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シリヤの聖エフレム教訓/第17講話

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第17講話

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<< 節制せっせいこと >>


節制せっせいまもものしんさいわいなり、三倍さんばいしてさいわいなり、いかにとなれば節制せっせいじつおほいなる徳行とくこうなればなり。さりながらきくべし、節制せっせいなにまでおよぶべきか、なにによりておもんぜらるるか、なに要求ようきゅうせらるるか。

それした節制せっせいあり、おほくいはず、むなしきをいはず、したせいして、悪言あくげんせしめず、ことばにて侮辱ぶじょくせず、のろはず、ようなきに空言くうげんをなさず、したせいしてかれこれをそしらず、兄弟けいていせず、みつをあばかず、われらにあづからざること関係かんけいせざるこれなり。またみみにも節制せっせいあり、みみせいして、むなしき風説ふうせつおどろかされざるこれなり。ためにも節制せっせいあり、視覚しかくせいしてまったかいなるも適当てきとうならざるものにはをそそがず、いなこころめてざるこれなり。憤激ふんげき節制せっせいあり、いかりをせいして、にわか立腹りっぷくせざるこれなり。栄誉えいよため節制せっせいあり、おの心神しんしんせいして、さんねがはず、えいもとめず、みづかたかぶらず、尊敬そんけいもとめず、ほこらず、めい妄想もうそうせざるこれなり。思念しねん節制せっせいあり、かみをおそるるのこころもつ思念しねんち、ひといざな煽動せんどうするの思念しねんにかたむかず、これをもつみづかよろこばざるこれなり。しょく節制せっせいあり、みづかおのれせいして、さかんにまうけたる食物しょくもつもしくは高価こうかなるしょくをさがしもとめず、すべててきくらひ、あるい一定いっていかんほかあまきたしむのこころまかせず、しょく渇望かつぼうせず、あるいこれあるいはかれ食物しょくもつねがはざるこれなり。いん節制せっせいあり、みづかおのれせいして、酒宴しゅえんにおもむかず、葡萄ぶどうしゅ快味かいみよろこばず、必要ひつようなくして葡萄酒ぶどうしゅまず、種々しゅじゅ飲料のみものをさがしもとめず、快楽かいらくをあさらざるこれなり。またたくみにあはせたる混合物こんごうぶつをのまず、ただに葡萄酒ぶどうしゅのみならず、あたふべくんばみづさへもしにもちひざるこれなり。欲望よくぼうとよこしまなる奢侈しゃし節制せっせいあり、感覚かんかくせいして、偶然ぐうぜんおこりたる欲望よくぼうをあまやかさず、肉慾にくよくをすすめるる思念おもいにしたがはず、後来こうらいそねみのこころおこさしむべきものをたのしまず、肉身にくしんのぞみをとげしめず、かみをおそるるのこころもつ情慾じょうよくをとどむるこれなり。けだし不朽ふきゅうなる福祉さいわいねがひ、しきもつてこれにむかひすすみて、にくぞくする願望がんぼうけ、淫慾いんよくをきらふこと陰処かげうづもるるもののごとくするものしん節制せっせいするなり、かれ婦人ふじん容顔ようがんるをあいさざるべく、外形がいけいためこころうばはれざるべく、ぼうためまよはされざるべく、嗅官きゅうかんためかいなるものをたのしまざるべく、諛言ゆげんためにとらへられざるべく、婦人ふじんことつつしみなき婦人ふじんとはともらざるべく、おんな会談かいだんながうせざるべし、しんごうかつ節制せっせいにしてかぎりなき安息あんそくためおのれまもものはすべての思念おもい節制せっせいすべく、すべての欲望よくぼうさらにこれにまさるものをねがふとらいおそるるのこころとをもつ制伏せいふくせんとす。