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死刑宣告/街上の歓声

提供:Wikisource


街上の歓声
萩原恭次郎


誰だ かの雑踏中に
破裂する汽鑵にも似たる喚声に
自らに武装し
短軀を火のやうに怒らし
一集団の中心となりて
街上に声を放ちをる争擾は
冬の夕暮れを
空に抛物線を描いて投ぜられるものは
彼等の靴か! 帽子か!
否! 否! 否!
それは群衆にとりかこまれたる
悲しくも怒りたる一無産者の
憤ろしい砲弾のやうな肉体!
爆ねやうとする
危険なる一無産者の怒り!
彼が絶望と
彼が恐怖の固り!
おゝ そして どつと起りひろがる
群集の 街上の歓声
其は何故の歓声か
其は何故の歓声であるのか
悲しい冬の夕暮れに——



この著作物は、1938年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。