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『主（しゅ）や我（われ）を愈（いや）したまへ、さらば我（われ）いえん』〔エレミヤ十七の十四〕。アア独一（どくいつ）睿智（えいち）にして、仁慈（じんじ）なる醫（い）よ、我（われ）は汝（なんぢ）の恩恵（めぐみ）を切（せつ）に祈（いの）る、我（わ）が霊魂（たましい）の傷（きず）をいやして、我（わ）が智慧（ちえ…

イヲフ廿九の十九〕。視（み）よ富（とみ）を、かれは罪（つみ）を以（もつ）て富（と）むに非（あら）ず、貧（まづし）きを愛（あい）するを以（もつ）て富（と）むなり。我（わ）が家（いえ）の『門（もん）を我（われ）は街衢（ちまた）に向（む）けて啓（ひら）けり』〔イヲフ三十一の三十二〕。視（み）よ富（とみ）…

国（がいこく）に輸出（ゆしゅつ）するに過（す）ぎず。青年（せいねん）の書生（しょせい）と雖（いえ）ども、数学（すうがく）の初歩（しょほ）を学（まな）び得（え）たるものなれば、明白（めいはく）に解（げ）す可（べ）き算当（さんとう）に非（あら）ずや。永遠（えいえん）の利害（りがい）を察（さっ）するとは此…

くぎ）せられたる主（しゅ）とを有（ゆう）して此（これ）を避（さ）くべし、彼（かれ）は凡（およ）そ至浄（しじょう）至潔（しけつ）にして生活（せいかつ）を施（ほどこ）すの十字架（じゅうじか）を愛（あい）する者（もの）を守（まも）らん。彼（かれ）に光栄（こうえい）は世々（よよ）に帰（き）す。「アミン」。…

すは榮耀（えいえう）の沙汰（さた）で御座（ござ）ります、其處（そこ）らの角（かど）から能（よ）いほどに直切（ねぎ）つて乘（の）つて參（まゐ）りましよ、これでも勘定（かんぢやう）は知（し）つて居（ゐ）ますに、と可愛（かあい…

え、山輪（やまわ）兄弟（きょうだい）は六年（ねん）というもの宝玉（ほうぎょく）を探（さが）して居（お）ったんじゃ。地面（じめん）が蜂（はち）の巣（す）の様（よう）になるのも無理（むり）ではないのじゃ。」 此時（このとき）家（いえ）の扉（と）がサッと開（ひら）いて、周英（しゅうえい…

えいえん）にして、復（ま）た帰（かえ）るあらず』と。 ハリストスと対談（たいだん）するを愛（あい）する者（もの）は、遁世者（とんせいしゃ）となるを愛（あい）さん。之（これ）に反（はん）して衆人（しゅうじん）と共（とも）に居（お）るを愛（あい…

もっとも）善（ぜん）にして最（いと）愈（まさ）れる此（この）恩寵（おんちょう）を求（もと）め得（え）ば、其（その）助（たすけ）により浄潔（じょうけつ）をも得（え）ん。然（しか）してもし此（これ）を得（え）ば我（われ）等（ら）が此（この）生命（せいめい）より出（い）づる迄（まで）は最早（もはや）浄潔…

王子　待て待て。たかが古いマントルや、穴のあいた長靴ぐらい、誰がとっても好（い）いじゃないか？ 第二の盗人　いえ、そうは行きません。このマントルは着たと思うと、姿の隠れるマントルなのです。 第一の盗人　どんなまた鉄の兜（かぶと）でも、この剣で切れば切れるのです。 第三の盗人　この長靴もはきさえすれば、一飛びに千里飛べるのです。…

す、立（た）つ所（ところ）の地位（ちい）より下（くだ）るなかれ。神（かみ）が惠（めぐ）み給（たま）ふときは免（まぬか）るるを得（え）ん。目（め）と瞼（まぶた）の相近（あいちか）きが如（ごと）く、試（し）惑（わく）も人々（ひとびと）に近（ちか）し、而（しか）して神（かみ）が汝（なんじ）を益（え…

ます）成長（せいちょう）せん。我（われ）を愛（あい）するにより、『我（わ）が為（ため）に己（おのれ）の生命（せいめい）をその心（こころ）に於（おい）て亡（ほろぼ）す者（もの）は、』間然（かんぜん）する所（ところ）なく傷（そこな）はれずして、永遠（えいえん）の生命（いのち）に守（まも）られん、『我（…

又（また）彼（かれ）より先（さき）なる或者（あるもの）等（ら）をも記（き）憶（おく）せん、四（し）十年（じゅうねん）の間（あいだ）神品（しんぴん）の職（しょく）を以（もっ）て飾（かざ）られたる義（ぎ）なる老（ろう）司（し）祭（さい）イリイの家（いえ）に神（かみ）の怒（いかり）と死（し）の降（くだ）りしは何（なん）の為（ため）か。其（…

汝（なんぢ）の兄弟（けいてい）を愛（あい）するを或物（あるもの）を愛（あい）するに換（か）ふるなかれ、何（なん）となれば汝（なんぢ）の兄弟（けいてい）はすべてのものより貴（き）重（ちょう）なる者（もの）を奥密（おうみつ）に己（おのれ）の内（ない）部（ぶ）に受（うけ）たればなり。大（だい）なる者（もの）を得（え…

の所在（しょざい）も異なり、利害の所関（しょかん）も異ならざるを得ず。栄誉（えいよ）利害（りがい）を異にすれば、また従（したがっ）て同情相憐（あいあわれ）むの念（ねん）も互（たがい）に厚薄（こうはく）なきを得ず。譬（たと）えば、上等の士族が偶然会話の語次（ごじ）にも、以下の者共には言われぬことなれど…

あい）により又（また）は久（ひさ）しく悪（あく）に止（とど）まりて之（これ）に染（そ）みたるにより罪（つみ）を犯（おか）すことあり。視（み）よ是（こ）れ罪（つみ）のすべての種類（しゅるい）と状態（じょうたい）にして此（これ）等（ら）は皆（みな）批（ひ）責（せき）せらるべきものなりと雖（いえ…

え）得（とく）せんことを要（よう）す、曰（いは）く、爾（なんぢ）賤卑（いや）しき人（ひと）の諸子（しょし）を高（たか）むる時（とき）、即（すなは）ち爾（なんぢ）が軽蔑（けいべつ）せられ、及（およ）び卑微（ひび）なる者（もの）と数（かぞ）へられたる吾人（われら）を栄（えい…

「いえ、わたしもお供（とも）を致します。けれどもそれは――それは」 　おすみは涙を呑みこんでから、半ば叫ぶように言葉を投げた。 「けれどもそれははらいそへ参りたいからではございません。ただあなたの、――あなたのお供を致すのでございます。」 　孫七は長い間（あい…

「ざまを見ろ！人殺し！火放（ひつ）け！かどわかし！」 と、嚙みしめた歯の間から、うめくように叫んだが、 「よいか、みんな、あいつを蔵から出すことはないぞ！坊やがかえるまで、あいつを出すことじゃあない――いいえ、坊やがかえっても、あいつだけは、あそこから外へ出してはならぬ。このわしが、成敗してやる。何という人鬼だ！」…

郡中線（ぐんちゅうせん）は松山（まつやま）を　出（い）でて餘戸驛（ようごえき） 出合驛（であいえき）　餘戸（ようご）には履脱天神（くつぬぎてんじん）と　日招八幡名（ひまねきはちまんな）も高（たか）し 出合（であい）は石手重信（いしてしけのぶ）の　二流出（にりゅうい）で合（あ）ふ處（ところ）に…

あい）接（せっ）するものなれば、仮令（たと）えいかなる夫婦にても一時の親愛なきを得ず。動物たる人類の情において然（しか）りといえども、人類をして他の動物の上に位（くらい）して万物の霊たらしむる所以（ゆえん）のものは、この親愛に兼ねて恭敬の誠あるに由（よ）るのみ。これを通俗にいえ…