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検索結果

  • 真昼 (カテゴリ 日本近代文学)
    目がさめた。ウーンと、睡り足りた後快い伸びをすると、手足下、背中下で、砂が―真白な花珊瑚(さんご)屑がサラサラと軽く崩れる。汀(なぎさ)から二間と隔たらない所、大きなタマナ樹茂み下、濃い茄子(なす)色中で私は昼寝をていたのである。頭上枝葉はぎっしりと密生(こ)んでいて、葉洩日もほとんど落ちて来ない。…
    11キロバイト (2,262 語) - 2023年7月29日 (土) 05:18
  • 出来る場所であり、透きとおるような冷い水に素足を浸して見ることも出来る場所であった。げんがその川岸から拾い集めた小石で茄子なぞを漬けることを楽みに思ったは、新や三吉や婆やを悦ばせたいばかりでなく、その好い色に漬かったやつを同じ医院患者仲間に、鼻悪い学校先生にも、唖(
    101キロバイト (20,958 語) - 2019年9月29日 (日) 04:46
  • ふるさと (島崎藤村) (カテゴリ 日本小説)
    )をたいて呉(く)れました。それから茄子(なす)味噌汁(おみおつけ)をもこらへまして、別(わか)れに御馳走(ごちさう)て呉(く)れました。藁(わら)で編(あ)んだ莚(むしろ)敷()いてある爐邊(ろばた)で、數衛(かずゑ)らへて呉(く)れた味噌汁(おみおつけ)は茄子(なす)
    284キロバイト (45,267 語) - 2019年9月29日 (日) 04:51
  • 幼き日 (ある婦人に与ふる手紙) (カテゴリ 日本小説)
    て、その度に堪へ難い侮辱(はづかしめ)を感じて居りました。で、隱れるやうにして家まで歩きました。丁度父親も家に居る時で、例油染みた髮結道具などが爐邊に置いてあつたかと覺えて居ます。人達は非常に喜びまして、私ために鍋で茶飯を煮(た)いて呉れました。私が茄子
    133キロバイト (28,873 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  • したものは、薹(とう)が立つて、うすむらさきの花をつけてゐた。茄子科に属する葉煙草は、花も茄子の花によく似てゐる。二人は、葉を痛めないやうにと心を配りながら、芽を摘み枝をもぎとつた。かうしなければ成熟期がくれる。葉はさくいため、注意をてゐても、身体がちよつと触れるといふやうなことで、その先端が折…
    488キロバイト (100,873 語) - 2019年10月21日 (月) 00:51
  •  隠れたところに働く家族さまが、この普請場奥にひらけていた。味噌納屋(みそなや)前には襷(たすき)がけ手ぬぐいかぶりで、下女たちを相手に、見た目もすずしそうな新茄子(しんなす)を漬(つ)けるまんがいる。そのそばには二番目宗太を抱いてやる民がいる。まんが漬け物桶(け)上で、茄子の
    704キロバイト (133,425 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • 山陰土産 (カテゴリ 日本小説)
    茄子向うには遠く鷄聲を聞く。その邊赤さは驚くばかりだ。日あたつた赤い茄子畠は繪にでもしたらと思ふばかりに美しい。苔蒸した坂道に添うて楓多い小山に出ると、さゝやかな枝折戸がある。今主人はそこに草履などを用意
    158キロバイト (34,214 語) - 2019年9月29日 (日) 05:09
  •  ある日の夕方、三吉は台所の方へ行って尋ねた。延は茄子(なす)皮を剥(む)いていた。 「姉様かな、未だ帰って来ないぞなし」と延は流許(ながしもと)に腰掛けながら答えた。  一寸俊は自分家まで行って来ると言って、出た。帰りが遅かった。 「何とかお前に云ったかい」と叔父が心配そうに聞いた。  
    483キロバイト (94,851 語) - 2022年9月18日 (日) 11:16
  • 子の母であった。もっとも、五人うち、男の子の方は長男宗太に、妻籠里方へ養子にやった次男正己(まさみ)。残る三人は女の子で、姉娘のおほかには、さきに次女のお夏をうしない、三女に生まれた毬(まり)という子もあったが、これも早世した。どうか
    622キロバイト (119,815 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • 家 (島崎藤村) /上 (カテゴリ 日本小説)
    薬だが、飲めッて」 「ええ、男子(とこ)にも血が起るということは有るで」  こう言って、種は出て行った。やがて橋本付いた夏羽織と、薬草袋と、水とを持って来た。紅いサフラン花弁(はなびら)は、この家で薬客に出す為に特に焼かした茶椀中へ浸して、それを弟に勧める。…
    437キロバイト (86,210 語) - 2022年9月18日 (日) 11:16
  • ドグラ・マグラ (カテゴリ 日本小説)
    都に帰って来ると、そのお土産風景絵巻が、頗(すこぶ)る天子の御意(ぎょい)に召て、御機嫌斜(ななめ)ならず、芸術家として無上面目を施した上に、黛子(たいこ)さんという別嬪(べっぴん)妻君を貰った。おまけにチョウド水入らずで暮せるような、美しい庭付き小ヂンマリした邸宅を拝領したり
    1.34メガバイト (257,350 語) - 2023年10月17日 (火) 13:34
  • 御吟味厳しく、何れも仰山に召捕られ入牢す。至つて騒々しき有様なり。【近江凶作】近江は深田多き国なるに、当年雨続きにて植付も成難く、植付けぬるも水りになりて程よく成難く、其上湖水水常よりも四五尺高くして、植出しも成難き上に、水溢れて近辺田地を浸し、近年【…
    85バイト (17,650 語) - 2024年3月24日 (日) 09:44
  • 茄子(なす)露、南瓜(とうなす)煮付を馳走振(ちそうぶり)に勧めてくれた。いずれも大鍋(おなべ)にウンとあった。私達は各自(めいめい)手盛でやった。学生は握飯、パンなぞを取出す。体操教師はまた、好きな酒を用意て来ることを忘れなかった。  この山
    282キロバイト (56,209 語) - 2021年5月19日 (水) 16:05
  • 「お前、煙草水をやつといておくれ。おれ、ちよつと森口さんところへ行つて來るから。――父つあんは茄子の種播きなんだ。」 彼は妹手甲、脚絆身仕度に氣附いた。 「あ、どこかへ行くんだつたかい?」 「わたし、山さ行つて粗朶を少し集めて來ようと思つて……。」 「ひとりでかい。」 「いいえ、道と。」…
    805キロバイト (171,063 語) - 2019年10月21日 (月) 00:52
  • 好い声で下にいる大勢顔を見渡す光景方がよっぽど面白かった。下からはまた二十本も三十本もの手を一度に挙(あ)げて、みんな仙太郎さん方を向きながら、ろんじだがれんだという符徴(ふちょう)を、罵(るように呼び上げるうちに、薑(しょうが)や茄子(なす)や唐(とう)茄子の
    181キロバイト (35,520 語) - 2021年5月13日 (木) 16:06
  • 南国太平記 (カテゴリ 日本近代文学)
    紐を解いた。  由羅が入ると、青い衣をつけた、三十余り侍が、部屋隅から、御辞儀をて 「用意、ととのうております」  部屋真中に、六七尺幅、三角形護摩壇が設けられてあった。壇上三門と称されている、その隅々に香炉が置かれ、茅草を布いた坐るところ右に、百八本護摩木――油浸しにした乳木と、段木とが置かれてあった。…
    1.47メガバイト (284,070 語) - 2023年11月2日 (木) 05:59
  • 行人 (カテゴリ 日本小説)
    貞さん結婚問題を持ち出した。 「僕はあなた親類だと思ってやしません。あなたのお父さんやお母さんに書生として育てられた食客(しょっかく)と心得ているんです。僕地位だって、あのお兼だって、みんなあなた御両親のお蔭(かげ)でできたんです。だから何か御恩返しを
    761キロバイト (147,307 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • の顔も見たかった。しまいには畠山(はたけやま)の城址(しろあと)からあけびと云うものを取って来て瓶(へい)に挿(はさ)んだ。それは色褪(さ)めた茄子(なす)色をていた。そうしてその一つを鳥が啄(つつ)いて空洞(うつろ)にしていた。――瓶に挿(さ)す草と花がしだいに変るうちに気節はようやく深い秋に入(い)った。…
    207キロバイト (40,023 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  • 命期集 (カテゴリ 日本近世文学)
    青竹こつゝ皿に一このわた  一御飯   御二杉にて枝折桃を曲げ候木具、  かく皿に一石鰈御焼盛  染付皿に一酒すし生薑細く切りて一御汁  一香の物瓜漬  茄子漬  大根漬  杉にて沢潟曲重箱一御引さい塩鱒焼物  鰤焼きて  鰈・蒲鉾     御肴 一、鳥ひほ 一小鮒吸物 一たいらき小串 一海松食(みるくい)吸物…
    3キロバイト (43,764 語) - 2023年11月13日 (月) 09:44
  • 命期集/国史研究会 (カテゴリ 日本近世文学)
    御殿を建て置かれ、御出で遊され、淸水に酒を浸し、涼々たる山風に暑︀さを御忘れ、又は御川狩とて、御領中在々迄も出でさせられ、川勝負に逍遙給ふに、時移るを知り給はず、秋にもなれば、殘る暑︀さ御慰、漸々秋闌けて、草葉露も物哀れに、木々梢も色附けば、紅葉を眺め、盛時もあり
    199キロバイト (44,868 語) - 2024年5月11日 (土) 10:02