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声聞ゆるをり、かどにきかかりたる二人あり。 　先に立ちたるは、かち色の髪（かみ）のそそけたるを厭（いと）はず、幅広き襟飾（えりかざり）斜（ななめ）に結びたるさま、誰（た）が目にも、ところの美術諸生（しょせい）と見ゆるなるべし。立（た）ち住（どま）りて、後（あと）なる色黒き小男に向ひ、「ここなり」といひて、戸口をあけつ。…

我（われ）いふ『わが主（しゆ）よ、語（かた）り給（たま）へ。』彼（かれ）われにいふ『濶（ひろ）くかつ大（おほい）ならんがために廣（ひろ）き場所（ばしよ）に海（うみ）置（お）かれたり。 4 その海（うみ）の入口（いりくち）は、河（かは）の如（ごと）くならんがために狹（せま）き揚所（ばしよ）につくられたり。 5…

01245 [詞書]物へまかりけるみちに、はまつらにかひの侍りけるを見て 坂上郎女 わかせこをこふるもくるしいとまあらはひろひてゆかむ恋忘かひ わかせこを－こふるもくるし－いとまあらは－ひろひてゆかむ－こひわすれかひ 01246 [詞書]人のくにへまかりけるに、あまのしほたれ侍りけるを見て…

ひろ）討（うち）まけ。こと〳〵くはいぼくす。つき臥切（ふせきり）臥。追討（ついたう）する事。将棊（しやうぎ）だをしにことならず。敵方（てきがた）討死（うちゞに）の衆。正木弾正（まさきだんじやう）左衛門尉父子（ふし）。勝（かち…

エ」道美しく切株残れる麦畑の間をうねりて、をりをり水音の耳に入るは、木立（こだち）の彼方（あなた）を流るるムルデ河に近づきたるなるべし。大隊長は四十の上を三つ四つも踰（こ）えたらむとおもはるる人にて、髪はまだふかき褐（かち）いろを失はねど、その赤き面（おもて）を見れば、はや額（ぬか）の波いちじるし。…

の餘（よ）の六（むつ）の譬（たとへ）は分（わかち）て三（みつ）となすべし　第（だい）二（に）と第七（だいしち）とは善悪（ぜんあく）の分辨（わかち）を説（と）き其内（そのうち）一（ひとつ）は世（よ）に現在（げんざい）の間（うち）は善悪（ぜんあく）の分（わかち）難（がた）きことを明（あか）し　一（ひとつ…

よそにのみ見てやゝみなんかつらきやたかまの山のみねの白雲 よそにのみ－みてややみなむ－かつらきや－たかまのやまの－みねのしらくも 00991 をとにのみありときゝこしみよしのゝ瀧はけふこそ袖におちけれ おとにのみ－ありとききこし－みよしのの－たきはけふこそ－そてにおちけれ 00992 人麿…

くへきほと－ときすきぬれや－まちわひて－なくなるこゑの－ひとをとよむる 00424 [詞書]うつせみ 在原しけはる 浪のうつせみれはたまそみたれけるひろははそてにはかなからむや なみのうつ－せみれはたまそ－みたれける－ひろははそてに－はかなからむや 00425 [詞書]返し（うつせみ） 壬生忠岑 たもとよりはなれて玉をつつまめやこれなむそれとうつせ見むかし…

蓬莱（ほうらい） 嶋臺ハ蓬莱山をうつしけり　尉と姥との相惚そよき 花見車（はなみぐるま） 志賀寺の上人さへも其むかし　花見車の内に恋草　 拾餌（えひろい） 餌をひろふやうに　恋路の粟畠人がくるやら引枝の音する 稲妻（いなづま） いなづまや　きのふハひがしけふハ西　祇園朱雀の色にうかれて 妹背山（いもせやま）…

の分前（わけまへ）を納（をさ）めよ。即（すなは）ち初穗（はつほ）、愆祭（けんさい）、腿（もも）の供物（そなへもの）、潔（きよ）めの犠牲（いけにへ）、及（およ）び聖物（きよきもの）の初穗（はつほ）なり。 32 貧（まづ）しき者（もの）に手（て）を擴（ひろ）げよ、汝（なんぢ）の祝福（しゅくふく）全（まった）うせられんがためなり。…

にけれは、そのあくるあしたにさか木の枝にさしてさしおかせ侍りける あつたたの朝臣 伊勢の海のちひろのはまにひろふとも今は何てふかひかあるへき いせのうみの－ちひろのはまに－ひろふとも－いまはなにてふ－かひかあるへき 00928 [詞書]あさよりの朝臣、年ころせうそこかよはし侍りける女のもとより、よ…

）となしてその時（とき）意（こころ）に任せてこの宝（たから）を取（と）らば亦（また）この虞（きづかひ）なしとせり　○此（この）譬（たとへ）と上（かみ）の通條（すべて）の譬（たとへ）とは相連（あひつら）なりたりと雖（いへど）もまたすこしく分別（わかち）あり上（かみ）の通條（すべて）の譬（たとへ）は湖（…

たかひ）に備（そな）へたり。 51 然（しか）るに彼等（かれら）に向（むか）ひしものども、彼等（かれら）が生命（いのち）を賭（か）けて戰（たたか）はんとするを見（み）しかば、再（ふたた）び歸（かへ）り來（きた）れり。 52 かくて彼等（かれら）皆（みな）安全（あんぜん）にユダの地（ち…

うとましと思ふ葎はひろごりて植ゑてし草の根はたえにけり 竹 ますらをの心に似たりいさゝかもまがるふしなき窓のくれ竹 鷹 山深くこもりしたかもいでぬらし軍のかちを世につげむとて 鴉 園守におはれやすらむかしましく鴉なくなり庭のはやしに 馬 うちのりて雪の中道はしらせし手馴のこまも老いにけるかな 軍馬 たゝかひ…

かれらさけて舟（ふね）にてさびしきところにゆけり 33 人（ひと）〴〵はかれらのゆくを見（み） おほく耶穌をしりて邑（むら）〳〵より歩行（かち）にてかしこにはしり 彼（かれ）らに先（さき）だち耶穌にあつまりきたれり 34 耶穌いでゝ人（ひと）〴〵のおほくあつまりしを見（み） その牧（かふ）ものなき羊（ひつじ）のごときものなるによつてこれをあはれみて…

）に響（ひび）く体操（たいそう）の　声（こえ）は市岡中学校（いちおかちゅうがっこう） 磯路（いそじ）まぢかく来（きた）れども　波（なみ）は音（おと）せぬ夕凪（ゆうなぎ）や　さす朝潮（あさしお）の心地（ここち）よく　浮（う）かぶ千舟（ちぶね）の帆（ほ）は白（しろ）し…

又　下(しも)足(あし)から　基(もと)足(あし)から　おり上(あ)げて 又　丈(たけ)高(たか)く　幅(はり)広(ひろ)く　おり上(あ)げて 217 一　首里　おわる　てだこが 　　玉(たま)石(いし)垣(がき)　げらへて 　　玉(たま)金(こがね)持(も)ち満(み)ちへるぐすく 又　ぐすく　おわる　てだこが 　　玉(たま)石(いし)垣(がき)　げらへて…

わするな義（ぎ）公（こう）が撰（えら）びたる 大（だい）日（に）本（ほん）史（し）のその功（いさを） 文（ぶん）武（ぶ）の道（みち）を弘（ひろ）めたる 弘道（こうだう）館（くわん）の跡（あと）とへば のこる千（ち）本（もと）の梅（うめ）が香（か）は 雪（ゆき）の下（した）よりにほふなり つれだつ旅（たび）の友（とも）部（べ）より…

すぎゆく驛（えき）は八（はつ）九箇（くか）所（しよ） 邑（おふ）智（ち）の潟（かた）の青波（あをなみ）に さをさす舟（ふね）も羨（うらや）まし 七（なゝ）尾（を）は能登（のと）の一（いつ）都（と）會（くわい） 入海（いりうみ）ひろく舟（ふね）おほし ちかき輪（わ）倉（くら）の温泉（おんせん）は 町（まち）きよらかに客（きやく）たえず…

かひ）もなきこと、兎角（とかく）に甚之助殿（じんのすけどの）の便（たよ）り聞（き）きたしと待（まち）けるが、其日（そのひ）の夕方（ゆふがた）彼（か）の人形（にんぎやう）を持（も）ちて例日（いつ）よりも嬉（うれ）しげに、お前（まへ）の歌（うた）ゆゑ首尾（しゆび）よく我（わ）が勝（かち…