うらむらさき

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 ゆふぐれみせさきいうびんきやくふなげこんできしをんなもじふみいつゝうこたつらんぷのかげにんで、くる/\とおびあひだまきをさむればたちゐこゝろくばられてものあんじなることひととほりならず、おのづといろえて、けつこうじんだんなどの、うぞしたかとおひのかゝるに、いえ、かくべつことでもござりますまいけれど、なかまちあねなにやらしんぱいことるほどに、こちからけばいのなれど、やかましやのをつとひまといふてはけすぢほどもけさせてれぬうるささ、やぶんなりとかへりはこちからおくらせうほどにおうちねがふてちよつとれられまいか、つてる、とふみござります、またまゝむすめもめでもおこりましたのか、せまひとなればなにごとくちにはえいはで、たんとむねいたくするがひとしやうぶんこまりものでござります、とてわざとのたかわらひをしてかせれば、はてさてどくなとふとまゆせて、おまへにすればたつたひとりきやうだいよしあしともにけてかねばならぬやくわらごとにしてはかれまい、なにごとさうだんつてやうすたらばからう、をんなせまいもの、つとつてはいつときじふねんのやうにおもはれるであらうを、おまへおこたりをわしせゐられてうらまれてもとくかぬことよるかくべつようし、はやつていてるがよからう、とかはゆつまあねことなれば、やさしきゆるしのねがはずしてるに、とびたつほどうれしいをこなたわざいろにもせす、ではきませうかとふしよう/″\たんすかくれば、ふじつことはずとはやつてさきれほどつてるかれはせぬぞ、とらぬことなればほとけしやうだんなどのつるに、こゝろおにやおのづとおもぼてりして、むねにはどうきなみたかゝり。

 いとおりこそでかさねて、ちりめんはおりにおこそづきんせいたかひとなればよかぜいとかくそでぐわいとうのうつりく、ではつてまするとみせぐちこまげたなほさせながら、たきちたきちこぞうひとさしゆびさきいて、おふねこぐまねせいみせしなをばちよろまかされぬやうにしておれ、わたしかへりがおそいやうならかまはずとをばおろして、あんくわあたるならいつでもとこなかれていてはらないぞえ、さんはだいどころのもとをこゝろづけて、だんなのおまくらもとへはいつもとほりおわかしにおたばこぼんわすれぬやうにしてごふじいうさせますな、るたけはやくはかへらうけれど、とがらすどをかくれば、だんなどのこゑをかけてくるまふてやらぬか、うであるいてはかれまいにとあまたるきことばなんあきうどにようばうみせからくるまのりだすはえいえうさたござります、そこらのかどからいほどにねぎつてつてまゐりましよ、これでもかんぢやうつてますに、とかあいらしいこゑにてわらへば、せたいじみたことをとだんなどのがきようえつがほぬやうにしてつまおもてたちいでしがおほぞらみあげてほつといきときくもれるやうのおももちいとゞくもふかりぬ。

 どこあねさまからおてがみやうぞ、まつかうそをとわがやみかへられて、なにごとごぞんじなしによいおかほをしてひまくださるもつたいなさ、あのやうなどくい、ものうたがひといふてはつゆほどもおちなさらぬこゝろのうつくしいひとを、うもうもしたさんずんだましつけてこゝろのまゝのふぎはうらつ、これがまあひとにようばうしわざであらうか、なんといふわるものの、ひとでなしの、はふだうりむちやくちやいぬちくしやうのやうなこゝろであらう、このやうないたづらのちくしやうをば、ごぞんじのこととててんにもにもいかのやうにかあいがつてくだすつて、わたしことへばごじぶんものにしてことばてさせてくださるおぼしめしありがたうれしいおそろしい、あまりのもつたいなさになみだがこぼれる、あのやうなをつとなにふそくつるぎはわたりするやうなあぶなたくみをするのやら、かあいさうにあのひとなかまちねえさんまでをひきあひにしてさんばうしはううそかためて、このあしはまあどこく、おもへばわたしあくたうひとでなし、いたづらものふぎものの、まあなんといふこゝろえちがひ、とつじつてあゆみもやらず、よこちやうかどふたまがりていまわがやのきえぬを、ふりかへりてはあつなみだのはら/\とこぼれぬ。

 をつとこまつばらとうじらうせいやうこまものみせばかりに、ありあまるしんだいくらなかかして、さりとはたうせいさんようらぬひとよしをとこに、こひにようばうのおりつばしこさおくおもてひらてんで、うつくしいまなじりをつとはらをもやはらげれば、かあいらしいくちもとからおきやくさまへのせじる、としもねつからきなさらぬにおりこうなおかみさまとるほどのひとものの、このひとこのみうらみちはたらき、ひとらじとみづかくらませども、やさしきをつとこゝろざしあやにくまつはるこゝちしておりつろばうたちすくみしまゝ、くまいかくまいか、いつそおもつてくまいか、けふまでのつみけふまでのつみいまからわたしさへあらためれば、のおひととてさのみみれんおつしやるまじく、おたがひにあさつきあひをしてひとしらぬうちにけがれをすゝいでしまつたなら、いまからのちのあのかたためわたしためなまなかこがれてつきまとふたとて、れてはれるなかではなし、かあいひとふぎせてすこしもれがせけんれたらなんとせう、わたしかくあのかたはこれからのごしゆつせまへいつしやうくらやみにさせましてそれでわたしまんぞくおもはれやうか、おゝいやことおそろしい、なんおもふてわたしひにたか、よしやおふみせんつうやうとゆきさへせねばおたがきずにはるまいもの、もうおもつてかへりませう、かへりませう、かへりませう、かへりませう、えゝもうわたしおもつたとみちひきちがへてこまげたかへせば、あいにくよかぜさぶく、ゆめのやうなるかんがまたもやふつとふきやぶられて、ええわたしそのやうなこゝろよわことかれてならうか、さいしよあのうちよめいりするときから、とうじらうどのををつとさだめてつたのではいものを、かたちつてもこゝろけつしてるまいとめていたを、いまさらつてなんぎりはり、あくにんでも、いたづらでもかまひはい、おらずばおてなされ、てられゝばけつくほんまう、あのやうなぐぶつさまをつとたてまつつてよしをかさんをそでにするやうなかんがへを、なぜしばらくでもつたのであらう、わたしいのちかぎり、とほしましよれますまい、をつとたうとおくさまできなさらうとこのやくそくやぶるまいとふていたを、れがのやうにやさしからうと、ありがたことふてれやうと、わたしをつとよしをかさんのほかにはいものを、もうなにごとおもひますまいおもひますまいとてづきんうへからみゝおさへていそあしごろつぽかけいだせば、むねどうきのいつしかえて、こゝろしづかにえていろなきくちびるにはひやゝかなるみさへうかかびぬ。(未定稿)

この著作物は1925年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。