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（まへ）に、是非（ぜひ）悔悛（くゎいしゅん）の秘跡（ひっせき）を以（もっ）て其大罪（そのだいざい）の赦（ゆるし）を受（う）けねばなりませぬ。 假令他（たとひた）の秘跡（ひっせき）を受（う）けるには完全（くゎんぜん）なる痛悔（つうくゎい）を以（もっ）て大罪（だいざい）の赦（ゆるし）を得（え）るやうにす…

っせい）に飛ばす花粉の煙であった。しかし今すでに受精を終った杉林の上には褐色（かっしょく）がかった落ちつきが出来ていた。瓦斯（ガス）体（たい）のような若芽に煙っていた欅（けやき）や楢（なら）の緑にももう初夏らしい落ちつきがあった。闌（た）けた若葉がおのおの影を持ち瓦斯体のような夢はもうなかっ…

）ら之（これ）を如何（いか）に為（な）すべきか。 答　一半（いっぱん）は主（しゅ）の跡（あと）を追（お）ふて行（ゆ）けども、他（た）の一半（いっぱん）は世（よ）に止（とど）まりて、その心（こころ）は此世（このよ）にあるものより脱（だっ）せず、自己（じこ）を分割（ぶんかつ）して、或時（あるとき）には前…

うまのりになっていた桃子が そっとせなかへ人形をのせていってしまった うたをうたいながらあっちへいってしまった そのささやかな人形のおもみがうれしくて はらばいになったまま 胸をふくらませてみたりつぼめたりしていた こどもが せっせっ　せっせっ　とあるく すこしきたならしくあるく そのくせ ときどきちらっとうつくしくなる…

せらるゝこと犬（いぬ）の肉店（にくてん）に引誘（いんゆう）せらるゝ如（ごと）し。常（つね）に祈（き）祷（とう）に専（もっぱ）らなる者（もの）の晩餐（ばんさん）は麝香（じゃこう）より発（はっ）する如何（いか）なる香（こう）気（き）よりも香（こう）油（ゆ）より発（はっ）する薫香（くんこう）よりも愉（ゆ…

むべし。汝（なんじ）の素（そ）行（こう）の貴（たっと）きを以（もっ）て放（ほう）肆（し）者（しゃ）を責（せ）めよ、然（しか）して五（ご）官（かん）の耻（はぢ）なき者（もの）をば汝（なんじ）の目（め）の節制（せっせい）を以（もっ）て責（せ）むべし。 その生涯（しょうがい）の諸日（しょじつ）汝（なんじ）…

瀆聖（とくせい）に成（な）らねど其効果（そのかうくわ）は防（さまた）げらる、其（それ）でも生涯（せうがい）一度（ど）に限（かぎ）る三（みつ）の秘蹟（ひっせき）を二度受（どう）ける譯（訳）（わけ）には行（ゆ）かぬ、之（これ）に相當（当）（さうたう）する資格（しかく）と之（これ）に付（つ）いた義務（ぎむ…

見まわしはじめる。それから向うに何か見つけ、その方へ一散（いっさん）に走って行（ゆ）く。 　　　　　　　　　　８ 　父親らしい男の後ろ姿。ただしこれも膝の上まで。少年はこの男に追いすがり、しっかりと外套の袖を捉（とら）える。驚いてふり返った男の顔は生憎（あいにく）田舎者（いなかもの）らしい父親では…

〇夫（それ）ではイエズス・キリスト樣（さま）が、折角御血（せっかくおんち）をしため盡（つく）してまで、お建（たて）になった教会（けうくわい）も、如何（どん）な運命（うんめい）に陥（おち）らねばなりませんでせうか。 △到底（たうてい）その生命（いのち）を續（続）（つゞ）けて行（ゆ）くことが出來（でき）なくなります。 [36]…

「灰でござりまっす」 　下女は障子をあけて、椽側（えんがわ）へ人指（ひとさ）しゆびを擦（す）りつけながら、 「御覧なさりまっせ」と黒い指先を出す。 「なるほど、始終（しじゅう）降ってるんだ。きのうは、こんなじゃなかったね」と圭さんが感心する。 「ねえ。少し御山が荒れておりますたい」…

なんぢ）に惹（じゃく）起（き）し、汝（なんぢ）の五（ご）官（かん）の節制（せっせい）を解放（かいほう）し、世（よ）に死（し）したる汝（なんぢ）を世（よ）の為（ため）に復活（ふくかつ）せしめ、汝（なんぢ）の為（ため）に唯一（ゆいいつ）の慮（おもんばかり）なる天（てん）使（し）的（てき）行（こう）為（…

あづか）り、或（あるひ）は玟瑰花（ロザリ） [下段] 冠（オ）の月（つき）の集会（あつまり）に出席（しゅっせき）する事等（ことなど）である。説教聴聞（せっけうてうもん）とは或（あるひ）は説教（せっけう）を聞（き）き、或（あるひ）は教（をしへ）の稽古（けいこ）を為（な）す事等（ことなど）である。告白聖…

第（だい）四十九課（くわ）　主禱文（しゅたうぶん）と天使祝詞（てんししゅくし）…………二一三　 第（だい）五十課（くわ）　秘跡（ひっせき）……………二一八 第（だい）五十一課（くわ）　洗礼（せんれい）（一）……………二二二 第（だい）五十二課（くわ）　洗礼（せんれい）（二）………………二二四…

ったかも知れない。 余り飲まない三造に、そう無理に勧めるでもなく、一人で盃を重ねる中に、M氏はその赤い鼻をまずます赤くして脂を浮出させ、しかも絶えず黄色い歯を剥出（むきだ）してニヤニヤし続けている。そうして、例によってはっきりしない言葉でゆっくりゆっ…

まもの）を熱心（ねっしん）に乞（こ）ひ求（もと）め、告白（こくはく）を以（もっ）て靈魂（れいこん）を清（きよ）める等（など）の準備（じゅんび）が要（い）ります。完全（くゎんぜん）な信者（しんじゃ）と爲（せ）られる秘蹟（ひっせき）なれば、能（よ）く教（をしへ）を心得（こゝろえ）る筈（はず）、…

せよ、或（あるひ）は一（ひと）つに集（あつま）って、敎皇（けうくわう）の監督（かんとく）の下（もと）に公議會（こうぎくわい）を開（ひら）くにせよ、敎皇（けうくわう）と一致（いっち）を保（たも）って居（ゐ）る間（あひだ）は決（けっ…

『夕凪橋の狸』（ゆうなぎばしのたぬき） 作者：梶井基次郎 底本：2008年11月10日筑摩書房発行『ちくま日本文学028 梶井基次郎』 私という恥（はじ）多い者にもこのような憶（おも）い出がある。十幾年（いくねん）という昔（むかし）の話である。 それはまだ自分が中学の三年か四年の頃（ころ）だっ…

秘跡（ひっせき）の要（えう）する三要件即（えうけんすなは）ち罪人側（つみびとがは）では罪（つみ）を罷（や）めるとの微（しるし）があり、尚（なほ）イエズス、キリストの御定（おんさだめ）によるもので、罪（つみ）の赦（ゆるし）なる聖寵（せいてう）を施（ほどこ）すを以（もっ）て秘跡（ひっせき）たるに相違（さうゐ）ない。…

とは、天国（てんごく）の状態（ありさま）を幻（まぼろし）に見（み）せられた予言者（よげんしゃ）ダニエル天使（てんし）に就（つ）いて曰（いは）く「事（つか）へ奉（まつ）る者千々（ものせんゝゝ）、御前（みまへ）に侍（はべ）る者万々（ものまんゝゝ）あ －25－ ったと」と（ダニエル書七。十）。千々（せんゝゝ）とは百万…

っ）て接（せっ）すれども、前者（ぜんしゃ）は心霊（しんれい）の目（め）を以（もっ）て見（み）ればなり。独居的（どっきょてき）哀泣（あいきゅう）を以（もっ）てハリストスに従（したが）ふ者（もの）は、集会（しゅうかい）の中（うち）に在（あ）りて己（おのれ）を頌讃（しょうさん）せ…