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- 其の日は晝下りから冬の陽の衰へた薄日も射さなかつた。雪こそは降り出さなかつたが、その灰色をした雪雲の下に、骨を削つた樣な擽や樫の木立は、寒い木枯(コガラシ)に物凄い叫びをあげてゐた。 それは冬になつてからの初めての寒い日で、その忍從な母親にもあてのない憤りを起させる程の寒さだつた。彼女には實際その打つて…12キロバイト (2,849 語) - 2023年12月26日 (火) 23:47
- 月󠄁から 作者:新美南吉 1931年9月 底本:『校定 新美南吉全集 第8巻』大日本図書、1981年。 月󠄁(つき) から 月󠄁(つき)からきたねこ、 屋根(やね)にゐる。 屋根(やね)からしつぽをおつたてる。 月󠄁(つき)からきたとり、 うろにゐる。 うろからそちこちどなつてる。 月󠄁(つき)から來(き)た人(ひと)、…482バイト (277 語) - 2019年9月23日 (月) 13:59
- しかし、いま私の話は静かな山径の方をえらばなければならない。 吊橋を渡ったところから径は杉林のなかへ入ってゆく。杉の梢(こずえ)が日を遮(さえぎ)り、この径にはいつも冷たい湿っぽさがあった。ゴチック建築のなかをたどってゆくときのような、ひしひしと迫って来る静寂と孤独とが感じられ…7キロバイト (1,484 語) - 2021年12月11日 (土) 23:41
- てゐた民哉が、たゞお兼の豫期に反した結果のみが次々に曝露されていつたのであつた。 その年の六月の入學試驗に合格した民哉の得意な態度が先づ彼女の神經に觸れた。お兼とても民哉の合格したことでは人一倍嬉しいにはちがひなかつたが、民哉が高等學校へ入つたことを鼻にかけてゐるらしいその態度の安っぽ…35キロバイト (7,864 語) - 2021年8月31日 (火) 22:27
- からです。私は両方共わかつてゐるといふのは両方とも知らないのだと反省しないではゐられませんでした。便りにしてゐたものが崩れてゆく何とも云へないいやな気持です。Aの両親さへ私にはそつぽを向けるだらうと思ひました。一方の極へおとされて…32キロバイト (7,119 語) - 2021年9月8日 (水) 07:59
- 彼は兩親から金を持つことを許されてゐないのであつた。どうして奎吉がそんな破目になつたかと云へば、それは彼の樣な性格の人間には當然な經緯(いきさつ)の結果なのである。 ――彼は二度續けて落第したため、最近迄籍をおいてゐた高等學校を追はれた。 あらゆる德目と兩立しない欲望が、又しても又しても彼のちつぽ…10キロバイト (2,457 語) - 2021年8月31日 (火) 22:18
- も、真蒼(まつさを)な前肢で、しかつめらしく綿を踏(ふん)まへてゐる。 生徒は私にカメレオンを渡して了ふと、それ以上私の前に立つてゐるのを羞(はづか)しがるやうに、ぴよこんと頭を下げてから行つて了(しま)つた。 職員室へ持つて行つてから、始めて、飼育の困難に気がついた。学校には温室がない。取敢(と…62キロバイト (12,617 語) - 2021年8月31日 (火) 22:09
- から眼を放して代助に移した時、ぽうと頬を薄赤くした。 「あの時分の事を考えると」と半分云って已(や)めた。 「覚えていますか」 「覚えていますわ」 「貴方は派手な半襟を掛けて、銀杏返(いちょうがえ)しに結っていましたね」 「だって、東京へ来立(きたて)だったんですもの。じき已めてしまったわ」…576キロバイト (115,998 語) - 2023年10月21日 (土) 14:06
- 『ナポレオン』(なぽれおん) 作者:中島敦 底本:1994年7月18日岩波書店発行『山月記・李陵 他九篇 中島敦作』 「ナポレオンを召捕りに行くのですよ」と若い警官が私に言った。パラオ南方離島通いの小汽船、国光丸の甲板の上である。 「ナポレオン?」 「ええ、ナポレオンですよ」と若い警察官は私の驚…24キロバイト (4,838 語) - 2021年8月31日 (火) 22:10
- てあつたが、私はいまでもそこに植え〔ママ〕られてあつた椿の木のあの光澤(つや)やかな厚い葉の茂りを思ひ出す。その暗い葉の陰に、私は紅い椿の花を點じや(よ)う。 然しその花もその道端では決して眞紅な色には咲き出ない、ぽったり地に落ちたりしない、その町並みにあるものみなはみなすがれた淋しい色しか持つてゐなかつたのだ、…15キロバイト (3,494 語) - 2021年8月31日 (火) 22:39
- て腹が立つ。良心的に安っぽく安心しており、他にも安心させるだけ、一層けしからぬのだ。弁護もしなければ反駁(はんばく)もせぬ。心中、反省もなければ自責もない。丞相公孫賀のごとき、その代表的なものだ。同じ阿諛(あゆ)迎合を事としても、杜周(最近この男は前任者王卿(おうけい)を陥れて…114キロバイト (22,639 語) - 2021年8月31日 (火) 22:25
- 経つくゑ (カテゴリ 青空文庫からインポートしたテキスト)から葉(は)から堀(ほり)かへして百年(ねん)千年(ねん)むかしの人(ひと)の心(こヽろ)の中(なか)まで解剖(かいばう)する世(よ)に、これを職掌(しよくしよう)の醫道(いだう)の妙(めう)にも我(わ)が天授(てんじゆ)の齡(よは)ひは何(ど)うもならず、學士(がくし)札幌(さつぽ…48キロバイト (8,071 語) - 2023年10月17日 (火) 13:48
- を眺めた。それを見ると三吉は、はらはらした。近所にいたものも、両方を見較(みくら)べて笑っていた。その視線が三吉には、彼自身の困却(こんきゃく)しているのを興がって見て煎るように思われた。 殊にそんな無鉄砲(むてっぽう)に呶鳴った比野に対しては、「ここに、先生の渾名をつけた男がいますよ。」と河田師範に知らせる悪意さえ感じた。…21キロバイト (4,288 語) - 2023年2月15日 (水) 18:51
- この子 (カテゴリ 青空文庫からインポートしたテキスト)は無(な)く、家内(うち/\)の揉(もめ)て居(ゐ)るに其(その)やうの事(こと)を言(い)ひ出(だ)す餘地(よち)もなく、言(い)つて面白(おもしろ)くない御挨拶(ごあいさつ)を聞(き)くよりか默(だま)つて居(ゐ)た方(はう)がよつぽど洒落(しやれ)て居(ゐ)るといふ位(くらゐ)な考(かんが)…42キロバイト (6,806 語) - 2019年9月29日 (日) 04:49
- 地の男はどうなんだい?え?」と聞いた。笑われたのに腹を立てたのか、マリヤンは外(そ)っぽを向いて、何も返辞をしなかった。 この春、偶然にもH氏と私とが揃って一時内地へ出掛けることになった時、マリヤンは鶏をつぶして最後のパラオ料理の御馳走をしてくれた。 正月以来絶えて口にしなかった肉の味に舌鼓(した…20キロバイト (4,015 語) - 2021年8月31日 (火) 22:10
- 声で答えた。この間盛(さかん)に母にゆかせてくれるように三郎がねだっていたのを私は思い出して私は合点(がてん)が行った。母はいつもの心配性でその時肯(がえん)じなかったのだった。 「築港へ。」 父も母も少し呆(あき)れていた。もちろんそれは無鉄砲(むてっぽう)な遠足には相違(そうい)なかった。 「馬鹿、ここまでおいで。」…26キロバイト (5,343 語) - 2021年8月31日 (火) 22:16
- 十三夜 (カテゴリ 青空文庫からインポートしたテキスト)て手車に乘りあるく時は立派らしくも見えませうけれど、父さんや母さんに斯うして上やうと思ふ事も出來ず、いはゞ自分の皮一重、寧そ賃仕事してもお傍で暮した方が餘つぽど快よう御座いますと言ひ出すに、馬鹿、馬鹿、其樣な事を假にも言ふて…41キロバイト (9,435 語) - 2023年10月17日 (火) 13:35
- に其の銀の鎖を大變珍しがつて、手に取つてはおもちやにしてゐたことのあつたのを、私は思ひ出した。私は直ぐに表へ出て彼の小舎を訪ねて行つた。小舎の中には誰もゐなかつた。(彼は獨り者なのである。)それから二三日續けて毎日寄つて見たが、何時も小舎は空つぽである。近處の島民に聞くと、二日程本島(ほんたう)の何…27キロバイト (6,020 語) - 2021年8月31日 (火) 22:42
- ているが、なかなか道楽者らしい男で、酔うと三味線なんぞをぽつんぽつん弾(や)るということです」 「そうか。それじゃあもう一度その三河屋へ行って、市丸太夫の帰るのを待っていて、その才蔵というのはどんな奴か、又その鬼っ児に何か心あたりはねえか、よく調べてくれ」 善八を出して…51キロバイト (10,402 語) - 2021年12月13日 (月) 14:26
- ては*ねろと外戚のよしみたるに依て◦許しおかれたる者也。勿論*さん◦ぺいとろをば搦(から)め奉(たてまつ)てさかさまにくるすにかけ奉りたる也。この道よりおんあにまは◦ぱらいぞに入り給ふと分別すべし。*さん◦けれめんて◦その御死骸を取給ひてよき所に納め給ふもの也 今までは*さん◦ぺいとろあぽ…17キロバイト (3,544 語) - 2023年8月19日 (土) 04:07