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鉄道唱歌/中央線鉄道唱歌 (春江堂)

提供:Wikisource

中央線鉄道唱歌

  1. 笛一聲てきいつせいわがしやは はやはなれたりいひまち 牛込市うしごめいちほりはた 四ツ谷出よつやいづればしなまち
  2. せん谷代々木やよゝぎしん宿じゆく 中仙道なかせんだうまへみなみ品川東海道しながはとうかいだう きた赤羽奧あかばねおうせん
  3. おほ久保くぼ躑躅つゝじ花盛はなざかかしわなか兵營へいえいるや荻窪吉おぎくぼきちじよう さかいぐれば國分こくぶん
  4. 立川たちかわえて多摩たまがは日野ひのとよ八王はちわう 織物おりものげふたかちゅう央線あうせんてんなり
  5. 淺川あさかはけばぼとけさはさはをば早渡はやわた與瀨よせうへ原鳥澤はらとりさはたにけしは猿橋さるはし
  6. 甲斐かいさんられたる 郡内ぐんないほうこのあたり やまなかなる大月おほつきすいりよくでんげふあり
  7. こゝはさゝみね 「トンネル」一万五千じやく 徒步かちにてこえしは年前とせまへ ながらとおらくさよ
  8. 鹿じか鹽山向嶽えんざんこうがく 溫泉おんせん効驗ききめいとおほさしいそ日下くさかほたるだかいさまち
  9. つぎかふしろあと 山岳さんがくめん重疊ちようじよう甲州かふしういちだいくわい 山梨縣やまなしけんちやう此處こゝ
  10. りゆう王韮崎わうにらさき日野ひのはるやつたけをばみぎ淵澤ぶちざはより富士見ふじみだい 海拔かいばつ三千百しやく
  11. 靑柳あをやぎ茅野ちのかみ諏訪すはひだり諏訪湖すはこふゆならば われも「スケート」こゝろみん みぎには溫泉おんせん諏訪すわ神社じんじや
  12. しも諏訪すはをかせいげふ 煙筒繋えんとうしげきはくにとみ てんりゆうがわ此處こゝえんしゆうなだそゝ
  13. たつ野小野のをのとお伊那いな谷涉だにわたりて鹽尻しほじりぼうたるへいに「ステーション」 しのせんぶんてん
  14. 桔梗ききようはらせんじやう 滿目荒まんもくこうりよう風寒かぜさむ北信萬峰ほくしんばんぽう巍々ぎゝとして ふかしろちか
  15. みちふたゝ中仙道なかせんだう とほつらなこしみち これより西にし木曾路きそぢにて 洗馬せば贄川にえかは奈良井ならい宿じゆく
  16. 本州ほんしうちう分水嶺ぶんすゐれい とりたうげの「トンネル」は めんたか本一ほんいち たうげゆれば木曾きそたに
  17. 眼界一轉がんかいいつてんうっそうと しげるはれうはやしなり 広袤こうぼう三十五万ちやう 木材もくざい盡藏じんぞう
  18. 藪原通やぶはらとおりてみやこし 旭將あさひしやう軍義仲ぐんよしなかはたげしは此邊このあたばんしようひゞ德音とくおん
  19. おりしもひだり畑中はたなかたかちたるねん ひがし西にしよりすゝみたる ちゆう央線あうせん接續點せつぞくてん
  20. 木曾きそみやこ福島ふくしま御嶽詣おんたけまうでののぼぐち 山腹高さんぷくたかかけはしぐればやがて上松あげまつ
  21. そらそびゆるこまたけ ざめとこ臨川りんせん 小野おのだきえて定勝じようしよう 色秀しきすぐれてなが
  22. はらじりよこ碧潭へきたんちゆうながしと にしきりなす紅葉こうよう木曾きそたびのうさはらし
  23. 三留野みどのでゝ木曾きそがわわたてつきよう五十けん しず風景釣越ふうけいつりこしむかしだうちゆうしのばるゝ
  24. 坂下さかしたよりは飛彈ひだ街道かいだう 木曾路きそぢあとなかえき ひだり恵那えな山右さんみぎおほ 電車でんしやれば岩村いわむらちよう
  25. かま瑞浪みずなみうちぎて 土岐津多治見ときつたじみ兩町ふたまちだか産物さんぶつとう器磁器きじき これぞほんしゆつひん
  26. かしゆるは溪山けいざん 土岐とき川淸がはきよ山高やまたかし 十四の「トンネル」たえなく 高藏かうざう勝川夢かちがわゆめうつゝ
  27. おゝ曾根千ぞねちくさはやぎて 鶴舞公園つるまいこうえんのあたり 身支みじたくとゝのほどもなく しや名古屋なごやきにけり
  28. ちにちたるちゆうあうてつもこゝに全通ぜんつう國運こくうんます/\りゆうせいさかゆる御代みよぞめでたけれ

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。