三壺聞書
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【 NDLJP:3】
【 NDLJP:4】三壺聞書序 夫此の物語は、天文以来諸国の武将の事有増書記す中に、加越能三州の興起を専ら書載せ侍りける。是れ信長公の臣太田和泉守、御当家の儒者小瀬甫庵道喜斎、信玄の家臣春日源五郎兄弟等の記録、其の外諸書詳かに記すの珍敷にはあらねど、彼作者は博学多才にして漢語をまじへ、善悪の評判をそへ、巻数多くして浅才下賤の人弁る事かたし。昔源平盛衰の物語は、信濃前司行長が百二十句の物語に作りて、生仏といふ座頭にをしへ語らせ、是を平家物語といふ。夫より舞・うたひ抔に作り翫びければ、犬うつ童子迄も皆是をしれり。今此時代は近くして若輩のしる事稀也。知らんと欲すれば大部の書籍求めがたし。たまたま求め得て見んとすれば、暇なき者は見つくすこと成りがたし。斯の如きの侘人累年懇望に依て、精粗是を記す。偏に下賤愚昧の少童の為なれば、言葉いやしく、句みじかく、幽玄の語を除き、唯事理のあきらかならんを而已本とす。元来愚作の事なれば、其誤り多かるべし。此上に諸儒の記録を見給はゞ弥々分明成べし。気鬱上火の人、眠る事を得ざる時しも是を見ば、暫心を慰め或は眠を催し、いささか正気堅固なるべきものなり。
三壺聞書目錄
三壺聞書
【 NDLJP:4】一、装幀は玉井敬泉氏の手に成るもの、図案は国幣中社白山比咩神社蔵の国宝螺鈿鞍文様を資料として作図せられた。
一、校訂は末尾の解説と共に石川県史編纂係の日置謙氏を煩はした。
一、校正は太田南圃氏が主としてその労をとられた。
治世の次第 一
信長公御先祖の事 四
織田家系図略 四
信長公御舅の事 六
織田彦五郎殿の事 七
利家公御先祖の事 八
当代前田氏の御系図 一〇
今川駿河守義元の事 一三
美濃国森部合戦の事 一四
大阪城攻の事 一四
義輝将軍滅亡の事 一五
三好一党降参の事 一七
義昭将軍に任せらるゝ事 一七
家康公御先祖の事 一七
御系図 一八
甲州武田信玄晴信の事 二一
越後謙信の事 二一
諸国大将分の事 二一
近江合戦並将軍御謀叛の事 二二
越前国朝倉滅亡の事 二三
近江国浅井備前守退治の事 二四
将軍の敵三好を討取給ふ事 二五
信長公岐阜にて御酒宴の事 二五
蘭奢待を被召上事 二五
伊勢長嶋の一揆退治の事 二六
河内国畠山殿滅亡の事 二六
三河国長篠合戦の事 二七
越前御退治の事 二八
越後上杉謙信の家乱るゝ事 三〇
越中の一揆退治の事 三一
高槻城攻の事 三一
浄土宗日蓮宗宗論の事 三二
大阪城和談の事 三二
越中へ越後勢発向の事 三三
利家公能州御拝領の事 三三
信長公年頭御礼の事 三四
甲州勝頼滅亡の事 三四
勝頼一門切腹の事 三五
勝頼領分割符の事 三六
越後景勝越中へ働の事 三六
中国毛利家の事 三八
惟任日向守謀叛の事 三八
安土の沙汰の事 四〇
家康公の事 四〇
滝川左近将監一益の事 四〇
河尻肥前守が事 四〇
同妻子の事 四一
秀吉公中国御引取の事 四一
光秀滅亡の事 四二
御葬送御法事の次第 四三
長岡越中守忠興の事 四四
奥州伊達家の事 四四
能州石動山一揆の事 四五
勝家秀吉鉾楯の事 四六
柴田伊賀守勝豊の事 四七
柳ケ瀬陣勝家滅亡の事 四七
織田信孝の事 五〇
能州末森城代の事 五一
佐々成政蜂起の事 五一
加越取合並末森合戦の事 五二
佐々成政降参の事 五四
越中砺波郡木船大地震の事 五五
羽柴秀吉公関白職の事 五七
大仏御建立の事 五八
北野茶湯の事 五八
佐々内蔵助滅亡の事 五九
織田信雄卿別心の事 六〇
太閤西国御出馬の事 六一
嶋津領分の城共落去の事 六一
嶋津降参の事 六二
太閤御帰陣の事 六三
聚楽へ行幸の事 六三
目賀田又右衛門の事 六五
蒲生飛騨守氏郷の事 六五
関八州の大守北条の事 六六
関東進発人数図の事 六七
北条方人数立の事 六七
北国勢発向の事 六八
小田原落城の事 六九
関八州の城々大将の事 六九
奥州の検地並諸国割符の事 七〇
利家公景勝礼の次第の事 七二
高麗陣の事 七三
朝鮮陣人数軍役触の事 七三
太閤御母君御不例の事 七四
利家公加州御下向の事 七六
金沢御城御造営の事 七七
王子御誕生の事 七七
利常公御誕生の事 七七
越中守山岩ケ淵喧嘩の事 七八
太閤利家公へ御成の事 八〇
宇治川をせき留給ふ事 八一
秀吉公御灸を被成事 八二
津田長門守が事 八三
利家公加州へ御下向の事 八四
醍醐花見の事 八四
関白秀次御謀叛の事 八五
利家公射手衆被召置事 八八
朝鮮国より御礼に来る事 八八
異国より黒船着岸の事 八九
家康公内大臣に御任官の事 九〇
岡田長右衛門御茶上る事 九一
東衆所替の事 九一
利家公草津へ御入湯の事 九二
利家公於猿様に御対面の事 九二
伏見にて諸侯和睦の事 九二
利家公御帰国の事 九三
諸侯誓紙被致事 九三
太閤御他界の事 九四
太閤御先祖の事 九五
秀頼公御入城被成事 九六
御両殿和睦の事 九七
大納言利家公御逝去の事 一〇一
宝円寺の事 一〇三
石田治部少輔佐和山へ引入事 一〇四
芳春院殿御法躰の事 一〇五
利長公加州へ御帰国の事 一〇七
石田治部少輔謀叛の事 一〇七
家康公会津へ御発向の事 一〇九
会津景勝人数立の事 一〇九
正宗の紋を景勝へ取る事 一一〇
景勝勢出羽の山形へ向ふ事 一一一
山形の持城初瀬堂の大将裏返る事 一一一
幡屋城攻の事 一一二
加賀井弥八郎が事 一一三
石田治部少輔人数揃の事 一一三
大津城攻の事 一一四
丹後田辺城攻の事 一一五
石田方より攻落す城の事 一一五
家康公上方へ御進発の事 一一六
上田合戦の事 一一七
関東勢御先手発向の事 一一八
大御所御進発の事 一二〇
福田縄手合戦の事 一二一
大垣の城攻評定の事 一二一
井伊直政と本多忠勝先手を争ふ事 一二三
石田方悉く敗軍に及ぶ事 一二三
伊奈図書が事 一二七
加州大正持陣の事 一二九
石垣原合戦の事 一三二
加州利長公へ御加増被進事 一三二
徳川参河守秀康公の事 一三三
堀左衛門佐の事 一三四
尾張大納言義直の事 一三六
利長公於猿様に御対面の事 一三六
大仏殿御建立の事 一三七
家康公御任官の事 一三七
利長公御世継の事 一三八
太田但馬御成敗の事 一三八
加州利光公御前様御入輿の事 一四〇
江戸駿河御城御造営の事 一四〇
利長公御隠居の事 一四一
利家公の北の方江戸へ御引越の事 一四五
吉利支丹御制禁の事 一四五
肥前守利長公御逝去の事 一四六
芳春院殿江戸より加州へ御越の事 一四七
瑞龍院様御噂の事 一四八
大坂御陣起の事 一四八
大坂勢着到の事 一五〇
両御所御出勢の事 一五一
加賀筑前守利光公人数揃の事 一五二
軍役御定の事 一五二
加州利光公御出勢の事 一五九
利光公御帰陣の事 一六五
重て大坂陣起る事 一六六
両御所御出馬の事 一六六
法隆寺並堺の津を焼払事 一六七
信達合戦の事 一六七
古田織部が事 一六九
藤堂和泉守内渡辺勘兵衛が事 一六九
木村長門守討死の事 一七〇
後藤又兵衛討死の事 一七一
真田が軍法の事 一七一
大坂の士大将共討死の事 一七二
大坂落城の事 一七三
秀頼公の北の御方を退奉る事 一七三
秀頼公御家来共生害の事 一七四
正栄が事 一七四
秀頼公切腹の事 一七四
大御所御他界の事 一七六
光高公御誕生の事 一七七
金沢町立替り道橋等附替る事 一七七
芳春院殿御遠行の事 一七八
千勝丸殿並御息女御誕生の事 一七八
大坂御城御普請の事 一七八
金沢御城中火事並金沢芝居の事 一七八
伊勢踊の事 一八〇
利光公北の御方御遠行の事 一八一
御葬礼の事 一八二
玉泉院殿御遠行の事 一八三
江戸御局の事 一八五
家光公御任官の事 一八五
諸侯所替の事 一八六
大坂再御普請の事 一八六
越前と越後国替の事 一八八
大塩伝左衛門御成敗の事 一八八
二条の城へ行幸の事 一九〇
金沢遊女並芝居沙汰の事 一九〇
江戸にて神田の御屋敷御普請の事 一九二
秀忠公利常公の御舘へ渡御の事 一九二
利常公子小将喧嘩の事 一九三
瑞龍院殿十七回忌の事 一九四
利常公家臣前田肥後喧嘩の事 一九四
寿福院殿御遠行の事 一九六
高徳院殿三十三回忌の事 一九六
金沢城再火難の事 一九六
金沢御城御造営の事 一九七
金沢火付露顕の事 一九八
利常公御手廻の者被召抱事 一九九
加州の士大坂陣高名穿鑿の事 二〇一
秀忠公御他界の事 二〇七
家光公へ御譲物の事 二〇七
御遺物諸侯へ被下事 二〇七
森川出羽守追腹の事 二一一
西の丸落書の事 二一一
伊丹播磨守蟄居の事 二一二
利常公子小将共口論の事 二一二
今枝民部家来山本九郎右衛門が事 二一三
金沢町中へ水道作らせらるゝ事 二一四
光高公江戸御屋敷焼失の事 二一五
大山五郎左衛門事 二一六
佃源太郎事 二一七
本多安房守政重の事 二一七
加藤肥後守清正の事 二一八
駿河大納言忠長卿の事 二一九
光高公御前様御入輿の事 二一九
加州に本願寺末寺建立の事 二二〇
利常公御帰国の事 二二一
将軍家御上洛の事 二二一
玉泉院殿丸御普請の事 二二二
御徒平井九郎左衛門事 二二二
金沢町中火事の事 二二四
金沢宝勝寺如来寺一喝争の事 二二四
安見隠岐の事 二二七
春香院殿の事、附村井家の事 二二九
諸代官吟味並下谷長左衛門事 二三〇
在々貸方御吟味の事 二三二
落合孫左衛門事 二三三
利常公長崎御調物の事 二三四
肥前国嶋原一揆の事 二三七
加州津幡山姥堂の事 二四三
利常公御屋形へ御成の事 二四四
利常公御隠居並虫送の事 二四五
利常公小松御入城の事 二四六
大聖寺の侍従利治公御人部の事 二四七
前田長松家来矢野治左衛門事 二四八
金森平三郎申分の事 二四八
亀田権兵衛夜討に逢事 二四八
同先祖の事 二五〇
御小人次郎兵衛事 二五一
利常公江戸御参観の事 二五二
光高公御入国並津田勘兵衛事 二五二
家綱公御誕生の事 二五五
竹千代様御小姓御胎内より被召置事 二五六
稲葉左近切腹の事 二五八
利次公御入部の事 二六〇
光高公江戸御参観の事 二六〇
利常公御帰国の事 二六一
三谷喧嘩の事 二六一
八条様へ御縁組の事 二六二
天下の饑饉の事 二六二
綱利公御誕生の事 二六三
宮部弥三右衛門妻下女に被殺事 二六三
江沼郡那谷観音の事 二六五
利常公江戸御参観の事 二六六
光高公御逝去の事 二六七
御尊骸加州へ送り奉る事 二六九
於金沢御法事御執行の事 二六九
追腹の事 二七〇
八条様御追悼の事 二七〇
宝勝寺千岳和尚追善の事 二七〇
前田志摩の事 二七二
綱利公御家督の事 二七二
万菊様御誕生の事 二七三
利長公三十三回御忌の事 二七四
利常公御帰国の事 二七四
於竹様の事 二七四
本多長松へ婚姻の事 二七六
本多家先祖の事 二七六
石黒権平事 二七八
加藤式部大輔流刑の事 二八〇
鷹栖松雲が事 二八一
犬追物の事 二八二
将軍家御供の人々の事 二八三
式次第の事 二八三
犬追物初る事 二八四
犬追物の節御城御番の事 二八六
嶋津一党登城の事 二八六
大納言竹千代様へ御目見の事 二八六
大追物初りの事 二八七
前田右近大夫利意殿の屋形修造の事 二八八
中納言利常公根津越御帰国の事 二九〇
指上る進物繰越の事 二九一
本多兵庫事 二九三
葭嶋御露地御普請の事 二九三
万菊丸殿御隠れ被成事 二九四
利常公年頭御礼に御登城の事 二九五
諸勝負時行事 二九六
御屋敷火事の事 二九六
飛騨守殿御座敷毀事 二九七
御式台建家の事 二九八
御式台建ちて利常公御帰国の事 二九八
京極殿帰洛の事 二九九
将軍家光公御他界の事 二九九
諸侯登城の事 三〇〇
丸橋忠弥由比正雪事 三〇一
竹千代丸様御任官の事 三〇一
佃源太左衛門事 三〇三
加州にて御領国御改作御心見の事 三〇五
利常公御帰国並木村弥兵衛事 三〇六
葭嶋御数寄屋の事 三〇八
小松町同心広田源太夫事 三〇八
大聖寺にて夜盗共被捕事 三〇九
内裏炎焼の事 三一一
犬千代様御任官の事 三一一
多田権内事 三一二
玉泉院様三十三回御忌の事 三一三
白山権現の社の事 三一三
梶原左内事 三一七
清泰院様御遠行の事 三一九
小松掛橋天神堂の事 三二〇
江戸大火事の事 三二二
同十九日火事の事 三二三
公方様御道具焼失の事 三二五
越中高岡瑞龍寺御造営の事 三二六
小松利常公御参覲の事 三二六
御天守台の事 三二七
有増御役付の事 三二八
綱利公北の御方御興入の事 三二九
利常公御逝去の事 三三〇
追腹衆の事 三三一
御葬送附品川左門事 三三四
脇田猪之助事 三三六
御遺物の事 三三七
法勝寺千岳和尚追悼の事 三四二
この著作物は、1931年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。
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