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中野　俺の苦勞が何かいゝ事のためになれば俺は嬉しいよ。然しね、 ――君には不愉快なことを云ふに忍びないが――何だかあまり盲目的に一途になつてやしないか？　といふ氣がしてね。俺はさつきから不安でならないんだ。俺は先程から考へてゐるのだが、俺は實際こんな事にまで立ち入つて行動するのは一寸差出がましい樣な氣がし…

しゅごしゃ）を得（う）べければなり、此（こ）の生命（せいめい）の供與（きょうよ）を得（え）んを願（ねが）ふか。正直（せいちょく）を以（もっ）て神（かみ）の前（まえ）を行（ゆ）くべし、知識（ちしき）を以（もっ）てするなかれ。正直（せいちょく）は信仰（しんこう）を伴（ともな）へども、思念（しね…

とき）は答（こたえ）ていふべし「老人（ろうじん）よ自己（じこ）の迷（まよい）を一見（いっけん）せよ」と』。知（し）るべし迷（まよい）とは放任（ほうにん）の時（とき）に当（あた）り、思念（しねん）に如何（いか）なる試（こころ）みを受（う）けて恩寵（おんちょう）が我（われ）らを或（あるい）は戦（たたかい…

、名（めい）誉（よ）を妄想（もうそう）せざる是（これ）なり。思念（しねん）に節制（せっせい）あり、神（かみ）をおそるるの心（こころ）を以（もつ）て思念（しねん）に勝（か）ち、人（ひと）を誘（いざな）ひ煽動（せんどう）するの思念（しねん）にかたむかず、これを以（もつ）て自（みづか）ら喜（よろこ）ばざ…

答　それ自負（じふ）は霊魂（れいこん）をその妄想（もうそう）により敗壊（はいかい）し、之（これ）を高（たか）きに持（もち）去（さ）りて、之（これ）により霊魂（れいこん）が飛（と）んで思念（しねん）の雲（くも）に入（い）るを礎（ささ）へざらん。因（よ）りて霊魂（れいこん）はすべての造物（…

恋するにしにする物にあらませはちたひそ我はしにかへらまし こひするに－しにするものに－あらませは－ちたひそわれは－しにかへらまし 00936 [詞書]題しらす 人まろ こひてしねこひてしねとやわきもこかわか家の門をすきてゆくらん こひてしね－こひてしねとや－わきもこか－わかいへのかとを－すきてゆくらむ…

又　しねりやこは 　　大島(しま)は 242 一　あまみきよが　御(う)差(ざ)ししよ 　　此(こ)の大島(しま)　降(お)れたれ 　　十(と)百(もゝ)末(すへ) 　　おぎやか思(も)いす　ちよわれ 又　しねりやこが　御(う)差(ざ)ししよ 　　此大島(だしま)　降(お)れたれ 又　穂(ほう)花(ばな)　取(と)て　ぬき上(あ)げは…

せぢ　勝(まさ)て　ちよわれ 又　鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや 　真(ま)末(せ)　願(ねが)て　降(お)れわちへ 又　あまみやから 　　精(すへ)の君(きみ)やれば 又　しねりやから 　　相手(あいちへ)君(きみ)やれば 又　さしふ　五ころに 　　見(み)守(まぶ)てす　降(お)れたれ 又　むつき　七ころに…

して死（しね）り 28レメク百八十二歳（さい）に及（およ）びて男子（をとこのこ）を生（う）み 29其（その）名（な）をノアと名（なづ）けて言（いひ）けるは此（この）子（こ）はヱホバの詛（のろ）ひたまひし地（ち）に由（よ）れる我（わが）操作（はたらき）と我（わが）勞苦（ほねをり）とに就（つき）て我（われ）らを慰（なぐさ）めん…

る。善（ぜん）なる目的（もくてき）と共（とも）に身（み）を以（もつ）て労（ろう）せんとする思念（しねん）の熱切（ねっせつ）と集中（しゅうちゅう）は、もし嗜慾的（しよくてき）にあらずんば、此（こ）の熱切（ねっせつ）を練習（れんしゅう）するが為（ため）に、原因（げんいん）を自（みづ）から此（これ）等（ら…

問　或者（あるもの）は此（これ）らの行為（こうい）を屡（しばしば）し、多（おお）くの者（もの）も多分（たぶん）之（これ）を行為（こうい）しつつあらんも、寧静（ねいせい）と慾（よく）の鎮（ちん）止（し）と思念（しねん）の平安（へいあん）を感（かん）ぜざるは何故（なにゆえ）なるか。…

せぢ　勝(まさ)て　ちよわれ 又　鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや 　真(ま)末(せ)　願(ねが)て　降(お)れわちへ 又　あまみやから 　　精(すへ)の君(きみ)やれば 　しねりやから 　　相手(あいちへ)君(きみ)やれば 又　さしふ　五ころに 　　見(み)守(まぶ)てす　降(お)れたれ 又　むつき　七ころに…

しねん）により、欣喜（きんき）の波（なみ）を断（た）えず我（われ）に遣（つか）はさるるなり而（しか）して此波（このなみ）が予（よ）の霊魂（れいこん）の船（ふね）に近（ちか）づく時（とき）は霊魂（れいこん）を世（よ）の説話（せつわ）と肉身的生活（にくしんてきせいかつ）とより脱（だっ）し…

「そうじゃあねえと云う者もあり、そうらしいと云う者もあり、そこははっきりしねえのですが、なにしろ仲よく付合っていて、次郎兵衛が江戸へ出るときは、お磯も河岸まで送って来て、何か湿々（じめじめ）していたと云いますから、おそらく訳があったのでしょうね」 「川越辺では今度の一件を知っているのか」…

いえ。おらあ十手を持っているんだぞ。てめえは口惜しまぎれに、兄貴になんか頼んだだろう。さあ、白状しろ」 「頼みゃあしねえけれども、兄貴もあんまりひどいって口惜しがって……。なんにもしねえものを無暗にそんな目にあわせる法はねえと云った」 「そりゃあ手前のふだんの行状が悪いからだ。現にてめえは柿を盗もうとしたじゃねえか」と、半七は叱った。…

びと）の我（われ）をめぐらんとする時（とき）、我（われ）はいかんして耻（はぢ）をのがれんや、彼（かれ）等（ら）は我（わ）が此（こ）の敬虔（けいけん）の外（うわ）衣（ぎ）を服（ふく）するを見（み）て我（われ）を福（さいわい）なりとなしね、然（さ）れども我（われ）は内心（ないしん）に不（ふ）法（ほう）…

味が悪いので誰もはっきりとは見とどけずに帰って来た。なにしろ薄あばたがあると云うのじゃあ、お俊とは違っていると云うのです」 「近所へ挨拶はしねえでも、家主（やぬし）には断わって行ったろう。家主はどこだ」 「二丁目の角屋（すみや）という酒屋だそうですから、そこへ行って訊きましょう」…

　　御肝内(おぎもうち)は　生(お)まれて 又　しねりや　宣立(のだ)てゝ 　　肝(あよ)が根(ね)や　勝(すぐ)れて 又　聞得(きこゑ)大君(ぎみ)しよ 　　御島(みしま)世は　よ治(し)れ　　　　 100 一　にるや鳴響(とよ)むおお主 　　大島(だしま)鳴響(とよ)む若主(わかぬし)　 　　按司(あんじ)添(おそ)いしよ 　　せぢ　勝(まさ)て　ちよわれ…

しとみたつものもおろさず。つく〴〵とながめいでたるに。はかなげなる垣ねの草にまどかなる月影に。ところがらあはれすくなからず。 　をく露の命まつまのかりの庵にこゝろほそくもやとる月影 いづくにかあらんかすかに笛の音のきこえくる。かの御あたりなりしねにまよひたるこゝちするにも。きとむねふたがるこゝちするを。…

ね――」 立ち上って、台どころで、ガタガタはじめる婆。 乳母が、かくれて棲むにいいように、町家風俗をさせた浪路、ちょいと見には、町むすめとしか思われないが、丑が、顔をかくした袂（たもと）をつかんで、 「これ、おむす、いい加減に観念しねえか！」 と、引っぱりよせようとするのを振り切って、 「放しや！下郎！」…