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春秋左氏傳/001 隱公

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巻の一 隱公 ↓次巻春秋左氏傳

訓読文

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巻の一 隱公[1]

【傳】 惠公けいこう[2]元妃げんぴ[3]は、孟子まうし[4]なり。孟子しゆつせし[5]かば、しつ[6]聲子せいしもつてし、隱公いんこうを生めり。(始め)宋の武公ぶこう仲子ちうしを生むや、仲子ちうし生れてぶんあり、其手そのてり、いはく『の夫人たらん[7]』と。故に仲子ちうしわれ[8]とつぎ、桓公かんこう[9]を生めり。しかうして惠公けいこうこうじぬ。是をもつ隱公いんこう立ちて之をほうぜり[10]

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  1. 隱公は名は息姑。惠公の長子。
  2. 惠公は、国第十二代の君。
  3. 元妃は正夫人。始めて娶りたるもの。
  4. 夫人は其生家の姓を稱す。孟は姉妹中の最も年長なる者。子はの姓。
  5. 薨と稱せざるは、喪を成さゞれば也。
  6. 室に繼ぐは、後妻とするをいふなり。
  7. 仲子の手のスヂに魯の字あり。武公、之を愛して曰く、是れ當に魯の夫人と爲るべしと。
  8. 我は魯をさす。
  9. 桓公は、隱公の弟、名は軌。
  10. 隱公立ちて君と爲り、桓公を奉じ、其の長ずるを待ちて、位を之に致さんとする也。