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に続くところは糸のやうに細く、全体に細長い胴体はスマートで一見華奢（きやしや）のやうに見えるが、その実しんなりと硬く強靭で、あの細腹にしてからが棒切れぐらゐで引きちぎらうとしてもさう簡単に引きちぎられるものではない。色も鋼鉄のやうな光をもつてゐて、真黒といふよりは青光りのする美しさである。翅（はね）…

す　の御寵臣之（これ）を見給ひて少し驚き給ひ◦御心中に半ばゝ喜び◦又半ばゝ悲しみを帶し給ふ也。我等が御扶手の御寵愛のおん眸（まなじり）を廻（めぐら）し給ふは喜び也。又くるすにかゝり給ふ御姿を見奉れば悲みなりと覺へ給ふ也。いむもるたりだあでの御上に◦くるす…

れた。五番ぬきをやってみると、やはり松蔵が勝ちぬいた。 「今日は松蔵に、すっかり松蔵に、すっかりなめられてしまったな。」 十四の音丸はそういってぺたりと砂地にすわった。 「なあに、すもうなどはどうでもよい。侍の子は槍や刀で強ければよいのだ。」 十五の勇太が負けおしみをいった。…

片恋のわが世さみしくヒヤシンスうすむらさきににほひそめけり 恋すればうら若ければかばかりに薔薇（さうび）の香にもなみだするらむ 麦畑の萌黄天鵞絨芥子（けし）の花五月の空にそよ風のふく 五月来ぬわすれな草もわが恋も今しほのかににほひづるらむ 刈麦のにほひに雲もうす黄なる野薔薇のかげの夏の日の恋 うかれ女のうすき恋よりかきつばたうす紫に匂ひそめけむ…

る考（かんが）へは出（で）ませぬゆゑ、良人（をつと）のこゝろを察（さつ）する事（こと）は出來（でき）ませぬ、厭（いや）な顏（かほ）を遊（あそ）ばせば、それが直（す）ぐ氣（き）に障（さは）りまするし、小言（こごと）の一（ひと）つも言（い）はれ…

← 兵力を用るの必要 （『時事新報』明治27年（1894年）7月4日） 改革の着手は猶予す可らず （『時事新報』明治27年（1894年）7月6日） → 土地は併呑す可らず国事は改革す可し （とちはへいどんすべからずこくじはかいかくすべし） 作者：福澤諭吉 明治27年 1894年 姉妹プロジェクト：Wikipediaの記事…

打（うち）つれて、花󠄁（はな）さく野邊（のべ）を 探（さぐ）らなん。 畑（はた）に色（いろ）添（そ）ふ 蓮󠄀（れん）花󠄁（げ）草（さう）、徑（こみち）に咲󠄁（さ）ける すみれぐさ、黃（き）なる山吹（やまぶき） 赤（あか）き桃（もも）、送󠄁（おく）り迎󠄁（むか）ふる 美（うつく）しさ。 流（なが）れささめく…

ぐわん）廻（ゑ）向（かう）の義（ぎ）であり、阿弥陀（あみだ）仏（ぶつ）といふのは、その行（ぎやう）のことであります。かく願（ぐわん）と行（ぎやう）とが具（ぐ）足（そく）してゐるいはれによつて、必（かなら）ず往（わう）生（じやう）することが出来（でき）る」と述（の）べられました。 すれ…

れう）積み込みに大わらはである。 　全員整列。ほんのりと夜のとばりが明けて行かうとする基地で、出撃の訓示をする司令官の目は、ぎらぎらと光つてゐる。 「千載一遇（せんざいいちぐう）の好機である。全力をつくせ。」 「はい、死んで歸ります。」 訓示に答へる…

るすゐ）、今（いま）もお連（つ）れ申（まうし）たけれど夫（それ）こそ淋（さび）しく、直（す）ぐ嫌（い）やに成（な）りて母樣（かあさま）こひしかるべし、何（なに）も柔順（おとな）しう成長（おほきう）なり給（たま）へと、詫（わび）るやうに慰（なぐさ）められ…

す　の御寵臣之（これ）を見給ひて少し驚き給ひ◦御心中に半ばゝ喜び◦又半ばゝ悲しみを帯し給ふ也。我等が御扶手の御寵愛のおん眸（まなじり）を廻（めぐら）し給ふは喜び也。又くるすにかゝり給ふ御姿を見奉れば悲みなりと覚へ給ふ也。いむもるたりだあでの御上に◦くるす…

れなかった。主人も家来も今は手の着けようがなくなったので、とても内輪の探索だけでは埒（らち）があかないと見た用人の角右衛門は、今朝そっと八丁堀同心の槙原の屋敷へたずねて来て、どうか内密に調べてくれまいかと折入って頼んだのであった。 「なにぶんにも屋敷の名前にかかわること、くれぐ…

巻第十三（とをまりみまきにあたるまき） 雑歌（くさぐさのうた） 是中長歌十六首 3221　冬こもり　春さり来れば　朝（あした）には　白露置き 　　　夕へには　霞棚引く　泊瀬のや　木末（こぬれ）が下に　鴬鳴くも 　　　　　右一首（ひとうた）。 3222　三諸（みもろ）は　人の守（も）る山　本辺（もとへ）は　馬酔木（あしび）花咲き…

もなし。是幸と五町斗りも走りしに、私病後の事なれバ、いききれあゆまれ不申、着物ハ足にもつれぐず／＼いたセバ敵追着の心配あり、　此時思ふにハ男子ハすねより下にたるゝ着物ハ致すべからず候。此時ハ風呂より上りし儘なれバ、湯着を下ニ着て、其上にわた入を着、はかまハ着る間なし。　つひに横町にそれ込ミて、御国…

〈子（し）顏淵（がんゑん）に謂（い）ひて曰く、之れを用（もち）ふれば則（すなは）ち行（おこな）ひ、之れを舍（お）けば則（すなは）ち藏（かく）る。唯（たゞ）我（われ）と爾（なんぢ）と是（こ）れ有（あ）るか。子路（しろ）曰く、子（し）三軍（ぐん）を行（や）らば、則（すなは）ち誰（たれ）と與（とも）にせん。子曰…

日（ひ）も吳線（くれせん）の乘替（のりかへ）塲（ば） 吳軍港（くれぐんかう）も見（み）たけれど 歸（かへ）りに殘（のこ）して眞直（まつすぐ）に ゆけば心（こゝろ）も廣島（ひろしま）市（し） 第（だい）五師（ごし）團（だん）の所在（しよざい）の地（ち） 大本營（だいほんえい）を置（お）かれたる…

すのはつかあまり。ひとひのいぬのときにかどです。そのよしいさゝかものにかきつく。ある人あがたのよとせいつとせはてゝ。れいのことゞもみなしをへて。げゆ（粥由）などとりて。すむたちよりいでて。ふねにのるべきところへわたる。かれこれしるしらぬおくりす。としごろよくぐしつる人々（どもイ）なんわかれ…

ぐ）るならば、如何（いか）なる宥恕（ゆうじょ）と如何（いか）なる弁解（べんかい）とを期（き）すべけんや。ゆき過（す）ぎて人（ひと）の家（いへ）を覗（のぞ）き、家（か）中（ちゅう）にある所（ところ）のものを認（みと）むる…

すれはなり。そは汝等は入り來らず、また入り來りつつある者をも、汝等は許して入り來らしめざればなり。 15 汝等禍なるかな、僞善者なる學者等とパリサイの人々よ。そは汝等は一〔人〕を改宗者に爲さんとて、海と陸とを往きめぐり、かくてそのなりしときは、汝等これを汝等に倍したるゲヘナの子たらしむればなり。…

す　より外に、別（べち）に拜むべき方なしと叫びければ*さん◦ぺいとろ高き所に◦上（あが）りて鎭め給ひ◦わが弘むる所の　ぜすきりしと　は眞の　でうす　にて在ましながら◦人の形を受させられ◦色々の御辛勞を凌ぎ給ひ◦終にくるすにかゝらせられ…