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鉄道唱歌/地理教育 富山新潟間鉄道唱歌

提供:Wikisource


  1. 北陸線ほくろくせんだいくわいやままちにぎはひは、 まちかずさへ百〇二、 人口じんこうまん五千と
  2. ない名所󠄁數めいしよかぞふれば、 くわうげんみやうこく大法だいはふ於保多おほたやしろ日枝ひえ神社じんじや富士ふじ公󠄁園こうゑん招魂社せうこんしや
  3. 西にしながるゝ神通󠄁じんつうの、 はしは一百五十けんかい建󠄁てる兵營へいえいは、 これぞ六十九聯隊󠄁れんたい
  4. きた北代梅林きたしろばいりんや、 みなみふく桃園もゝぞのを、 さぐりてかずくれへの、 そゞろあるきの面白おもしろや。
  5. あまそゝり立山たてやまに、 續󠄁つゞ乘鞍のりくられんさんみぎ望󠄆のぞみてこゝよく、 ひがし進󠄁すゝしやまど
  6. はるか能登のと半󠄁島はんとうを、 なみへだてゝほの〲と、 砂原遠󠄁すなはらとほつかすみ、 つらなるまつはぎうら
  7. 文󠄁ぶんむかし義經よしつねが、 よろひけし老松おひまつも、 近󠄁ちかきあたりのいはえき過󠄁ぎて水橋みづはしなめりかは
  8. 此所󠄁こゝだかほたる烏賊󠄁いかいくまん電燈でんとうを、 ともすがごとさうくわんを、 はるゆふべにてやん。
  9. そこよりしやのりかへて、 まひ大岩おほいは動尊󠄁どうそん巨巖きよがんに一丈󠄁ぢやうしやくの、 像󠄃ざうぎやうのみあと
  10. あしついでまうづるは、 往󠄁昔立山龍󠄂神そのかみたてやまりうじんの、 一建󠄁てし堂塔だうたふと、 つたふる眼目さくくわ立川りうせん
  11. 以前󠄁來もとき道󠄁みち立歸たちかへり、 早月はやつき過󠄁ぎてひだりには、 うみにつらなるゐさりと、 たひにそのいりうみ
  12. むかし上杉謙󠄁信うへすぎけんしんが、 よろひそでかた敷󠄁きて、 まくら近󠄁ちかきかりがねを、 うたみにしうをじやう
  13. しば前󠄁まへ兩雄れういうが、 天神山てんじんやまあらそひし、 いくさのあとをとむらひて、 ふるむかしをしのびつゝ、
  14. 浦島うらしまらう遊󠄁あそびしと、 ほんたる龍󠄂宮りうぐうを、 みづ空󠄁そらなる海原うなばらに、 ゑが朧󠄆おぼろしんろう
  15. ながめもあかぬそのうちに、 片貝かたかひ布施ふせ川早がわはやえて、 佐野さのつねさくらの、 さといまみついち
  16. 本柿ぼんがき德法とくはふくろかゝ愛本あいもとの、 はし釣鐘つりがね黑薙くろなぎの、溫泉にも遊󠄁あそびてたのしまむ。
  17. 謙󠄁信けんしんうゑ巨松おほまつや、 そのたかいくだい入善にふぜんじやう義仲よしなかの、 かためししろつたふなる。
  18. 土地とちうしろとまりえきがわいで入浴ゆあみして、 八幡宮まんぐう殘石ごりいし芭蕉ばせをいしぶみたづねつゝ。
  19. ゑちゆる境󠄂さかいがは西行法さいげふはふいほのあと、 せをはぎひとは、 市振驛いちぶりえきのほとりとか。
  20. うたある山姥やまうばの、 みにしほらあげやまみぎ右上みあげて親不おやしらいくじん絕壁ぜっぺきに、
  21. くだくるなみうかゞひて、 からくもかくるゝ岩窟いはむろの、 次󠄁つぎより次󠄁つぎはしく、 けんいまはいとやすし。
  22. 北條朝󠄁時ほうでうともとき宮崎みやざきを、 ちてみやこのぼり、 ごしの時兼󠄁ときかねくわんぐんを、 こゝになやます勝󠄁かちいくさ
  23. あるひなが爲景ためかげが、 上杉勢うへすぎぜいうたれたる、 れき史󠄁むねにくり返󠄁かへし、 ゆめにこそ過󠄁すぐれ。
  24. 聖󠄁しやう德太とくたい北遊󠄁ほくいうに、 いはにしるせる水莖みづぐきの、 あとにちなめるうたはま今驛いまえき親不おやしら
  25. 又󠄁またしら駒返󠄁こまがへり、 どう瀧󠄆たきおちみづ秀吉ひでよし景勝󠄁かげかつくわいけん勝󠄁山かつやまみぎあをえき
  26. まど迫󠄁せまれる黑姬くろひめの、 やまふもと福來ふくくち奴奈ぬな川妃󠄂かはひめ神駐󠄁かんづまり、 おはせしうばふところや。
  27. 姬川ひめかわ過󠄁ぎていとがわみなみけば松本まつもと途󠄁中みち平󠄁岩温泉ひらいわおんせんに、 れん華登げとざん案內あんないを、
  28. やとひてよぢぜつちやうは、 海拔かいばつ九千というしやくてんふち花󠄁畑はなばたに、 高山かうざんしよく物採󠄁取ぶつさいしゆせん。
  29. たり蒲原がまはら梶山かぢやまと、 温泉おんせんかずいとおほき、 縣道󠄁みちもどりていとがわ淸崎きよさきじやうの一のみや
  30. さくらなか稚兒ちごまひ花󠄁はなかんむり花󠄁はなそで神輿こし祭禮さいれいに、 四月十日のにぎやかさ。
  31. うわさきつゝ過󠄁ぎてく、 みぎにはやまながめよく、 ひだりうみのはてえず、 やがて駐󠄁とゞまかぢ敷󠄁しき
  32. 藤󠄁ふぢつき不見みずや、 八十八ヶにつくわうゑち富士ふじばれたる、 燒山行やけやまゆきもこゝよりぞ。
  33. 早川渡はやかはわた浦本うらもとの、 すなど船󠄂ふねいく百と、 かぞへながらに能生のふがはを、 けばたゞちに曙󠄁あけぼのや、
  34. きりにうづまくかねこゑ白山神社はくさんじんじや國寶こくほうの、 くわん音󠄁のん像ざうをおがみつゝ、 辨天巖べんてんいはながめみむ、
  35. どまりわん築󠄁港󠄁ちくかうは、 末賴すゑたのしきうみさちよや水產學校すゐさんがくこう遠󠄁洋漁業ゑんやうぎよげふ雄々をゝしさを。
  36. 松󠄁まつ藤󠄁崎どうざきを、 あと筒石つゞいし立驛だちえき野神社のォじんじやいわだう、 めぐるみさきとりくび
  37. 海水浴かいすゐよくによしとふ、 なみしづかなる長濱ながはまの、 なぎさあしあらひつゝ、 ゆけむしの「ふたつくり」。
  38. 郷󠄁がうわんつどる、 ぎよしゆうしら帆󠄁かぞへつゝ、 やが五智ごちもり、 こゝにだか國分こくぶん
  39. 聖󠄁しやう帝󠄁みかど勅願ちよくぐわんを、 けてげふ建󠄁立こんりうし、 しゆん海僧かいそう再興さいこうの、 こくちんだいらん
  40. ごりをとゞむる王門わうもん、 三重寶塔ぢうはうたふ經藏けふざうに、 窻國そうこく尊󠄁像󠄃そんざうは、 くにたからとあがめらる。
  41. 右手めてそびゆるかすやま、 これぞしやう軍義家ぐんよしいへが、 奧州征伐おうしうせいばつそのみぎり、 とりでのあとのはちみね
  42. くだりてげん天正てんせうに、 めいかい壓倒あつとうし、 北方ほくぱう覇󠄁となへたる、 人上杉謙󠄁信じんうへすぎけんしんが、
  43. 此城こゝ根據こんきよ能越のうえちや、 くわん東信とうしないうせる、 さうげる景勝󠄁かげかつに、 かはりてれる秀治ひではるの、
  44. ながれき卷物まきものむかしいまにくりかへし、 しのぶたもとにさくら松󠄁まつとせひゞきあり。
  45. ふもとのこ識󠄂菴しきあんなが尾譜󠄁をふだい提所󠄁だいしよや、 りん輝虎れるとらしゅつらんの、 あとにつたふる林泉りんせん
  46. ちうまん諏訪すはみや其處そこかしゆびさして、 くはなほ江津えづステーション、 港󠄁みなとにつどふもゝ船󠄂ぶね
  47. なが方面はうめんへと、 えきこゑきゝてに、 くろ犀潟さいかた潟町かたまちや、 柿崎かきざき近󠄁ちかじやうふく
  48. もゝさかりはしやうめん旗持山はたもちやま米山よねやまの、 やく福浦ふくうらけいに、 近󠄁ちか鉢崎はつさきあをかは
  49. なみおだやか水淸みづきよき、 うみながめはくじらなみいでてはくゞるトン子ルの、 まどにも通󠄁かよ船󠄂ふねうた
  50. 番神鼻󠄁ばんじんはなえん魔󠄁だう日本につぽん寶田ほうでんくわいしやの、 石油せきいうげうかしはざきえち鐵道󠄁分󠄁てつだうぶんてん
  51. 豆燒まめやき西谷にしだにくわうせんや、 どうたき黑姬くろひめの、 やす北條ほうでふ塚山つかやまを、 あとほどなく來迎󠄁らいかう
  52. そこよりみなみ片貝かたかいを、 過󠄁ぎて船󠄂岡公󠄁園ふなおかこうえんや、 えちちゞ小千谷をぢやへは、 輕便󠄁鐵道󠄁通󠄁けいべんてつだうつうじたり。
  53. 香魚あゆだか布引ぬのびきや、 あるひまつなゝ釜󠄃がま瀑布たきのほとりに杖󠄁つゑきて、 なつあつさを忘󠄁わすれんか。
  54. 二百けんてつきやうを、 わたりて望󠄆のぞ兩岸れうがんの、 ゑがけるごと絕景ぜつけいに、 旅󠄁たびつかれを忘󠄁わすれつゝ。
  55. 宮內みやうち過󠄁ぎて長岡ながをか天主󠄁てんしゆのこ主󠄁ぬしは、 しん史󠄁じやうこうある、 あひ山本やまもと兩將りやうしやうぞ。
  56. せいやぐらならび、 かぞつくせぬひがしやましな濃河のか畔󠄁はんせい所󠄁しよを、 せきほん一。
  57. かはよん百八十けんかゝれるさへちやう生橋せいばしなつ煙󠄁はなひらめきて、 そでかぜすゞしさよ。
  58. つむぎさんとちまち分󠄁水工ぶんすゐこう大河おほかう佐渡さど近󠄁ぢかてらどまりみなこゝよりぞわかく。
  59. 勤王きんわうばくともがらが、 しのぎ削󠄁けづりし大黑おほくろの、 押切驛おしきりえき附町つけまちたこ今町いままちや。
  60. 帶織󠄂おびおり過󠄁ぎて三でうの、 ばうたい本成ほんせいふる帝󠄁みかど御歌おんうたに、 りんはいし一の木戶きど
  61. 羽二はぶたへ織󠄂加茂かもまち靑海あをみ神社じんじやぬかづきて、 うぐひすりの廻󠄃くわいらうを、 廻󠄃まはれば四季いつ春心はるごゝ
  62. はに生田越ふだこえてしろに、 近󠄁ちか小須戶こすどしろまち、 こゝのたんたこいくさ旅󠄁たびみやよりん。
  63. がら目木油めきゆでんやまの、 さくらあるにひまちへい三十聯隊󠄁れんたいの、 村松󠄁むらまつきは五泉驛せんえき
  64. あきぐれ山紅やまもみでつゝはし岩越線がんえちせんあるひだい十五旅󠄁團りよだんに、 へい十六聯隊󠄁れんたいの、
  65. 新發田しばたまち菅谷すかだにの、 どうきのと大日堂だいにちだう村上むらかみきのわかみちかいうら遠󠄁とほからず。
  66. くもさくらかめえき窓󠄁まどより遠󠄁とほ續󠄁つゞく、 梨子なしはやしながめつゝ、 沼垂ぬつたり過󠄁ぐれば新潟驛にひがたえき
  67. 八千八かは交󠄁まぢり、 うみへと注󠄁そゝしながはつばめ長岡ながをか葛塚くづづかと、 通󠄁かよ船󠄂せんたえなき。
  68. そこにわたせる萬代ばんだいの、 はしは四百と三十けん每歲いつもにぎは七夕たなばたの、 花󠄁はなほし影競かげきそふ。
  69. 七十四きやうみづ郷󠄁さと人口凡じんこうおよそ七萬よや港󠄁みなとつどる、 外國とつくに商󠄁しやう船󠄂せんを。
  70. 船󠄂ふなやしろたゝへたる、 白山神社はくさんじんじや公󠄁園こうゑんや、 よりやまゆふがすみ、 よべこたへん佐渡さどしま
  71. きやうつきねどいざさらば、 ひさしつ土產いへづとに、 えち鐵道󠄁てつだう便󠄁べんかりて、 ひこみやまうでんか。
  72. 三千年來ねんらいかしこくも、 千木ちぎ彌高いやたかみやばしらふと敷󠄁てるかんやしろえちくにの一のみや
  73. あふげばたか大峰おほみねの、 むらすぎのいとふるく、 水洗川みたらしがはせいりゆうは、 しん長久とはさゝけり。
  74. 四方よもあまね神德しんとくの、 階下みまへして大君おほぎみの、 御威みゐづくにさかえまで、 ごゝろこめていのらばや。

JIS X 0208版

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  • 表記は歴史的仮名遣とし、漢字制限はJIS X 0208に文字が収録されていれば元の漢字をそのまま使った。
  • くの字点は/\を代用した。
  1. 北陸線ほくろくせんだいくわいやままちにぎはひは、 まちかずさへ百〇二、 人口じんこうまん五千と
  2. ない名所數めいしよかぞふれば、 くわうげんみやうこく大法だいはふ於保多おほたやしろ日枝ひえ神社じんじや富士ふじ公園こうゑん招魂社せうこんしや
  3. 西にしながるゝ神通じんつうの、 はしは一百五十けんかいてる兵營へいえいは、 これぞ六十九聨隊れんたい
  4. きた北代梅林きたしろばいりんや、 みなみふく桃園もゝぞのを、 さぐりてかずくれへの、 そゞろあるきの面白おもしろや。
  5. あまそゝり立山たてやまに、 つゞ乘鞍のりくられんさんみぎのぞみてこゝよく、 ひがしすゝしやまど
  6. はるか能登のと半島はんとうを、 なみへだてゝほの/″\と、 砂原遠すなはらとほつかすみ、 つらなるまつはぎうら
  7. ぶんむかし義經よしつねが、 よろひけし老松おひまつも、 ちかきあたりのいはえきぎて水橋みづはしなめりかは
  8. 此所こゝだかほたる烏賊いかいくまん電燈でんとうを、 ともすがごとさうくわんを、 はるゆふべにてやん。
  9. そこよりしやのりかへて、 まひ大岩おほいは動尊󠄁どうそん巨巖きよがんに一ぢやうしやくの、 ざうぎやうのみあと
  10. あしついでまうづるは、 往昔立山龍神そのかみたてやまりうじんの、 一てし堂塔だうたふと、 つたふる眼目さくくわ立川りうせん
  11. 以前󠄁來もときみち立歸たちかへり、 早月はやつきぎてひだりには、 うみにつらなるゐさりと、 たひにそのいりうみ
  12. むかし上杉謙信うへすぎけんしんが、 よろひそでかたきて、 まくらちかきかりがねを、 うたみにしうをじやう
  13. しば前󠄁まへ兩雄れういうが、 天神山てんじんやまあらそひし、 いくさのあとをとむらひて、 ふるむかしをしのびつゝ、
  14. 浦島うらしまらうあそびしと、 ほんたる龍宮りうぐうを、 みづそらなる海原うなばらに、 ゑがおぼろしんろう
  15. ながめもあかぬそのうちに、 片貝かたかひ布施ふせ川早がわはやえて、 佐野さのつねさくらの、 さといまみついち
  16. 本柿ぼんがき徳法とくはふくろかゝ愛本あいもとの、 はし釣鐘つりがね黒薙くろなぎの、温泉にもあそびてたのしまむ。
  17. 謙信けんしんうゑ巨松おほまつや、 そのたかいくだい入善にふぜんじやう義仲よしなかの、 かためししろつたふなる。
  18. 土地とちうしろとまりえきがわいで入浴ゆあみして、 八幡宮まんぐう殘石ごりいし芭蕉ばせをいしぶみたづねつゝ。
  19. ゑちゆるさかいがは西行法さいげふはふいほのあと、 せをはぎひとは、 市振驛いちぶりえきのほとりとか。
  20. うたある山姥やまうばの、 みにしほらあげやまみぎ右上みあげて親不おやしらいくじん絶壁ぜっぺきに、
  21. くだくるなみうかゞひて、 からくもかくるゝ岩窟いはむろの、 つぎよりつぎはしく、 けんいまはいとやすし。
  22. 北條朝時ほうでうともとき宮崎みやざきを、 ちてみやこのぼり、 ごしの時兼ときかねくわんぐんを、 こゝになやますかちいくさ
  23. あるひなが爲景ためかげが、 上杉勢うへすぎぜいうたれたる、 れきむねにくりかへし、 ゆめにこそすぐれ。
  24. しやう徳太とくたい北遊ほくいうに、 いはにしるせる水莖みづぐきの、 あとにちなめるうたはま今驛いまえき親不おやしら
  25. またしら駒返こまがへり、 どうたきおちみづ秀吉ひでよし景勝かげかつくわいけん勝山かつやまみぎあをえき
  26. まどせまれる黒姫くろひめの、 やまふもと福來ふくくち奴奈ぬな川妃かはひめ神駐かんづまり、 おはせしうばふところや。
  27. 姫川ひめかわぎていとがわみなみけば松本まつもと途中みち平岩温泉ひらいわおんせんに、 れん華登げとざん案内あんないを、
  28. やとひてよぢぜつちやうは、 海拔かいばつ九千というしやくてんふち花畑はなばたに、 高山かうざんしよく物採取ぶつさいしゆせん。
  29. たり蒲原がまはら梶山かぢやまと、 温泉おんせんかずいとおほき、 縣道みちもどりていとがわ清崎きよさきじやうの一のみや
  30. さくらなか稚兒ちごまひはなかんむりはなそで神輿こし祭禮さいれいに、 四月十日のにぎやかさ。
  31. うわさきつゝぎてゆく、 みぎにはやまながめよく、 ひだりうみのはてえず、 やがてとゞまかぢ敷󠄁しき
  32. ふぢつき不見みずや、 八十八ヶにつくわうゑち富士ふじばれたる、 燒山行やけやまゆきもこゝよりぞ。
  33. 早川渡はやかはわた浦本うらもとの、 すなどふねいく百と、 かぞへながらに能生のふがはを、 けばたゞちにあけぼのや、
  34. きりにうづまくかねこゑ白山神社はくさんじんじや國寶こくほうの、 くわんのんざうをおがみつゝ、 辨天巖べんてんいはながめみむ、
  35. どまりわん築港ちくかうは、 末頼すゑたのしきうみさちよや水産學校すゐさんがくこうの、 遠洋漁業ゑんやうぎよげふ雄々をゝしさを。
  36. まつ藤崎どうざきを、 あと筒石つゞいし立驛だちえき野神社のォじんじやいわだう、 めぐるみさきとりくび
  37. 海水浴かいすゐよくによしとふ、 なみしづかなる長濱ながはまの、 なぎさあしあらひつゝ、 ゆけむしの「ふたつくり」。
  38. がうわんつどる、 ぎよしゆうしらかぞへつゝ、 やが五智ごちもり、 こゝにだか國分こくぶん
  39. しやうみかど勅願ちよくぐわんを、 けてげふ建立こんりうし、 しゆん海僧かいそう再興さいこうの、 こくちんだいらん
  40. ごりをとゞむる王門わうもん、 三重寶塔ぢうはうたふ經藏けふざうに、 窗國そうこく尊像そんざうは、 くにたからとあがめらる。
  41. 右手めてそびゆるかすやま、 これぞしやう軍義家ぐんよしいへが、 奧州征伐おうしうせいばつそのみぎり、 とりでのあとのはちみね
  42. くだりてげん天正てんせうに、 めいかい壓倒あつとうし、 北方ほくぱうとなへたる、 人上杉謙信じんうへすぎけんしんが、
  43. 此城こゝ根據こんきよ能越のうえちや、 くわん東信とうしないうせる、 さうげる景勝かげかつに、 かはりてれる秀治ひではるの、
  44. ながれき卷物まきものむかしいまにくりかへし、 しのぶたもとにさくらまつとせひゞきあり。
  45. ふもとのこ識菴しきあんなが尾譜をふだい提所だいしよや、 りん輝虎れるとらしゅつらんの、 あとにつたふる林泉りんせん
  46. ちうまん諏訪すはみや其處そこかしゆびさして、 くはなほ江津えづステーション、 みなとにつどふもゝぶね
  47. なが方面はうめんへと、 えきこゑきゝてに、 くろ犀潟さいかた潟町かたまちや、 柿崎かきざきちかじやうふく
  48. もゝさかりはしやうめん旗持山はたもちやま米山よねやまの、 やく福浦ふくうらけいに、 ちか鉢崎はつさきあをかは
  49. なみおだやか水清みづきよき、 うみながめはくじらなみいでてはくゞるトン子ルの、 まどにもかよふねうた
  50. 番神鼻ばんじんはなえんだう日本につぽん寶田ほうでんくわいしやの、 石油せきいうげうかしはざきえち鐵道分てつだうぶんてん
  51. 豆燒まめやき西谷にしだにくわうせんや、 どうたき黒姫くろひめの、 やす北條ほうでふ塚山つかやまを、 あとほどなく來迎らいかう
  52. そこよりみなみ片貝かたかいを、 ぎて船岡公園ふなおかこうえんや、 えちちゞ小千谷をぢやへは、 輕便鐵道通けいべんてつだうつうじたり。
  53. 香魚あゆだか布引ぬのびきや、 あるひまつなゝがま瀑布たきのほとりにつゑきて、 なつあつさをわすれんか。
  54. 二百けんてつきやうを、 わたりてのぞ兩岸れうがんの、 ゑがけるごと絶景ぜつけいに、 たびつかれをわすれつゝ。
  55. 宮内みやうちぎて長岡ながをか天主てんしゆのこぬしは、 しんじやうこうある、 あひ山本やまもと兩將りやうしやうぞ。
  56. せいやぐらならび、 かぞつくせぬひがしやましな濃河のかはんせいしよを、 せきほん一。
  57. かはよん百八十けんかゝれるさへちやう生橋せいばしなつはなひらめきて、 そでかぜすゞしさよ。
  58. つむぎさんとちまち分水工ぶんすゐこう大河おほかう佐渡さどぢかてらどまりみなこゝよりぞわかく。
  59. 勤王きんわうばくともがらが、 しのぎけづりし大黒おほくろの、 押切驛おしきりえき附町つけまちたこ今町いままちや。
  60. 帶織おびおりぎて三でうの、 ばうたい本成ほんせいふるみかど御歌おんうたに、 りんはいし一の木戸きど
  61. 羽二はぶたへ加茂かもまち青海あをみ神社じんじやぬかづきて、 うぐひすりのくわいらうを、 まはれば四季いつ春心はるごゝ
  62. はに生田越ふだこえてしろに、 ちか小須こすどしろまち、 こゝのたんたこいくさたびみやよりん。
  63. がら目木油めきゆでんやまの、 さくらあるにひまちへい三十聯隊れんたいの、 村松むらまつきは五泉驛せんえき
  64. あきぐれ山紅やまもみでつゝはし岩越線がんえちせんあるひだい十五旅團りよだんに、 へい十六聯隊れんたいの、
  65. 新發田しばたまち菅谷すかだにの、 どうきのと大日堂だいにちだう村上むらかみきのわかみちかいうらとほからず。
  66. くもさくらかめえきまどよりとほつゞく、 梨子なしはやしながめつゝ、 沼垂ぬつたりぐれば新潟驛にひがたえき
  67. 八千八かはまぢり、 うみへとそゝしながはつばめ長岡ながをか葛塚くづづかと、 かよせんたえなき。
  68. そこにわたせる萬代ばんだいの、 はしは四百と三十けん毎歳いつもにぎは七夕たなばたの、 はなほし影競かげきそふ。
  69. 七十四きやうみづさと人口凡じんこうおよそ七萬よやみなとつどる、 外國とつくに/″\しやうせんを。
  70. ふなやしろたゝへたる、 白山神社はくさんじんじや公園こうゑんや、 よりやまゆふがすみ、 よべこたへん佐渡さどしま
  71. きやうつきねどいざさらば、 ひさしつ土産いへづとに、 えち鐵道てつだう便べんかりて、 ひこみやまうでんか。
  72. 三千年來ねんらいかしこくも、 千木ちぎ彌高いやたかみやばしらふとてるかんやしろえちくにの一のみや
  73. あふげばたか大峰おほみねの、 むらすぎのいとふるく、 水洗川みたらしがはせいりゆうは、 しん長久とはさゝけり。
  74. 四方よもあまね神徳しんとくの、 階下みまへして大君おほぎみの、 御威みゐづくにさかえまで、 ごゝろこめていのらばや。

この著作物は、1934年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。