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おもろさうし/第六

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首里大君せんきみ君がなし もゝとふみあがりきみの つんじのおもろ御さうし 天啓三年癸亥三月七日 第六

あぢそいしよよせりが節

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291

一 首里大君(きみ)ぎや
  鳴響(とよ)む国(くに)添(おそ)いが
  国(くに) 栄(ふさ)て ちよわれ
又 京(けお)の内(うち)に もとて
  もちろ内(うち)(に) もとて
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あぢ)添(おそ)い
  成(な)さい人(きよ)思(も)い貴(たゝ)み人(きよ)
又 眼(あまこ) 合(あ)わちへ 並(なら)で
又 御(み)顔(きやう) 合(あ)わちへ 並(なら)で
又 明(あ)けま年(とし) 成(な)らば
又 向(む)かう年(とし) 成(な)らば
又 君手摩(きみてづ)り 誇(ほこ)り
  神(かみ)使(つか)い このめ
又 今日(けお)とまに 依(よ)り降(お)れや
  吉日(ゑか)選(ゑら)びの 依(ゆ)り降(お)れや
又 寄(よ)り満(み)ちへが おより
  せぢ寄(よ)せが なおさ
又 降(お)られ数(かず) 守(まぶ)ら
  遊(あす)ば数(かず) 搔(か)いゑら   

292

一 首里大君(きみ)ぎや
  末(すへ) 選(ゑら)び遣(や)り 降(お)れわちへ
  君(きみ)ぎやせぢ
  もちよる為(な)ちへ みおやせ
又 鳴響(とよ)む国(くに)守(も)りぎや
真(ま)末(せ) 選(ゑら)び遣(や)り 降(お)れわちへ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
  英祖(ゑぞ)にや末(すへ)按司(あぢ)添(おそ)い
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
  てだが末(すへ)按司(あぢ)添(おそ)い
又 見(み)物(もん)内(うち)の真庭(まみや)に
  国(くに)揚(あ)がりは 煽(あふ)らちへ
又 かわるめの 御内(みうち)に
君(きみ)撓(しな)い 煽(あふ)らちへ
又 聞得(きこゑ)大君(ぎみ)ぢよ
  ゑりちよ 遣(や)り交(か)わちへ  

あおりやへが節

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293
一 首里大君(きみ)ぎや
此(こ)の吉日(ゑか)の 依(よ)り降(お)れや
  末(すゑ)にぎやめ
  真(ま)強(ぢよ)く ちよわれ
又 鳴響(とよ)む国(くに)添(おそ)いぎや
  此(こ)のきらの 憑(つ)き降(お)れや
又 貴(たゝ)み人(きよ)
  肝(きも) 栄(は)へて 遊(あす)で
 見(み)物(もん)清(きよ)ら 煽(あふ)らちへ
  おぼつ嶽(たけ) 行(よ)きちへ
又 国(くに)栄(ふさ)い 押(お)し立(た)て
  神座(かぐら)杜(もり) 響(ひゞ)ちへ
又 大君(きみ)に よ治(し)られ
  てるかはに 宣(の)立(だ)てれ  

あおりやへが節

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294

一 首里(しより)大君(きみ)ぎや
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
按司(あんじ)添(おそ)いしゆ
せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや
 真(ま)末(せ) 願(ねが)て 降(お)れわちへ
又 あまみやから
  精(すへ)の君(きみ)やれば
 しねりやから
  相手(あいちへ)君(きみ)やれば
又 さしふ 五ころに
  見(み)守(まぶ)てす 降(お)れたれ
又 むつき 七ころに
  搔(か)い撫(な)でてす 降(お)れたれ
又 大君(きみ)ぎや 御想(さう)ぜ
  てるかはは 宣(の)立(だ)てゝ  

首里天尚寧王がなし之御代 万暦三十五年未(ひつじ)の年十月十日己(つちのと)の巳(み)の日(へ)に、君手摩(きみてづ)りの百(もゝ)果報事(がほうこと)の時に、首里(しより)大君(きみ)の御前(まへ)より給申 あおりやへが節

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295

一 首里(しより)大君(きみ)ぎや
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
按司(あんじ)添(おそ)いしよ
せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む国(くに)添(おそ)いぎや
  真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 按司(あんじ)添(おそ)いが おより
  王(わう)にせが おより
 きらの数(かず) 降(お)れわちへ
吉日(ゑか)の数(かず) 降(お)れわちへ
又 降(お)られ数(かず) 見守(みまぶ)ら
  遊(あす)ぶ数(かず) 見守(みまぶ)ら   

尚永王加那志之御代 万暦十五年亥(ゐ)の年十月十八日癸(みづのと)の酉(とり)の日(へ)に、宣(せ)ん君(きみ)の御前(まへ)の憑(か)かり変(か)わり召(め)され候時に給候 あおりやへが節

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296

一 聞(きこ)ゑ宣(せ)ん君(きみ)ぎや
  成(な)り人(きよ) 降(お)れ栄(ふさ)て
成(な)さい人(きよ)思(も)い王(わう)にせ
せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや
  いけな 降(お)れわちへ
又 見物(みもん)内(うち)の真庭(まみや)に
  遊(あす)で直(なお)ちへからわ
 かわるめの真庭(まみや)に
  誇(ほこ)て直(なお)ちへからわ
又 さしふ 五ころに
  降(お)れ直(なお)ちへからは
又 むつき 七ころに
  見守(みまぶ)てす 降(お)れたれ
又 首里(しより)杜(もり) ちよわる
  吾(あ)が成(な)さい人(きよ)王(わう)にせ
  末(すゑ) 長(なが)く
  せぢ 勝(まさ)て ちよわれ
又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
  吾(あ)が成(な)さい人(きよ)王(わう)にせ   

尚寧王加那志御代 万暦三十五年未(ひつじ)の年(とし)十月十日己(つちのと)の巳(み)の日(へ)に、宣(せ)んの君(きみ)の御前(まへ)より給申候 あおりやへが節

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297

一 聞(きこ)ゑ宣(せ)ん君(きみ)ぎや
  末(すゑ) 尋(と)まへて 降(お)れわちへ
  按司(あんじ)添(おそ)いに
  島(しま)が命(のち) みおやせ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)鳴響(とよ)みぎや
  真末(ませ) 願(ねが)て 降(お)れわちへ
 あまみやから
  精(すゑ)の君(きみ)やれば
又 しねりやから
  相手君(あいちへきみ)やれば
又 さしふ 五ころに
  見守(みまぶ)てす 降(お)れたれ
又 むつき 七ころに
  搔(か)い撫(な)でてす 降(お)れたれ
又 大君(きみ)ぎや 御想(さう)ぜ
  てるかはは 宣(の)立(だ)てゝ  

きみがなしおもろの節

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298

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
  あれあれ 歓(あま)へれ やちよこ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
又 今年(ことし) 果報(かほう)年(とし)
又 今年(ことし) 生(う)まれ年(とし)

きみがなしおもろの節

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299

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
思(おも)う様(や)に げらへ
世の頂(つぢ) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 何時(いつ)む 何時(いつ)む
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

きみがなしおもろの節

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300

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
御(お)肝(ぎも)せぢ 遣(や)りよは
沖縄(おきなわ) 田(た)降(う)り遣(や)り 貢(かない)
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

きみがなしおもろの節

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301


一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
せぢ 栄(はや)しよわば
せぢにす おわめ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

きみがなしおもろの節

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302

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
手(て)持(も)ち縄(なわ) 綯(ぬ)へわちへ
真玉(まだま) 選(ゑら)で 寄(よ)て来(こ)う
貫(ぬ)ちへ みおやせ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

きみがなしが節

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303

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
浦(うら)の数(かず) 添(おそ)う世わ
世の手(て)持(も)ち 前(まへ)に 寄(よ)せわ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

きみがなしが節

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304

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
降(お)れて 降(お)れ栄(ふさ)よわ
成(な)さい人(きよ)思(も)いに
世のせぢ みおやせ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 首里(しより)杜 ちよわる
 成(な)さい人(きよ)思(も)いに
世のせぢ みおやせ

又 真玉(まだま)杜(もり) ちよわる
  成(な)さい人(きよ)思(も)いに
世のせぢ みおやせ
又 神座(かぐら)ぎやで 鳴響(とよ)で
又 おぼつぎやで 鳴響(とよ)で
又 戦(いくさ)せぢ 勝(まさ)りよわ
又 うち揚(あ)がりの 鳴響(とよ)み
又 踏(ふ)み揚(あ)がりの 鳴響(とよ)み

きみがなしが節

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305

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
だにす 鳴響(とよ)みわれ
下司(げす) 真(ま)人
孵(すだ)し遣(や)り ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

きみがなしが節

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306

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
丈(たけ)清(きよ)らやは  酔(え)やちへ
神々(かみかみ) 歓(あま)へる 清(きよ)らや
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 のろのろは 白(しら)腿(もゝ) 成(な)り居(よ)り
又 神々(かみかみ)は 白(しら)腿(もゝ) 成(な)り居(よ)り

きみがなしが節

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307

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
世る杜(もり)に ちよわちへ
島(しま)が老(お)ゑるぎやめ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)

きみがなしが節

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308

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
君(きみ)ぎや祈(いの)る杜(もり)に ちよわちへ
島(しま)が 老(お)ゑ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)  

きみがなしが節

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309

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
おれ 見(み)れ 
想(さう)ぜ 遣(や)り倦(あぐ)で
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 島(しま)中のあす達(た)
又 しゝめきのあす達(た)

きみがなしが節

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310

一 いげり君(きみ)良(よ)しや
  成(な)さい人(きよ)が 御(お)せぢ
  百(もも)按司(あぢ) 立(た)ち合(あ)わん
又 成(な)さいぎや君(きみ)良(よ)しや

きみがなしが節

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311

一 いげり君(きみ)良(よ)しや
  だにす 成(な)さい人(きよ)思(も)い
  唐(たう) 宮古(みやこ)
  京(きや) 鎌倉(かまくら) 適(かな)わせ
又 成(な)さいぎや君(きみ)良(よ)しや

きみがなしが節

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312

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
てるかはは 崇(たか)べて
按司(あんじ)添(おそ)いす
末(すゑ) 勝(まさ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 首里杜(しよりもり)ぐすく
降(お)れ直(なお)ちへからわ
又 真玉杜(まだまもり)ぐすく
降(お)れ直(なお)ちへからわ
又 さしふ 五(いつつ)ころに
  降(お)れ直(なお)ちへからは
又 さしふ七(なゝつ)ころに
 降(お)れ直(なお)ちへからは
又 十(と)百(もゝ)末(すゑ)ぎやめむ

きこゑきみがなしねいしまいしが節

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313

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
島(しま)討(う)ちせの高(たか)や
国(くに)討(う)ちせぢ按司(あぢ)添(おそ)い 
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)ゑ吾(あ)が成(な)さい人(きよ)
又 鳴響(とよ)む吾(あ)が成(な)さい人(きよ)

きこゑきみがなしねいしまいしが節

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314

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
たくだる 下司(げす)の
撃(う)ち遣(や)りさらめ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
たくだる 下司(げす)の

きこゑきみがなしねいしまいしが節

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315

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
降(お)り欲(ぼ)しや ちよわちへ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや

きこゑきみがなしみちやるまさりが節

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316

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
根(ね)石(いし) 真(ま)石(いし)の
有(あ)らぎやめ ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いや  

きこゑきみがなしねいしまいしの節

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317

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
十(と)百(もゝ)度(と) ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)ゑ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あんじ)添(おそ)いや  

きこゑきみがなしねいしまいしの節

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318

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
君(きみ)加那志(がなし) 気(け)合(や)わちへ
大ぐすく 降(お)れわちへ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
  君(きみ)加那志(がなし) 気(け)合(や)わちへ

きこゑきみがなしねいしまいしの節

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319

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
君(きみ)加那志(がなし) 見(み)ちやる 勝(まさ)り
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いや

ねいしまいしの節

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320

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
添(おそ)て 掛(か)けて
凪(とゞ)やけれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いや

きこゑきみがなしねいしまいしの節

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321

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
上(のぼ)て 見(み)ちやる 勝(まさ)り
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 首里杜(しよりもり)ぐすく
又 真玉杜(まだまもり)ぐすく

ねいしまいしの節

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322

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
十(と)百(ひゃく)歳(さ)す ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ按司(あぢ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いや  

大ぐすくおわる世がけにせあぢの節

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323

一 聞(きこ)へ君(きみ)加那志(がなし)
添(おそ)て 揃(そろ)へわちへ
御(お)肝(ぎも)のせぢ し遣(や)り 直(なお)せ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ吾(あ)が成(な)さい人(きよ)
又 鳴響(とよ)む吾(あ)が成(な)さい人(きよ)

きこゑさすかさがつゞみのあぢなりがなしふうくにうちよせるが節

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324

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
此(こ)れど だにの 真(ま)てだやれ
又 聞(きこ)へ按司(あんじ)添(おそ)いや
 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いや
又 筑紫(つくし)ちやら 佩(は)きよわちへ
  治金丸(てがねまる) 差(さ)しよわちへ
又 玉(たま)足駄(あしぢや) 踏みよわちへ

(原注、筑紫ちやらについて、「てかねまる御腰物異名也」)

あおりやへが節

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325

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
百(もゝ)島(しま)の 宝(たから)
積(つ)で みおやせ
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく
又 聞(きこ)へ按司(あんじ)添(おそ)いや
 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いや
  ゑそこ数(かず)
  み御(お)船(うね)数(かず) 押(お)し浮(う)けて

やまぐすくげらへきよらが節

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326

一 君(きみ)加那志(がなし) おもろ為(せ)ば
  世掛(が)けは 成(な)さい人(きよ)が
  按司(あぢ) 添(おそ)う 島(しま)討(う)ち
又 吾(あ)が成(な)さい人(きよ) おもろ為(せ)ば
  世掛(せ)けは

やまぐすくげらへきよらが節

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327

一 君(きみ)加那志(がなし)
  君(きみ)の按司(あぢ)す 知(し)りゆわめ
  上(かみ)下 添(おそ)て
  適(かな)わしよわれ
又 吾(あ)が成(な)さい人(きよ)てだ
  成(な)さい人(きよ)す 知(し)りよわめ
又 沖縄(よきなわ) 夏(なつ) 立(た)てば
  命(ゑのち)神(かみ)使(つか)い
又 鬼(おに)ぐすく 夏(なつ) 立(た)てば
  命(ゑのち)神(かみ)使(つか)い
又 我(わ)が親(おや)国(ぐに) 夏(なつ) 立(た)てば
  命(ゑのち)神(かみ)使(つか)い

きこゑぐしかわが節

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328

一 首里(しより)杜(もり)ぐすく
  君(きみ)加那志(がなし) 手(て)摩(づ)て
  上(かみ)下
  押(お)し合(や)わちへ ちよわれ
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

いとかずおもろの節

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329

一 聞(きこ)こゑ君(きみ)加那志(がなし)
  島(しま) 添(おそ)て ちよわれ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
又 聞(きこ)へ按司(あんじ)添(おそ)いや
又 鳴響(とよ)む按司(あぢ)添(おそ)いや

うちいでは大きみ御まへが節

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330

一 君(きみ)加那志(がなし) 夏(なつ) 立(た)てば
  命(ゑのち)神(かみ) このみしよわちへ
又 我(わ)が大里(ざと) 夏(なつ) 立(た)てば
又 玉(たま)御(み)柄杓(しやく)
又 玉(たま)御(み)ねぶ  

くにのまてだが節

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331

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
  上(かみ)下の大鳴響(とよ)み
又 下の世の主(ぬし)や
又 按司(あぢ)の又(また)の按司(あぢ)や

きこゑさすかさがきみぎやまぶりよわるたゝみが節

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332

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
降(お)れて 鳴響(とよ)ま
又 神座(かぐら)の競(けわ)い
  撓(しな)い やちよこ
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
降(お)れて 鳴響(とよ)ま
又 おぼつの競(けわ)い
  撓(しな)い やちよこ 
又 聞(きこ)ゑ鬼(おに)ぐすく
又 銅(あかがね)添(そ)え鍔(つば)
又 鳴響(とよ)む鬼(おに)ぐすく
又 白金(しろがね)玉纏(たまき)や
又 うち置(お)け うち置(お)け うち置(お)け
又 意地(いじへ)気(き)や 玉纏(たまき)や
又 玉(たま)腰(こし)け うち置(お)け
又 すもりやは けつか

かぐらとよでが節

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333

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
神々(かみかみ)す 浦(うら)の数(かず)
祈(いの)り合(や)ゑて 寄(よ)せれ 
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 いけな君(きみ) 先(さ)き立(た)て
成(な)り人(きよ)神(かみ) いぐまちへ
又 てるかはす
世の結(むす)び 憑(つ)き降(お)ろせ
又 てるしのす
君(きみ)が釘(くぎ) 差(さ)しよわれ
又 首里(しより)杜(もり)親(おや)のろ
なよ笠(かさ)の親(おや)のろ
又 金(かね)杜(もり)の親(おや)のろ
御(み)宣(ぜ)り人(きよ)の親(おや)のろ
又 西(にし)杜(もり)の親(おや)のろ
なよくらの親(おや)のろ
又 ゑそこ 通(かよ)わぎやめ
按司(あぢ)添(おそ)いしよ
よ(世)治(し)りよわれ
神々(かみかみ)す 浦(うら)の数(かず)
祈(いの)り合(や)ゑて 寄(よ)せれ

334

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)加那志(がなし)
いけな 成り変わて
首里(しより)杜(もり) 降(お)れわちへ
成(な)さい人(きよ)思(も)いに
島(しま)が命(いのち) みおやせ 
又 鳴響(とよ)む君(きみ)加那志(がなし)
成(な)り人(きよ) 降(お)れ変(か)わて
真玉(まだま)杜(もり) 降(お)れわちへ
又 さしふ 五ころに
  末(すへ) 尋(と)めて 降(お)れわちへ
又 むつき 五ころに
  見(み)守(まぶ)てす 降(お)れたれ
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い按司(あぢ)添(おそ)い
  およりとて 降(お)れわちへ
吾(あ)が搔(か)い撫(な)で按司(あぢ)添(おそ)い
  見(み)守(まぶ)てす 降(お)れたれ
又 てるかはが 御差(うざ)ししゆ
  此(こ)のきらに 降(お)れわちへ

やまときたらすざべが節

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335

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  けさよりや 勝(まさ)り
  百(もゝ)ぢやらの主(ぬし)てだ
  成(な)りよわちへ
又 君(きみ)踏(ふ)み揚(あ)がりや
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく 

やまたらすざべが節

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336

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  道(みち) 開(あ)けて
  金比屋武(かなひやぶ) 手摩(てづ)て
又 君(きみ)踏(ふ)み揚(あ)がりや
又 聞(きこ)ゑ今歸仁(みやきぜん)に
又 今日(けお)の良(世)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に 

すへのちなうるわしが節

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337

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  降(お)り欲(ぼ)しや 為(し)
  世果報(がほう)愛(かな)し御殿(おどん)
又 君(きみ)の踏(ふ)み揚(あ)がりや
又 今日(けお)の良(ゆ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に

きみがなしが節

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338

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  世添(そ)う杜(もり)に
  友(とも)寄(よ)せ げらへ
又 君(きみ)の踏(ふ)み揚(あ)がりや
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

きこへあらはへが節

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339

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
君(きみ)の踏(ふ)み揚(あ)がりや
  遊(あす)ぶ 清(きよ)らや
又 下(しも)の世の主(ぬし)の
  思(おも)い子(ぐわ)の君(きみ)の
又 我謝(がぢや)の浦神(うらかみ)や
  沖縄(よきなわ) 音(ね) 取(と)て
又 島(しま)中神(かみ)や
  まちらす 音(ね) 取(と)て
又 こくらの神(かみ)の
  こくせの神(かみ)の
又 綾手(あやて) まめがたな
  踊(よ)り手(て) まめがたな 

きみがなしが節

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340

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  てるかはと 行(ゆ)き合(や)て
  世のつほに
  世のつくせ みおやせ
又 君(きみ)の踏(ふ)み揚(あ)がりや
又 首里(しより)杜(もり)ぐすく
又 真玉(まだま)杜(もり)ぐすく

きみがなしが節

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341

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  ゑためとも 愛(かな)しや
又 君(きみ)の踏(ふ)み揚(あ)がりや

きみがなしが節

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342

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  天地(てにち) よためかちへ
  天(あま) 鳴(な)らちへ
  さしふ 助(たす)けわちへ
又 君(きみ)の踏(ふ)み揚(あ)がりや
又 今日(けお)の良(ゆ)かる日(ひ)に
又 今日(けお)のきやかる日(ひ)に

きみがなしが節

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343

一 百度踏(もゝとふ)み揚(あ)がりや
  降(お)れて 遊(あす)びよわれば
  迎(むか)へ誇(ほこ)ら
又 君(きみ)の踏(ふ)み揚(あ)がりや
又 成(な)さの貴(たゝ)み人(きよ)が
  おわるてゝ 知(し)らにや 

かぐらとよでが節

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344

一 聞(きこ)ゑ君(きみ)の頂(つんじ)
  鳴響(とよ)む君(きみ)の王(わう)
  御島(みしま) 降(お)れ直(なお)せ
又 真物内(まもんうち)の御家(みうち)に
  上(あ)がるうち揚(あ)がりや
又 朝凪(あさど)らは 舞(ま)合(や)へて
  夕凪(ようど)らは さりよく
又 さしふ 珍(めづ)らがて
  むつき 掻(か)い撫(な)でわちへ
又 成(な)さい人(きよ)思(も)い 宣(の)立(だ)てゝ
  按司(あぢ)添(おそ)いは 祈(いの)て
又 押(お)し明(あ)け年(とし) 依(よ)り降(お)れや
  直(なお)り年(とし) 依(よ)り降(お)れや
又 大君(きみ)ぎや 持(も)ち成(な)し
  精高子(せだかこ)が 引(ひ)き成(な)し
  国(くに)の根(ね)は 撓(しな)て
  御言(おこと) 合(あ)わしよわちへ
又 厳子(いつこ) 贖(あがな)よわちへ
  くはら 養(やしな)よわちへ
  御島(みしま) 降(お)れ直(なお)ちへ