甲陽軍鑑/品第四十五
手綱八尺三寸か、腹帯不㆑定、敷皮の長さ三尺一寸五分、横二尺一寸ばかり、緒付所、上下八寸三分計り也
手綱二尺五尺、ふせ縄も二丈五尺、六尺五寸
爪剪刀一尺二寸、広さ二寸、爪剪板長さ二尺四寸、広さ一尺二寸、厚さ二寸八分、馬
軍陣の手綱長さは、弓の弦程候はん歟、但し大馬小馬にかはりつゝむべきり、口伝有㆑之、取染の手綱と云ふ事有、是れは一寸まだらなり、色赤し有㆓口伝㆒
厩の事、五間厩七間厩の時、中を一の厩と云ふ、然間中を見て、奥を見て、其儘奥の次より次第〳〵に見るなり、又四間六間八間十間歟の時は奥があがりなり、それよりつぎ〳〵を見る也、
犬の
鶴山
鳥の山懸の事、
鳥春は田物懸にする也、さきは一刀そぎにする也、爰に口伝有㆑之
雁の鶴山懸の事二ツ結びて上下を引揃へて結びて三ツ伏に剪なり、下は上を一ツも結ぶ也
具足
他流也
貴
さがる
人
返る手 一面
左 右
手
手
手
人あがる
さきにかき出る人帰て甲を持出て御目にかくるなり持様は左の手にて忍の緒をかいたぐりて右の手にて見あげの右脇しころの右のさきにそと手をつくばいて、御目にかくるなり、其上はじめの吾かき出る所を持て、二人して持帰へる也、先へかき
さがる
手
右
手一面
左
手
手
両手一所にして、なをす時手をひろぐる是は御手のひろがると云ふ心也
是もさきにかきて出る人かへりてかぶとをもち出て、御めにかけ候也、御目にかくる式躰は、右に申候と同意也よく〳〵口伝あるべき也
軍陣の時は、一切かはる也
貴
さがる
人面
右
左
――――――
上人
当流さきにかき出る人の貴人の左へ帰る、跡にかく人吾が左の手具足入たる
一人して具足持出るも、軍陣のは面を貴人へむけて持て出る、御手ひろがる式躰同意也
一人して具足平生持て出る式躰は如㆑此
貴 当流 ┏手
右
面
左
――
―― ┗ 手
爰にて御手ひろがる式躰
すべしわが右へかへる也
貴 他流 ┏手
左
面
右
――
―― ┗ 手
爰にて御手ひろがる式躰
あるべしわが左へかへる也
右条々当流他流の仕分、秘事口伝多く候也
空大指
風頭指
火中指
水无名指
地小指
〈[#図は省略]〉阿弥陀
軍陣の決拾陰陽とて、昼夜に緒の結び様かはる也、弓法の内幕、决拾、鞭、此三色は大秘事也、
大指
大指
〈[#図は省略]〉
南無八幡大菩薩と三返
神の数は九万八千七社仏の数は十万人千躰三返
南無摩利支尊天三返
大指
大指
人指ユヒ
〈[#図は省略]〉
南無八幡大菩薩と三返
南無地蔵大菩薩と三返
神の数は九万八千七社仏の数は十万八千体と三返
南無摩利支尊天と三返
常の馬乗決拾陰陽とて是も二様有㆑之なり
陽は三重ながらまはして大指のとをりにて留る也、陽の歌に曰、心こそまことの道にかなひなば祈らずとても神やまもらん、陰は二重めに中へ通とをして前へと又ひとへまはして前にて緒を取そろへて留る也陰の歌、慈悲仏すぐなるは神ゆがむ人、人ひとりをぞみつにわけゝる
是は下品下生のさしやうなり
大ゆび
〈[#図は省略]〉
八はた八幡大菩薩本地観音にて御座也
南無観世音菩薩と三返 南無摩利支尊天と三返
神の数は九万八千七社仏の数は十万八千体と三返
歩立射時片决拾也 南無大日如来と三返 南無摩利支尊天と三返ヲンマリシエソワカト三返
摩利支天と吾と一体にして、無二平等也急々如律令
和歌
ゆがけさし結びて人を剪ならば劒は波よ、敵も水なり
ゆがけさし今うつ太刀に月出て入日の露の消かへるいへ
ゆがけさし我討太刀に露消てながるゝ水にかへる故郷
飯一盃を十文に定め二度に二十也
過去 現在 未来 口伝在㆑之也
漢の武帝の御時鞭の寸は定め十二束三ツがけ也、矢の寸也、但し長くはつけ短くはきれと云ふ事有口伝
本の鞭は熊柳也、軍陣にも用候也、寸法の事己れが尺と云ふ事口伝有㆑之指二ツふせ置し緒をつくるなり
竹の根の鞭八幡殿御嫌候事有㆑之口伝多き也
常のかもさぎは、一ツまはして吾前へとりてする也、太刀鞭の結びは一ツまはして上よりとりてかもさぎにする也口伝
夫鞭と云ふは、天の廿八宿を表したり、さるによつて二尺八寸也、口伝天竺にて牢と云ふ虫也長さ七寸、食物に諸い悪難を食し千年を経て祖師と云ふ虫に成て、陰陽和合の姉を請取て、胎内に籠りて九月を送りて生㆓人体㆒続㆓仏体種㆒虫也、一時に一万里を飛帰る然ば伊行前崩動輪す天竺にては月輪と云ふ又団と云ふ、震旦にては寒深と云ふ、仏所にては錫杖、武士にては兵杖、鬼神国にては死活杖と云ふ、禅家には【 NDLJP:206】払子と云ふ悪鬼を
兎は月宮の物なれば、象㆑月日也故に、此含㆓日月の二光㆒云々
ひのさきには龍と云ふ字を書て可㆑裹右条々六身の巻乎
月の前には牛と云う字を書て可
貫入の結び金物一寸貫入六寸煩悩の緒と云ふ又曰抜入一尺二寸なるべし
〈[#図は省略]〉
是を露と云ふ
仮粧皮六寸結留三寸菖蒲皮御免皮先を劔
取柄七寸は表㆓七星
仮粧藤一寸龍と中央の半分、はらいとも云ふ
繁昌之藤一寸惣の中央
身口意藤一寸中央半分三毒也
菟頭之藤一寸
金物一寸
本来之劔なる間日の先と云ふ
〈[#図は省略]〉
小刀に陰陽の渡し様二ツ有㆑之
ヒル ヨル
〈[#図は省略]〉
是は陰の結び付やう女結也、口伝あり
〈[#図は省略]〉