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第三編 國司時代
第一章 大化改新と二國一島の設置
孝徳天皇の大化二年正月、改新の詔の宣布せられたる所謂大化の改新は、我が國史上の一大轉換期であつて、蘇我氏の滅亡と共に、先づ閥族政治を廢して、左右大臣以下の職を置き、以つて門閥打破、人才登用の道を開き、又國司を諸國に遣はして中央集權の基を立て、王士王民主義によつて土地人民を収公し、班田収授の法を施行せられ、其の他、舊制を改めて革新の政治が諸方面に亘つて行はれた事は明治維新にも比すべきである。 しかし、斯くの如き大改革は一朝一夕に完成すべき筈なきのみならず、猶ほ新政に不滿を抱く者もあり、一方に蝦夷征伐、對新羅問題等切迫せる事件があつた爲に、改新の政治は孝徳天皇・斎明天皇の御代に於て未だ完成するに至らず、爾來、天智天皇から持統天皇の御代に及んで、幾多制度の改磨を經て、文武天皇の大寶律令の制定によつて整頓するに至つた。