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や祐天和尚かの累が怨灵（おんれう）のありさま。直（ぢき）に見て ましと仰（おゝせ）られし。よき折から人もなきに御供（とも）仕（し）見（みせ） 参らせんと思ひ。帰りける所に。寺の門外（もんくわい）に意専（いせん） 教傳（きやうでん）殘應（ざんおう）などゝ聞えし。所化衆（しよけしう）五六人並（なみ）居給（ゐたまへ）…

おんまゐ）りあつて然るべく候と、理（り）を責（せ）めて申しければ、いづれも此儀然るべし。さあらばいかにも穏便（をんびん）に如（し）くべからずとて、御輿（おんこし）一挺（ちやう）にて、御道具をも差置（さしお）き、徒立（かちだち）にて御供（おん…

神（しん）に属（ぞく）する人々（ひとびと）も原罪（げんざい）より流（なが）るる試（し）惑（わく）と患難（かんなん）とに属（ぞく）する事（こと）。 >> 一、　すべて霊（れい）智（ち）ある実体（じったい）、即（すなはち）天（てん）使（し）と霊魂（れいこん）と魔鬼（まき）とを造成者（ぞうせいしゃ）は清潔（せいけ…

南（みなみ）へ行（ゆ）けば松本（まつもと）市（し）､ 途󠄁中（みち）の平󠄁岩温泉（ひらいわおんせん）に､ 蓮（れん）華登（げと）山（ざん）の案內（あんない）を､ 雇（やと）ひて躋（よぢ）る絕（ぜつ）頂（ちやう）は､ 海拔（かいばつ）九千と有（いう）餘（よ）尺（しやく）､ 天（てん）狗（ぐ）の淵（ふち）や花󠄁畑（はなばた）に､…

ハリストスの恩寵（おんちょう）と仁（じん）慈（じ）とによりて受（う）くべき天（てん）の幸福（こうふく）を偕（とも）に受（う）けん様（よう）、善行（ぜんこう）を固（かた）く守（まも）り、又（また）罪（つみ）を免（ゆる）されし者（もの）をば其（その）善良（ぜんりょう）なる改…

し彼（かれ）をして聖書（せいしょ）の奥（おく）義（ぎ）を暁（さとら）しめ天（てん）の父（ちち）の鴻恩（こうおん）を得（え）てよくイエスに帰依（きえ）しかぎりなき福（さいわひ）を望（のぞ）ましむること農（のう）夫（ふ）の日々（にちにち）畑（はた）を耕（たがや）し…

山（やま）のおくまで養蠶（やうさん）の ひらけしさまの忙（いそ）がしさ 線（せん）路（ろ）わかれて前橋（まへばし）の かたにすゝめば織物（おりもの）と 製（せい）絲（し）のわざに名（な）も高（たか）き 桐（きり）生（ふ）足利（あしかゞ）とほからず 高崎（たかさき）いでゝ安中（あんなか）の つぎは磯（いそ）部（べ）の温泉（おんせん）塲（ば）…

ほこ）とも、天魔返（あまのさか）ほこともいへり。二神このほこをさづかりて、天（あま）の浮橋（うきはし）の上にたゝずみて、矛をさしおろしてかきさぐり給しかば、滄海（あをうなばら）のみありき。そのほこのさきよりしたゝりおつる潮（しほ）こりて一（ひとつ）の嶋となる。これを磤馭盧嶋（おのごろじま）と云（い）…

半七は先に立って歩いた。お国の菩提寺は、中（なか）の郷（ごう）の普在寺（ふざいじ）であると聞いたのを頼りに訪ねてゆくと、その寺はすぐに知れた。小さい寺ではあるが、門内の掃除は綺麗に行きとどいて、白い百日紅（さるすべり）の大樹が眼についた。入口の花やで要りもしない線香と樒（しきみ）を買って、半七はそこの小娘にそっと訊いた。…

しゆせんぐんのたみは、 いつけういまだごいんのちをしらず、 酔郷氏（すゐきやうし）の国（くに）は、 四時（しいじ）ひとり温和（おんくわ）の天（てん）に誇（ほこ）り、 酒泉郡（しゆせんぐん）の民（たみ）は、 一頃（いつけう）いまだ沍陰（ごいん）の地（ち）を知（し）らず、 酔郷氏之国。四時独誇温和之天。…

思（おも）ひ知（し）られておもしろし、 屋（や）代（しろ）の里（さと）の東（ひがし）北（きた） 千（ち）曲隔（くまへだ）てゝ一里（り）半（はん） 松代町（まつしろまち）ときこえしは 象（しよう）山翁（ざんおう）の故（こ）郷（きやう）なり、 千（ち）曲（くま）に近（ちか）き篠（しの）ノ井（ゐ）を…

し荷物を取候しを追払ひ、荷物を取もとし郷（イウ）人原にておはしませ共、首卅六討捕候旨言上せしかは、即御覧有へき之条首共持て参れよと仰有、茂助おんびんなる体に持出、討捕し弓鉄炮之者たれ〳〵と、仮名実名申上しかは、扨も〳〵仏茂助といはれつる名にしお…

(Unicode番号) ; 異体字の説明。 歩 → 步 (U+6B65) ; 7画目を除いた字形 毎 → 每 (U+6BCF) ; 「毋」の部分が「母」となる字形 郷 → 鄕 (U+9115) ; 幺とおおざとを除いた部分が「漑」のさんずいと旡を除いた部分となる字形 内 → 內 (U+5167) ; 「人」の部分が「入」となる字形…

身放（はだみはな）さず大事に致候宝は御座候。それは御遺置（おんのこしおき）の三枚の御写真にて何見ても楽み候はぬ目にも、是（これ）のみは絶えず眺め候て、少しは憂さを忘れ居りまゐらせ候。いつも御写真に向ひ候へば、何くれと当時の事憶出（おもひだ）し候中に、うつつとも無く十年前（ぜん）の心に返り候て、苦き胸…

つ）取りたるもの數人法皇と贄卓との前に跪（ひざまづ）けり。 　讀誦（どくじゆ）は始まりぬ。（絃歌に先だちて十五章の讀誦あり。壇上に巨燭十五枝（し）を燃やしおきて、一章終るごとに一燭を滅す。）われは心を死せる文字の間に濳むること能はず、魂を彼のミケランジエロが世に罕（まれ）なる丹青の力もて此堂の天井…

すれ）而賸（あまつさへ）朝倉（あさくら）と一身して、我に敵をなし給ふ事恩（おん）を知給はねば腹（はら）を切せ申度存ずれども、公方にて御（おわし）ませば徐置（ゆるしおき）申と而都を除（はらひ）給ふ。其時に比叡山も長袖（ながそで）の身として帰りちやうぎをして我を打んとしける間、さらば山を立間敷と仰有而…

つひに左（さ）遷（せん）と定（さだ）まりぬ 天（てん）に泣（な）けども天（てん）言（い）はず 地（ち）に叫（さけ）べども地（ち）もきかず 涙（なみだ）を呑（の）みて邊（へん）土（ど）なる こゝに月（つき）日（ひ）をおくりけり 身（み）は沈（しづ）めども忘（わす）れぬは 海（うみ）より深（ふか）き君（きみ）の恩（おん） かたみの御（ぎよ）衣（い）を朝毎（あさごと）に…

（こ）の問（とい）安（あん）は何（なに）事（ごと）ならんと思（おも）へり。 三〇 天（てん）使（し）之（これ）に謂（い）へり、マリヤ懼（おそ）るる勿（なか）れ、蓋（けだし）爾（なんぢ）は神（かみ）の前（まへ）に恩（おん）寵（ちょう）を獲（え）たり。 三一 視（み）よ、爾（なんぢ）妊（はら）みて子（こ…

郷（きょう）に在（あ）りては我（われ）らが性（せい）は反対（はんたい）を恐（おそ）るる畏懼（いく）の下（もと）にありて、変化（へんか）と背離（はいり）とを受（う）けざるべし、何（なん）となればすべてに完全（かんぜん）すればなり。此故（このゆえ）に主（しゅ）の命（めい）じ給（たま）ひし…

「半蔵さん、すこしお話がある。一つ片づいて、やれうれしやと思ったら、また一つ宿場の問題が起こって来ました。」 　と言って隣家から訪（たず）ねて来る伊之助を寛（くつろ）ぎの間（ま）に迎えて見ると、東山道通行は助郷人足不参のため、当分その整理がつくまで大坂御番頭の方に断わりを出そうということであった。…