おもろさうし/第四
あおりやへさすかさのおもろ御さうし 天啓三年癸亥三月七日 第四
あおりやへ節
[編集]152
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
いけな 成(な)り変(か)わて
首里杜(しよりもり) 降(お)れわちへ
神座(かぐら)せぢ
按司(あんじ)添(おそ)いに みおやせ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
成(な)り人(きよ) 降(お)れか変(か)わて
真玉杜(まだまもり) 降(お)れわちへ
きこゑ大ぎみの節
[編集]153
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
神座(かぐら)のしけ内(うち)
綾踊(あやよ)りも 群(ぶ)れ舞(ま)て
おぎやか思(も)いに みおやせ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
あおりやへ節
[編集]154
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
せぢ 勝(まさ)て 遊(あす)べば
てるかはが
照(て)り居(よ)る様(や)に 清(きよ)らや
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
あおりやへ節
[編集]155
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
世の正手(まさて) 世の頂(つんじ)
神(かみ)てだのせぢ
持(も)ち遣(や)り ちよわれ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
あおりやへ節
[編集]156
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
けさよりや 勝(まさ)り
真玉(まだま)金(こがね)持(も)ち満(み)ちろぐすく
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへやが
あおりやへ節
[編集]157
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
しけ内(うち) 綾(あや) 掛(か)けわちへ
清(ちよ)らの花(はな)の
咲(さ)い渡(わた)る 見物(みもん)
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
きこゑ大君がみやがのひやしが節
[編集]158
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
ぐすく御殿(おどん) げらへて
神座(かぐら)の京(けお)の内(うち)に ある
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
あおりやへ節
[編集]159
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやゑや
東方(あがるい)の金穴(こがねあな)
金花(こがねはな)の 咲(さ)き居(よ)れば
煽(あお)りやゑや
おれや 見(み)ぎや 降(お)れわちへ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやゑや
あがるへの大ぬしきこゑくにせりきよが節
[編集]160
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやゑや
地(ぢ)天のせぢ 降(お)ろちへ
おぎやか思(も)いに みおやせよ
十(と)百(もゝ)度(と)す ちよわれ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやゑや
おちいではあおりやへが節
[編集]161
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへ
百按司(もゝあぢ)より 勝(まさ)る
成(な)さい人(きよ)思(も)い 鳴響(とよ)まちへ
煽(あお)りやゑ 使(つか)い
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
かつれんはなおにぎやたとわるが節
[編集]162
一 煽(あお)りやへや
成(な)さい人(きよ) 敬(おやま)よわちへ
君(きみ)の頂(つんじ) 使(つか)い
又 国(くに)守(も)りぎや
成(な)さい人(きよ)
163
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
しけ内(うち) 綾(あや) 掛(か)けわちへ
清(ちよ)らの花(はな)の
咲(さ)い渡(わた)る 見物(みもん)
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
あおりやへ節
[編集]164
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
中神(がみ)に 手摩(てづ)て
按司(あぢ)添(おそ)いしよ
手摩(てづ)て 栄(ふさ)よわれ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
金比屋武(かなひやぶ)に 手摩(てづ)て
あおりやへ節
[編集]165
一 せりよさに 鳴響(とよ)む
聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
按司(あぢ)添(おそ)いに
国(くに)手(て)持(も)ち みおやせ
又 精(すへ)の君(きみ)やれば
166
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
成(な)さい人(きよ)愛(かな)しけや
世(よ)果報(がほう)金福(かなふく)にちよわれ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
ねいしまいしが節
167
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
成(な)さい人(きよ)が 世(よ)添(そ)いる杜(もり)
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
あおりやへ節
[編集]168
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
千万の もちよる
おぎやか思(も)いしよ
掛(か)けて 栄(ふさ)よわれ
又 鳴響(とよ)む国(くに)守(も)りが
千万の もちよる
おぎやか思(も)いす
あおりやへ節
[編集]169
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへが
いけな 成(な)り変(か)わて
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
神座(かぐら)せぢ
按司(あぢ)添(おそ)いに みおやせ
又 鳴響(とよ)む煽(あお)りやへや
成(な)り人(きよ) 降(お)れ変(か)わて
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
おしかけがねいしまいしが節
[編集]170
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへは
末(すへ) 尋(と)めて 降(お)れわちへ
若(わか)人(きよ)思(も)いに
世(よ)掛(が)け精(すへ) みおやせ
又 鳴響(とよ)む国(くに)守(も)りぎや
真(ま)末(せ) 尋(と)めて 降(お)れわちへ
あかんこがふねたてが節
[編集]171
一 煽(あお)りやへが庭(みや)の 鳴響(とよ)み
按司(あぢ)誇(ほこ)る御(お)庭(みや)の 鳴響(とよ)み
又 精高子(せだかこ)が庭(みや)の 鳴響(とよ)み
按司(あんじ)誇(ほこ)ろ御(お)庭(みや)の
きみがなし節
[編集]172
一 聞(きこ)ゑ煽(あお)りやへや
けさよりや 勝(まさ)り
首里(しより)杜(もり) もちろちへ
京(けお)の内(うち)
もちよる為(な)ちへ 鳴響(とよ)ま
又 鳴響(とよ)む国(くに)守(も)りぎや
昔(むか)よりや 勝(まさ)り
真玉(まだま)杜(もり) もちろちへ
京(けお)の内(うち)に
もちよる為(な)ちへ 鳴響(とよ)み
しまうちあぢおそいが節
[編集]173
一 聞(きこ)ゑ差笠(さすかさ)が
百度(もゝと) ちよわれ
按司(あぢ)添(おそ)い後(のち)勝(まさ)り
百按司(あぢ) 直(なお)しよわれ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 聞(きこ)ゑ按司(あぢ)添(おそ)いが
うち出はもゝとちよわれが節
[編集]174
一 聞(きこ)ゑ差笠(さすかさ)が
島(しま)討(う)ち按司(あんじ)添(おそ)いや
君(きみ)しゆ 世(よ)の閂(くぎ) 差(さ)ゝまへ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 おぼつ おわちへ 八千代(やちよ)を
首里杜(もり) 守(まぶ)らに
あおりやへ節
[編集]175
一 聞(きこ)ゑ差笠(さすかさ)が
降(お)れて 祈(いの)りよわれば
末(すゑ) 勝(まさ)て
枝(えだ) 差(さ)ちへ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
あおりやへ節
[編集]176
一 聞(きこ)ゑ差笠(さすかさ)が
鳴響(とよ)む大君や
百島(もゝしま) 揃(そろ)へ遣(や)り みおやせ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 首里(しより)杜(もり) 祈(いの)らに
又 真玉(まだま)杜(もり) 祈(いの)らに
又 聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや
又 京(けお)勝(まさ)り按司(あぢ)添(おそ)い
ふた勝(まさ)り按司(あぢ)添(おそ)い
あおりやへ節
[編集]177
一 聞(きこ)ゑ差笠(さすかさ)が
鳴響(とよ)む大君や
差笠(さすかさ)す
成(な)さい人(き(よ))思(も)い 守(まぶ)ら
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
たいらのとの節
[編集]178
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)よ
十(と)百度(もゝと)
算(さに)為(し)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)よ
首里(しより)杜(もり)ぐすく
真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
首里もりのぼていけばが節
[編集]179
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
せぢ 遣(や)らば だに又だに
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 久米(くめ)下司(げす)に 聞(き)ゝやせ
又 かき 渡名喜(となき) みれつな
しよりもりのぼていけばが節
[編集]180
一 聞(きこ)ゑ差笠(さすかさ)が
ゑけ 精(せい) 遣(や)りよわ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 島(しま)中の若(わか)い人(きよ)達(た)
正(まさ)の肝(きも) 揃(そろ)い
たくしたらなづけの節
[編集]181
一 聞(きこ)ゑ差笠(さすかさ)が
君(きみ)誇(ほこ)り
報(ふう)国 うち寄(よ)せれ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 首里杜(もり)ぐすく
真(ま)玉杜(もり)城
ねいしまいしの節
[編集]182
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
拍子(ひやし)の槌(つち) 打(う)たば
聞(き)ゝ 愛(かな)しけさ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
きこゑおしかさがやちよこたにしらせが節
[編集]183
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
拍子(ひやし)の槌(つち) 打(う)たば
聞(き)ゝ 愛(かな)しけさ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
よそわるあやごの節
[編集]184
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
声(こへ) 遣(や)て 御肝(おぎも) 休(やす)ま
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
185
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
歓(あま)へわちへ 遊(あす)びよわ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 京(けお)の内(うち)は 押(を)し開(あ)けて
三庫裡(さんこおり) つき開(あ)けて
又 首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
くにとよでが節
[編集]186
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
十(と)百(もゝ)度(と) 栄(はや)せ 降(お)れわ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
十(と)百(もゝ)度(と)
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
すへのひやしが節
[編集]187
一 差笠(さすかさ) 差笠(さすかさ)
鳴響(とよ)みわれ
ゑ 見(み)物寄(よ)せ鈴(すづ)鳴(な)り
又 君(きみ)の按司(あんじ) 按司(あんじ)す
すづなりが節
[編集]188
一 差笠(さすかさ)に
精(すゑ)の拍子(ひやし)
珍(めづ)ら拍子(ひやし) みおやせ
又 君(きみ)の按司(あんじ)に
あやごが節
[編集]189
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
大(だ)国(くに) 鳴響(とよ)で 降(お)れわちへ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
くにとよでが節
[編集]190
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
百末(もゝすへ) 此(こ)れ[ど] 鳴響(とよ)む
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
たくしたらなづけの節
[編集]191
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
鼓(つゞみ)の按司(あぢ)鳴(な)り加那志(がなし)
報(ふう)国(くに) 打(う)ち寄(よ)せれ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
ねいしま石の節
[編集]192
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
按司(あぢ)の頂(つぢ)成(な)さい人(きよ)
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
あおりやへ節
[編集]193
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
世(よ)果報(がほう) 歓(あま)へ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
うらおそい節
[編集]194
一 岩川(いはかわ)の杜(もり)に
差笠(さすかさ)が
嶋直(なふ)し 降(お)れわちへ
又 親(おや)川(かわ)の杜(もり)に
又 小禄(おろく)横(よこ)嶽(たけ)に
あおりやへ節
[編集]195
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
もちろかちへ 遊(あす)べば
百末(もゝすへ)
おぎやか思(も)いしゆ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
又 いしゑけり按司(あぢ)添(おそ)い
てだが御(う)差(ざ)し ちよわれ
又 英祖(ゑぞ)にや末(すへ)按司(あぢ)添(おそ)い
一郎(いちる)御(う)差(ざ)し ちよわれ
又 かわるめの御内(みうち)に
君(きみ)誇(ほこ)り げらへて
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
きらの数(かず) 降(お)れらに
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
月の数(かず) 降(お)れらに
うらおそい節
[編集]196
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)
おこのみの 高(たか)さ
明(あ)け雲(くも)の 朝日(あさひ) 差(さ)す様(や)に
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
あおりやへ節
[編集]197
一 首里(しより)杜(もり) ちよわる
聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いや
百歳(ひやくさ)命(のち)
祈(いの)て みおやせ
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
ね石まいしの節
[編集]198
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
東方(あがるい)に 通(かよ)て
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
てだが穴(あな)に 通(かよ)て
あおりやへ節
[編集]199
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
京(けお)の内(うち)は 押(お)し開(あ)けて
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
君(きみ)ぎや金(こがね)精(すへ)
天続(つぎ)に みおやせ
又 鳴響(とよ)む大君ぎや
もちろ内は つき開(あ)けて
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 年 三年(とせ) 成(な)るぎやめ
首里(しより)杜(もり) おもかしや
又 年(とし) 四年(とせ) 成(な)るぎやめ
真玉(まだま)杜(もり) おもかしや
又 首里(しより)杜(もり) 掛(か)け栄(ふせ)る
天(てに)続(つぎ)の
又 真玉(まだま)杜(もり) しき栄(ふせ)る
又 てるかはが 上(あ)がる様(や)に
照(て)り添(おそ)て
ね石ま石の節
[編集]200
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
君(きみ)ぎや守(まぶ)りよわる貴(た[ゝ])み
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
よそわるあやごが節
[編集]201
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
声(こへ) 遣(や)て 御肝(おぎも) 休(やす)ま
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
あおりやへ節
[編集]202
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
おぼつ吉日(ゑか) 降(お)れわちへ
按司(あぢ)添(おそ)いしよ
せぢ 鳴響(とよ)で ちよわれ
又 鳴響(とよ)む大君(きみ)ぎや
神座(かぐら)吉日(ゑか) 取(と)りよわちへ
又 年 六年(とせ) 成(な)るぎやめ
君手摩(きみてづ)り 間(ま)遠(とう)さ
又 きら直(なふ)さ 取(と)るぎやめ
見(み)物遊(あす)び 珍(めづ)しや
又 按司(あんじ)添(おそ)いぎや おより
此きらに 降(お)れわちへ
又 此(こ)の御(み)島(しま) 直(なふ)ちへ
此(こ)の吉日(ゑか)に 降(お)れわちへ
又 てだが御(う)差(ざ)しやれば
首里(しより)杜(もり) 勝(まさ)て
按司(あぢ)添(おそ)いしよ
せぢ 鳴響(とよ)で ちよわれ
うらおそい節
[編集]203
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)は
守(まぶ)る君(きみ)やれば
雲子(くもこ)色(いろ)
照(て)りや揚(あ)がて ちよわれ
又 鳴響(とよ)む大君(きみ)や
搔(か)い撫(な)で君(きみ)やれば
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
いせゑけり按司(あぢ)添(おそ)い
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あぢ)添(おそ)い
又 あまみやから
相手(あいちへ)君(きみ)やれば
又 しねりやから
つほこ君(きみ)やれば
又 てるかはが 御言(おこと)す
てるしのが 御言(こと)す
あおりやへ節
[編集]204
一 聞(きこ)へ差笠(さすかさ)が
さしふ 降(お)れ変(か)わて
十(と)百(もゝ)度(と)の 世(よ)添(そ)うせぢ
按司(あんじ)添(おそ)いに みおやせ
又 鳴響(とよ)む差笠(さすかさ)が
むつき 降(お)れ直(なふ)ちへ
又 京(けお)の内(うち)は 押(を)し開(あ)けて
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 もちろ内は つき開(あ)けて
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 按司(あぢ)添(おそ)いよ 誇(ほこ)て
貴(たゝ)み人(きよ) 誇(ほこ)て
あぢおそいしよよしられが節
[編集]205
一 首里大君(きみ)ぎや
鳴響(とよ)む国(くに)添(おそ)いぎや
国 栄(ふさ)て ちよわれ
又 京(けお)の内(うち)に 戻(もど)て
もちろ内に 戻(もど)て
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あぢ)添(おそ)い
成(な)さい人(きよ)思(も)い貴(たゝ)み人(きよ)
又 眼(あまこ) 合(あ)わちへ 並(なら)で
御(み)顔(きやう) 合(あ)わちへ 並(なら)で
又 明(あ)けま年(とし) 成(な)らば
向(む)かう年(とし) 成(な)らば
又 君手摩(きみてづ)り 誇(ほこ)り
神(かみ)使(つか)い このめ
又 今日(けお)とまに 依(よ)り降(お)れや
吉日(ゑか)選(ゑら)びの 依(よ)り降(お)れや
又 寄(よ)り満(み)ちゑの おより
せぢ寄(よ)せの おなふさ
又 降(お)られ数(かず) 守(まぶ)ら
遊(あす)ば数(かず) 搔(か)い撫(な)でら
206
一 首里大君(きみ)ぎや
末(すゑ) 選(えら)び遣(や)り 降(お)れわちへ
君(きみ)ぎやせぢ
もちよろ為(な)ちへ みおやせ
又 鳴響(とよ)む国守(も)りぎや
真(ま)末(せ) 選(えら)び遣(や)り 降(お)れわちへ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
英祖(ゑぞ)にや末(すへ)按司(あぢ)添(おそ)い
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
てだが末(すへ)按司(あぢ)添(おそ)い
又 見(み)物の真庭(まみや)に
国(くに)揚(あ)がりは 煽(あふ)らちへ
又 かわるめの 御内(みうち)に
君(きみ)撓(しな)い 煽(あふ)らちへ
又 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぢよ
ゑりちよ 遣(や)り交(か)わちへ
あおりやへ節
[編集]207
一 首里大君(きみ)ぎや
此吉日(ゑか)の 依(よ)り降(お)れや
末(すゑ)にぎやめ
真(ま)強(ぢよ)く ちよわれ
又 鳴響(とよ)む国添(おそ)いぎや
此きらの 憑(つ)き降(お)れや
又 貴(たゝ)み人(きよ)
肝(きも) 満(み)ちへて 遊(あす)で
又 見物(みもん)清(きよ)ら 煽(あふ)らちへ
おぼつ嶽(たけ) 行(よ)きよちへ
又 国(くに)栄(ふさ)い 押(お)し立(た)て
神座(かぐら)杜(もり) 響(ひゞ)ちへ
又 大君(きみ)に よ治(し)られ
てるかはに 宣(の)立(だ)てれ
あおりやへ節
[編集]208
一 首里(しより)大君(きみ)ぎや
首里杜(もり) 降(お)れわちへ
按司(あぢ)添(おそ)いしよ
せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや
真(ま)末(せ) 願(ねが)て 降(お)れわちへ
又 あまみやから
精(すへ)の君(きみ)やれば
又 しねりやから
相手(あいちへ)君(きみ)やれば
又 さしふ 五ころに
見(み)守(まぶ)てす 降(お)れたれ
又 むつき 七ころに
搔(か)い撫(な)でゝす 降(お)れたれ
又 大君(きみ)ぎや 御想(さう)ぜ
てるかはは 宣(の)立(だ)てゝ
首里天尚寧王加那志御代 万暦三拾五年未(ひつゞ)の年拾月己(つちのと)の巳(み)の日(へ)、君手摩(きみてづ)りの百(もゝ)果報事(がほうこと)の時に、首里(しより)大君(きみ)の御前(まへ)より給申 あおりやへ節
[編集]209
一 首里(しより)大君(きみ)ぎや
首里杜(もり) 降(お)れわちへ
按司(あぢ)添(おそ)いしよ
せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む国(くに)添(おそ)いぎや
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 按司(あぢ)添(おそ)いが おより
王(わう)にせが おより
又 きらの数(かず) 降(お)れわちへ
吉日(ゑか)の数(かず) 降(お)れわちへ
又 降(お)られ数(かず) 見守(みまぶ)ら
遊(あす)ぶ数(かず) 見守(みまぶ)ら
首里天尚永王加那志御代 万暦十五年亥(ゐ)の年十月十八日癸(みづのと)の酉(とり)の日(へ)、宣(せ)の君(きみ)の御前(まへ)の憑(か)かり変(か)わり召(め)されし時に給申 あおりやへ節
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一 聞(きこ)へ宣(せ)ん君(きみ)ぎや
成(な)り人(きよ) 降(お)れ栄(ふさ)て
成(な)さい人(きよ)思(も)い王(わう)にせ
せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや
いけな 降(お)れわちへ
又 見物(みもん)内の真庭(まみや)に
遊(あす)で直(なふ)ちへからわ
又 かわるめの真庭(まみや)に
誇(ほこ)て直(なふ)ちへからわ
又 さしふ 五ころに
降(お)れ直(なお)ちへからは
又 むつき 七ころに
見守(みまぶ)てす 降(お)れたれ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
吾(あ)が成(な)さい人(きよ)王(わう)にせ
末(すゑ) 長(なが)く
せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
吾(あ)が成(な)さい人(きよ)王(わう)にせ
尚寧王がなしみ世 万暦卅五年未の年十月十日己の巳の日に、宣(せ)んの君(きみ)の御前(まへ)より給申 あおりやへ節
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一 聞(きこ)へ宣(せ)ん君(きみ)ぎや
末(すゑ) 尋(と)まいて 降(お)れわちへ
按司(あぢ)添(おそ)いに
嶋が命(のち) みおやせ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや
真末(ませ) 願(ねが)て 降(お)れわちへ
又 あまみやから
精(すへ)の君(きみ)やれば
又 しねりやから
相手君(あいちへきみ)やれば
又 さしふ 五ころに
見守(みまぶ)てす 降(お)れたれ
又 むつき 七ころに
搔(か)い撫(な)でゝす 降(お)れたれ
又 大君(きみ)ぎや 御想(さう)ぜ
てるかはは 宣(の)立(だ)てゝ