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  • ぼけたように光りながら、枝(えだ)がついたり手が出たりだんだん地面(じめん)からのびあがってきます。二疋(ひき)の蟻(あり)の子供らは、それを指(ゆび)さして、笑(わら)って笑って笑います。  そのとき霧(きり)の向(む)こうから、大きな赤い日がのぼり、羊歯(しだ)もすぎごけもにわかにぱっと
    6キロバイト (1,182 語) - 2021年7月25日 (日) 18:21
  • 「何やら家にいてられなんだわさ。着物をかえてお母ちゃんを待っとろと云うたりしてなあ」 「お祖母さんがぼけはったのはあれからでしたな」姉は声を少しひそませて意味の籠(こも)った眼を兄に向けた。 「それがあってからお祖母さんがちょっとぼけみたいになりましてなあ。いつまで経(た)ってもこれに(と云って…
    58キロバイト (11,645 語) - 2021年8月31日 (火) 22:16
  • (しり)で汚れた卓子(テーブル)にかまわず肱(ひじ)を立てて、先ほどからほとんど一人で喋(しゃべ)っていた。漆喰(しっくい)の土間の隅(すみ)には古ぼけたビクターの蓄音機が据(す)えてあって、磨(す)り減ったダンスレコードが暑苦しく鳴っていた。 「元来僕はね、一度友達に図星を指(さ)されたことがある…
    36キロバイト (7,227 語) - 2021年12月13日 (月) 13:44
  • あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。 あした、めんどなさいばんしますから、おいで んなさい。とびどぐもたないでくなさい。 山ねこ 拝 こんなのです。字はまるでへたで、墨(すみ)もがさがさして指につくくらいでした。けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした。はがきをそっと学校のかばんにしまって、うちじゅうとんだりはねたりしました。…
    23キロバイト (3,695 語) - 2019年9月29日 (日) 04:50
  • 時刻の有様であった。そう思って見て尭は微笑(ほほえ)んだ。 午後になって、日がいつもの角度に傾くと、この考えは尭を悲しくした。穉(おさな)いときの古ぼけた写真のなかに、残っていたような日向(ひなた)のような弱陽が物象を照していた。 希望を持てないものが、どうして追憶を慈(いつく)しむことが出来よう。…
    37キロバイト (7,629 語) - 2021年12月10日 (金) 09:31
  • 灯(ちょうちん)なんか無論持ち合せようはずがない。自分の方から云うと、先へ行く赤毛布(あかげっと)が目標(めあて)である。夜だから赤くは見えないが、何だか赤毛布らしく思われる。明るいうちから、あの毛布(けっと)、あの毛布と御題目(おだいもく)のように見詰めて覘(ねらい)をつけて来たせいで、日が暮れて…
    484キロバイト (91,890 語) - 2023年10月17日 (火) 13:42
  • いくら御用の道中でも、本陣に泊るのは少し窮屈である。本陣に泊っては女を呼ぶわけにもゆかない。酔って騒ぐわけにもゆかない。箱根を越せばもう江戸だと思うにつけても、窮屈な本陣の古ぼけた屋敷に押し込まれるよりも、普通の小奇麗な旅籠屋に泊って、ゆっくりと手足をのばして旨(うま)い酒でも飲みたいと七蔵は思った。すこし渋っている主人を無…
    34キロバイト (6,872 語) - 2021年12月29日 (水) 13:36
  • (かべぎわ)に手ごろな書棚が一つ、それから窓の前に机が一つ――ほかにはただ我々の腰をかける、椅子が並んでいるだけです。しかもその椅子や机が、みんな古ぼけた物ばかりで、縁(ふち)へ赤く花模様を織り出した、派手(はで)なテエブル掛でさえ、今にもずたずたに裂けるかと思うほど、糸目が露(あらわ)になっていました。…
    25キロバイト (4,700 語) - 2023年11月7日 (火) 17:06
  • ぼけたことか、こんなに早々と、おホホホ……。え? 何でございますって? 今日会社お休みですって? まあ、いいえ、ちっともそんなこと申して居りませんわ。はあはあ、南京鼠の改良種をね。まあ、左様でございますか。え? ちょっと、お待ち下さいませ。』…
    28キロバイト (5,192 語) - 2023年10月17日 (火) 13:40
  • っと木瓜になる。余も木瓜になりたい。  小供のうち花の咲いた、葉のついた木瓜(ぼけ)を切って、面白く枝振(えだぶり)を作って、筆架(ひつか)をこしらえた事がある。それへ二銭五厘の水筆(すいひつ)を立てかけて、白い穂が花と葉の間から、隠見(いんけん)するのを机へ載(の)せて楽んだ。その日は木瓜(ぼけ
    315キロバイト (58,693 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • もう午(ひる)に近いので、彼は堤下の小料理屋へはいって、しじみ汁とひたし物で午飯(ひるめし)を食っていると、古ぼけた葭(よし)の衝立(ついたて)を境にして、すこし離れた隣りにも二人づれの客が向い合っていた。はじめは二人ともに黙ってちびりちびり飲んでいるらしかった…
    39キロバイト (8,057 語) - 2019年2月27日 (水) 14:49
  • 玄関付の家は、町内にたった一軒しかなかったからだろうと思う。その式台を上った所に、突棒(つくぼう)や、袖搦(そでがらみ)や刺股(さつまた)や、また古ぼけた馬上(ばじょう)提灯などが、並んで懸(か)けてあった昔なら、私でもまだ覚えている。 この二三年来私はたいてい年に一度くらいの割で病気をする。そうし…
    181キロバイト (35,520 語) - 2021年5月13日 (木) 16:06
  •  余は声も出さなかった。呼びもしなかった。それでも余の寝ている位置に、少しの変化さえあれば彼等はきっと動いた。手を毛布(けっと)のうちで、もじつかせても、心持肩を右から左へ揺(ゆす)っても、頭を――頭は眼が覚(さ)めるたびに必ず麻痺(しび)れていた。あるいは麻痺…
    207キロバイト (40,023 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  • 小さい杵(きね)をわざと臼(うす)へあてて、拍子(ひょうし)を取って餅を搗(つ)いている。粟餅屋は子供の時に見たばかりだから、ちょっと様子が見たい。けれども粟餅屋はけっして鏡の中に出て来ない。ただ餅を搗く音だけする。  自分はあるたけの視力で鏡の角(かど)を覗(のぞ)き込むようにして見た。すると帳…
    58キロバイト (11,246 語) - 2023年11月3日 (金) 22:56
  • 自身で僕の卑怯な意味を充分自覚していながら、たまたま他(ひと)の指摘を受けると、自分の弱点を相手に隠すために、取(と)り繕(つく)ろって空(そら)っとぼけるものとこの問を解釈したらしい。 「なぜって、あなた自分でよく解ってるじゃありませんか」 「解らないから聞かしておくれ」と僕が云った。僕は階下(し…
    677キロバイト (132,287 語) - 2022年4月2日 (土) 11:15
  •  「母も、ことによったらお父さんが戦争の時を考えて、金(きん)にでもして隠しておかれたかも知れないと冗談のようには云いましたが、結果私達に残されたものは、古ぼけた家財道具と、今云う鉄の角の多い四角な塊だけでした。鉄の塊は父の生前よほど大切にしていましたので、何の役に立つか分らないで、蔵っておきましたのです」…
    670バイト (8,201 語) - 2020年4月24日 (金) 13:48
  • ちひ)があったか、そこにまるで気のつかずにいた叔父は、平生の細心にも似ず、全く無邪気であった。 「そんなに人が悪うがすかな」  例の調子でわざと空っとぼけた彼は、澄まして刻煙草(きざみ)を雁首(がんくび)へ詰めた。 「おれの留守(るす)にまた叔母さんから何か聴(き)いたな」  お延はまだ黙っていた。叔母はすぐ答えた。…
    1.06メガバイト (208,097 語) - 2023年10月17日 (火) 13:45
  • 両人に対して顔が立つと云う気かも知れん。  寒月は例のごとく欠けた歯を出して笑いながら「それは残念でしたな」と云う。  迷亭はとぼけた顔をして「君のような親切な夫(おっと)を持った妻君は実に仕合せだな」と独(ひと)り言(ごと)のようにいう。障子の蔭でエヘンと云う細君の咳払(せきばら)いが聞える。…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • だ廊下を洋灯(ランプ)部屋の方へ滑って行く。 「ホホホホ余(あん)まり周章(あわて)るもんだから。御客様ですよ」 「誰だい」 「あら待ってた癖に空っとぼけて……」 「待ってた? 何を」 「ホホホホ大変真面目(まじめ)ですね」と笑いながら、返事も待たず、入口へ引き返す。小野さんは気掛(きがかり)な顔を…
    711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • くない名品も二三は交󠄁〔ママ〕っていたのだった。  こう云う有様だったから、今彼がニウルンベルクの料理店の窓から、隣家の貧しそうな家に掛っている古ぼけた油絵に眼を光らしたのも、決して不思議ではなかった。いや、不思議どころではない、今度の彼の旅行は全くこうした目的のためだったので、現に彼はミュンヘン…
    700バイト (11,562 語) - 2020年7月11日 (土) 13:35
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