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死刑宣告/プラタヌナの葉のやうに

提供:Wikisource


プラタヌナの葉のやうに
萩原恭次郎


電報通信紙
●●————●●●秋は過ぎる!
恋人の髪の匂ひ!
  今朝も私を抱いた!
———「自殺は罪悪よ!」
———「早く帰つてね。」
———「時計は何故遅く動くの?」
歩道で煙草のヤニが匂ふ!
電車のカーブ!
  子供は葱くさい!
  太陽は果物よりも匂はしい!
私はすつかり墓場を忘れてゐる!
———お嬢さん!
十字架は屋根の向ふに光る!
空は音もなく無限でいゝ!
空気は無信仰の頭を休ませる!
飽くなき安らひを欲する!
何もかも忘れてしまいたい!
私はプラタヌナの葉のやうに無言のまゝ地上であそびたい!



この著作物は、1938年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。