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「しんさん、お待ちよ」 「知らねえ、知らねえ」 男は振り切って行こうとするのを、女は無理に引戻そうとして、たがいに濡れながら争っている。宿場の夜の風景、別に珍らしいとも思われなかったが、しんさんと云う声が耳について、半七は不図みかえると、男は彼（か）のしん吉であった。 「おい、しん…

高等学校に入るようになってから私は酒や煙草（たばこ）を親しむようになった。家へ帰っても酒はのまなくても辛抱（しんぼう）出来たが――それもどちらかと云えば私の気持がどうしてもそれを許さなかっという方が本当である。母が私達に父の酒癖（さけぐせ）を見習わないようにといつも云い含（ふ…

wikisource:宗教 > 通俗正教教話 ← 信経/第七か條 信経/第九か條 → 通俗正教教話 信経/第八か條 『又（また）信（しん）ず、聖神（せいしん）、主（しゅ）、生（いのち）を施（ほどこ）す者（もの）、父（ちち）より出（い）で父（ちち）及（およ）び子（こ）と共（とも）に拝（おが）まれ讃（ほ…

ス／小學校修身敎科書審査採定期日竝唱歌ノ歌詞樂譜採用手續省略ノ件ヲ定メ明治二十五年訓令第五號ヲ廢ス（しょうがっこうしゅうしんきょうかしょしんささいていきじつならびにしょうかのかしがくふさいようてつづきしょうりゃくのけんをさだめめいじにじゅうごねんくんれいだいごごうをはいす） - 『法令全書』 法令番号：…

通俗正教教話 ← 信経/第八か條 信経/第十か條 → 通俗正教教話 信経/第九か條 『又（また）信（しん）ず、一（ひとつ）の聖（せい）なる公（おほやけ）なる使徒（しと）の教會（きょうかい）を』 問　『教會（きょうかい）』と謂（い）ふのは何（なん）の事（こと）で御座（ござ）いますか。…

しんざかどほ）りに幾搆（いくかま）への生垣（いけがき）ゆひ廻（まわ）せし中（なか）、押（を）せば開（ひ）らく片折戸（かたをりど）に香月（かうづき）そのと女名（をんなヽ）まへの表札（ひようさつ）かけて折々（をり／＼）もるヽ琴（こと）のしのび音（ね）、軒端（のきば）の梅（うめ）に鶯（うぐひす）はづかし…

信経/第九か條 信経/第十一か條 → 通俗正教教話 信経/第十か條 『我（われ）認（みと）む、一（ひとつ）の洗礼（せんれい）を以（もつ）て罪（つみ）の赦（ゆるし）を得（う）るを』 問　信経（しんけい）に何故（なぜ）洗礼（せんれい）の事（こと）なぞを述（の）べて居（い）るので御座（ござ）いますか。…

かど／″＼）しきはわざとさけて伊勢源氏（いせげんじ）のなつかしきやまと文（ぶみ）明暮（あけくれ）文机（ふづくゑ）のほとりを離（はな）さず、さればとて香爐峯（かうろほう）の雪（ゆき）に簾（みす）をまくの才女（さいぢよ）めきたる行（おこな）ひはいさゝかも無（な）く深窓（しん…

かみ）さま持込れて、親の光りに頭（かしら）さぐるなど、嫌（いや）な事なり。我れ望みは身分でなく親でなし、その人自身の精心（せいしん）一つ。行ひ正しく志し美（み）事（ごと）ならば、今でもお世話ねがひたきもの」 と、鮮（あざや）かな詞（ことば）、籟三片（かた）頬（ほ）ゑみしてお蝶をかへり見ぬ。…

かぶ）せ物（もの）の滅金（めつき）をも、秘佛（ひぶつ）と唱（とな）へて御戸帳（みとちやう）の奧（おく）ぶかに信（しん）を増（ま）さするならひ、朝日（あさひ）かげ玉（たま）だれの小簾（をす）の外（と）には耻（はぢ）かヾやかし…

信経/第一か條 信経/第三か條 → 通俗正教教話 信経/第二か條 『又（また）信（しん）ず一（ひとつ）の主（しゅ）イイスス・ハリストス神（かみ）の独生（ひとり）の子（こ）萬（よろづ）世（よ）の先（さき）に父（ちち）より生（うま）れ、光（ひかり）よりの光（ひかり）、真（まこと）の神（か…

ん）河田三段が挨拶（あいさつ）のために壇（だん）へ登った時、その講堂の中に恭（うやうや）しく並（なみ）いた生徒達の眼（め）はみな好奇心（こうきしん）に輝（かがや）いていた。大抵（たいてい）の眼は悪戯者（いたずらもの）らしい光を帯（お）びていた。 そしていよいよ河田師範の顔がそれらの眼の矢面に立った…

か、と笑（わら）つて、今（いま）あけるよ少時（しばらく）辛防（しんばう）おしと言（い）ひながら、仕立（したて）かけの縫物（ぬひもの）に針（はり）どめして立（た）つは年頃（としごろ）二十餘（はたちあま）りの意氣（いき）な女（をんな）、多（おほ）い髮（か…

凡（おほよ）そイエスをキリストと信（しん）ずる者（もの）は神（かみ）に由（より）て生（うま）れたる也（なり）おほよそ之（これ）を生（うむ）者（もの）を愛（あい）する者（もの）は亦（また）その生（うま）るる所（ところ）の者（もの）をも愛（あい）する也（なり） 2 我儕（われら）もし神（か…

呉服屋があつた。菓子屋があつた。和洋煙草屋があり、罐詰があつた。街は美しく、太郎の胸はわくわくした。眼は眼で樂しんだ。耳は耳で樂しんだ。鼻も敏捷な奴で、風が送つて來るものを捕へては貪り食つた。 太郎は巨大な眼を願望した。町は定まらない繪畫であつた。幻想的なといへば幻想的…

かしさても習慣（しふくわん）こそは可笑（をか）しけれ北風（きたかぜ）の空（そら）にいかのぼりうならせて電信（でんしん）の柱（はしら）邪魔（じやま）くさかりし昔（むか）しは我（われ）も昔（むかし）と思（おも）へど良之助（りやうのすけ）お千代（ちよ）に向（むか…

問　信経（しんけい）とは何（なん）なりや 答　信経（しんけい）とは我（われ）等（ら）信者（しんじや）の必（かなら）ず信（しん）ずべき箇條（かでう）を分（わか）り易（やす）く約（つづ）めて言（い）ひ顕（あら）はせるものなり 問　信経（しんけい）と云（い）ふ語（ことば）は如何（いか）なる意（こころ）なりや…

正教要理問答 信経問答の一 問　信経（しんけい）とは何（なん）なりや 答　信経（しんけい）とは我（われ）等（ら）信者（しんじや）の必（かなら）ず信（しん）ずべき箇條（かでう）を分（わか）り易（やす）く約（つづ）めて言（い）ひ顕（あら）はせるものなり 問　信経（しんけい）と云（い）ふ語（ことば）は如何（いか）なる意（こころ）なりや…

第（だい）一課（くゎ）　使徒信経（しとしんきょう） －9－ ▲有（あ）ります、即（すなは）ち十二使徒（しと）から伝（つた）へられた使徒信経（しとしんきゃう）であります。 とは、信（しん）ずる事（こと）の則（のり）、法（はふ）、道（みち）と云（い）ふ意味（いみ）である。 とは、一番短（いちばんみじか…

）であると仰有（おっしゃ）いますが、左様（そう）で御座（ござ）いますか。 答　左様（そう）ですとも、若（も）し御（ご）復活（ふくかつ）が無（な）かったならば、私（わたくし）共（ども）はイイスス ハリストスのお救贖（すくい）を信（しん）ずることが出来（でき）ないので御座（ござ）います。 問　イイスス…