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  • と云うからしようがあるまい」 「下手人(げしゅにん)はあるじゃありませんか」と、長次郎は笑っ。「小女郎狐という立派な下手人があるんでしょう」 市五郎は苦笑(にがわら)いをしてい。 「ねえ、宮坂さん」と、長次郎はひと膝すすめ。「及ばずながらわたくしがその小女郎狐を探索しようじゃございませんか。狐はきっとどっかにいますよ」…
    53キロバイト (10,824 語) - 2019年2月27日 (水) 14:40
  • 「いやさ、神仏が運をお授けになる、ならないと云う事じゃございません。そのお授けになる運の善し悪しと云う事が。」 「だって、授けて貰えばわかるじゃないか。善い運だとか、悪い運だとか。」 「それが、どうも貴方がには、ちとおわかりになり兼ねましょうて。」 「私には運の善し悪しより、そう云う理窟の方がわからなそうだね。」…
    25キロバイト (4,766 語) - 2023年10月17日 (火) 13:51
  • と云うんですか。じゃあ、又いつもの手柄話を始めますから、まあ聴いてください」 安政五年の暮は案外あたたかい日が四、五日つづい。半七は朝飯を済ませて、それから八丁堀の旦那(同心)方のところへ歳暮にでも廻ろうかと思っていると、妹のお粂(くめ)が台所の方から忙しそうにはいって来。お粂は母のお民(
    50キロバイト (10,115 語) - 2024年2月5日 (月) 11:32
  • 。 「おい、長助。おめえは友達と喧嘩したのじゃああるめえ。きのうも仕事を休んだな」 長助の顔色はいよいよ変っ。 「きのうも仕事を休んで浅草へ行ったろう」と、半七は畳みかけて云っ。「そうして、幽霊の小屋へ行って、何かごた付いたろ
    58キロバイト (11,752 語) - 2019年2月27日 (水) 14:47
  • 。「いや、獣者といえば、あの熊はどうなったろう。侍は叩っ切ったままで行ってしまったんだが、その死骸はどうしたろう。犬や猫とは違うんだから、むやみに取捨ててもしまわねえだろうが、誰が持って行っかしら。品川辺の奴らかな」 「そうでしょうね」と、松吉もうなずい
    50キロバイト (10,175 語) - 2019年2月27日 (水) 14:50
  • かも知れなかっ。 「ほんとうに死んだのじゃあるめえ。そこらまで負って行ってやれ」と、半七は云っ。 河童を負って幸次郎は堤へあがっ。半七は先へ立って元の料理屋へ引返すと、家じゅうの者はおどいて騒いだ。怖いもの見さで女中たちもそっと覗きに来。 「おい、
    50キロバイト (10,195 語) - 2019年2月27日 (水) 14:48
  • ながら、猫の病気はわしにも分らん、抛(ほう)っておいたら今に癒(なお)るだろうってんですもの、あんまり苛(ひど)いじゃございませんか。腹が立っから、それじゃ見ていただかなくってもようざいますこれでも大事の猫なんですって、三毛を懐(ふところ)へ入れてさっさと帰って参りました」「ほんにねえ」…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • と云うのである。その年ごろや風俗がこのあいだの晩、両国の橋番小屋の外にうろついてい男によく似ているらしいので、半七はいよいよ彼とお鉄とのあいだに何かの因縁の絆(まつ)わっていることを確かめ。 「その男というのは江戸者じゃございませんよ」と、六助は更に説明した。「どうも熊谷辺の者じゃ
    55キロバイト (11,345 語) - 2019年9月3日 (火) 12:02
  • たろう)の二人であっ。 「先生。わたくしどももお供いします」 「むむ、誰でも勝手に来い」 左内はあとをも見返らずに、大刀を腰にさして出て行っ。こういう場合留めても留まらないのを知っているので、新造のお常は黙って見送っ。喜平次も伊太郎も袴(はかま)の紐(ひも)をむすび直しながら続いて出。…
    53キロバイト (10,714 語) - 2019年2月27日 (水) 14:45
  • 。往来の少ない屋敷の塀の外で、彼はうしから平助に声をかけ。 「もし、もし、失礼でざいますが、あなたは杉野のお屋敷の方じゃございませんか」 「左様」と、武士は振返って答え。 「実はけさほどお屋敷の用人さまにお目にかかりましたが、お屋敷では
    49キロバイト (9,828 語) - 2020年7月14日 (火) 14:25
  • 「ところがその人浚いは対手はたったひとりだと言うから腑(ふ)におちないじゃごわせんか。その上に正真正銘足がなくてちっとも姿を見せないって言うんだから、場所柄が場所柄だけに幽霊だろうなんて言ってますぜ。でなきゃ菰(こも)を抱えお嬢さん――」 「なんだその菰を抱えお嬢さんて奴は……」 「知れじゃありませんか。辻君ですよ、夜鷹(よたか)ですよ」…
    53キロバイト (10,726 語) - 2019年10月22日 (火) 14:29
  • 「それがです、御隠居さん、旦那に祝って頂いじゃ私共が済みません。あんなにお力のやつもお世話さまになって置いて、七年もお店に御奉公させて置いて頂いて――その旦那がお酌しようと言って下さるじゃありませんか。オッと、それはいけません、今日は是非とも私に奢(お)らせて下さいと言って、それから旦那や先生と御一緒にビイルを祝いました」…
    51キロバイト (10,303 語) - 2019年9月29日 (日) 05:34
  • じゃなかったろうと考えながら下宿へ帰っ。  自動車事件以後敬太郎(けいたろう)はもう田口の世話になる見込はないものと諦(あき)らめ。それと同時に須永(すなが)の従弟(いとこ)と仮定され例の後姿(うしすが)の正体も、ほぼ発端(ほったん)の入口に当たる浅いところでぱたりと行きとまっ
    677キロバイト (132,287 語) - 2022年4月2日 (土) 11:15
  • 主人の娘をそそのかして淫奔(いたずら)をするような、そんな不心得な人間じゃありません。ここにいるお山(やま)はほんとうの妹じゃありません、もう一、二年経つと彼(あれ)と一緒にする筈になっているんです。そういう者がありながら、そんな不埒(ふらち)なことをするような良次郎じゃご
    39キロバイト (8,057 語) - 2019年2月27日 (水) 14:49
  • 「どうしまして」と、徳寿は頭(かぶり)を振っ。「それにお時さんの方でも根負けがしたと見えて、もう無理に呼び込もうともしませんから、わたくしの方でも仕合わせでざいます。それに辰伊勢の店の方で聞きますと、お時さんももう暇を出されるんだとかいうことです。ところが、お時さんの方じゃあ容易に動かないというので、なんだか内輪ではごたごたしているようでございますよ」…
    47キロバイト (9,542 語) - 2022年6月29日 (水) 13:13
  • 「君の出て来ることは、乙骨からも聞いし、高瀬からも聞い」と相川は馴々(なれなれ)しく、「時に原君、今度は細君も御一緒かね」 「いいえ」と原はすこし改まっような調子で、「僕一人で出て来たんです。種々(いろいろ)都合があって、家(うち)の者は彼地(あっち)に置いて来ました。それにまだ荷物も置いてあるしね――」 「それじゃ、君、もう一度金沢へ帰らんけりゃなるまい」…
    34キロバイト (6,448 語) - 2019年9月29日 (日) 04:54
  • 。姪を娘分に貰っのも、ゆくゆく自分の食い物にしようというしたごころから出のである。傍(は)から見るとむごたらしいほどに手厳しく仕込んだ。そういう風に、ちいさいときから余り邪慳(じゃけん)に責められせいか、歌女代はどうも病身であっが、仕込みが厳しいだけに芸はよく出来
    52キロバイト (10,620 語) - 2021年8月31日 (火) 23:09
  • )ばかりの法事を営むことになって、兄弟子の紋七は昼間からその世話焼きに来てい。涙のまだ乾かないお浜は、母と共に襷(たすき)がけで働いていると、その店先へ半七がぶらりと来。 「おれは法事に呼ばれて来わけじゃあねえが、これはまあ
    49キロバイト (10,344 語) - 2019年2月27日 (水) 14:39
  • 「はは、いつもの閻魔帳(えんまちょう)が出ましたね。これだからあなたの前じゃあうっかりした話は出来ない」 老人は笑いながら話し始め。 「文久(ぶんきゅう)元年一月の事と承知下さい。ほんとうを云うと、この年は二月十九日に文久と改元のお触れが出のですから、一月はまだ万延(まんえん)二年のわけですが……。そ…
    73キロバイト (14,694 語) - 2019年2月27日 (水) 14:46
  • とくに、連中は「おいちょっとおいで、好いものあるから」とか何とか云って、女を呼び寄せようとする。芸者の方でも昼間は暇だから、三度に一度は御愛嬌(あいきょう)に遊びに来る。といった風の調子であっ。 私はその頃まだ十七八だったろう、その上大変な羞恥屋(はにかみや)で通ってい
    181キロバイト (35,520 語) - 2021年5月13日 (木) 16:06
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