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  • は知らない他國の風俗と(で)でもあるのか。 そのうちに私は、石油の空箱であつた犬箱が炬燵を入れたも少し大きな箱に變つたのに氣付いた。半分は自分の爲にではあらうが、半分はその犬の親子の爲にであらう。私は冬の底冷えに炬燵を工夫した犬屋を微笑ましう思つた。 「ほう。親犬がゐないな。」 「ほう。」…
    19キロバイト (4,194 語) - 2021年8月31日 (火) 22:31
  • 恐らく冷え込むからなのであらう、報いは覿面に來て、次に來る痛みは一層激しかつた。手當てのしようもべつになかつた。醫者にもかからず、そのやうな時には、炬燵の火をごくぬるくして、駒平は一日でも寢てゐた。食事も眼立つて細く、ぢつと眼を閉ぢて身動きもせず、口もほとんどきかなかつた。苦痛を訴へるといふこともな…
    43キロバイト (9,276 語) - 2019年10月21日 (月) 00:53
  •  こんな風にして、冬が来る。激しい気候を相手に働くものに取って、一年中の楽しい休息の時が来る。信州名物の炬燵(こたつ)の上には、茶盆だの、漬物鉢(つけものばち)だの、煙草盆だの、どうかすると酒の道具まで置かれて、その周囲(まわり)で炬燵話というやつが始まる。      小六月  気候は繰返す。温暖(あたたか)な平野の地…
    282キロバイト (56,209 語) - 2021年5月19日 (水) 16:05
  • 一処に帰つて行くと、仲居は待ち受けてゐて、 『お帰りやす。えらい遅うおましたな。……どうぞ此方へ。』 仲居は、先に立つて、三階の奧つた小間に案内した。そこには、もう柔かい友染の蒲団に炬燵を入れてあつた。 仲居は、行き掛けながら、蔭から、 『小夜衣はん、ちよつと。』と、呼んだ。 『店から男衆が、もう先刻(さつき)から何度も来て、仕舞ひ…
    68キロバイト (13,796 語) - 2021年12月24日 (金) 09:47
  • 炬燵(こたつ)へ寄せて、寝かしてあった。暦や錦絵(にしきえ)を貼(はり)付けた古壁の側には、六歳(むっつ)に成るお房と、四歳(よっつ)に成るお菊とが、お手玉の音をさせながら遊んでいた。そこいらには、首のちぎれた人形も投出してあった。私は炬燵
    84キロバイト (17,404 語) - 2022年4月24日 (日) 06:43
  • ち)にいると底冷(そこびえ)のする寒さに襲(おそ)われるとか云って、御米はわざわざ置炬燵(おきごたつ)に宗助の着物を掛けて、それを座敷の真中に据(す)えて、夫の帰りを待ち受けていた。  この冬になって、昼のうち炬燵(こたつ)を拵(こし)らえたのは、その日が始めてであった。夜は疾(と)うから用いていたが、いつも六畳に置くだけであった。…
    486キロバイト (96,246 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
  • とは言(い)はなくなりました。    五二 炬燵(こたつ) いろ/\な話(はなし)の出(で)る山家(やまが)のあたゝかい炬燵(こたつ)。 鳥(とり)がとまりに行(ゆ)くところは木(き)です。子供(こども)が冷(つめた)いからだを温(あたゝ)めに行(ゆ)くところは、家(うち)のものゝ顏(かほ)の見(み)られる炬燵(こたつ)です。…
    284キロバイト (45,267 語) - 2019年9月29日 (日) 04:51
  • )屋根の家が先生の高瀬を連れて行って見せたところだ。近くまで汁粉屋が借りていたとかで、古い穴のあいた襖、煤(すす)けた壁、汚れた障子などが眼につく。炬燵(こたつ)を切ったあたりは畳も焼け焦げて、紙を貼(は)り着けてある。住み荒した跡だ。 「まあ、こんなものでしょう」  と先生は高瀬に言って、一緒に奥の方まで見て廻った。…
    91キロバイト (18,380 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  •  その時自分は顛覆返(ひっくりかえ)った炬燵(こたつ)を想像していた。焦(こ)げた蒲団(ふとん)を想像していた。漲(みな)ぎる煙と、燃える畳(たたみ)とを想像していた。ところが開けて見ると、洋灯(ランプ)は例のごとく点(とも)っている。妻と子供は常の通り寝ている。炬燵
    179キロバイト (34,779 語) - 2023年10月17日 (火) 13:46
  • ます。田舍言葉と言つても、粗野なばかりでは有りません。  左樣言へば、都へも寒い雨がやつて來ました。斯の空には御地の山々は雪でせうか。貴女がたは例の炬燵を持ち出したでせうか。         八  私は巣の入口のみを貴女に御話して、まだ奧の方はお目に掛けませんでした。豐田さんの住居は二棟の二階建の家…
    133キロバイト (28,873 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  • に乗る。これはあながち主人が好きという訳ではないが別に構い手がなかったからやむを得んのである。その後いろいろ経験の上、朝は飯櫃(めしびつ)の上、夜は炬燵(こたつ)の上、天気のよい昼は椽側(えんがわ)へ寝る事とした。しかし一番心持の好いのは夜(よ)に入(い)ってここのうちの小供の寝床へもぐり込んでいっ…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • 「アッチへお出でなさい。今抱かして上げます。殿方は産所へお這入りになるものではありません」  と叱りつけましたので、お父様は又慌ててお炬燵へお這入りになって、頭から蒲団をお冠(かぶ)りになりました。そのために炬燵の櫓(やぐら)が半分丸出しになって、その左右に、お父様の黒いおみ足がニュッと二本つき出ておりましたそうで、…
    184キロバイト (36,070 語) - 2023年10月17日 (火) 13:45
  • くなった。本に顔を押当てたなり、そこへ打臥(つッぷ)して了(しま)った。  急に、お房が声を揚げて泣出した。復(ま)た下婢は読み始めた。 「風邪を引いてるじゃないか。ちっとも手伝いをしてくれやしない」  こうお雪が言った。お雪はもう我慢が仕切れないという風で、いきなり炬燵を離れて、不熱心な下婢の前にある本を壁へ投付けた。…
    437キロバイト (86,210 語) - 2022年9月18日 (日) 11:16
  • が、二つか三つのを親代りに守しなければならなかつた。それも出來ない時には小さながただ投げておかれた。親の姿さへ見えればそれで安心して遊んで居り、くなれば畦ででもどこでもそのまま寢て了ふといふやうな、丈夫な神經質でないもあつたが、さういふ子供ばかりは望まれなかつた。母は仕事中も
    805キロバイト (171,063 語) - 2019年10月21日 (月) 00:52
  • 「御覧、御先祖さまが見ているぞ。いたずらするとこわいぞ。」  と戯れた。  隣家の伏見屋なぞにない古い伝統が年若(としわか)な半蔵の頭に深く刻みつけられたのは、幼いころから聞いたこの父の炬燵話(こたつばなし)からで。自分の忰に先祖のことでも語り聞かせるとなると、吉左衛門の目はまた特別に輝いたものだ。…
    704キロバイト (133,425 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • ね」と奥さんは云って、退紅色の粗い形(かた)の布団を掛けた置炬燵(おきごたつ)を脇へ押し遣って、桐(きり)の円火鉢の火を掻き起して、座敷の真ん中に鋪(し)いてある、お嬢様の据わりそうな、紫縮緬(むらさきちりめん)の座布団の前に出した。炬燵の傍(かたわら)には天外(てんがい)の長者星が開けて伏せてあった。…
    404キロバイト (79,999 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
  • かったが、酔っているのと早く横になりたいとの為めの荒ぢからで、自分の引き明けた戸はがらりと大きな音を立てた。 「お帰り」ですか」と、下のかみさんが、炬燵(こたつ)をしてある奥の方から声をかけた。 「あ、只今」と答えて、渠は自分で戸締りをしてから、あがり段をあがった。…
    258キロバイト (51,635 語) - 2021年8月31日 (火) 22:28
  •  わずか三日ばかりの半蔵が帰宅は家のものにとっても実にあわただしかった。炉の火を大きな十能(じゅうのう)に取って寛(くつろ)ぎの間(ま)へ運び、山家らしい炬燵(こたつ)に夫のからだをあたためさせながら、木曾福島の植松家からあった娘お粂の縁談を語り出すのはお民だ。そこへ手のついた古風な煙草盆(たばこぼん)を…
    731キロバイト (142,362 語) - 2019年9月29日 (日) 05:05
  • 平峠の雪を踏んでも、伊那の谷の方にある同門の人たちを見に行かずにはいられなかった。  馬籠本陣の店座敷では、翌朝の出発を楽しみにする三人が久しぶりの炬燵話(こたつばなし)に集まった。そこへ半蔵の父吉左衛門も茶色な袖無(そでな)し羽織などを重ねながらちょっと挨拶(あいさつ)に来て、水戸浪士のうわさを始める。…
    648キロバイト (123,779 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • て来て、母屋(もや)の囲炉裏ばたの方で家のものと一緒に夕飯を済まし、食後に父をその隠居所に見に行った。 「ただいま。」  この半蔵の「ただいま」が、炬燵(こたつ)によりかかりながら彼を待ち受けていた吉左衛門をも、茶道具なぞをそこへ取り出す継母のおまんをもまずよろこばせた。 「半蔵、福島の方はどうだったい。」…
    622キロバイト (119,815 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
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