死刑宣告/秋 (萩原恭次郎)
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秋
萩原恭次郎
昨日出獄したSは
「自画像が煙草をふかしてゐる」
自画像は三畳の部屋でポンプのやうに仕事をする!
笑ひは冷い!
夏の日は過ぎて行つた!
誰もみな痩せた顔が日焼けして
ナイフでけづられたやうだ!
何もかも過ぎてゆく!
海を越へた友人からは
便りがない!
忘られゆく僅かなる我等の中へ
君は帰つて来た!
飲み忘れたウヰスキーのやうに——
あゝ 秋は胸の中へ泌みてゆく!
どことなく自嘲の声が泌みてゆく!
真赤に咲いた秋の花のやうに————
我等の胸底は真黄色に砕けゆく————
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この著作物は、1938年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。
この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。