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死刑宣告/コーヒー一杯で午前は終わつた

提供:Wikisource


コーヒー一杯で午前は終つた
萩原恭次郎


疲れた虫が
もの倦い花弁の中を游いでゐる
接吻も飽いた
コーヒー一杯で午前は終つた

天気の悪い日だ
肉体が死を思ふ
肉体のはなれゆく悲哀を
厭しつけるやうな重い憂欝の抱擁でつづけた
女は赤いキモノをつけて笑つてゐた
古びたくつしよんの上で
ピエローは死につゝある

一日は終つた
黄色い電灯が部屋へやつて来た



この著作物は、1938年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。