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  • 「放してくれ、もう判つた。」と押へられた男が言つた、が、にやにやと笑ひながら立つてゐる坊主を見ると、忽ち憎々しげな声で「あん畜生、生意気な野郎だ。」  坊主は毒々しい嘲笑を顔面一ぱいに浮べながら、 「へッ、どつちが生意気だ。口惜しかつたら外へ出ろ。病室は喧嘩をする場所ぢやねえ。」…
    1キロバイト (10,858 語) - 2019年11月7日 (木) 21:21
  • その晩は蒸し暑いので、ひとりの奴が覆面を取って顔の汗を拭くと、それが坊主頭であったので、店の者は又おどろいたと云うことです。わたくしはその話を聞いて、この頃ここらに坊主あたまの悪い奴らが立廻っていることを知っていたので、龍濤寺の坊主どもも或いはそんな仲間じゃあないかと、まず第一に思い付いたんです。…
    66キロバイト (13,394 語) - 2019年2月27日 (水) 14:49
  • 「為、助(す)けねえか――この坊主、叩き斬ッてしめえ――」 「よし!承知の助だ!」 ぐったりと、気を失ってしまっている浪路を、投げ出すように下に置くと、為、きょろきょろ見まわしたが、台所にはしり込んで、何か光るものをつかんで飛んでかえって、 「坊主!」 と、振りかぶったのが、出刃庖丁(でばぼうちょう)――だが、駄目だ。 大坊主
    88キロバイト (16,550 語) - 2019年3月1日 (金) 06:32
  • その正体をあらわした彼は、二十五六歳の青白い僧であった。 「この坊主め、生けッぷてえ奴だ」と、兼松はまず叱りつけた。「内心如夜叉(ないしんにょやしゃ)どころか、夜叉神の面をかぶって悪事を働きやあがる。貴様は一体どこの納所(なっしょ)坊主だ。素直に云え」 普通の出家の姿であったならば、なんとか云い訳も…
    37キロバイト (7,612 語) - 2019年2月27日 (水) 14:38
  • ぽくりと枯木が朽ちるように仆(たお)れたあと、長く、廃庵になっていたのを、二、三年この方、いつとはなしに、図体も六尺近いかと思われる、いが栗あたまの坊主が、住みついてしまって、世間が何といおうと、今は、立派な庵主づらをしておさまっているのであった。 その鉄心庵の現在――ときどき生ぐさ物の匂いがぷんぷ…
    86キロバイト (16,141 語) - 2019年9月12日 (木) 12:49
  • 塚のあたりの芝の上に円居(まとゐ)して、歌を誦し詩を作り酒盛する所に、此寺の坊主(ぼうず)大上戸(おほじやうご)にて、爰やかしこの酒宴場(しゆえんば)へ飛入り走入つて、五盃十盃づつ呑む事数をしらず。何よりもをかしきは、此坊主角田川の謡(うたひ)きりはしを一つ二つ覚え、平家とらも舞ともわかず称名(しよ…
    438バイト (15,356 語) - 2024年2月1日 (木) 14:11
  • 「旧弊はとくに卒業して迷信婆々(ばばあ)さ。何でも月に二三返(べん)は伝通院(でんずういん)辺の何とか云う坊主の所へ相談に行く様子だ」 「親類に坊主でもあるのかい」 「なに坊主が小遣(こづかい)取(と)りに占(うらな)いをやるんだがね。その坊主がまた余計な事ばかり言うもんだから始末に行かないのさ。現に僕が家(うち)を持つ時…
    73キロバイト (14,094 語) - 2023年10月17日 (火) 13:47
  • りしを、居あはせたる美登利みかねて我が紅の絹はんけちを取出し、これにてお拭きなされと介抱をなしけるに、友達の中なる嫉妬(やきもち)や見つけて、藤本は坊主のくせに女と話をして、嬉しさうに禮を言つたは可笑しいでは無いか、大方美登利さんは藤本の女房(かみさん)になるのであらう、お寺の女房なら大黒さまと言ふ…
    93キロバイト (21,243 語) - 2023年10月17日 (火) 13:34
  • 「それが、三七日(さんしちにち)の間、お籠りをして、今日が満願と云う夜(よ)に、ふと夢を見ました。何でも、同じ御堂(おどう)に詣(まい)っていた連中の中に、背むしの坊主(ぼうず)が一人いて、そいつが何か陀羅尼(だらに)のようなものを、くどくど誦(ず)していたそうでございます。大方それが、気になったせいでございましょ…
    25キロバイト (4,766 語) - 2023年10月17日 (火) 13:51
  • 「それはわたくしにも判りませんよ」と、半七はやはり笑っていた。「子供が自然とそんなことを云う気遣いはないから、いずれ誰かが教えたんでしょうよ。唯、念のために申しておきますが、あの坊主は悪い奴で……延命院の二の舞で、これまでにも悪い噂が度々あったんですよ。それですから、あなたとわたくしとが押掛けて行けば、こっちで何も云わなくっても…
    52キロバイト (10,355 語) - 2021年8月31日 (火) 23:10
  • 盆休みが過ぎてから、お雪は師匠のところへ来て又こんなことを云った。 「お師匠さん。家(うち)のお父っさんは隠居して坊主となると云い出したのを、阿母さんや番頭が止めたんで、まあ思い止まることになったんですよ」 「坊主に……」と、文字春もおどろいた。「旦那が坊主になるなんて、一体どうなすったんでしょうね」…
    103キロバイト (20,786 語) - 2021年8月31日 (火) 23:11
  • って足りぬ首をしばらくお借り申し、行方をたずねに出かけ申し候、おわびは、たずね出しての上、いかんとも究命に逢い申すべく候。 と、書きのこした、いが栗坊主の、ざんげの文だ。 ――やっぱし、無理だったのだ。法印は、すばしッこく智慧のまわる方であねえ。お初といえば女狐よりも狡い奴――だまされたと見えるが、みんな、俺の罪だ!…
    50キロバイト (9,683 語) - 2019年2月27日 (水) 15:15
  • 坊主が逆(のぼ)せちまって……」 「その坊主たあ、どの坊主だい」 「観海寺(かんかいじ)の納所坊主(なっしょぼうず)がさ……」 「納所(なっしょ)にも住持(じゅうじ)にも、坊主はまだ一人も出て来ないんだ」 「そうか、急勝(せっかち)だから、いけねえ。苦味走(にがんばし)った、色の出来そうな坊主
    315キロバイト (58,693 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • 坊主、此検非違使に会はむとするに、此判官といふ者走り寄りて、此坊主に取付きて、刀を抜きて差当てゝ、汝若し働かば、刺殺してん。坊中のものおとせば、汝を殺すべし。倉塗籠開けよといひて、万の物心の儘に取りて、馬十疋計りに負せて、此坊主
    174バイト (8,442 語) - 2024年2月10日 (土) 09:45
  • 平五三郎形儀異様の事 古き文に虚言ある事 仲信入道弁を好む事 久斎天神まうでの事付宗円入道事 一里づかつき給ふ事 真言浄土法論の事 浄土諸法度 永伝師匠坊主を殺す事 江戸を都といひならはす事 当世らうさいはやる事 浅井源蔵師の恩忘るゝ事 下郎のいふ事世にひろまる事 三島平太郎三年奉公の事 歌舞妓大夫下手の名をうる事…
    438バイト (14,497 語) - 2024年2月1日 (木) 14:09
  • NDLJP:157】小将にて、小泉斎宮と申しける。備中家多く分れて浪人致し、成田半右衛門与力になる。弁当麁菜也とて相番共笑ひけり。別けて掃除坊主色々あて言申しけり。彦左衛門聞兼ねて、先づ坊主を打切り、相番共を切りまくる。皆悉く切りまくられて散々になり、彦左衛門は自害す。其の時より廻り弁当を停止せらる。其の喧嘩の注…
    177バイト (7,767 語) - 2024年2月3日 (土) 17:30
  • な冷奴(ひやゝつこ)にしましたとて小丼に豆腐を浮かせて青紫蘇の香たかく持出せば、太吉は何時しか臺より飯櫃取おろして、よつちよいよつちよいと擔ぎ出す、坊主は我れが傍に來いとて頭(つむり)を撫でつゝ箸を取るに、心は何を思ふとなけれど舌に覺えの無くて咽の穴はれたる如く、もう止めにするとて茶碗を置けば、其樣…
    64キロバイト (14,846 語) - 2023年10月17日 (火) 13:37
  • ぶ)ばかり見えて、本堂も庫裏(くり)もないようだ。その御寺で毎朝四時頃になると、誰だか鉦(かね)を敲(たた)く」 「誰だか鉦を敲くって、坊主が敲くんだろう」 「坊主だか何だか分らない。ただ竹の中でかんかんと幽(かす)かに敲くのさ。冬の朝なんぞ、霜(しも)が強く降って、布団(ふとん)のなかで世の中の寒…
    104キロバイト (18,180 語) - 2023年10月17日 (火) 13:38
  •     こゝに來て假初ならぬしぐれ哉      江戶を出るとて     旅人と我名呼ばれん初時雨     石に置て香爐をぬらす時雨哉      自畫讃     寺開く坊主の形や初時雨      美濃垂井矩外が許にて     作り木の庭をいさめる時雨哉     蔦の葉の時雨に時雨降る夜哉     一尾根はしぐるゝ雲か不二の雪…
    391バイト (18,319 語) - 2019年9月28日 (土) 21:54
  • 「では、もはや、おいとまいたしましょう」 と、言って、なき骸に、一礼すると、法印に、 「あなたさまには、何から何まで、お世話をかけまして――」 「ううん、何でもねえ――やっぱし、おいらお坊主のうちだったのかも知れねえよ。この女(ひと)が、こんなことになって見りゃあ、最後を始末するのが、おいらの役だったのだろうよ。あ、は、は」 法印は、わざと笑った。…
    106キロバイト (20,113 語) - 2019年2月27日 (水) 15:14
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