は御家の瑕なれば深く慎給ひて当屋形より太郎信勝公御代へのたくさへに可被成事
六乃章を異本に偽乃なき世なりせば世の中にたか誠をも嬉しからましといふ歌を人に習て高坂弾正か記㆑之と書て石木寺物語の発端にせしを今如㆓正本㆒改㆑之】

一此書物仮名(かな)づかひ、万事無穿鑿(ぶせんさく)にて、物知の御覧候は、一ツとしてよき事なくて、わらひ草になり申へく候、子細は我等、元来(ぐわんらい)百姓(しやう)なれ共、不慮(ふりよ)に十六歳の春、召出され、地下をいで春日(かすが)源五郎になり、奉公申、しかも油断(ゆだん)なく、御前に相つめ、少も学問仕べき、隙なき故、文盲(もんもう)第一にて如㆑件(くだん)、さりながらあしき事をバ、すて給ひ、此理窟(りくつ)を取て、当屋形勝頼公より、太郎信勝公御代迄、上下諸侍の作法になさるへき事

一長坂長閑老、跡部大炊介殿、失念(しつねん)有まじ、信玄(しんげん)公、御代に、公事(くじ)沙汰によらず、万事穿鑿(せんさく)多候ひつれバ、それるみな書しるし申事は、際限(さいげん)なけれは、其品々に不審(ふいしん)たちて、人の合点(がつてん)に及ばずして、取々の沙汰なるを、御屋形信玄公を、始奉り、其外家老衆、批判(ひはん)有て、大形理のすみたる事を、一色二色つ〻、かきしるし侯事

一此本かなにて、いかゞなど〻有て、字になをし給ふ事、必ず無用になさるべし、結句只今、字の所をも、かなにかきて尤に候、但それも本(もと)ほんを、一冊字に書てかき其外にかなの本を、一冊書て、重て置給へ、其本ほんとは、信玄公五十七ケ条の、御法度書(はつとかき)之事也、さて又仮名の本を用る徳は、世間に学問よくして、物よむ人は、百人の内に、一二人ならてなし、さるに付、物しらぬ人も、仮名をばよむ物にて候間、雨中のつれ〳〵にも、無学(むがく)の老若(らうにやく)取て、よみ給ふ様にとの事也

一侍衆大小共に、学問よくして、物しり給はん事、肝要(かんやう)なり、但なに本にても、一冊おほうして、二冊三冊よみて、其理に能々徹(てつ)し給はゞ、必おほくは、学問無用になさるべし、殊に詩聯句(しれんぐ)などまて、あそばし候は、猶もつてひが事也、但又国を半国共持給ふ、大将は学問きはめ、聯句なともし給へ、文武二道と申て、現世(げんせ)未来(みらい)まで人の、ほめ物になり給ふ也、されど又国持大将も、物の本部数(ぶかぞ)を、よく鍛錬(たんれん)し給ふほどにて、それより武篇(ぶへん)場数(ばかぞ)、すくなければ、国持をも、少ぬるき様に、大略は沙汰する物也、そこのほどを、能分別なさるべき事也

【オープンアクセス NDLJP:5】一学問の儀、右国持大将さへ、あまりはいか〻と存るに、まして小身なる人は、奉公を肝要に、まもる人の、学をよくとおぼさんには、無奉公(ぶほうこう)に成て、家職(かしよく)をうしない、不忠節(ふちうせつ)の侍になる子細は、無事の時、座敷の上の奉公が、敵(てき)に向(むか)ふ時の、忠節なり、何の道も、家職を失はん事勿体(もつたい)なし、其家職とは、武士の家に生(むま)る〻人は、奉公(ほうこう)也、奉公に二ツあり、一ヲは座敷(ざしき)の上にての奉公、一ツには戦忠(せんちう)の奉公也、出家(しゆつけ)は仏道修行(しゆぎやう)の儀、家職なり、儒者(じゆしや)は儒道の義家職也、町人はあきなひ家職なり、百姓は耕作(こうさく)の事、是れ家職也、右之外も、諸芸能(しよげいのう)、共道々(みち〳〵)に、我なりたる業(わざ)に、心がくる事尤也、家職を大形にしてやめて、余の事をいたし、精にいる〻は、大非義也、其非義といふは、出家が、学問をわきへなし、武辺(ぶへん)を心がくる儀と、武士が奉公の武道をわきへなし、学問を第一におもひ、或は乱舞にすく事、皆是家職をしらざる儀也、但侍百人の内に、一二人物しりのあるは、是又大きに、よき事也子細は、国持大身は、物しりの出家を、扶持(ふち)し給ふが二三百騎(き)の侍大将、一手を三そなへばかりにわけてまはす衆を持(もつ)、余慶(よけい)なくして、物しりの出家をつる〻事、まれなれバ、家中の侍に、物しりの有は、縦は鞍二口の馬のごとく、さるによつて、百人のうちに、一二人の物知たる侍、大きによきと申儀は、此ことはりなるを以ての事

一小身なる人の、物をしりきはめ、詩聯句(しれんぐ)まで、なさる〻共、あまりかもてへ、たつべからず子細は、ほめながらも、なにとやらん、足利(あしかゝ)僧(そう)のかへりて、男になりたる様にて、大略見ぐるしく候、出家さへ紫野妙心寺(めうしんじ)の禅僧(ぜんそう)を、立る衆は、物をしりても、しらざるふりをして、不立文子(ふりつもんじ)とたて、ざぐへん、専(もつぱら)にして禅話(ぜんわ)を肝要(かんよう)にする、坊主(ぼうず)は出家(しゆつけ)といへとも、けはしく見へ候事

【(二)信玄公御代公事沙汰によらば合戦三ツの作法武功乃調万事せんさく多ければそれを皆書記す事は際限なし其品々に不審たちて人乃合点に不㆑及取々の沙汰なるを御屋形を始奉り其外家老衆批判有て大形理のすみたる事と一色二色宛書記す事】

一武士は、ねてもさめても、或は食事の時も主(しう)へ忠節(ちうせつ)忠功(ちうこう)を存すべき事

【(三)信玄公ノ三字ナシ
用徳はノ下今戦国乃最中なれば文学として物よむ云々物しらぬ人もノ六字又よむ物にて候間の七字ナシ】

一敵方にても、一国を持給ふ侍は、なに大将か大将と申さず、た〻大将とばかり申物也、此大将をも、口きたなくいふ事、弱将(じやくしやう)の下にて、未練(みれん)の人々の作法(さほう)也、惣別(そうべつ)一国の主をば、敵みかたともに、口にても、書付もうやまふていふ事也、子細は日本国をあつめても、百人にたらず、六十六人の武士なり、さる程に、一国をもつ大将の中に、古来からの侍をば、家をたつとび、うやまふべし、しいでの国持侍をば、其人の智恵冥加(みやうが)を感(かん)じて思へば、是又口きたなふ申は非(ひ)也、敵(てき)をそしるは、必弓矢(ゆみや)ちとよはき家にての作法也、弓矢の儀、勿論つよき方、勝事十が八ツなれ共、又弱きの勝事も、是あるは、運次第なるをもつて也、さる程に弱(よは)き侍がつよき武士(ぶし)は勝は、必其強き敵の大将を、口きたなふ申そしるなり、縦(たとへ)ば町人が侍と伐(きり)あふて、勝ば、我手柄(てがら)を申し敵(てき)をそしる子細は、常に町人武士には、戦(たゝかい)てなるまじきと、存するに、不慮(ふりよ)をもつて、勝つれは、武士もふかき事は、なきぞとそしる、又武士が町人と、戦ちとてまを取て、勝時は勝ても町人をほむるは、元来(ぐわんらい)よはからんと、思ひつるに、不思議(ふしぎ)に戦(たゝかい)たりといふて、ほむる其ごとくに、大合戦なとありて、敵(てき)の大将を口きたなふいふて、種々(しゆ〴〵)つくりごとを申て、そしるは、勝まじき敵に、不慮(ふりよ)に勝(かち)たる儀と、相心得候へば、他国(たこく)のかんがへにのることいかゝに候間、勝頼公御家にて、敵の事をあまり、左道(さたう)に申べからず、信玄の御代(だい)には、御法度(はつと)なけれ共、試博をのづから、此理に徹(てつ)して、敵方の儀、作(つくり)事をいばす、但むかしも源氏(げんじ)、平家(へいけ)の戦(たゝかい)に、平家より源氏を、口きたなうそしる、待賢門(たいけんもん)の夜軍(よいくさ)に、平家かちては、猶源氏を義朝がといふて、悪口(あつこう)する、其後源氏、又平家に勝つるが、清盛の小松殿大臣殿(おほいどの)と申て、源比方より、清盛がなど〻いふ事、さのみなきは、義経公敵の一門、数盛の御頸(くび)を見て、なみだをながし給ふ、作法(さほう)の故、源氏の侍、悉く平家を、悪口(あつこう)せず、か様の善悪(ぜんあく)を、分別(ふんべつ)なさるべき事

【(四)待衆大小共に学問よくし給はん事肝要也但書は一冊多して二冊三冊よみて其理に能く徹し給はゞ必多ハ無用なるべし殊に詩聯句など迄し給ふは猶以僻事也又半国共持給ふ大将は学文きはめ聯句なと志たまへ物乃すべを知に能事也乍去国持をも物乃本部数より武偏場数少ければお温き様に沙汰するも乃也そこの程を分別なさるべき事】

一御一家衆、家老(からう)衆出頭(しゆつとう)衆、惣(そう)じて大身衆、振舞(ふるまい)の時、必亭主(ていしゆ)おにを仕り、尤也、それは人のためにてなし、第一其身のためなり、此義をせんさくなき衆軽薄(けいはく)と心得らるべし、能々是をも、分別なさるべき事

 此九ケ条(かてう)、右之書置(かきをき)たる本共の、発端(ほつたん)也

【(五)国持大将さへあまりに如何と存るに増て奉公を肝要に守る小身乃人学文をよくとおぼさんには無奉公に成て家職を失ひ不忠の士になる子細に無事の時座敷の上の奉公が敵に向ふ忠節也何の道も家職を失ん事勿体なし武家に生る〻人は一ツに座敷の上の奉公二ツに戦忠是家職也出家は仏道修行隠遁の儀町人は商売百姓は耕作の事家職也此外諸芸能其道々乃業に心掛る事尤也家職と不㆑動して出家か武道を心掛武士が詩聯句を第一にし或は乱雑にする事皆是家職を不㆑知義なり但侍百人の中に一二人文学乃有は是又大に能事也其謂ハ国持大身ハ物知の出家を扶持し給ふか二三百騎乃侍大将一手を三備計に分て廻し侍余摩なくして物知乃出家を連る事称なれバ家中の士に物知乃有ハ縦は鞍二口の馬の如し】

【(六)詩聯句までなずる〻ともヲ一、詩聯句などめずる〻共一トス又子細ハノ三字ナシ「さぐへん」ハ座具辺ナリ】

【(七)異ナル所ナシ】

【(八)一国の主をハなに大将と申さず只大将と計申也其大将をも敵身方共に口にても詞にても書付も敬ふて仕謂は日本国を聚ても百人にたさず六十六人の武士也これに因て古来よりの侍をば家を尊み敬ひ仕出の国持士をば智悪真加を感じ思ふべし敵を誹るも必弱将乃下にて未練乃人々乃作法也弓矢の儀勿論強き方の勝は十が八ツなれ共又弱き乃勝事もこれ有は運次第成を以也去程に弱き侍の強き武士に勝は必其強き敵の大将を悪口する縦ハ町人が常に武士には成間敷と存るに不慮を以勝つれば我手柄を云武士も深き事はなきそと誹る亦武士が町人と戦少手間を取て勝時ハ元来弱からんと思いつるに不思議に戦たりと云てふむる其ことくに大合戦など有て敵の大将を口きたなふ種々作り言して誹るは勝まじき敵に不慮に勝たる義と相心得候へば勝頼公御家にて献の事を余り左道に申べからず信玄公の御代にハ御法度なけれ共諸待を乃づから此理に徹し敵方の義作り事をいはば昔深平乃戦に平家より源氏を口きたなふ誹る待賢門の夜軍に勝ては猶源氏を義朝がといふて悪口する其後源氏又平家に勝つるが清盛の小松殿大臣殿とて清盛がなど〻いふ事なきハ義経公敵の一門敦盛の御頸を見て涙を流し給ふ作法乃故也加様の善悪を分別可㆑被㆑成事】

【(九)御一家衆家老衆出頭衆惣じて大身衆振舞の時必亭主おにを仕尤也それは人の為ならず第一其身の為也此義軽薄と不㆑可㆑被㆑存事】

【右之九ケ条は此奥に書記本共の発端也】

 
 
【オープンアクセス NDLJP:6】 甲陽軍鑑目録

一品 信玄公、分国中仕置(ぶんこくちうしおをき)、五十七ケ条之事

二品 信玄公、舎弟(しやてい)典厩(てんきう)、子息へ異見(いけん)九十九ケ条之事
 付十五年己来(このかた)、子息を典厩と申也

三品 信玄公、御父信虎公を、追出(ついしゆつ)之事

四品 晴信公、三十一歳にて、発心(ほつしん)ありて、信玄と名乗(なのり)給ふ事
  右四品(ほん)合一巻

五品 春日源五郎、座敷の上にて、能奉公(ほうこう)故、立身(りつしん)の事

六品 信玄公御時代(じだい)、諸国(しよこく)の大将衆、大身小身ともに、幼少(ようせう)よりの様子(やうす)之事

七品 小笠原源与斎、軍配(ぐんばい)奇特(きどく)ある事

八品 判(はん)​(の)兵庫星占(ほしうらない)之事 付長坂長閑面目(めんもく)失ふ事

九品 信玄公、御歌の会(くわい)之事

十品 来年の備定(そなへさだめ)、前年談合(だんがふ)之事
  右六品合一巻

十一品 鈍(どん)過たる大将之事

十二品 利根(りこん)過たる大将之事

十三品 弱すぎたる大将の事

十四品 つよ過たる大将之事
 右合四品(ほん)、命期(めいご)の巻(まき)是也為㆓四巻㆒

十五品 武具(ぶぐ)其外諸道具、穿鑿(せんさく)之事

十六品 諸奉公人、大小上下共に、喧嘩(けんくわ)仕置(しをき)之事
 付弓法之事并能之次第鞠之事

十七品 甲州信玄家、大身小身共、人数大積(つもり)​(の)事巻第八

十八品 信玄公御一代之義大概、并甲州にら崎(さき)、合戦(かつせん)之事

十九品 信玄公、十九歳にて其一年無行義(ぶぎやうぎ)の事 付詩作の事、并板垣諫言之事

二十品 信州海尻合戦之事

廿一品 甲州こあらま合戦の事

廿二品 甲信堺せさは以下、合戦の事

廿三品 信州平沢(ひらさは)、大門到下(たうげ)等、合戦之事

廿四品 山本勘介、工夫(くふう)并塩尻(しほじり)合戦の事

廿五品 山本勘介、間答(もんだふ)并勘介駿河(するが)へ行事并戸石合戦之事

廿六品 信濃、上野境、笛吹(うすい)峠にて、上杉衆と、板坦信形合戦之事 付同日同敵と、初て合戦の事
 合九品為㆓巻第九上㆒

廿七品 真田弾正(だんじやう)、以㆓武略(ぶりやく)㆒討(う)​(つ)㆑敵(てき)​(を)事并長野信濃板垣事、山本勘介、国々の例(れい)を引事信州上田原、合戦之事

廿八品 村上義清越後長尾景虎に、被㆑頼事并上田原の同年、海野たいら、合戦等之事
 合二品為㆓九下㆒

廿九品 一晴信景虎、小県(ちいさがた)対陣(たいぢん)之事 一晴信河中島、御出陣(しゆつぢん)之事 一伊奈、木曽、松本御働(はたらき)付景虎小県(ちいさがた)へ、出陣之事 一晴信景虎対陣(たいぢん)​(の)事 一上州てらを合戦 一景虎晴信信州にて合戦約束(やくそく)、景虎まはす事、付景虎越中出陣晴信日付 一今川義元扱にて、晴信氏康和睦 一使番十二人之事

三十品 一金丸筑前飯富源四郎、春日源五郎諏訪へ被㆑遣 一晴信公、原隼人に被㆑仰事 一晴信公、同時に法躰衆事 一山本勘介、申上る条々 一伊奈木曽松本国被㆓仰付㆒ 一信州とき田合戦の事

卅一品 一栗原左衛門、小山田左兵衛、死去(しきよ)の事 一板垣弥次郎、御勘当(かんだう)之事付曲淵(まがりふち)の事【オープンアクセス NDLJP:7】 一桔梗原合戦、付長時敗軍 一川中島城取并小室 一景虎関東発向の事 一上杉則政無分別之事 一浄土宗法花宗、宗論 一北条氏康とせり合事 一織田弾正と、義元和睦 一信州先方衆成敗(せいばい)の事 一瀬場御成敗之事 一木曽降参(かうさん)之事 一於㆓河中島㆒、与㆓謙信一㆒対陣 一氏実噂(うはさ)の事 一秋山高遠の城に、被㆑置事 一飯富三郎兵衛事 一関東上野御発向之事付上野合戦、并河中島にて景虎と対陣之事 合三品為㆓巻第十上㆒

卅二品 一謙信(けんしん)と和睦(わほぐ)不㆑調、又対陣の事 一河中島出陣、謙信対陣事 一飛弾国へ御手遺の事 一西上野へ、御働之事 一氏康より、信玄公頼申事 一小田原へ、加勢入事 一謙信、小田原押詰事付飯富、信玄へ異見 一景虎敗軍并信玄公下墨(さげすみ) 一景虎上洛の事 一小幡尾張、甲府へ参候事 一信州先方衆御成敗事 一川中島合戦事 一甘数近江守退口 一法師、信玄に紛る事 一信玄氏康、松山城攻事付竹たば鉄炮の事付輝虎後詰山の根の城、せめをとす事 一松山城に、上田暗礫斎、被㆑置 一北条氏政麦飯の事 付上杉と、氏康合戦物語之事 一知行割(ちぎやうわり)之事 一信玄公義信中悪くなる事

卅三品 一信虎より、信玄へ異見(いけん)の事三ケ条 一小幡尾張守、本意一松枝の城攻付城(じやう)伊庵事 一箕輪(みのわ)城(しろ)攻(せ)​(むる)事付城伊庵、大熊働之事 一上泉兵法之事 一山本勘介、下墨(さげすみ)之事 一飛弾越中へ働事 一義信逆心(ぎやくしん)之事 一雪隠(せついん)を山と、名付る事 一甘利(あまり)左衛門落馬(らくば)之事 一秘蔵大将四人事 一飯富兵部少輔、成敗之事付雨宮十兵衛、被㆓召返㆒並義信自害之事 一富士願書之事 一三好光源院殿、奉㆑討事 一越中働之事 一縁者組の事付古典厩御子息事 一信長勝頼、縁者(ゑんじや)事付信長より進物(しんもつ)、付方々使事 一信虎公より、書札(しよさつ)被㆑参事 一輝虎、和田の城攻事付横田十郎兵衛手柄 一東上野、新田、足利働事 一連歌事 一越中に出馬事 一信玄、氏康於㆓前橋城㆒攻㆓輝虎㆒事 一信玄息女、城介殿と縁辺事、付信長より、音信の事
 合二品為㆓十下㆒

卅四品 一氏実、信玄中悪(なかあしく)なる事 一信長へ、御祝言(しうげん)進物並城介殿進物之事 一公事並世間の風 一氏康子息、謙信養子(やうし)之事付輝虎信玄、和睦(わぼく)不㆑調事 一信玄病、診脉之事 一氏実没落付懸川城取籠事 一駿河仕置事付家康懸川攻事 一北条氏康より、使者参事 一氏康、信玄対陣付馬場美濃手柄(てがら)之事 一信玄甲府へ打入事付氏康、駿河仕置之事 一於㆓懸川城㆒家康氏真、勝負(しやうぶ)之事 一氏真降参(かうさん)船にて小田原へ退(の)​(く)事、付右衛門被㆑伐事

卅五品 一信玄出馬駿河伊豆堺焼事、付信玄、八幡大菩薩、小旗波に被取 一関東発向、小田原城迄御働事(はたらき)付馬場参事 一みませ合戦之事

卅六品 一高坂悔(くや)​(む)事 一相州駿州、豆州御働之事 一蒲原城攻事付岡部事、付黄八幡指物(さしもの)捨(す)​(つる)事 一花沢城攻事、付藤枝城開(あけ)退、並無理介落書事 一信長より使者、御音信、付家康御事
 合三品為㆓巻第十一上㆒

卅七品 一氏政、深沢城攻事付氏政、輝虎被㆑頼事 一土屋事 一氏政信玄、三島対陣、付秋山武畧事付山県、家康衆と、喧嘩 一関甚五兵衛事 一氏政と和睦、付信長箕作城攻落、並家康若狭へ働、家康義景合戦事 一信長噂(うわさ)之事 一諸角(もろずみ)介七朝と、原甚四郎喧嘩(けんくわ)​(の)事 一信長家康氏政、輝虎批判(ひはん) 一高天神にて、内藤修理手柄事付城々仕置、並吉田宿にて、せりあひの事

卅八品 一信長、家康へ異見(いけん)の事 一霊陽院殿より、御使者事 一申西両年、御備書付御分国中へ、迴被成候十八ケ条 一信長より、漆所望の事 一とうかね、両酒井、こがね、高木馬進上事 一氏政より、御音信事 一信長より、家康と御無事之義、被㆑申事付御音信事
 合二品為㆓十一巻下㆒

卅九品 一身延山へ、御使被㆑立事 一家康より、輝虎へ使者の事 一輝虎河中島へ出馬事 一遠三絵図(ゑづ)、并備定(そなへさだめ) 一味方原(みかたがはら)合戦事 一高坂弾正異見(いけん)之事 一信長より、織田掃部、刑部(おさかべ)迄、被㆓差越㆒事 一信長と、御手ぎれの事 一氏政より、御使札事 一公方義昭公より、御使者事 一人質取替の事 一信玄公、御馬入事付秋山、信長縁辺并人質之事 一信玄、公方へ御返状 一信長公方(くぼう)へ申状之事 一東美濃へ、御出馬 一信玄公、御他界(たかい)之事付遺言の事 一信之公、【オープンアクセス NDLJP:8】敵合(てきあい)作法(さほう)三ケ条 一同人の御つかひ被成やう 一同御家中、武士の手柄 一同御家中、城取極意(ごくい)五ツ并御武勇(ぶゆう)十三条 一高坂弾正申候事 一信玄公、御家中諸侍の礼 一同国法(こくほう)背(そむ)​(く)人、御免之事 一同御家中、音信の定 右一品為㆓巻第十二㆒

四十品上 下 信玄公を始、家老衆、大身小身物、善悪工夫之義、時宜作法、手本になる事
 右一品為㆓巻第十三十四両巻㆒

四十一品 自是三品為巻十五  軍法之巻是也 一軍法序一ケ条 一法度の元、五ツの事付同五ケ条之理、并三ケ条

四十二品 一三ケ条の合戦、備定の事 一大将三ツのさいはい、付御旗奉行、武者奉行之事 一御大将其下、侍大将、足軽天将、近寄頭(きんきかしら)迄、不​(して)㆑存不㆑叶 一敵数人、隠(かく)​(す)義、御大将に、諸役者、内通の事 一備事 一山本勘介、前原筑前、日取破事 一法度入、不㆑入事 一押太皷之事 一侍大将、足軽大将、詞(ことば)のさいはい三ツ 一陳取(ぢんどり)之事 一戦場にて、備立同賦(くばり)の事 一敵を引懸る合戦 一足軽付あひことばの事 一味方討、なきやうの事 一多勢無勢、出立の事 一味方夜軍、分別の事 一初て逢敵に、武略之事 一こぜりあひの事一城取并角馬出、付横(よこ)ぐるわの事

品第四十三 一信玄公、軍法の御挨拶(あいさつ)人之事付足軽大将、侍大将、御使、武者奉行、旗奉行、鑓奉行 一信玄公、十六歳より、五十三迄の間、軍法工夫仕衆 一信玄公、御旗之事 一勘定奉行、三人形義(かたぎ)の事并信虎公、御代事付鉄炮(てつほう)之事 一五赦の事 一於㆓陣所㆒制札(せいさつ)之事 一雑(ぞう)人陣にて、煩の時薬の事 一対陣の時、いやなる人三対(つい) 一陣の時、崇敬人、五対(つい)合十八 一信玄公、於㆓御陣㆒手柄を成者に褒美(ほうび)の色々 一国持三代の家、弓欠無穿鑿(ぶせんさく)之事 一信玄公、家老、軍法工夫、侍大将に八人、足軽大将に七人、此外七人

巻第十六 四十四品 一太刀(たち)、折紙(おりかみ)之事 一幕之事付樽肴(たるさかな)、持出事并時太鼓之事 一湯浸(ゆづけ)之事、菜数七五三也 一七の膳之事 一三ツ点心之次第 一軍陣之時、引渡之次第 一義之事 一汁の有、饅頭(まんぢう)之事 一嚢仕立(ゆぶくろした)​(つる)事 一銚子(てうし)、提子(ひさげ)之事付盃(さかづき)の事 一着物出す事 一馬道具并馬請取渡事

四十五品 一寸法之事 一具足(くそく)、舁(かき)出る事付甲(かぶと)の事 一决拾(ゆがけ)之事 一鞭(むち)之事付小刀渡事

四十六品 一軍陣、時之事数ケ条

巻第十七 四十七品 巻第十八 四十八品

右信玄公十八歳より、五十三歳の、四月十二日迄、公事沙汰、人の存るに違たる落着、十二通為上下以上信玄公、御代之儀終
天正元年五月より、勝頼公御仕置也、仍当御代事柄をば、将来之軍記と申、天正六年戊寅に高坂弾正死去の後、春日惣二郎書㆑之

巻第十九 四十九品 一信玄公御一代、責取給城々 一対陣の時、一対陣の時、気見る事、城を巻にも口伝有り

五十品 一勝頼公家督事 一信玄公遠慮深き事 一高坂弾正金言の事 一勝頼公、継目御朱印の事 一諏訪明神夢想(むそう)之事

五十一品 一甲州味方衆、心替(かはり) 一勝頼公を躵(こら)​(う)事 一武田方、家康に負(ま)​(くる) 一勝頼公東美濃発向之事 一同年高天神、落城 一高坂内藤、能分別之事 一勝頼公、浜松迄御働 一小田原より、検見被㆓差越㆒事 一三河先方、奥平(おくたいら)逆心(ぎやくしん) 一信玄公、御吊ひの事

五十二品 長篠合戦事 一長篠殿後(おくれのち)、高坂御異見 一家康駿河へ発向同小山、後詰(ごつめ)之事

五十三品 一武田、贔負の衆倒 一横須賀発向之事 一飛弾越中、謙信被㆑取 一氏政勝頼、緑者之事 一伊勢熊野、諏訪顧書 一高坂弾正御異見之事 一信玄公、軍御日取之事 一軍法之事

巻第二十 五十四品 一甲州御舘、物怪(ものゝけ)之事 一謙信信長、取合之事 一謙信、他界跡(あと)噪(さわ)​(ぐ)事 一勝頼公、東上野御支配 一勝頼氏政、取合之事 一勝頼景勝、入魂(じゆつこん)之事 一高天神番替之事

五十五品 一富士大宮、物怪(ものゝけ)之事 一北条衆、武田衆船軍 一忠節の侍衆、御成敗の事 一勝頼公、出頭衆賄賂に耽る 一勝頼公、北条を捨、家康に向給事 一高天神、御番手衆、訴訟 一勝頼公出【オープンアクセス NDLJP:9】頭衆、御後闇き事

五十六品 一勝頼公、出頭衆臆病(おくびよう)御異見の事 一信長家、作州(さくしう)後詰(ごづめ) 一東上州ぜんの城、攻給ふ事 一北条家老、勝頼公味方に成る 一勝頼公、氏政対陣の事 一高天神、家康に被㆑取給ふ 一勝頼公衆家康に駿河とうめにて負る事

五十七品 一羽柴筑前の守、謀能(はかりごとよき)事 一甲州新府中之事 一信長人質(ぢゝ)返し候事 一穴山御夫婦、御恨之事 一甲州くづれの事 一勝頼公、御最期之事 一同御父子、御証(しるし)実検(じつけん)之事

五十八品 一信長甲州入、仕置之事 一信長勝頼公、御跡四ケ国割 一同威勢之事 一氏政信長、切腹を慶(よろこ)​(ぶ)事 一高坂弾正、分別当る事

五十九品 一家康より北条氏直へ、こし入の事 一甲州衆、家康衆に成事 一家康、駿甲信仕置(しおき)、付小姓(こしやう)伊井の万千代、大身に被㆑成候事 一家康秀吉、取合之事 一勝頼公、被㆑仰たる事

右此趣、存知出次第書㆑之、年号万次第不同、猥に候へども、それをゆるし給ひて、只此理窟をとりて、勝頼公御代の、たくらべにとのみ

 
 

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