鉄道唱歌/地理教育 北海道鉄道唱歌

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北海道

  1. 笛一聲札幌てきいつせいさつぽろしやはなれたり 棚引煙たなびくけむりをあとにして のごとはしいさましさ
  2. おもへば昔時むかし蝦夷えぞきたはてなるくわう いまひらけてくにげんつにかぞへらる
  3. てきするやまおろしママ さそはれきたことゑき ひらつゞ家々いへ/\太平歌たいへいうとこゑすめり
  4. ひとつばさしやたび いねやまよこかたらふひまに輕川かるがはを すぐればはや錢函ぜにはこ
  5. 石狩茨いしかりばらほどちかし いそげばじん便びんもあり ぐればいつしかやみとなる カモイコタンの隧道とんねる
  6. 其のそのママトン子ルをうちぎて あけのこゝすが/\と いまわすれぬ鐵道てつどうみちゆくひとのきけんさよ
  7. こゝはにしんぎようなるぞ 晝頃ひるころつきしもあさゑき またゝくひまにいまはゆく ゆけばたるのステーシヨン
  8. みなとれば百船もゝふねけむりそらをこがすまで うみのあなたにうすがすむ やましほ石狩いしかり
  9. 北海ほつかい一のをほみなと あつまるせんのかず/\は 鹽北しほきたはてまでも 函館横濱行はこだてよこはまゆきもあり
  10. またのぼりの汽ママ札幌さつぽろさしてかへりしが むかしはくまをほかみの すまひしはなしゆめのあと
  11. 北海ほつかい一のだいくわい どうちやう所在しよざいなりとぞ 西にしにはたか巖嶽いわだけ ひがしながるゝ豐平とよひらママ
  12. きみめぐみ厚別あつべつすぐればほどなく幌驛ぽろえき べつかは鐵橋てつけうを とどろにわたるも亦嬉またうれ
  13. まどよりちかわたせば 石狩川いしかりがはゆるなり これ全國第ぜんこくだい一の たいほどられたり
  14. 地圖ちづひらきてやまかはさしつゝかたるうち いつか幌向打ほろむいうちぎて いはざはにぞきにける
  15. 此所こゝ東西南北とうざいなんぼくせんわかれしステーシヨン るもらぬも落合おちあいけんにぎはさかんなり
  16. われこれよりみやこ室蘭むろらんさしてゆきなまし げにもたのしきしやたび ながめもこゝろ清眞きよまつ
  17. ひだりとほそびゆるは これ夕張山ゆうばりざん 栗山くりやま由仁ゆにえて 川通かはとほれば追分おひわけ
  18. みやこ土宜つと夕張ゆふばり炭山たんざんげふてゆかん 追分驛おひわけえきよりのりへて るれば川端瀧かはばたたきうへ
  19. あきいろます紅葉もみぢやま なつすゞしきしみざは つまこゑ鹿しかたに はや夕張ゆふばりいたりけり
  20. そも夕張ゆふばりせまけれど れうはやしくわんりんたか炭山たんざん郵便いうびんきよくそなはれり
  21. われを一けん追分おひわけさして立戻たちもど待間つまほどなくはつすれば いつかはやにはやたり
  22. 此處こゝあつとシアピラと ふたつのかはあひだにて 土地とち第にたいママたいらかに やまやうやとほざかる
  23. そのとほざかる川山かはやまはなれてればなつかしと かたらふひまきたりしは ぬまえききこえたり
  24. 今渡いまわたりしは何川なにかはか あれぞ勇拂川いうぶつがはになん いよ/\やまわかれつゝ きたりしところとままい
  25. きしうつなみ音高をとたかあさひみづ錦多きんたつ 漁業ぎよげふ盛りの海岸かいがんいそかをりもするぞかし
  26. かしこはいづく白老しらおいしきえてのぼりべつ はゝころも幌別ほろべつ幌別岳ほろべつだけふもとなり
  27. 西にしぐればひいでたる もなつかしき室蘭むろらんよ こゝは海軍々港かいぐんぐんかうの その一とこそきこへけれ
  28. 西にしみなみには鞆 崎もとママさき きたには西にしやまあれば 四時いつも濤風なみかぜおだやかに あれたるためしなしと
  29. みなとくちにあるしま大黒嶋だいこくじまといふしま該嶋こゝたてたる燈臺とうだいふねいりたすけなり
  30. はるかあなうすがすむ やまじまかやかや 室蘭むろらん函館はこだて青森港あをもりかうとのかいなり
  31. かくてもと鐵道てつだういはざわへとひきへし いくしゆんべつへといざかん さて面白おもしろたびなれや
  32. まづきたるは幌内太ほろないふと 此所こゝいうわかみち ひたりへゆけばいくしゆんべつ みぎすゝめば幌内ほろない
  33. いくしゆんべつ幌内ほろないともだかたんくわうざん 採堀さいくつママだかとし/″\に いやます/\にふゆるとぞ
  34. 是れこれママよりふたゝ引返ひきかへいはさわより又更またさらうたないへとたちえん これも社線しやせんうちたび
  35. けむりあとみづママばひかは彼方かなた  きしらすくるま音高をとたか峰延驛みねのぶえきはこゝぞとよ
  36. ひだりへいみぎやま 石狩國いしかりこくのたゞなかを 一ちよくせんすゝみゆく しきなり唄驛ばひえき
  37. ゆるがぬ御代みよしるしとて 奈井江なゐえふるはぬ砂川すながははま眞砂まさごかずつきぬ よはいいのむゐ
  38. きみは千代ませ千代ませと ことほきいはうたない 此所こゝにもきこえし炭山たんざん郵便電信いうびんでんしんきよくとあり
  39. また砂川すながわ立返たちかへそらぶとまですゝき こゝにてさらくわんせんうつればはや瀧川たきかわ
  40. たきながれは白玉しらたまつゆこたへんよしもなく 江部ゑべ乙高おとたかいもうし 草刈童くさかりわらひきてゆく
  41. まなびのこゝろ深川ふかかはゆればはや納内なふないえきいたるも程近ほどちか納近文なふちかふみぐのみち
  42. かすみたなあさひがは 此所こゝせん三叉みつまたわかるゝ繁華はんくわのステーシヨン つきともさかえゆく
  43. ひだり鹽右しほみぎかち いづれもながせんなり されどもいまこうちう 全通迄ぜんつうまで程遠ほどとほ
  44. いでまづきうてい上川かみがはごほりてゆかん そも上川かみがは本道ほんだう中心ちうしんとしもひつべし
  45. 水清みづきよらかに地味肥ちみこえて 風景ふうけいぜつしかはやみやたてまつり みゆこゝをがみてん
  46. その上川かみがはみちあさひがはよりみぎべつりてすゝむあり さん色心しきこゝよし
  47. べつつぎゑいママえき かみ富良野ふらのよりなか富良野ふらの しとママ富良野ふらのまでつうじたり 勝線かちせんせん
  48. 鹽線しほせんづるには あさひがはへと引返ひきかへきたはつするしや永山ながやますゝむなり
  49. 比布ひふらんすぎけば 和寒風わつさむかぜにはむ さはさりながらおそるべき みづきくさむすかばね
  50. のどかになんきみのため こし劍淵けんぶちたてならず いう徹奉公てつほうこうこゝろかた別驛ベツえき

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