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春秋左氏傳/001 隱公/02

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↑前年 隱公二年(紀元前721年 翌年↓春秋左氏傳巻の一 隱公

訓読文

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【經】 二年春、公、じうせんに會す。夏五月、莒人きよひとしやうに入る。無駭、ひきゐてきよくに入る。秋八月庚辰かうしん、公、じうたうに盟ふ。九月、紀の裂繻れつじゆきたりてじよむかふ。冬十月、伯姫はくき、紀にとつぐ。紀の子帛しはく莒子きよしひそか[#ルビはママ]に盟ふ。十いう二月乙卯いつぼう夫人ふじん子氏ししこうず。鄭人ていひと、衛をつ。

【傳】 二年(周ノ平王五十年)春、公、戎に潛[1]に會するは、惠公のよしみおさむるなり。戎、ちかひふ。公、せり[2]
 莒子きよし[3]しやう[4]めとる。向姜しやうきやうきよやすんぜずしてかへれり。夏、莒人きよひと、向に入り、姜氏を以てかへる。
 司空無駭しこうむがい[5]きよく[6]に入り、費庈父ひきんぽ[7]、之をほろぼ[8]す。
 じうちかひひしかば、秋、[9]ちかふ。た戎のよしみおさむむるなり。
 九月、[10]裂繻れつじよ[11]來りてぢよむかふるは、けい、君が爲に逆ふるなり。
 冬、紀の子帛しはく[12]と莒子とみつ[13]に盟ふは、魯の故なり[14]
 鄭人、衛をつは、公孫滑こうそんくわつらん←隱公元年を討ずるなり[15]。(→隱公四年

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  1. 魯の地名。
  2. 戎狄は禮文備はらず、故に遂に盟を許さゞるなり。之を待つこと嚴なるを見る可し。
  3. 莒は國名。
  4. 向は國名。
  5. 魯の卿。
  6. 極は附庸の小國の名。
  7. 庈父は前に見えたる費伯也。
  8. 勝は滅す也。
  9. 魯の地。
  10. 紀は國の名。
  11. 紀の大夫。
  12. 裂繻の字。
  13. 莒の邑。
  14. 魯が莒と和するやうにせんが爲なり。
  15. 去年廩延を取りし亂を治むるなり。廩延の取らるゝや、鄭、之に報いて其南鄙を伐ちしが、未だ志を得ざりしかば、此に至りて罪を聲らして之を伐つ也。