コンテンツにスキップ

検索結果

  • の形は見えずに、ただ、自分の周囲の砂がチラチラチラチラと崩れ流れて走るような気がして、幻でも見ているような錯覚に囚(とら)えられたものであった。今この島でそれを二度目に見るのである。私が立停ってしばらくじっとしていると、蟹ど
    12キロバイト (2,441 語) - 2021年8月31日 (火) 22:18
  • ← 幽霊の観世物 のお角 → 『半七捕物帳』(はんしちとりものちょう) 第六巻/菊人形の昔 作者:岡本綺堂 底本:2000年7月10日春陽堂書店発行『半七捕物帳第六巻』 『幽霊の観世物(みせもの)』の話が終ると、半七老人は更にこんな話を始めた。 「観世物ではまだこんなお話があります。こんにちでも…
    59キロバイト (11,953 語) - 2019年2月27日 (水) 14:47
  • 思議ですね」「ほんとでございますよ。せんだってじゅうは単衣(ひとえ)では寒いくらいでございましたのに、一昨日(おととい)から急に暑くなりましてね」「(かに)なら横に這(は)うところだが今年の気候はあとびさりをするんですよ。倒行(とうこう)して逆施(げきし)すまた可ならずやと云うような事を言ってい…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • なそれは疲れ方だった。今にも破裂するように心臓が鼓動した。 「一寸待って弁慶(べんけいがに)を踏みつけそうで歩けやしませんわ」 そう葉子は申訳らしく云って幾度が足を停めた。実際その辺んは紅い甲良(こうら)を背負った小さな(かに)がいかめしい鋏を上げて、ざわざわと音を立てる程夥(おびただ)しく横行…
    1.07メガバイト (224,993 語) - 2023年3月24日 (金) 10:36
  • 未解決のままに、次から次へとさきへ送り込まれて行くことであらう。先に送り込まれたものは何時か廻り廻つてまたもとへ帰つて来る。そしてその時も亦わづかに(かに)の泡のやうなぶつぶつの声を聞くのみで、それは再び未解決のままに送り込まれる。 話を聞いてゐて、駿介は、云ひたい一つの事について心のわくわくするほどの欲望を感じた。…
    488キロバイト (100,873 語) - 2019年10月21日 (月) 00:51
  • (すすき)が蔽(おお)い被(かぶ)さっているのです。兄さんは近づいた私を顧みて、下の方にある薄の根を指さしました。  薄の根には(かに)が這(は)っていました。小さなでした。親指の爪ぐらいの大きさしかありません。それが一匹ではないのです。しばらく見ているうちに、一匹が二匹になり、二匹が三匹にな…
    761キロバイト (147,307 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • (さく)を結(い)った中へ薪(まき)が一杯積んであった。柵と柵の間にある空地(あきち)は、だらだら下(さが)りに水際まで続いた。石垣の隙間からは弁慶(べんけいがに)がよく鋏(はさみ)を出した。  島田の家はこの細長い屋敷を三つに区切ったものの真中にあった。もとは大きな町人の所有で、河岸に面した長…
    501キロバイト (98,507 語) - 2023年10月17日 (火) 13:51
  • のまだ勢力ある現代では、どの社会にでも、新らしい思想を体現し得るものを除いちゃア、みんな偽善者でなけりゃア卑劣家ばかり、さ」 「大きにそうだ――君も(かに)の罐詰めなどに熱心するのをやめて、お互いにしッかり戦って行こうよ。君は詩人、僕は画家じゃアないか?」…
    258キロバイト (51,635 語) - 2021年8月31日 (火) 22:28
  • と言(い)ひましたら、青(あを)い柿(かき)は首(くび)を振(ふ)りまして、 『いえ、あのお猿(さる)さんが(かに)にぶつけたのも、きつと私(わたし)のやうな澁(しぶ)い柿(かき)で、自分(じぶん)で取(と)つて食(た)べたといふのはお前(まへ)さんのやうな甘(あま)い柿(かき)ですよ。』…
    284キロバイト (45,267 語) - 2019年9月29日 (日) 04:51
  • の思いが寄せてある。東漸するヨーロッパ人の氾濫(はんらん)を自分らの子孫のためにもこのままに放任すべき時ではなかろうとの意味のものである。その歌、 (かに)の穴ふせぎとめずは高堤(たかづつみ)やがてくゆべき時なからめや     半蔵  この扇子を手にして、彼は御通輦を待ち受けた。…
    731キロバイト (142,362 語) - 2019年9月29日 (日) 05:05
  • 「まあ、窮屈(きゅうくつ)な世界だこと、横幅(よこはば)ばかりじゃありませんか。そんな所が御好きなの、まるで(かに)ね」と云って退(の)けた。余は 「わはははは」と笑う。軒端(のきば)に近く、啼(な)きかけた鶯(うぐいす)が、中途で声を崩(くず)して、遠き…
    315キロバイト (58,693 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • る。そこでオランダの使節も同じように、将軍へ献上する進物を前に置き、将軍に対して坐(ざ)し、額(ひたい)を床につけ、一言を発することもなく、あたかも(かに)のようにそのまま後ろへ引きさがった。  オランダ人がこの強大な君主に対する謁見はこんな卑下したものであった。これほど身を屈して、礼儀を失うま…
    622キロバイト (119,815 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • 「亡国の菓子とは何だい」と甲野さんは茶碗を引き寄せる。 「亡国の菓子さハハハハ。糸公知ってるだろう亡国の菓子の由緒(いわれ)を」と云いながら角砂糖を茶碗の中へ抛(ほう)り込む。(かに)の眼のような泡(あわ)が幽(かす)かな音を立てて浮き上がる。 「そんな事知らないわ」と糸子は匙(さじ)でぐるぐる攪(か)き廻している。…
    711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • のみする京田舎(きやうゐなか)の者共此よし原を見立て、けいせい町をたてんと、よしの苅跡(かりあと)爰(こゝ)やかしこに家作(やづく)りたりしは、たゞ(かに)の身のほどに穴をほり、住居たるがごとし。古歌に、蘆原(あしはら)の苅田(かりた)のおもにはひちりていなつきがにや世を渡るらんとよみしも、此傾…
    438バイト (15,356 語) - 2024年2月1日 (木) 14:11
  • すにおよばず。一とせ西国御下向(ごげかう)の折ふし、長門の国にあみだ寺へ御参詣(ごさんけい)あり。其時院主(ゐんしゆ)申ていはく、此所に平氏亡卒の霊(れいかに)と化生(けしやう)して、此うみに住候。これこれ御上覧に入奉らんとて、かの平家がにを一つ進上しければ、よしみつ公つく〴〵御らんじて、寿永元…
    3キロバイト (53,374 語) - 2024年1月31日 (水) 13:56
  •  第三十八日は文化三年六月二十七日である。「廿七日暁より雨大に降る。風亦甚し。因てなほ川崎屋にあり。一商人平家蟹を携て余にかはんことをすゝむ。乃(すなはち)庾子亮譜(ゆしりやうかいふ)に載する殻如人面(じんめんのごと)きものありと称するものなり。午後風収(をさまり)雨霽(はる)。すなはち撫院の船に陪乗す。船大さ十四間幅五六…
    1.54メガバイト (342,889 語) - 2024年3月25日 (月) 01:52