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  • だの?……だって先生がそう言ったよ、六さんは空を飛ぶ積りで天主台の上から飛だのだって。いくら白痴(ばか)でも鳥の真似をする人がありますかね」と言って少し考えて「けれどもね、お前は死だほうが可いよ。死だほうが幸福(しあわせ)だよ……」 私に気がつくや、 「ね、先生。六は死
    25キロバイト (5,072 語) - 2021年8月31日 (火) 22:24
  • したばかりで、役(やく)に立(た)たねえ不具者(かたわもの)という飛(と)だ不幸(ふしあわせ)な人間(にげん)になり下(さが)ってしまったんですが、此奴(こいつ)が直(す)ぐにまた引(っ)くら返(かえ)って幸福(しあわせ)の種(たね)となった、――いや、表面(うわべ)ばかりの幸福(こうふく)だ…
    611キロバイト (98,208 語) - 2023年5月1日 (月) 15:22
  • 赤い頭巾(ずきん)を冠せた乳呑児を負いまして、鼠色の脚絆(き)に草鞋穿(わらじばき)、それは旅疲(たびやつれ)のしあわれな様子。奥様は泣腫(はら)した御顔を御出しなすって、きょうの御祝の御余(おあまり)の白米や金銭(おかね)をこの女に施しておやりなさるところでした。奥様が巡礼を御覧なさる目…
    129キロバイト (24,703 語) - 2019年9月29日 (日) 05:15
  • のしめやかさであるが、軒のしずくは、ようやく繁(しげ)く、ぽたり、ぽたりと耳に聞える。立て籠(こ)められた湯気は、床(ゆか)から天井を隈(くま)なく埋(うず)めて、隙間(すきま)さえあれば、節穴(ふしあな)の細きを厭(いと)わず洩(も)れ出(い)でとする景色(けしき)である。…
    315キロバイト (58,693 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • かぽかなぐる。おれも同時に野だを散々に擲き据えた。しまいには二人とも杉の根方にうずくまって動けないのか、眼がちらちらするのか逃げようともしない。 「もうたくさんか、たくさんでなけり、まだ撲(なぐ)ってやる」とぽかぽかんと両人(ふたり)でなぐったら「もうたくさんだ」と云った。野だに「貴様もたくさ…
    318キロバイト (59,334 語) - 2023年10月17日 (火) 13:42
  • か)の間天狗が御仏(みほとけ)の形となって、白毫光(びゃくごうこう)を放ったとある。また仏眼寺(ぶつげんじ)の仁照阿闍梨(にしょうあざり)を日毎に凌(りょう)じに参ったのも、姿は女と見えたが実は天狗じゃ。」 「まあ、気味の悪い事を仰有(おっし)います。」  御姫様は元より、二人の女房も、一度にこ…
    148キロバイト (28,353 語) - 2019年9月29日 (日) 05:32
  • まんざら)人の注意を惹()かぬ獅鼻(ししばな)とも思われない。女はしきりに喋舌(しべ)っているが相手の声が少しも聞えないのは、噂(うわさ)にきく電話というものであろう。「御前は大和(やまと)かい。明日(あした)ね、行く
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • べ)り出しては止度(とめど)なく、滔々蕩々(とうとうとうとう)として勢い百川(ひゃくせん)の一時に決した如くで、言損じがなければ委(たる)みもなく、多年の揣摩(ずいま)一時の宏弁(こうべ)、自然に備わる抑揚頓挫(とんざ)、或(あるい)は開き或は闔(と)じて縦横自在に言廻わせ
    429キロバイト (83,606 語) - 2023年10月20日 (金) 13:54
  •  とお民は言って見せた。  寛(くつろ)ぎの間(ま)に脚絆(き)を解いた半蔵は、やっぱり名古屋まで行って来てよかったことを妻に語り始めた。そこへ継母のおまんも半蔵の話を聞きに来る。この旅には名古屋まで友人の香蔵と同行したこと、美濃尾張方面の知己にもあうことができて得(う…
    648キロバイト (123,779 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • くまもと)の暴動となり、かつては維新の大業をめがけて進だ桐野利秋(きりのとしあき)らのごとき人物が自ら参加した維新に反して、さらに新政の旗をあげ、強い武力をもってするよりほかに今日を救う道がないとすると聞くようになって、つくづく彼はこの維新の成就さるる日の遠いことを感じた。…
    731キロバイト (142,362 語) - 2019年9月29日 (日) 05:05
  • 「母上(おっか)さん。貴女(あなた)は何故(なぜ)そんなことを急に被仰(おっし)るのです」と自分は思わず涙を呑(の)だ。 「急に言ったのが悪けり謝(あや)まります。そうだったね、一年前位に言ったらお前達も幸福(しあわせ)だったのに」 何という皮肉の言葉ぞ、今の自分ならば決然(きっぱり)と、…
    91キロバイト (18,074 語) - 2021年8月31日 (火) 22:41
  • 有名和蘭(オランダ)医師高野長英(たかのちょうえい)が姓名を変じて青山百人町(あおやまひゃくまち)(現今の南町(みなみまち)六丁目)に潜(そ)み、捕吏(とりかた)に囲まれて自殺したのは、嘉永(かえい)三年十月の晦日(みそか)である。その翌年の四月、この「半七捕物帳」で云えば、かの『大森の鶏』の一件から三月の後、青山…
    74キロバイト (14,859 語) - 2019年2月27日 (水) 14:45
  •  例の裏二階で、吉左衛門はおまんを呼だ。衣服なぞを取り出させ、そこそこに母屋(もや)の方へ行くしたくをはじめた。 「肩衣(かたぎぬ)、肩衣。」  とも呼だ。  そういう吉左衛門はもはやめったに母屋の方へも行かず、村の衆にもあわず、先代の隠居半六が忌日のほかには墓参りの道も踏まない人である。めずらしくもこの
    622キロバイト (119,815 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • ―藤尾と約束をした小野さんは、こんな風に約束を破る事が出来たら、かえって仕合(しあわせ)かも知れぬと思いつつ煙草の煙を眺めている。それに浅井の返事がまだ来ない。諾(だく)と云えばどっちへ転んでも幸(さいわい)である。否()と聞くならば、退(の)っ引(ぴ)きならぬ瀬戸際(せとぎわ)まであらかじめ押し…
    711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • 之(よりゆき)の三人がある。妹(いもと)には稲葉一通(かずみち)に嫁した多羅姫(たらめ)、烏丸(からすまる)中納言(ちゅうなご)光賢(みつかた)に嫁した万姫(まんめ)がある。この万姫の腹に生まれた禰々姫(ねねめ)が忠利の嫡子光尚の奥方になって来るのである。目上には長岡氏を名のる兄が二人、前野…
    94キロバイト (19,001 語) - 2021年5月20日 (木) 17:17
  • 「ときに、そなたは、うけたまわれば、お独り身じゃそうなが――」 「はい、不しあわせな身の上でござんして、良人に死にわかれてましてから、もう長らく、淋しく暮しております――」 お初、心の中で、嗤(わら)っている。 ――よくまあ、口が裂けないもんだねえ。自分ながら、出鱈目ばかりいっているのには呆れてしまう。…
    86キロバイト (16,141 語) - 2019年9月12日 (木) 12:49
  • 実で、森枳園が記述に与(あずか)ったことは既にいえるが如くである。抽斎の考証学の一面はこの二書が代表している。徐承祖(じょしょうそ)が『訪古志』に序して、「大抵論繕写刊刻之工(たいていはぜんしんこくのこうをろじ)、拙於考証(こうしょうにつたなく)、不甚留意(はなはだしくはりゅういせず)」といっ…
    642キロバイト (126,753 語) - 2022年3月23日 (水) 18:11
  • 、四角な字を入れた整わない候文(そうろうぶん)で、「御祖母様(おばばさま)が雨がふっても風がふいても毎日毎日一日もかかさず御しか様へ御詣(おまいり)を遊ばす御百度(おひゃくど)をなされ御父様の御病気一日も早く御全快を祈り遊ばされまた高田の御伯母(おんおば)様どこかの御宮へか御詣り遊ばすとのことに御…
    207キロバイト (40,023 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  •             は隠れています。 5150 それをちょっとお見附(みつけ)なさる方はお為合(しあわせ)です。 夏のおとないが知れて、 薔薇の莟(つぼみ)に火が附く時、この為合(しあわせ)が なくて好(よ)いとは、どなたも仰りますまい。 誓いますこと、またそれを果しますことが、 5155 花の国では一様に…
    1.06メガバイト (154,483 語) - 2023年10月22日 (日) 05:06
  • この漠然(ばくぜん)たる松本がまた口を開いた。 「それでも田口が箆棒(べらぼう)をやってくれたため、君はかえって仕合(しあわせ)をしたようなものですね」 「なぜですか」 「きっと何か位置を拵(こし)らえてくれますよ。これなりで放っておき
    677キロバイト (132,287 語) - 2022年4月2日 (土) 11:15
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