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  • ちゃん喜いちゃんと、いつでも、ちゃん付(づけ)にして呼んでいる。このお母(っか)さんの上に、また切下(きりさげ)の御祖母(おばあ)さんがいて、その御祖母さんがまた喜いちゃん喜いちゃんと呼んでいる。喜いちゃん御琴(おこと)の御稽古(おけいこ)に行く時間ですよ。喜いちゃん
    179キロバイト (34,779 語) - 2023年10月17日 (火) 13:46
  • 「じゃいいわよ、あたし独りでも出かけるから。………浜さんでもまアちゃんでも誘って行って、踊ってやるから」 「まアちゃんて云うのはこの間のマンドリン倶楽部の男だろう?」 「ええ、そうよ、あの人なんか一度も稽古しないくせに何処へでも出かけて行って相手構わず踊るもんだから、もうこの頃じゃすっかり巧くなっちゃ
    576キロバイト (106,275 語) - 2023年10月17日 (火) 13:48
  • 、切髪のごけさんといった、坊主に生き血を啜られた挙句、くびり殺された女たちの怨霊(おんりょう)が、さぞ、うつつを抜かすだろうよ――ふ、ふ、このお初ちゃんほどの女を振りとおした雪さんでも、相手が幽霊じゃあ振り切れまいね。その、真白い頰ぺたを嚙み切られたり、くびすじを食い切られたり、からだ中を嘗(な)…
    50キロバイト (9,683 語) - 2019年2月27日 (水) 15:15
  • べたつもりであるが、この竹垣の外がすぐ隣家、即ち南隣(みなみどなり)の次郎(じろ)ちゃんとこと思っては誤解である。家賃は安いがそこは苦沙弥(くしゃみ)先生である。与(よ)っちゃんや次郎ちゃんなどと号する、いわゆるちゃん付きの連中と、薄っ片(ぺら)な垣一重を隔てて御隣り同志の親密なる交際は結んでおらぬ…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • 用を聞きに来た女中にこう云い附けておいて、激しく葉子をまともに見た。 「葉ちゃん(これはその頃倉地が葉子を呼ぶ名前だった。妹達の前で葉子と呼び捨てにも出来ないので倉地は暫くの間お葉さんお葉さんと呼んでいたが、葉子が貞世を貞ちゃんと呼ぶのから思いついたと見えて、三人を葉ちゃん、愛ちゃん、貞ちゃん
    1.07メガバイト (224,993 語) - 2023年3月24日 (金) 10:36
  • 「いつまでも立ん坊か」 と相手の顔は見ず、質問のように、独語(ひとりごと)のように、駱駝の膝掛に話しかけるように、立ん坊を繰り返した。 「立ん坊でも覚悟だけはちゃんとしている」と甲野さんはこの時始めて、腰を浮かして、相手の方に向き直る。 「叔父さんが生きてると好いがな」 「なに、阿爺(おやじ)が生きているとかえって面倒かも知れない」…
    711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  •  思い出したからここでちょっと云うが、僕は生れてからの一人息子ではない。子供の時分に妙(たえ)ちゃんという妹(いもと)と毎日遊んだ事を覚えている。その妹は大きな模様のある被布(ひふ)を平生(ふだん)着て、人形のように髪を切り下げていた。そうして僕の事を常に市蔵ちゃん市蔵ちゃんと云って、兄さんとはけっして呼ばなかった。この妹は父の亡(…
    677キロバイト (132,287 語) - 2022年4月2日 (土) 11:15
  • ちらのいびき家(か)は、然し、相変らずううなされていると同時に、からだの筋肉が痙攣(けいれん)を引き起す前のようにびくびく動いている。 「鳥ちゃん――鳥ちゃん!」 静かに呼んで見たが覚めようともしない。あお向けに吐く白い息と横向きに吐く白い息とが交叉(こうさ)した。渠は考えた、呼び起して、覚(さ)…
    258キロバイト (51,635 語) - 2021年8月31日 (火) 22:28
  • をして、ぼんやり坐っていないでさ。この短銃はね、決して、舞台の小道具じゃあないのだよ。この曳き金に、お初ちゃんの細い細い、ほ、ほ、白魚のような指がさわりゃあ、この可愛らしい銃口から、小ちゃい小ちゃい、小豆つぶのような弾丸が飛び出して、まあ、蠟で作ったといおうか、珠玉(たま)をみがいたようだと言おうか…
    60キロバイト (11,649 語) - 2019年3月1日 (金) 06:26
  •  姫草ユリ子が自殺したのです。  あの名前の通りに可憐な、清浄無垢(せいじょうむく)な姿をした彼女は、下と小生の名を呪咀(のろ)いながら自殺したのです。あの鳩のような小さな胸に浮かみ現われた根も葉もない妄想(もうそう)によって、下と小生の家庭は申すに及ばず、満都の新聞紙、警視庁、神奈川県の司法当局までも、その虚…
    328キロバイト (62,142 語) - 2023年10月29日 (日) 00:38
  • 「先生今日は一日御勉強ですな。どうです、些(ち)と御散歩になりませんか。今夜は寅毘沙(とらびしゃ)ですぜ。演芸館で支那人(ちゃん)の留学生が芝居を演(や)ってます。どんな事を演る積りですか、行って御覧なすったらどうです。支那人てえ奴は、臆面(おくめん)がないから、何でも遣(…
    576キロバイト (115,998 語) - 2023年10月21日 (土) 14:06
  • 「さあ、御前達はここで騒ぐんじゃない。あっちへ行っておいで。御客さまだから」と制した。その時、誰だかすぐに、 「厭(いや)だよ。御父(おと)っちゃんべい。大きい御馬買ってくれなくっちゃ、あっちへ行かないよ」と答えた。声は小さい男の子の声であった。年が行かないためか、舌がよく回らないので、抗弁のしようがいかにも億…
    486キロバイト (96,246 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
  •  小太郎は、手をついた。 「若旦那、それがいけねえ。水臭いって云うもんだ。な、南玉は、ちゃんと、算盤玉を弾いての仕事だ。ようがすかい。若旦那が、牧の野郎に逢う。ちゃんちゃんとやって、首尾よく行けば、帰参でげしょう。そうしたなら、この金に、利子をつけて――ね、深雪さん、倍にして、返して下さるでしょう」…
    1.47メガバイト (284,070 語) - 2023年11月2日 (木) 05:59
  • ちゃ有(あ)りやしない。御父様(おとっさま)が帰(かえ)って来(き)てそんな真黒(まっくろ)けな顔(かお)をしていると、また叱(しか)られるじゃないか!」 博士(はかせ)は胸(むね)に一物(いちもつ)、進(すす)み出(で)て「オオ、好(い)い坊(ぼっ)ちゃん
    611キロバイト (98,208 語) - 2023年5月1日 (月) 15:22
  • 「サ為(し)ようかと思ッていたんだが、しかしもう出来ない。他人同様の私をかばって実の母親さんと議論をなすった、その嬢の御信切を聞ちゃ、しろと仰しゃッてももう出来ない……がそうすると、母親さんにお詫(わび)を申さなければならないが……」 「打遣(うっちゃ)ッてお置きなさいヨ。あんな教育の無い者が何と言ッたッて好う御座んさアネ」…
    429キロバイト (83,606 語) - 2023年10月20日 (金) 13:54
  • 昔あの男は恐ろしい否運に迫られていました。 もう焚附(たきつけ)がぱちぱち云って、燄(ほのお)の舌が閃きました。 体の周囲(まわり)に積み上げた、乾いた薪には 爹児(ちゃん)や硫黄の棒が交ぜてあったのです。 神も人も悪魔ももう助けようのなかった時、 10445 御威勢が燃ゆる鎖を絶ちました。 ロオマでの事でした。それをひどく恩に被(き)て、…
    1.06メガバイト (154,483 語) - 2023年10月22日 (日) 05:06
  •  湊屋に皆(みな)という娘がいた。このみいちゃんは美しいので、茶屋の呼物(よびもの)になっていた。みいちゃんは津藤(つとう)に縁故があるとかいう河野(こうの)某を檀那(だんな)に取っていたが、河野は遂にみいちゃんを娶(めと)って、優善が東京に著いた時には、今戸橋(いまどばし)…
    642キロバイト (126,753 語) - 2022年3月23日 (水) 18:11