検索結果

蠶（かひこ）は晝（ちう）夜（や）はたらきて 休（やす）むは生（しやう）涯唯（がいただ）四たび 淸（きよ）きふしどにやすらけく ねむりつかせよ看護（みとり）して。 朝（あさ）な夕（ゆう）なのつかのまも やすむ暇（ひま）なくいたつきを つめる桑（くは）子（こ）の繭（まゆ）こもり 山（やま）なすえびらのその中（なか）に…

　莊子（さうし）が蝶（てふ）の夢（ゆめ）といふ世（よ）に義理（ぎり）や誠（まこと）は邪魔（じやま）くさし覺（さ）め際（ぎは）まではと引（ひき）しむる利慾（りよく）の心（こゝろ）の秤（はかり）には黄金（こがね）といふ字（じ）に重（おも）りつきて増（ま）す寶（たから）なき子寶（こだから）のうへも忘（わす）るゝ小…

首（かうべ）を埋（うづ）めるおくつちを 訪（と）ひ吊（とむら）ひつそのかみの 忠（ちゆう）勇（いう）義（ぎ）烈（れつ）の眞（ま）心（ごころ）に 袖（そで）を絞（しぼ）るもかなしけれ 間々田（まゝた）を過（す）ぎて程（ほど）もなく 迎（むか）へ待（ま）てるは小（を）山（やま）なり 南（みなみ）に行（ゆ）けば水戸（みと）に着（つ）き…

靖國神社（やすくにじんじゃ）の廣前（ひろまえ）に　大村（おおむら） 川上兩雄（かわかみりょうゆう）の　いさをも高（たか）き銅像（どうぞう）は　千代（ちよ）も朽（く）ちせぬ世（よ）の鑑（かがみ） 遊就館（ゆうしゅうかん）に入（い）り見（み）れば　古今（ここん）の武器（ぶき）や…

なれど車をこゝに降（を）り 降（をり）る間（ま）もなく右（みぎ）？なる 䀋竈行（しほかまゆき）に乘　（　りの〔ママ〕）換（かへ）て 話（はな）す暇（いとま）も無（な）き中（うち）に 早䀋竈（はやしほかま）に着（つき）にけり 滊（き）車（しや）より降（を）りて共（とも）々（〲）に 竈（かま）の祠（やしろ）に立寄（たちより）り〔ママ〕…

まん）なる人々（ひとびと）、富（と）める人々（ひとびと）と偕（とも）にの意（い）なり。爾（なんぢ）は眞（まこと）の謙遜（けんそん）を見（み）るか。彼（かれ）は啻（ただ）に自（みづか）ら此（この）疾病（やまひ）より自（じ）由（ゆう…

相思夕上松台立。蛬思蝉声満耳秋。 題李十一東亭　白居易 やまをのぞめばゆうげつなほかげをかくせり、 みぎりにきけばひせんうたゝこゑをます、 山（やま）を望（のぞ）めば幽月（ゆうげつ）なほ影（かげ）を蔵（かく）せり、 砌（みぎり）に聴（き）けば飛泉（ひせん）うたゝ声（こゑ）を倍（ま）す、 望山幽月猶蔵影。聴砌飛泉転倍声。…

水洗川（みたらしがは）の淸（せい）流（りゆう）は､ 神（しん）威（ゐ）を長久（とは）に私（さゝ）語（や）けり。 四方（よも）に普（あまね）き神德（しんとく）の､ 階下（みまへ）に伏（ふ）して大君（おほぎみ）の､ 御威（みゐづ）や國（くに）の榮（さか）まで､ 赤（ま）誠（ごゝろ）こめて祈（いの）らばや。終 表記は歴史的仮名遣とし、漢字制限はJIS…

煙（けむり）は空（そら）をこがすまで 海（うみ）のあなたにうすがすむ 山（やま）は天（て）鹽（しほ）か石狩（いしかり）か 北海（ほつかい）一の大（をほ）港（みなと） あつまる汽（き）船（せん）のかず／＼は 天（て）鹽北（しほきた）見（み）の端（はて）までも 函館横濱行（はこだてよこはまゆき）もあり 又（また）も上（のぼ）りの汽車（し〔ママ〕）に乘（の）り…

ゆうもん）の佛（ほとけ）の御石（みいし）の鉢（はち）を取（と）りに天竺（てんじく）へ行（い）つたように見（み）せかけて、三年（さんねん）ばかりたつて、大和（やまと）の國（くに）のある山寺（やまでら）の賓頭廬樣（びんづるさま）の前（まへ）に置（お）いてある石（いし）の鉢（はち）の眞黑（ま…

楠公（なんこう）忠（ちゆう）死（し）の湊（みなと）川（がは） 淸（きよ）くながれる神（かう）戶（べ）市（し）は 全國屈（ぜんこくくつ）指（し）の大（おほ）港（みなと） 發車（はつしや）の時（じ）間（かん）待（ま）つ隙（ひま）に めぐる附（ふ）近（きん）の名（な）所（どころ）は 生（いく）田（た）諏訪（すは）山（やま）布引（ぬのびき）の…

夷（ゐ）隅（すみ）の河（か）原束（はらつか）の間（ま）に 越（こ）して迎（むか）ふる長（ちやう）者町（じやまち） 大原驛（おほはらえき）よりその先方（さき）は まだ鐵道（てつだう）の便（べん）あらず、 西（にし）の雲（くも）間（ま）に聳（そび）ゆるは 房總（ばうそう）一の鹿（か）野山（のうざん） 九十九谷（たに）や十州（じつしう）を…

仲（ちゆう）哀帝（あいてい）の御（ご）廟所（べうしよ）は 官（くわん）幣大社（ぺいたいしや）の香（か）椎宮（しいぐう） 博（はか）多（た）灣線（わんせん）のりかえて ゆけば多多羅（たたら）の川尻（かはじり）に 望（のぞ）む名（な）島（じま）の波（なみ）間（ま）より 帆（ほ）柱（ばしら）石（いし）ぞ空（そら）に立（た）つ…

ま）づ汝（なんじ）に及（およ）ぶ所（ところ）の誘惑（ゆうわく）の為（ため）に自（みづ）から備（そない）をなして、真（しん）理（り）に躊躇（ちゅうちょ）するなかるべし。けだし人（ひと）が熱心（ねっしん）を以（もっ）て善（ぜん）なる生涯（しょうがい）を始（はじ）むるを見（み）るや…

咲（さ）き立（た）つ花（はな）の東（とう）京（きやう）市（し） 名（な）殘（ごり）のこしてゆく汽（き）車（しや）の 左（ひだり）の森（もり）は濱（はま）離（り）宮（きゆう） 右（みぎ）なる塔（たふ）は愛（あた）宕（ご）山（やま） 汐（しほ）干（ひ）､沙魚（はぜ）つり春秋（はるあき）に 慰（なぐさ）み多（おほ）き品川（しながは）の…

まこと）の人（ひと）は悦（よろこ）はぬもの、よしや深山（みやま）がくれでも天眞（てんしん）の花（はな）の色（いろ）は都人（みやこびと）を床（ゆか）しがらする道理（だうり）なれば、此（この）うへは優美（ゆうび）の性（せい）をや…

和田（わだ）山（やま）あとに養󠄁父󠄁（やぶ）・八（や）鹿（をか） 江（え）原（ばら）・豐岡（とよをか）すぎ行（ゆ）きぬ はや城󠄀崎（きのさき）の溫泉（をんせん）に しばしの程（ほど）をやすらひて いざ見（み）に行（ゆ）かん玄（げん）武（ぶ）洞（どう） 列（つら）なる石（いし）の六方柱󠄁（ろくぱうちゆう）…

與瀨（よせ）上（うへ）野（の）原鳥澤（はらとりさは）や 谷（たに）間（ま）に架（か）けしは猿橋（さるはし）か 甲斐（かい）絹（き）の産（さん）地（ち）で知（し）られたる 郡内（ぐんない）地（ち）方（ほう）は此（この）あたり 山（やま）の中（なか）なる大月（おほつき）に…

一（ひと）つとなり、鬪（たゝかひ）の備（そな）へをなせる群衆（ぐんしゆう）の勢威（いきほひ）の上（うへ）に落（お）ちかゝりて彼等（かれら）を悉（こと〴〵）く燒（や）き盡（つく）せり。これがためにその大（おほい）なる群衆（ぐんじゆう）滅（ほろ）びて灰（はい）と煙（けむり）の臭（にほひ）との外（ほか）…

人間（にんげん）には自由（じゆう）があるが、悪（わる）い事（こと）をしても宜（よ）いとの自由（じゆう）ではない、自（みづか）ら選（えら）んで善（よ）い事（こと）をする為（ため）の自由（じゆう）である。自由（じゆう）に託（かこつ）けて悪（わる）い事（こと）をするのは、「自由濫用（じゆうらんよう）」と云（い）って、自由（じゆう…