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　世間がこんなものなら、おれも負けない気で、世間並（せけんなみ）にしなくちゃ、遣（や）りきれない訳になる。巾着切（きんちゃくきり）の上前をはねなければ三度のご膳（ぜん）が戴（いただ）けないと、事が極（き）まればこうして、生きてるのも考え物だ。と云ってぴんぴんした達者なからだで、首を縊（くく）っちゃ…

ること、及（およ）び之（これ）を好着（こうちゃく）せざらんことを約（やく）す、何（なん）となれば慾念（よくねん）は凡（すべ）て此（これ）らのものと接近（せっきん）するにより、大（おほい）なる勢力（せいりょく）を得（え）て苦行者（くぎょうしゃ）を懦弱（だじゃく）にし、その思想（しそう）と企図（きと）と…

〇他（た）の使徒（しと）の後繼者（あとつぎ）は? △各地（かくち）の司教（しけう）です。 〇すると司教（しけう）は全世界（ぜんせかい）にたゞ十一名（じふいちめい）しか居（ゐ）なさらぬ訳（わけ）ですね? △さうぢゃありません。 〇よろしい。唯今（たゞいま）では、十（じふ）や百（ひゃく…

思（おも）っているんです。何（なに）しろあの連中（れんちゅう）と来（き）ちゃア、田舎（いなか）でも有名（ゆうめい）な教会（きょうかい）の御有難（おありがた）い連中（れんちゅう）で、真面目（まじめ）に働（はたら）く小百姓（こびゃくしょう）ばかりのところへ持（もっ）て行（い）って、私（わたし）と言（い）…

そく）に引誘（いんゆう）するの思（おもい）を許（ゆる）して、自（みづ）から之（これ）と親（した）しみ、等閑（とうかん）、怠慢（たいまん）及（およ）び怯懦（きょうだ）を生（しょう）じ、之（これ）に由（よ）りて全（まった）く衰弱（すいじゃく）するに至（いた）らん、此事（このこと）を全（まった）く…

くちぐせ）にする決鬪師（けっとうし）の嫡々（ちゃき／＼）ぢゃ。あゝ、百發（ぱつ）百中（ちゅう）の進（すゝ）み突（づき）とござい！　次（つぎ）は逆突（ぎゃくづき）？　參（まゐ）ったか突（づき）とござる！ ベンヺ　え、何突（なにづき）？ マーキュ　白癩（びゃく…

そく）せん。 或（あるい）は人（ひと）が道徳（どうとく）の練修（れんしゅう）に弱（よわ）く且（かつ）緩慢（かんまん）なるを以（もつ）てあらはるゝ時（とき）犯（おか）す所（ところ）の罪（つみ）あり、これ亦（また）同（おな）じからず、彼（かれ）は道徳（どうとく）の路（みち）を全（まった）く…

ゃくにじふごねん）、小（せう）アジアのニチェア（ニケヤ）と云（い）ふ町（まち）に開（ひら）かれたのでありました。列席（れっせき）せる司敎（しけう）が三百十八名（さんびゃくじゅうはちめい）、敎皇（けうくわう）シルウェステル一世（いっせい）の使節（しせつ）が議長席（ぎちゃ…

…何故（なぜ）、謬（あやま）り得（え）ないのですか?…イエズス・キリスト樣（さま）は何（なん）とお約束（やくそく）になりましたか?…聖霊（せいれい）がお導（みちび）き下（くだ）さいますか?… [目的指示（もくてきしし）]、今日（けふ）は敎皇（けうくわう）が敎（をしへ）に就（つい）て謬（あやま）り得（え）ないことをお話（はな）し致（いた）します。…

「無論の事さ。だからまず第一着（だいいっちゃく）にあした六時に起きて……」 「御昼に饂飩（うどん）を食ってか」 「阿蘇（あそ）の噴火口を観（み）て……」 「癇癪（かんしゃく）を起して飛び込まないように要心（ようじん）をしてか」 「もっとも崇高なる天地間の活力現象に対して、雄大の気象（きしょう）を養って、齷齪（あくそく）たる塵事（じんじ）を超越するんだ」…

くいき（区域（クヰキ））』　しょくいん（職員（シヨクヰン））　びょういん（病院（ビヤウヰン））　よいん（余韻（ヨヰン））』　すいどう（水道（スヰダウ））　すいさつ（推察（スヰサツ））　すいじ（炊事（スヰジ））　すいじゃく…

は霊魂（れいこん）に誘惑（ゆうわく）を被（こうむ）らしめん。主（しゅ）は人間（にんげん）のすべての劣弱（れつじゃく）を忍耐（にんたい）すれども、常（つね）に不（ふ）平（へい）を懐（いだ）く人（ひと）をば寛容（かんよう）せず、教訓（きょうくん）なくして置（お）かざるなり。如何（いか）なる知識（ちしき…

くち）にて讃栄（さんえい）することも能（あた）はざるのみならず、聖詠（せいえい）或（あるい）はその他（た）身体（しんたい）にて行（おこな）ふ所（ところ）のものを遂行（すいこう）せざりしも、彼（かれ）らは悉（ことごと）くの規則（きそく）に換（か）えて、一（いつ）の身体（しんたい）の薄弱（はくじゃく…

可愛（かわい）い」という様子（ようす）をして、同（おな）じことを何度（なんど）も何度（なんど）も繰（く）り返（かえ）した。 「ちゃあちゃん。」 「はあい――金之助（きんのすけ）さん。」 「ちゃあちゃん。」 「はあい――金之助（きんのすけ）さん。」 　あまりお初（はつ）の声（こえ）が高（たか）かった…

くって電車で行こうと降参をすると、行くなら四時までに向うへ着くようにしなくっちゃいけません、そんなぐずぐずしてはいられませんと急に勢がいい。なぜ四時までに行かなくては駄目なんだと聞き返すと、そのくらい早く行って場所をとらなくちゃ…

あり、謹慎（きんしん）注意（ちゅうい）は何（なん）等（ら）の徳行（とくこう）よりも上（うへ）にあり、酒（さけ）は汝（なんぢ）に友（とも）のあらざる時（とき）、或（あるい）は疾病（しっぺい）或（あるい）は力（ちから）の衰弱（すいじゃく）するあらざる時（とき）は味（あぢは）ふことなかれ。他（ひと）が言（…

そく）し怒（いかる）ことを徐（おそく）す [二千五十八] べし 二十 そハ人（ひと）の怒（いかり）ハ神（かみ）の義（ぎ）を行（おこな）ふ事（こと）をせざれバ也（なり） 二一 然（され）バ諸（もろゝゝ）の汚穢（けがれ）と多（おほく）の邪惡（じゃあく…

そく）し給（たま）へり 六 神如此（かみかく）いひ給（たま）へり彼（かれ）の裔（すえ）ハ他（ほか）の國（くに）に旅（やど）らん他（ほか）の國（くに）の人々（ひとゞゝ）これを奴隷（どれい）と爲（なし）て四百年（しひゃくねん）の間（あいだ）なやまさん 七 神（かみ）また云（いはく…

ちゃわん）に水を汲（く）んで、墓の前に置いた。花も水も毎日取り替えられた。三日目の夕方に四つになる女の子が――自分はこの時書斎の窓から見ていた。――たった一人墓の前へ来て、しばらく白木の棒を見ていたが、やがて手に持った、おもちゃの杓子（しゃくし）をおろして、猫に供えた茶碗の水をしゃく…

「そこは今考え中だ。そう着（ちゃく）、早々（そうそう）計画が立つものか」 「だから心配になるんですわ。いくら東京にいるときめたって、きめただけの思案（しあん）じゃ仕方がないじゃありませんか」 「どうも御前（おまえ）はむやみに心配性でいけない」 「心配もしますわ、どこへいらしっても折合（おりあい）がわるくっちゃ…