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ぎつね）はあたりまへの狐（きつね）でなくて、寶珠（はうじゆ）の玉（たま）を口（くち）にくはへて居（ゐ）ました。 『お前（まへ）さんがお稻荷（いなり）さまですか。』 と父（とう）さんがその狐（きつね）にきいて見（み）ました。さうしましたら白狐（しろぎつね）の答（こた）へるには、…

[訓読]万代に見とも飽かめやみ吉野のたぎつ河内の大宮所 [仮名]よろづよに みともあかめや みよしのの たぎつかふちの おほみやところ [左注]なし [校異]歌 [西] 謌 [西（訂正）] 歌 [事項]雑歌 作者：笠金村 吉野 行幸 宮廷讃美 神亀２年５月 年紀 地名 [訓異]よろづよに,[寛]よろつよに, みともあかめや[寛]…

めかしき女（をんな）、不思議（ふしぎ）と思（おも）へば不思議（ふしぎ）さ限（かぎ）りなく、あの愛（あい）らしき眼（め）に世（よ）の中（なか）を何（なん）と見（み）てか、人（ひと）じらしの振舞（ふるま）ひ理由（わけ）は有（あ）るべし、我（わ）れ夢（ゆめ）さら戀（こひ）なども厭（い）やらしき心（こヽろ…

かぎ）れるものと定（さだ）め、我家（わがや）のほかに天地（てんち）のなしと思（おも）はゞ、はかなき思（おも）ひに胸（むね）も燃（も）えじを、暫時（しばし）がほども交（まじは）りし社會（しやくわい）は夢（ゆめ）に天上（てんじやう）に遊（あ…

つねはいとひろきも。せばく所なき心ちして。くるまにさしいりたる日のあしもまばゆければ。あふぎしてさしかくし。とかくゐなをりなどしつつ。ひさしくまつもくるしうあせがましかりしを。けふはいととくいそぎいでて。うりう（雲林）院。ちそく院などのほどにたてるに。よきくるまどものかぎ…

。これはみろくぼとけの出給はんよにとり出たてまつらんとする經なり。天人つねにくだりてくやうし奉るといふ。げに見奉れば。この世ににたる所にもあらず。そとばのこけにうづもれたるなどあり。かたはらにわうじのいはやといふあり。たゞ松のかぎりある山也。その中にいとこきもみぢどもあり。むげに神の山と見ゆ。…

答　此（この）『地（ち）』と申（もう）しまする言（ことば）には二つの意味（いみ）が有（あ）るので御座（ござ）います、一（ひとつ）は永遠（えいえん）限（かぎ）りなき神様の国のお惠（めぐみ）のことで、他（た）は此（この）世（よ）の種々（いろいろ）なる喜（よろこび）と幸（さい…

かみのことごと つがのきの いやつぎつぎに あめのした しらしめししを [めしける] そらにみつ やまとをおきて あをによし ならやまをこえ [そらみつ やまとをおき あをによし ならやまこえて] いかさまに おもほしめせか [おもほしけめか] あまざかる ひなにはあれど いはばしる あふみのくにの ささなみの…

う是（これ）のみにあらず爾（なんぢ）と我（われ）の間（あひだ）に限（かぎれ）る大（おほひ）なる塹（ほり）ありて彼此（かれこれ）往（ゆき）来（き）すること能（あた）はずと　蓋（けだ）し天國（てんこく）と陰（いん）府（ふ）とは両（ふたつ）ながら相（あひ）隔（へだた）り善者（ぜんしゃ）は悪人（あくにん）を…

あまぐもの　　　ゆき過ぎかねて　　　さまよひぬ あなうのよ　　　あはれ我が身を　　　かぎろふの 夢かうつゝか　　　なぞもつれなき 　浪のまに風まつ舟のいでていなばあはれつれなき人はいかゞせむ 混本歌　失レ心人爲二題詠一耳。 いはのうへにねざす松かへと思ひしを あさがほの夕かげまたずうつろへるかな 凡諸詠有二八階一。…

かぎ）りなき幸福（こうふく）のことを考（かんが）へて常（つね）に心（こころ）を立派（りっぱ）に持（も）って行（ゆ）くことが出来（でき）るので御座（ござ）います、其（それ）で御座（ござ）いますから私（わたくし）共（ども）は起（お）くるにも寝（ね）るにも常（つね…

と見つゝ。つなで引すぐるほど。かへりみのみせられてあかずおぼゆ。冬になりてのぼるに。おほえ（[津イ]）と云うらに舟にのりたるに。その夜雨風いはもうごくばかりふりふゞきて。神さへなりてとゞろくに。浪の立くるをとなひ。風の吹まどひたるさま。おそろしげなること。いのちかぎりつと思ひまどはる。をかのうへに舟をひきあげて夜をあか…

第（だい）二、 即（すなは）ち大罪（だいざい）の爲（ため）に受（う）くべき限（かぎり）なき罸（ばつ）の代（かはり）に、有限即（いうげんすなは）ち限（かぎり）ある罰（ばつ）が常（つね）に殘（のこ）る。夫（それ）で之（これ）を償（つぐの）ふには聽罪師（てうざいし）より命（めい）ぜられる償（つぐのひ）を命（めい）ぜられ…

あ）ぐる詞（ことば）の添（そ）へて御座（ござ）いまするのは何（なん）の為（ため）なので御座（ござ）いますか。 答　其（それ）は第一に私（わたくし）共（ども）が天（てん）に在（ましま）す神様に此（この）言（ことば）を以（もつ）て尊敬（うやまひ）を表（あらは）し、第二には神様の限（かぎ…

つね）にその処（ところ）に往（ゆ）くことを得（え）ん 4 主（しゅ）われを救（すく）はんとて聖勅（みことのり）を出（いだ）し給（たま）へり。主（しゅ）は我（わ）が磐（いわ）わが城（しろ）なり 5 我（わ）が神（かみ）よ。悪（あ…

[題詞]泉河邊間人宿祢作歌二首 [原文]河瀬 激乎見者 玉藻鴨 散乱而在 川常鴨 [訓読]川の瀬のたぎつを見れば玉藻かも散り乱れたる川の常かも [仮名]かはのせの たぎつをみれば たまもかも ちりみだれたる かはのつねかも [左注]（右柿本朝臣人麻呂之歌集所出） [校異]歌 [西] 謌 [西（訂正）] 歌 /…

かぎりなきさいわひ）を享（うく）ることを明（あか）せるなり　二（に）千（せん）の金（きん）を獲（う）るものと五（ご）千（せん）の金（きん）を獲（う）るものと一律（おなじやう）に賞（ほうび）を得（え）て高（かう）下（げ）を分（わかつ）ことなきは銘々（めいめい）あらん限（かぎ…

あ）る訳（わけ）はないので御座（ござ）います、其（それ）でありまするから若（も）し聖書（せいしょ）に其様（そん）な言（ことば）が御座（ござ）いましたならば其（その）言（ことば）は決（けっ）して通常（つね）の意味（いみ）ではなく或（ある）高尚（たか）い意味（いみ）に解（と）き明（あか…

かぎりはみなしたり。樋洗の二人ととのひたるさまぞさとびたりと、人ほほ笑むなりし。はてに、藤宰相の、思ひなしに今めかしく心ことなり。かしづき十人あり。又廂の御簾下ろして、こぼれ出でたる衣の褄ども、したり顔に思へるさまどもよりは、見どころまさりて、火影に見えわたさる。 　寅の日の朝、殿上人参る。つね…

こひをしすれば つねのおびを みへむすぶべく あがみはなりぬ [左注]右二首 [校異]なし [事項]相聞 恋情 失恋 遊仙窟 [訓異]ふたつなき,[寛]ふたなみに, こひをしすれば,[寛]こひをしすれは, つねのおびを,[寛]つねのおひを, みへむすぶべく,[寛]みへにゆふへく, あがみはなりぬ,[寛]わかみはなりぬ…