おもろさうし/第五
首里天ぎやすへあんじおそいがなし 首里おもろの御さうし 天啓三年癸亥三月七日 第五
おいぢへしよりちよわちへからの節
[編集]212
一 首里のてだと
天に 照(て)る てだと
まぢゆに ちよわれ
又 御(み)愛(かな)してだと
天(てに)ゝ 照(て)る てだと
又 てだ一郎子(いちろく)と
天(てに)ゝ 照(て)る てだと
又 てだ八郎子(はちろく)と
天(てに)ゝ 照(て)る てだと
213
一 首里 ちよわちへからわ
島の主(ぬし)てだよ
今(いみや)ど 上下(かみしも) 鳴響(とよ)む
又 ぐすく ちよわちへからは
あかんこうがいよやにが節
[編集]214
一 首里(しより)杜(もり) 上(のぼ)て 行(い)けば
夜(よ)の明(あ)けて
てだの 照(て)り居(よ)る様(や)に
又 真玉(まだま)杜(もり) 上(のぼ)て 行(い)けば
うちいぢへはしよりちよわちへが節
[編集]215
一 首里杜(もり)よ
我(わ)が親(おや)国(ぐに)よ
歓(あま)ゑ栄(ふさ)よわちへ
又 良(よ)かる日(ひ)の 数(かず)よ
きやかる日(ひ)の 数(かず)よ
よきげらへが節
[編集]216
一 首里(しより)杜(もり) 真玉(まだま)杜(もり) げらへて
後(のち)勝(まさ)る世掛(が)け拍子(ひやし) みおやせ
又 下(しも)足(あし)から 基(もと)足(あし)から おり上(あ)げて
又 丈(たけ)高(たか)く 幅(はり)広(ひろ)く おり上(あ)げて
あおりやへが節
[編集]217
一 首里 おわる てだこが
玉(たま)石(いし)垣(がき) げらへて
玉(たま)金(こがね)持(も)ち満(み)ちへるぐすく
又 ぐすく おわる てだこが
玉(たま)石(いし)垣(がき) げらへて
あおりやへが節
[編集]218
一 首里(しより)杜(もり) げらへて
げらへたる 清(きよ)らや
上下(かみしも)の世
揃(そろ)ゑる ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり) げらへて
げらへたる 清(きよ)らや
219
一 太郎(たら)金(かね)ぎや細工(さいく)
神座(かぐら)ぎやめ 鳴響(とよ)で
首里(しより)杜(もり)
金(こがね) 寄(よ)り満(み)ちへて
又 太郎(たら)金(かね)ぎや細工(さいく)
おぼつぎやめ 鳴響(とよ)で
220
一 聞(きこ)ゑ 按司(あぢ)添(おそ)いが
樋川(ひがわ)門(ぢやう)は げらへて
上下(かみしも) 揃(そろ)ゑる 世の閂(とで)
打(う)ちちゑ みおやせ
又 鳴響(とよ)む 按司(あぢ)添(おそ)いぎや
221
一 聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いぎや
赤田(あかた)門(ぢやう)は 開(あ)けわちゑ
神(かみ)てだの 揃(そろ)て
誇(ほこ)りよわちへ
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いぎや
精(すへ)の門(ぢやう) 開(あ)けわちへ
又 おなり神(がみ) 崇(たか)べて
又 奇(く)せ宣(せ)り人 崇(たか)べて
あおりやへが節
[編集]222
一 思(おも)ひまたふきや
米(よね)思(も)いは げらへて
神座(かぐら) 在(あ)つる
雲子(くもこ)口(ごちへ) みおやせ
又 愛(かな)しわうしやくが
米(よね)思(も)いは げらへて
又 天(てに)からわ 降(ふ)り添(おそ)て
米(よね)思(も)いは げらへて
又 地(ぢい)からは 湧(わ)き上(あ)がる
米(よね)思(も)いは げらへて
223
一 首里まぢや
御殿(おどの) 入(い)りちへ 見(み)ちゑ
清(きよ)らやのみ御殿(おどん)
又 ぐすくまぢや
御殿(おどん)
224
一 首里(しより)杜(もり)ぐすく
鳴響(とよ)む世添(そ)い杜(もり)
世(よ)の果報(かほう) 世持(も)つせぢ みおやせ
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
225
一 首里真玉(まだま)杜(もり)
精(せ)高(だか)按司(あぢ)添(おそ)いや
君(きみ)寄(よ)せ 綺羅(きら)奇(く)せ 見物(みもん)
又 君(きみ)の望月(もちづき)や
精(せ)高(だか)按司(あぢ)添(おそ)いや
226
一 嶽(たけ)の鈴(すづ)鳴(な)りや
果報(かほう) 揃(そろ)ゑわちゑ
吾(あ)が成(な)さい人(きゆ)後(のち)勝(まさ)り 手(て)摩(づ)て
又 君(きみ)の望(もち)月ぎや
ぢやなのしはねしやりが節
[編集]227
一 首里(しより)福地(ふくじ)人(きよ)
良(世)かるゑさの主(しゆ)
今日(けお)の 珍(めづ)しや
又 今日(けお)の良(ゆ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に
又 我謝(がぢや)の浦(うら)の 貢(かない)
うつの浦(うら)の 捧(さゝ)げ
うちいぢへはしよりいちやが節
[編集]228
一 首里太求(たち)思(よも)いや
若(わか)てだす
君(きみ)々(きみ) 似(に)せれ
又 ぐすく太求(たち)思(よも)いや
229
一 首里(しより) 在(あ)つる 見(み)揚(や)がり
神酒(みいき)寄(よ)せ せん寄(よ)せ げらへ
又 ぐすく 在(あ)つる 見(み)揚(や)がり
なべたるがおもろの節
[編集]230
一 首里(しより)杜(もり) ちよわる
おぎやか思(も)い加那志(がなし)
天より下(した)の
王(わう)にせてだ
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
231
一 首里(しより)杜(もり) ちよわる
世添(そ)うせぢ 持(も)ちよわちゑ
てるかはす 守(まぶ)て
世(よ)は ちよわれ
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
又 照(て)る雲(くも)に 知(し)られ
又 添(おそ)て 凪(とゞ)やけれ
又 さしふ 照(て)る雲(くも)に
又 もつき 照(て)る真物(まもん)
又 馬(うま)替(か)へは 居(ゐ)せわちへ
又 昔(むかし)よりや 勝(まさ)り
又 けさよりや 勝(まさ)り
又 上下(かみしも)は 揃(そろ)ゑて
又 地(ぢ)離(はな)れは 揃(そろ)へわ
又 天が下(した) 揃(そろ)へて
又 てるかはが 御(う)差(ざ)ししよ
232
一 首里若(わか)細工(さいく)
真(ま)物御殿(おどん) げらへて
世勝(まさ)りのおぎやか思(も)ひしよ
十(と)百(もゝ)度(と) ちよわれ
又 ぐすく若(わか)細工(さいく)
精(すゑ)の御殿(おどん) げらへて
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
又 押(おし)笠(かさ)は 崇(たか)べて
又 親(おや)のろは 崇(たか)べて
又 今帰仁(みやきぜん)のあす達(た)
誇(ほこ)て し居(よ)る 使(つか)い
あおりやへが節
[編集]233
一 国(くに)笠(かさ)が もちよる
大世の主(ぬし)按司(あんじ)添(おそ)い
真玉(まだま)杜(もり)
揃(そろ)ゑて ちよわれ
又 雲子(くもこ)杜(もり)親(おや)のろ
又 首里(しより)杜(もり) 降(お)れて
又 真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れて
又 てるかはゝ 崇(たか)べて
又 てるしのは 崇(たか)べて
又 君(きみ)々(きみ)は 崇(たか)べて
あおりやへが節
[編集]234
一 首里杜(もり)ぐすく
島(しま)金(こがね)ぐすく
十(と)百(もゝ)末(すゑ)
十(と)百歳(ひやくさ)す ちよわれ
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
国(くに)金(こがね)ぐすく
うらおそいのおやのろが節
[編集]235
一 玉(たま)の御(み)孵(そ)で加那志(がなし)
首里(しより)杜(もり) げらへて
上下(かみしも)の戦(いくさ)せぢ みおやせ
又 げらへ御(み)孵(そ)で加那志(がなし)
真玉(まだま)杜(もり) げらへて
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
若(わか)い人(きよ)孵(す)で加那志(がなし)
うらおそいおやのろが節
[編集]236
一 げらへ 沖縄(ゆきなわ)が
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
世添(そ)うせぢ
おぎやか思(も)いに みおやせ
又 鳴響(とよ)む沖縄(ゆきなわ)が
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 君(きみ)ぎや 寄(よ)り立(た)【ゝ】ば
雲(くも)子(こ) 寄(よ)り満(み)ちへて
又 君(きみ)ぎや 寄(よ)り立(た)【ゝ】ば
金(こがね) 寄(よ)り満(み)ちゑて
うらおそいおやのろが節
[編集]237
一 玉(たま)の御(み)孵(そ)で加那志(がなし)
げらゑ御(み)孵(そ)で加那志(がなし)
神(かみ) 衆生(すぢや) 揃(そろ)て
誇(ほこ)りよわちへ
又 奧武(あう)の嶽(たけ)大主(ぬし)
なです杜(もり)大主(ぬし)
又 かゑふたに 降(お)ろちへ
厳(いつ)子(こ)達(た)に 取(と)らちへ
あおりやへが節
[編集]238
一 東方(あがるい)の大主(ぬし)
世添(そ)うせぢ按司(あぢ)添(おそ)い
天ぎや下(した)
せぢ 遣(や)り遣(や)り ちよわれ
又 聞(きこ)へ国(くに)治(せ)り人(きよ)
世添(そ)うせぢ按司(あぢ)添(おそ)い
きこゑ大ぎみがおれてあすびやうればが節
[編集]239
一 あまみや 初(はぢ)またる
首里(しより)杜(もり)ぐすく
此(こ)れど 金(こがね)内(うち)に 譬(たと)わる
又 しねりや 初(はぢ)またる
真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
うらおそいのおやのろが節
[編集]240
一 あまみきよが真(ま)細工(さいく)
首里(しより)杜(もり) げらへて げらへ遣(や)り
おぎやか思(も)いに みおやせ
又 しねりやこが真(ま)細工(さいく)
真玉(まだま)杜(もり) げらへて
241
一 あまみきよわ
大島(しま)は 造(つく)て
八千代(やちよ) 英祖(ゑぞ)にや末(すゑ)
おぎやか思(も)いに みおやせ
又 しねりやこは
大島(しま)は
あおりやへが節
[編集]242
一 あまみきよが 御(う)差(ざ)ししよ
此(こ)の大島(しま) 降(お)れたれ
十(と)百(もゝ)末(すへ)
おぎやか思(も)いす ちよわれ
又 しねりやこが 御(う)差(ざ)ししよ
此大島(だしま) 降(お)れたれ
又 穂(ほう)花(ばな) 取(と)て ぬき上(あ)げは
塵(ちり)錆(さび)は 付(つ)けるな
又 穂(ほう)先(ざき) 取(と)て ぬき上(あ)げは
粉(かう)錆(さび)も 付(つ)けるな
243
一 鍋(なべ)樽(たる)が おもろ
百(もゝ)度(つ) 変(か)わりくるぎやめ
此(こ)れど べにへき 鳴響(とよ)む
又 鍋(なべ)樽(たる)が 宣(せ)るむ
あおりやへが節
[編集]244
一 鍋(なべ)樽(たる)が おもろ
ぐすく御(お)殿(どの) げらへて
上(かみ)下(しも)の
見(み)物する 清(きよ)らや
同節
[編集]245
一 ゆだい人(きよ)が おもろ
英祖(ゑぞ)にや末(すへ)てだが家(うち)
世広(ひろ)く 世長(なが)く ちよわれ
又 ゆだい人(きよ)が 宣(せ)るむ
さはちこがおもろおへつきがせるもが節
[編集]246
一 さはち人(きよ)が おもろ
金(こがね) もちろく様(や)に
十(と)百(もゝ)末(すゑ)
此(こ)れど 言(い)ちゑ 鳴響(とよ)む
又 さはち人(きよ)が 宣(せ)るむ
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
金(こがね) もちろく様(や)に
又 京(きや) 鎌倉(かまくら) 有(あ)らや
さはちこがおもろこがねもちろくやにが節
[編集]247
一 さはち人(きよ)が おもろ
お祝(ゑ)付(つ)きが 宣(せ)るむ
十(と)百(もゝ)末(すゑ)
此(こ)れど 言(い)ちゑ 鳴響(とよ)む
又 聞(きこ)ゑぐすく御殿(おどの)
鳴響(とよ)むぐすく御殿(おどの)
又 寄(よ)せ車(くるま) 寄(よ)せて
真(ま)糸(ちゆ)の縄(なわ) 延(は)へて
あおりやへが節
[編集]248
一 吾(あん)の金(かね)ぐすく
歓(あま)ゑ遣(や)り みおやせば
末(すへ) 勝(まさ)て
十(と)百歳(ひやくさ)す ちよわれ
又 首里杜(もり)ぐすく
歓(あま)ゑ遣(や)り みおやせば
又 歓(あま)ゑ遣(や)り み【お】やせば
心(こゝろ) 緩(ゆる)いみき
まかびたらひよもいが節
[編集]249
一 頼(たよ)ん中嶺(みね)や
百(もゝ)按司(あぢ)より
およ 勝(まさ)りよわれ
又 頼(たよ)ん貢(かね)継(つ)ぎや
250
一 頼(たよ)ん中嶺(みね)や
頼(たよ)ぬ貢(かね)継(つ)ぎや
此(こ)れど 按司(あんじ)の君(きみ)志(し)てだ
又 首里(しより) おわる てだこ
御(み)愛(かな)しのてだこ
又 百(もゝ)浦(うら)添(おそ)い ちよわちへ
世添(そ)わりに ちよわちへ
又 居(ゐ)ちへ おわれば 清(きよ)らや
頂(つぢゑ) おわれば 見(み)欲(ぼ)しや
おもろねやがりやせるむねやがりがおもろどそないせるむが節
[編集]251
一 中(なか)嶺(みね) 来(き)よもん
貢(かね)継(つ)ぎ 来(き)よ物
首里(しより)京(きや)ん内(うち) 歓(あま)やかせ
又 貢(かない) 為(し)ちゑ 来(き)よ物
捧(さゝ)げ 為(し)ちゑ 来(き)よ物
おもろねやがりやせるむねやがりがおもろどそないせるむが節
[編集]252
一 中(なか)嶺(みね) 来(き)よもん
貢(かね)継(つ)ぎ 来(き)よ物
此(こ)れ 言(い)ちゑ 按司(あんじ)添(おそ)い 栄せ
又 阿(あ)嘉(か)ん子 おもろ
饒(ね)波(は)犬(いん)子(こ) をもろ
又 真(ま)石(いし)金(がね) おもい
吾(あ)が 寄(よ)せて おかば
あおりやへが節
[編集]253
一 あかわりぎや おもろ
口(くち)正(まさ)しや あもの
十(と)百(もゝ)度(と) 拝(おが)で
輝(かが)居(お)らに
又 年(とし)の初(はぢ)まりに
祝(ゆわ)い事 為(す)れば
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
世勝(まさ)りのおぎやか
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
世勝(まさ)りのおぎやか
又 百歳(ひやくさ) 算(さに)しよわちゑ
世勝(まさ)りのおぎやか
あんのあかみねまくちまさしやあ物が節
[編集]254
一 吾(あん)のあかわりや
口(くち)正(まさ)しや あ物
世(よ)広(ひろ)く 世(よう)長(なが)く ちよわれ
又 年(とし)の初(はぢ)まりに
祝(よわ)い事(ごと) みおやせば
あおりやへが節
[編集]255
一 あかわりぎや おもろ
安須(あす)杜(もり)の
世(よ)持(も)つ孵(す)で水(みづ)よ みおやせ
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
あおりやへが節
[編集]256
一 あかわりぎや おもろ
あかわりぎや 宣(せ)るむ
思(おも)ひ子(ぐわ)す
十(と)百歳(ひやくさ)よ ちよわれ
又 今日(けお)の良(ゆ)かる日(ひ)に
今日(けよ)のきやかる日(ひ)に
又 英祖(ゑぞ)にや末(すゑ)やれば
てだが末(すへ)やれば
又 首里(しより)杜(もり) ちよわちへ
真玉(まだま)杜(もり) ちよわちへ
257
一 島尻(しまぢり)が おもろ
口(くち)正(まさ)しや あ物
地(ぢ)天の 有(あ)らぎやめ ちよわれ
又 島尻(しまぢり)ぎや 宣(せ)るむ
又 按司(あぢ)添(おそ)いぎや 思(おも)い子(ぐわ)
何(づ)れの按司(あぢ)ぎや 譬(たと)へる
258
一 吾(あん)のあかみねま
口(くち)正(まさ)しや あ物
てだやれば
十(と)百歳(ひやくさ)す ちよわれ
又 吾(あん)のもとみねま
259
一 吾(あん)のあかみねま
口(くち)正(まさ)しや あ物
百(もも)ぢやら 直(なお)す
せぢ 持(も)つ 貴(たゝ)み
又 吾(あん)のもとみねま
たくしたらなづけが節
[編集]260
一 せぢ子(こ) 生(な)ちへからは
我(わ)が身(み) 若(わか)く なて
てだが命(いのち)
神(かみ)が命(いのち) みおやせ
又 思(おも)ひ 生(な)ちゑからわ
おもろねやがりがあまゑわちへからいみやどよわまさりが節
[編集]261
一 愛(かね)し国頭(くにがみ)ぎや おもろ
こそてはた 御(お)肝(ぎも)
だりじよ 下司(げす)に 思(をも)われゝ
又 愛(かね)し国頭(くにがみ)が 宣(せ)るむ
あんのあかみねまが節
[編集]262
一 愛(かね)し国頭(くにがみ)が 宣(せ)るむ
良(よ)かる国頭(くにがみ)ぎや
天が下(した)
だりじよ 鳴響(とよ)みよわれ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
おぎやか思(も)い加那志(がなし)
又 居(ゐ)ちゑ おわれば 清(きよ)らや
頂(つぢへ) おわれば 清(きよ)らや
あをりやへが節
[編集]263
一 まみちけが おもろ
精(すゑ)の口(くち)正(まさ)しや
十(と)百(もゝ)末(すゑ)
十(と)百歳(ひやくさ)す ちよわめ
又 今日(けよ)の良(よ)かる日(ひ)に
今日(けよ)のきやかる日(ひ)に
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
国(くに)守(も)りは 崇(たか)べて
又 首里杜(もり) ちよわる
世勝(まさ)りのおぎやか
あおりやへが節
[編集]264
一 まみちけが おもろ
口(くち)正(まさ)しや あ物
英(ゑ)祖(ぞ)にや末(すへ)
思(おも)い子(ぐわ)す ちよわれ
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
今日(けお)のきやかる日(ひ)に
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
又 百(もも)浦(うら)添(おそ)い ちよわちへ
精(すゑ)の御殿(おどん) ちよわちへ
かつれんはいきやるかつれんが節
[編集]265
一 直(なを)ぢ人(きよ)わ
今日(けよ)わ のが 為(し)居(よ)らい
いみ気(き)杜(もり)ぢよ
いちよなしや 為(し)居(ゆ)るな
又 直(なお)ぢ人(きよ)わ
なまわ の【が】
うらおそいのおやのろが節
[編集]266
一 直(なお)ぢ人(きよ)が
首里(しより)かち 来(く)れば
島(しま) 広(ひろ)く
国(くに) 広(ひろ)く
又 直(なお)ぢ人(きよ)が
御前(まゑ)から
うちいぢへはおやみかまが節
[編集]267
一 直(なお)ぢ 面影(をもかげ)や
按司(あん)の 面影(おもかげ)や
好(す)かての 思(おも)い出(ぢゑ)のてだ
又 按司(あん)からど 好(す)かる
下司(げす)からど 好(す)かる
ぐすくまの大や又よしの大やきやんうちあまへが節
[編集]268
一 つるこにくけしや
良(よ)かるにくけしや
玉(たま) 積(つ)む
京(きや)ん内(うち) 見(み)ちやる
又 老(お)い人に 問(と)ゑば
人(ひと)の親(おや)に 問(と)へば
又 けさよりや 勝(まさ)り
昔(むか)よりや 勝(まさ)り
たまつもきやうの内が節
[編集]269
一 つるこにくけしや
良(よ)かるにくけしや
見(み)揚(や)がの鳥(とり)
見(み)揚(や)がの鷲(わし)
又 中(なか)辺(べ) 舞(ま)う鳥(とり)や
雲(くも)辺(べ) 舞(ま)う鳥(とり)や
又 鳥(とり)む 物 知(し)ると
鷲(わし)も 物 知(し)ると
又 久米(くめ)は いなへ 遣(や)り
慶良間(けらま) 舞(ま)い越(こ)ゑて
きこゑあおりやへがとすゑやすゑぎやめもが節
[編集]270
一 聞ゑ押掛けが
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
君(きみ)つほに
おぎやか思(も)いに みおやせ
又 君(きみ)のにせ殿(どの)が
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 さしふ 五(いつゝ)ころに
降(お)れ直(なお)ちへからわ
又 さしふ 七(なな)ころに
降(お)れ栄(ふさ)てからわ
しよりちよわちへからしまのぬしてだが節
[編集]271
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
おぎやか精(しひ)継(つ)ぎや
さすが添(おそ)い
世 添(おそ)わて ちよわれ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
おぎやか思(も)い加那志(がなし)
しよりちよわちへからしまのぬしてだが節
[編集]272
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
おぎやか精(しひ)継(つ)ぎや
てだの 照(て)らぎやめ ちよわれ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
おぎやか思(も)い加那志(がなし)
しよりちよわちへからしまのぬしてだが節
[編集]273
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
按司(あぢ)々々(あぢ) せの 好み
見物(みもん)屏風(みやぶ)
上下(かみしも)の 鳴響(とよ)み
又 おぎやか精(しひ)継(つ)ぎや
おなじ節
[編集]274
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
おぎや(か)精(しひ)継(つ)ぎや
按司(あぢ) てだ 敬(おや)まて へらい
又 近(きやか)す 囀(さへず)るな
側(はた)す 囀(さへず)るな
又 知(し)られ事 有(あ)らば
中(なか) 取(と)り遣(や)り 知(し)られゝ
しよりちよわちへからしまのぬしてだが節
[編集]275
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
おぎやか精(しひ)継(つ)ぎや
をふれ 御(お)肝(ぎも) 休(やす)で
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
おぎやか思(も)い加那志(がなし)
又 近(ちよか) 謝名(ぢやな)の掟(おきて)
近(ちよか) 渡嘉敷(とかしき)仁屋(にや)
おもいこたらつが節
[編集]276
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
首里(しより)親(おや)国(ぐに) 居(お)てからわ
十(と)百(もゝ)末(すゑ) 歓(あま)ゑ世す 成(な)らめ
又 おぎやか精(しひ)継(つ)ぎや
若(わか)親(おや)国(ぐに) 居(お)てからは
しよりちよわちへからしまのぬしてだが節
[編集]277
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
おぎやか精(しひ)継(つ)ぎや
百(もゝ)按司(あぢ)の 見(み)あぐも てだ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
おぎやか思(も)い加那志(がなし)
おなじ節
[編集]278
一 おぎやか日(へ)思(とも)いや
おぎやか精(しひ)継(つ)ぎや
十(と)百(もゝ)末(すゑ)
此(こ)れど 言(い)ちへ 鳴響(とよ)ま
又 首里(しより) おわる てだこ
ぐすく おわる てだこ
あおりやへが節
[編集]279
一 聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いが
おもかはに ちよわちへ
島(しま)世の あらぎやめ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いが
金(かね)の島(しま) ちよわちへ
又 聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いが
首里(しより)杜(もり) ちよわちへ
てるかはが 照(て)り居(よ)る様(や)に ちよわれ
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いが
真玉(まだま)杜(もり) ちよわちへ
又 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
浦(うら)鳴響(とよ)み 召(め)しよわちへ
島(しま)世(よ)の 有(あ)らぎやで
又 鳴響(とよ)む精高子(せだかこ)が
鳴響(とよ)み御(お)船(うね) 召(め)しよわちへ
又 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぎや
浦(うら)廻(まわ)り 召(め)しよわちへ
島(しま)世(よ)の 有(あ)らぎやで
あおりやへが節
[編集]280
一 おぎやか思(も)いが おこのみ
地(ぢ)離(はな)れは 揃(そろ)へて
歓(あま)ゑの門(ぢやう)は げらへて
十(と)百(もゝ)末(すゑ)ぎやめも
おぎやか思(も)いしよ
末(すゑ) 勝(まさ)て ちよわれ
又 按司(あぢ)添(おそ)いが おこのみ
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
又 をなり君(きみ) 崇(たか)べて
又 けさよりも 勝(まさ)り
又 昔(むか)よりむ 勝(まさ)り
又 精(すゑ)の王(わう)やれば
あおりやへが節
[編集]281
一 おぎやか思(も)いぎや
おこのみの 並(なみ)松(まつ)
おぎやか思(も)い 誇(ほこ)て
末(すゑ) 勝(まさ)て
枝(ゆだ) 差(さ)ちゑ ちよわれ
又 按司(あぢ)添(おそ)いぎや
おこのみの 並(なみ)松(まつ)
又 あまみきよわ
島(しま)は 造(つく)りよわちへ
又 しねりきよわ
国(くに)は 造(つく)りよわちへ
又 おぎやか思(も)いが
島(しま)は 気(け)合(や)わしよわちへ
又 按司(あぢ)添(おそ)いが
国(くに)は 気(け)合(や)わしよわちへ
又 上(かみ)下(しむ)は 揃(そろ)へて
又 地(ぢ)離(はな)れも 揃(そろ)へて
又 神(かみ)てだも 守(まぶ)りよわ
あおりやへが節
[編集]282
一 おぎやか思(も)いぎや をこのみ
大道(みち)は げらへて
若(わか)松(まつ) 植(う)ゑ差(さ)ちゑ
神(かみ)てだの 揃(そろ)て
誇(ほこ)りよわちゑ
又 按司(あぢ)添(おそ)いが おこのみ
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
又 君(きみ)々(きみ)は 崇(たか)べて
又 幅(はり) 広(ひろ)く
大道(みち) げらへて
283
一 おぎやか思(も)いが おこのみ
円覚寺(ゑんかくじ) げらへて
祈(いの)りよれば
てだが 誇(ほこ)りよわちゑ
又 按司(あぢ)添(おそ)いが おこのみ
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
宮(みや)寺(でら)は げらへて
又 君(きみ)々(きみ)は 崇(たか)べて
又 上(かみ)下(しむ)は 揃(そろ)へて
又 地(ぢ)離(はな)れは 揃(そろ)へて
又 宮(みや)寺(でら)の 孵(す)で水
おぎやか思(も)いに みおやせ
十(と)百(もゝ)末(すゑ) 十(と)百歳(ひやくさ)す ちよわれ
あおりやへが節
[編集]284
一 おぎやか思(も)いが おこのみ
松(まつ)並(なみ)は 植(う)ゑ差(さ)ちゑ
十(と)百(もゝ)末(すゑ)ぎやめも
上(かみ)下(しも)の 見物(みもん)する 清(きよ)らや
又 按司(あぢ)添(おそ)いが おこのみ
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
又 君(きみ)々(きみ)は 崇(たか)べて
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に
又 精(すゑ)の王(わう)なれば
あおりやへが節
[編集]285
一 まかるこが おもろ
精(すゑ)の御(お)殿(どの) ちよわちゑ
つほに 御神酒(みしやく) ぬき上(あ)げは
末(すゑ) 勝(まさ)て
十(と)百歳(ひやくさ)す ちよわれ
又 大君(きみ)ぎや 持(も)ち成(な)し
精(すゑ)の御(お)殿(どの) ちよわちゑ
又 君(きみ)の按司(あぢ)の 持(も)ち成(な)し
精(すゑ)の御(お)殿(どの) ちよわちゑ
又 おぎやか思(も)い加那志(がなし)ぎや
精(すゑ)の御(お)殿(どの) ちよわちゑ
又 聞(きこ)え按司(あぢ)添(おそ)いぎや
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に
あおりやへが節
[編集]286
一 あかともいぎや おもろ
おぎやか思(も)いに 知(し)られ
島(しま) 添(そ)わて
十(と)百(もゝ)末(すゑ) ちよわれ
又 あかともいぎや 宣(せ)るむ
又 おぎやか思(も)いが おこのみ
植(う)ゑ差(さ)ちやる 若(わか)松(まつ)
又 按司(あぢ)添(おそ)いが をこのみ
植(う)ゑ差(さ)ちやる 若(わか)松(まつ)
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
君(きみ)々(きみ)は 崇(たか)べて
又 年(とし) 選(えら)び遣(や)り
又 月(つき) 選(えら)び遣(や)り
又 天ぎや下(した) 鳴響(とよ)で
287
一 おぎやか思(も)いが おこのみ
げらへたる 御倉(くら)
百(もゝ)倉(くら) 引(ひ)き寄(よ)せて みおやせ
又 按司(あぢ)添(おそ)いが おこのみ
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
今日(けお)のきやかる日(ひ)に
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
又 君(きみ)々(きみ)は 崇(たか)べて
又 聞(きこ)へ親(おや)泊(どまり)
又 鳴響(とよ)む親(おや)泊(どまり)
又 十(と)百(もゝ)末(すゑ)ぎやめも
288
一 おぎやか思(も)いが おこのみ
精(すゑ)の御倉(くら) 添(そ)ゑて
上(かみ)下(しも)の宝(たから)
積(つ)で みおやせ
又 按司(あぢ)添(おそ)いが おこのみ
精(すゑ)の御倉(くら) 添(そ)ゑて
又 大君(きみ)は 崇(たか)べて
倉(くら)並(な)みは げらへて
又 君(きみ)々(きみ)は 崇(たか)べて
又 今日(けお)の良(よ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に
又 けさよりも勝(まさ)り
289
一 英(ゑ)祖(ぞ)にやの家(うち)や
歓(あま)へ侍(やべ)ら
誇(ほこ)り侍(やべ)ら
又 てだが家(うち)やれば
290
一 いちやはなが おもろ
あぢはゑが 宣(せ)るむ
十(と)百(もゝ)度(と)
百(もゝ)浦(うら)添(おそ)い ちよわれ
又 天(あま)の 愛(かな)しやにす
里(さと) 一(ふて)つ ちよわれ
但一 点(てん)数(かず) 七十九