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ん付けだけは全く新しい。何でも古いうちを買って二三日（にさんち）前から開業したに違（ちが）いなかろう。ねだん付の第一号に天麩羅（てんぷら）とある。おい天麩羅を持ってこいと大きな声を出した。するとこの時まで隅（すみ）の方に三人かたまって、何かつるつる、ちゅうちゅ…

為（な）さんを欲（ほつ）し、王（おう）の新（しん）婦（ぷ）たらしめんが為（ため）に自（みづ）からかれを支（し）度（たく）し、かれを汚（お）穢（かい）より清（きよ）め、其（その）汚（お）名（めい）と恥（ち）辱（じょく）とを洗（あら）ひ雪（そそ）ぎて清明（せいめい）なるものとなし、死（し）より蘇（そ）…

真実（しんじつ）なる知（ち）識（しき）の事（こと）、試惑（しわく）の事（こと）、及（およ）び陋劣（ろうれつ）薄弱（はくじゃく）にして学（まな）ばざる人（ひと）のみならず、一（いち）時（じ）無（む）慾（よく）を賜（たま）はり、思（し）想（そう）の有様（ありさま）に於（おい）ては完全（かんぜん）に達（たっ）して、死者（ししゃ…

（いと）完全（かんぜん）なる者（もの）の為（ため）には彼（かれ）は擾乱（じょうらん）の因（いん）とならん。けだし貧者（ひんしゃ）と怠慢（たいまん）者（しゃ）の為（ため）に神（しん）父（ぷ）等（ら）は手工（しゅこう）に従（じゅう）事（じ）すべきを定（さだ）めたれども、緊要（きんよう）なる行（おこない）としたるには非（あら）ず。…

りゃあ、雪さんだって、安穏（あんのん）にいられるわけがないんだ―― と、呟（つぶや）いたが、また、考えて、 ――早まっちゃあ、駄目だよ、初ちゃん、うっかりそんなことをしたところで、もし、雪さんに、あたくしは一々、贔屓のお客の身の上を、しらべておるひまは厶り…

サン　　俺（おれ）が腹（はら）を立（た）ったとなりゃ、忽（たちま）ち（敵手（あひて）をば）眞二（まっぷた）つにしてくれる。 （以下、口合（パンニング）は邦語（はうご）に直譯（ちょくやく）しては通（つう）ぜざれば、意（い）を取（と）りて義譯（ぎやく）す。後段（こうだん）にも斯（か）かる例（れい）しば／＼あるべし。）…

――日本橋、通三丁目の米屋が、打っこわされるそうじゃあねえか――あんまり高価を、ボリゃあがたからだ。ざまあ見ろ！ ――うん、おれッちも、暇がありゃあ、一さわぎ、さわいで来てえがなあ。 そんなことを、道具方が、並べているのだった。 通三丁目の、米屋というのは、長崎屋三郎兵…

っている。私が太子の言を承諾して、しかも実行しなかったのは、深謀遠慮の結果なのだと。 晋では当時范（はん）氏中行（ちゅうこう）氏の乱で手を焼いていた。斉・衛の諸国が叛乱者（はんらんしゃ）の尻押（しりお）しをするので用意に埓（らち）があかないのである。 晋に入った衛の太子は、この国の大黒柱たる趙簡子（…

）衰萎（すいい）せしむるなり而（しか）して意中（いちゅう）に旧見（きゅうけん）が衰（おとろ）ふる時（とき）は、智（ち）は此（これ）らを矯正（きょうせい）してその秩序（ちつじょ）に復（ふく）せしめん』。 又（また）他（た）の神父（しんぷ）は言（い）へり、『爾（なんぢ）の思念（しねん）の差別（さべつ）に…

「それをみんな貰う訳にゃいかないでしょうか」 「みんなですか、それはあまり慾張りたい。君一夫多妻主義（いっぷたさいしゅぎ）ですか」 「多妻主義じゃないですが、肉食論者（にくしょくろんしゃ）です」 「何でもいいから、そんなものは早くしまったら、よかろう」と主人は叱りつけるように言い放ったので、三平君は…

汽（き）笛（てき）の響（ひびき）いさましく　馬（ば）關（かん）を跡（あと）に漕（こ）ぎ出（い）でて　蹴（け）破（やぶ）る荒波（あらなみ）百（ひゃく）海（かい）里（り）　鷄林（けいりん）八道（はちどー）いづかたぞ 日本海（にっぽんかい）の海戰（かいせん）に　大（たい）捷（しょー）得（え）た…

ちゅう）なりし事（こと）にて、氏（し）は訴（うった）えを聞（き）くや半時間（はんじかん）を出（い）でざるに早（はや）くも現場（げんじょう）に在（あ）り、氏（し）の熟練（じゅくれん）したる慧眼（けいがん）は直（ただ）ちに下手人（げしゅにん…

なんぢ聖徒（せいと）と預言者（よげんしゃ）の血（ち）を流（なが）しゝ彼等（かれら）に血（ち）を予（あたへ）て飮（のま）しむ彼等（かれら）は之（これ）を受（うく）べき者（もの）なり 七 我（われ）また聲（こゑ）ありて祭壇（まつりだん）より出（いづ）るを聞（きけ）り曰（いは）く然（しか）り主（しゅ…

ん）の感謝（かんしゃ）の為（ため）に惹（ひき）起（おこ）さるゝ心（こころ）は人（ひと）に神（かみ）の賜（たまもの）を誘引（ゆういん）せん。常（つね）に心中（しんちゅう）に惹起（ひきおこ）さるゝ不（ふ）平（へい）なる思（おもひ）は霊魂（れいこん）に誘惑（ゆうわく）を被（こうむ）らしめん。主（しゅ…

んば、此（こ）の世（よ）の快楽（かいらく）を辞（じ）する充分（じゅうぶん）の理（り）由（ゆう）あらず。 >> 一、　もし誰（たれ）か主（しゅ）のために自己（じこ）に属（ぞく）するものを棄（す）て、此（この）世（よ）を絶（た）ち、世（よ）の快楽（かいらく）と財産（ざいさん）と父（ちち…

ゅす）の四角な片（きれ）をあてて、その真中にある金糸（きんし）の刺繍（ぬい）が、一度に日に浮いた。 　最後に出たものは、全く小（ち）さい。手摺の下から転（ころ）げ落ちそうである。けれども大きな顔をしている。その中（うち）でも頭はことに大きい。それへ五色の冠（かんむり…

　苔（こけ）いちめんに、霧（きり）がぽしゃぽしゃ降（ふ）って、蟻（あり）の歩哨（ほしょう）は鉄（てつ）の帽子（ぼうし）のひさしの下から、するどいひとみであたりをにらみ、青く大きな羊歯（しだ）の森の前をあちこち行ったり来たりしています。 　向（む）こうからぷるぷるぷるぷる一ぴきの蟻（あり）の兵隊（へいたい）が走って来ます。…

（はざま）がぼうと照されて、そこからその異常な光景に昂奮（こうふん）して涙ぐんだ。風のない夜で涼みかたがた見物に来る町の人びとで城跡は賑（にぎ）わっていた。暗（やみ）のなかから白粉（おしろい）を厚く塗った町の娘たちがはしゃいだ眼を光らせた。 今、空は悲しいまでに晴れていた。そしてその下に町は甍（いらか）を並べていた。…

りて爾（なんぢ）の家（いへ）に入（い）らん』〔八節〕。教會（きょうかい）の中（うち）には異（い）邦人（ほうじん）・妖術（ようじゅつ）者（しゃ）・殺人者（さつじんしゃ）・蠱（こ）惑者（わくしゃ）・詭（き）譎（けつ）者（しゃ）・偽（ぎ）善者（ぜんしゃ）も亦（また）入（い）り…

んぜん、さらば世（よ）の快楽（かいらく）は我（われ）らが眼中（がんちゅう）に賤（いやし）んぜらるべく、黙想（もくそう）の不断（ふだん）の寂寥（せきりょう）を病体（びょうたい）に於（おい）て喜（よろこ）んで忍耐（にんたい）せん。巌穴（がんけつ）と地（ち…