聖なる大老ワルソノフィイ及びイオアンの教訓
- 祈祷と清醒の事
一、 己れの前に常に神を有せんが為めに儆醒して己れに注意すべし、願くは預言者の言は汝の上にも成るあらん、曰く『我れ常に主を我が前に[見]たり、けだし我が右にあり我れ動かざらん』〔聖詠十五の八〕。
二、 熱心と冷淡との事に関して言はんに主が自ら己を名つけて心腹を煖め且焚く〔聖詠二十五の二〕所の火〔復傳律令四の二十四 エウレイ十二の二十九〕といはれしは人々の知る所なり。故に冷淡を覚ゆるあらば神を呼ばん、さらば神は来りてただ其の神に対するのみならず近者にも対する完全の愛をもて我等の心を煖めん、さらば善の嫉妬者の冷淡は神の温煖の面より逐はれん。聖書にいふあり『我れ切に主を恃むに主は我れに傾きて我が祈りを聴き給へり』と。これ何をいふか曰く『我を畏るべき阱より又泥澤より引出せり』〔聖詠三十九の二、三〕。心の無感覚なることも亦此の阱に属すべし。
三、 凡て寧静の先たざる思念〈何をか為さんとするの意思〉は神より生じ来るにあらずして疑なく左方よりするなり。我等が主は安静と共に来らん、されどもすべて敵に属する者は騒擾と叛乱と共に起るなり。故に至愛者よ神を畏るるの畏れを己が目前にあらはしすべて汝に属する所の事を為して感謝を主に献るべし〈成就したる後〉。
四、 願くは主宰ハリストスの宣へる霊火は汝の心に永く熾ならんことを。曰く『我来りて火を地に投ず』〔ルカ十二の四十九〕願くは主の平安は汝の心に定住せん、〔コロス三の十五〕願くは怒りと憤激とより即ち此猛烈の情より清められん、願くは主は汝をハリストスの被育者とならしめ又温柔の羔とならしめんが為めに汝の心を温良と謙遜とに定住せしめ賜はん〔イェレミヤ十一の十九〕。願くは汝の目は神を見ること心清き者の目の如くならん〔馬太五の八〕。
五、 我れより規則を受けんと欲するなかれ。思慮を持すること風に従て其の舟を方向せしむる舵人の如くなるべし。すべてを聡明に行ふべし、さらばこれ汝を我等が主イイスス ハリストスに於るの永生に導びかん。
六、 祈祷するに神が聴くことを遷引するあるはこれ我等の益の為めにかく為して我等に忍耐を教へんが為めなり、故に我等は祈祷したれど聴かれずといひて憂悶すべからず。神は人に益ある所のものを知るなり。
七、 謹んで爾の耳を俄に驚かすを免れん、曰く『視よや新郎至れり出でて彼れを迎ふべし』と〔馬太二十五の六十一〕。門閉されたりといへるを記憶すべし、急げよ、願くは愚なる童女と共に外に棄てらるるを免れん。己の思にて此の處世より他の世に転ぜよ、地に属するものを棄てて天に属するものを尋ねよ、朽つべきものをすてて朽ちざるものを得よ。思にて暫時なるものを逃れて永遠なるものに近づけよ、全く死すべし、願くは全く我等が主ハリストス イイススによりて消光さん。
八、 汝を試さんが為めに汝に向て起る所の誘惑の一をも畏るるなかれ、けだし神は汝を交さざるべければなり。何等の事の汝に追及くあるも汝は其の理由を捜すに苦むなかれ、イイススの名を呼んでいふべしイイススよ我れを助けよと、さらば彼は汝に聴きていはん『凡そ彼を呼ぶ者に邇し』〔聖詠百四十四の十八〕。自から小胆に沈むなかれ、熱心に前進すべし、さらば我等が主ハリストス イイススによりて願ふ所のものを得ん。
九、 我等が救世主の最明白なる教は左の如し、曰く『願くは汝の旨は成らん』〔馬太六の十〕。誠実に此の祈祷を唱ふる者は自分一個の旨をすててすべてを神の旨に托ぬ。
十、 聖書にいふ『狂妄をして汝の口より出でしむるなかれ』と〔サムイル前二の三〕。然るに汝は敢て神の前に口を開き諸欲は汝に弱れりといひ以てあらゆる欲の我れに伏在すること貯蔵所に伏在するが如しといふに易ふ。これが為めに汝はすてられ、すべて汝の憫然はあらはれぬ。されば汝は弱らずして預め己を儆醒すべし、八の異民を滅さんが為めなり。
十一、 何にでも時ならずして為すは我意を遂ぐるなり、これ高慢より生ず。
十二、 汝はハリストスと共に十字架に上り釘にて釘つけられ槍にて貫かるべし。忍耐して、すべての為めに感謝せよ、言ふあり『凡の事感謝すべし』〔ソルン前五の十八〕。されば窮乏に於ても疾病に於ても安慰に於ても感謝すべきこと明なり。間断なく神を呼ぶべし、さらば神は汝と共に居りて汝の名の為めに汝に力を與へん。
十三、 父と子と聖神の名により十字架の記号を汝の心に擾されずして置くべく且此の記号が我等に敵の首を蹂躙するに助くるを信じて汝の心を固むべし。
十四、 もしすべてに於て平安なる者とならんと欲せばもろもろの人に対する関係に於て死すべし、さらば平安なるを得ん。
十五、 我等は旅人たれば旅人とならん。或事の為に自分を算へざるべし、さらば誰も我等に何の重みも付けざらん時は平安なるべし。もろもろの人の為めに死せんことに尤尽力せよ、さらば救はれん。己の思念につげていふべし我れ死して墓にありと。
十六、 兇悪なる思念の為めに擾れをうけざらん、此の擾れが起りて我等の近者にも其の擾れの及ばんが為めなり、これ魔鬼の働きによりて生ずるに外ならざるなり。
十七、 思念が汝に勧めて神の旨に循ひ何をか為さしむるあらんに汝は其事に於て喜びを見ると同時にそれと反対の憂を見るときは知るべし此の思念は神より生じて己を忍耐せしむるものなるを、使徒の言にいへらく『我が体を制してこれ服はしむ、そは他の人を教へて自ら棄てられんを恐るればなり』〔コリンフ前九の二十七〕ゆえに汝は神の旨を行ふべし。さりながら魔鬼より生ずる所の思念はまづ第一に乱れと哀みとを充たす、されども彼は隠密に且巧みに誘ふて己の跡に従はしめむ、けだし敵は羊衣を被むればなり即外面は正しく見ゆる所の思念を勧めて内は実に残狼なればなり〔馬太七の十五〕即ち樸直なる者の心を誘ひ且奪ふに〔ローマ十六の十八〕善なるが如くに見えて其実は悪害なるものを以てすればなり。聖書に蛇を謂ひて智なる者と為す、故に其の首に常に注目すべし、其の汝に於て穴を見付けざらんが為め及び其の穴に住みて荒廃〈あらす〉せしめざらんが為めなり。されば汝は何事をか聞き又は思ひ又は見るあらんにたとひ多からざるも汝の心の擾さるるあらばこは魔鬼に属するものと知るべし。さらばもし霊神上の法を未だ得ずんば〈而して思念を自ら熟思する能はずんば〉師の前に謙遜すべし、〈彼れに思念を打明すべし〉『願くは矜恤をもて汝を罰せん』〔聖詠百四十の五〕されば外面は汝に善なるが如くに見ゆるといへども教訓をうけずしては何も行ふあるべからず〔シラフ三十二の二〕けだし魔鬼の光は終に暗に變ずればなり。
十八、 真実の途は我等が経過して最早背後に棄てたる者をして翻りて我等を誘はしめざるやうにするにあり、然らずんば我等が出でし其処に非難をうくべきもの多くあらはれて我等が労は徒然に帰せん。我意を己の背後に棄つべし且生涯の間汝は謙遜なるべし、さらば救はれん。
十九、 憂の為めに恍惚となれる汝の心の目を醒ますべし、願くは死の睡りに寝ねざらん〔聖詠百十八の二十八、十二の四〕。儆醒すべし、願くは汝の智識は其の汝の善地に荊棘を成長せしめざらんが為め及び種子を壓潰さざらんが為めにこれをいかに看守すべきを悟らん。戒慎せよ、けだし『不敬虔者は四方に環ぐればなり』〔聖詠十一の九〕。
二十、 我等が父よ〈すべての祈祷に於て〉と呼ぶことは完全なる者にも又罪人にも命ぜられしなり。完全なる者には彼等子たるを認識して神より離れ反かざるを努めんが為めなり、又罪人には其のしばしば凌辱したる所の者を慚愧の心をもて父と名づけて己を罪し悔改を生ぜしめんが為めなり。
二十一、 もし汝は使徒の言ふ如く間断なく祈祷するあらば〔ソルン前五の十八〕祈祷に立つに長きを要せざるなり。葢し汝の心は全日祈祷に在ればなり。手工に坐する時は詩を口づから読み又は言ひ而して各詩の終りに坐して祈祷すべし、例へば『神よ我等詛はれし者を矜めよ』といふ是なり。されどもし思念が汝を安んぜしめずんばこれに加へていふべし曰く『神よ汝我が憂を見て我を助け給へ』と。然れども時々祈祷に立ち適当の言をもて膝を屈むべし。暗記して詩を歌ひ或はこれを誦し近きに誰も居るなくんば無譜にてこれを唱ふべし。
二十二、 夜に関しては日の没るより算へて黄昏二時間祈祷すべし而して讃榮を終へて六時間眠るべし、其後起きて儆醒し餘の四時間は不眠なるべし。
二十三、 汚穢を洗はんを願ふて涙にてこれを洗ふべし、葢し涙はすべての汚穢を浄むればなり。汝の喉の言歇まざる間はイイススを呼ぶべし『師や我を救ひ給へ我儕亡びん』〔ルカ八の二十四〕。己の心を灰燼より清むべく且主が来りて地に投ずるの火を熾にすべし、彼は此のすべてを滅し汝の金を清きものとなさん。清醒は我等に多く要用なり。
二十四、 【欠】
二十五、 世の人々が獲物を尋ねて猛獣も賊の攻撃も海の危険も死も顧みずしてただ其の望む所を得んとするやたとひ果してこれを得るや否を知らずといへども其心を弱めざらんことは驚嘆すべし、されど我等詛はれ且怠惰なるものは蛇蝎を蹈み敵の全力を蹈潰すの権をうけ又是れ我れなり恐るるなかれ〔イオアン六の二十〕との言をきき而して其の戦ふや自分の力を以てするにあらずして我等を堅むる神の力を以てするを疑なく知るも弱わりて且煩悶す。何故此の如くなるか。これ我等が肉身は神を畏るるの畏れ〔聖詠百十八の百二十〕に釘うたれざると我が呻吟の聲により我が餅を食ふことを永く忘れざりしによるなり〔聖詠百○一の五、六〕。故に我等は此れより彼れに転じて主が来りて地に投ずるの火を全く受けざりしなり〔ルカ十二の四十九〕。此の火は我等が心の田にある所の荊棘を焼き且滅すべし。己を弱らすと怠慢なると身体を愛するとは我等をして興起するあらしめざるなり。
二十六、 完全なる祈祷は思を散せしめず悉くの思念と感覚とを収束して神と談話するにあり。人はことごとくの人の為め、世の為め及びすべて世にある所の者の為めに死する時はかくの如き性情に入らん。さればかくの如き人は祈祷に於てただ願くは汝の旨は我れにならんといひ又神の前に立ちて神と談話することを心に有するの外神に何も言ふを要せざるなり。
二十七、 汝が見し所、ききし所、將た為しゝ所の事を記憶するはただ其の謙遜と苦行と涙とに合し及び我意を絶つと合するの祈祷を滅すのみ此外何も滅す所あらず。
二十八、 心を守るとは戦を煽動する所の思念を脱して清醒潔浄なる智識を有するの謂なり。最初智識は其の思念を軽んず、されども其後最早敵が油断を見知る時には智識に戦を入るるに尽力するなり。もし其思念の汝に敵たるか將た友たるかを識らんと欲せば祈祷を作して彼れに問ふべし、『汝は我等の属するか將た敵よりするか』と〔イイスス ナウィン五の十三〕さらば彼は汝に真実を告げん、けだし叛逆は油断より生ずるなり。抗拒すべからず〈思念にて〉何となれば敵は此を欲し〈而して抗拒を見て〉攻撃をやめざればなり。然るに敵に対しては主の前に俯伏し己が病症をあらはして祈祷すべし、さらば主は彼等を逐ふのみならず彼等を全く廃滅せん。
二十九、 精舎に止まるとは是れ即ち自分の罪を記憶してこれが為めに悲み且嘆き己を儆醒して智識の捕はれざるを致すなり、而してもし捕はるるあらば速にこれを本来の位置に再び導くに尽力するなり。
三十、 人もし己を預め責むるに急がずんば智識は猛獣に戄去らるるなり〈恰も猛獣に咬まるる野獣の如くなるべし〉。かくの如きの智識は牙咬爪烈〈心中の猛獣の〉の痕を己れに有す、故に治療即ち悔改に必要を有するなり。
三十一、 もし身体の汝に叛逆するあらば急ぎ走りてイイススに祈祷すべし、さらば平安なるを得ん。
三十二、 他を罪するは汝に己を義とする心の未だ死せざるによりて生ずるなり、己を罪せよ、さらば他を罪すること息まん。
三十三、 畏懼は失望の姉妹なり。彼は心を弱らして神より離れしむ。我等はこれより逃れて我等に寝ぬる所のイイススを呼醒し叫んでいはん『夫子我を救へ我儕亡びん』と〔馬太八の二十五〕。さらば彼れ起ちて風に禁じて風静ならん且我等につげて曰はん『我れなり恐るるなかれ』〔イオアン六の二十〕。
三十四、 イイススは何の處に遠く去り汝をして彼れに近づきて其の来り助くるを祈る能はざらしむるか。否汝の耳は汝の口にて左の如く唱ふをきかざるか曰く『主は凡て真実をもて彼を呼ぶ者に邇し彼を畏るる者の望を行ひ彼等が祈祷を聆きて彼等を救ふ』〔聖詠百四十四の十九〕彼れに貼くべし、さらば彼は汝を内部の主人よりも又外部の僕よりも救ひ給はん。
三十五、 『萬人救を得て眞理を明に知るに入らん』ことを欲する〔ティモフェイ前二の四〕者の仁慈を祈るべし、主及び天地の主宰が其の来りて地に投ずる〔ルカ十二の四十九〕の霊火をもて起す所の霊神上の不眠を汝に賜はらんが為めなり。神は此の恩寵を凡て労苦と熱心とをもて願ふ所の者に賜ふなり、故に恩寵は来りて心の目を照らし、衰弱と不注意の睡眠を駆り、怠慢の地に於て錆を生じたる武器を拂拭はん。
三十六、 イイススは誰をも退くるなし、彼れは十一時に雇工を其の葡萄園に雇ひ給へり。彼れに貼きて多少の働を作すべし、衆とひとしく賞をうけんが為めなり。神は汝に智識を賜へりこれ某のあたへられし者をしてこれを天上に献ぜしめ『至上にあるものを求め天にあるものを念はしめ』〔コロス三の一、二〕神の自から居る所の處に向はしめんが為めなり。ただ此の方法をもて各々旧人より脱することを得べし。イイススは使徒等にいへらく『汝等は地の鹽なり』と〔馬太五の十三〕。腐敗に鹽してこれを乾かし〈己れに於て〉又蟲即ち悪念を滅して自から己れの為めに鹽となるべし。神及び我等が救世主は我等の救はれんを欲す、されど我等は間断なく呼んで主よ我を救ひ給へといふべし、さらば救はん。
三十七、 尋ぬべき所の方略は是れ即ち変化して旧人より潔めらるると霊と形との成聖を得るとにあり。
三十八、 もし誘はれて誰れになりとも行又は言にて罪を犯すあらば其者に往き赦を願ふて叩拝すべし。さらば神は此を見て汝を其敵より防ぎ衛らん。
三十九、 憂鬱は何の時に息むべきか。――我等の主が来りて其の名により前門の側に坐する所の聾者の耳に『起ちて行け』てふ喜ばしき聲のきこゆる時にやまん、其時に彼は『起ち且踊りて神を讃美しつつ』〔行傳三の六、八〕聖所に入らん、其時に憂鬱と怠惰の夢はやまん、其時に憂鬱と怠惰の催眠は瞼より飛散らん、其時に五人の智女は己が燈を點し新郎と共に擾さるるなく聖なる室に於て祝賀し同音に歌ふていはん『視よ主のいかに善なるを視よ』〔聖詠六十三の九〕と。其時に戦はやみ汚穢も動揺もやみて聖三者の聖なる平安は定住すべく宝物は封印せられて掠奪の近づく能はざるものとならん。
四十、 神がイオフの為めに証したる時悪魔はイオフに向つて憤怨したりし如く又少者の清めらるべき時の近づきしを預察して彼を拘攣せし如く〔馬可九の二十〕かくの如く誰か上進したるあるを見る時も悪魔は嫉妬によりて彼を誘はん。これ人をして己の弱きを知らしめ其の才能〈受けたる所の〉に自ら誇らざらしめんが為めに神の放任によりて生ずるなり。
四十一、 己れの行跡よりも越て名声を有するは其の嘖々する所のものをもて己を喜ばせざる者又は其れを諒とせざる者には少しも害を與へざらん、是れ猶殺人に讒せられたれども絶てかくの如きを為さざりし者と同じかるべし〈讒言は傷つけざるなり〉。かくの如き者は必ず思ふべし人々我れの如何なるを知らずして我れを好く意ふなりと。
四十二、 汝は聖使徒パウェルの訓言を有す、曰く『凡その事察へて善なる者を執れ』と〔ソルン前五の二十〕。人が神を畏るるによりて行ふ所の事はすべて其の霊魂に益をあらはす。ゆえに諸父と談話するはもし汝に益をあらはすならば此を為すべし。されども余は左の如く意ふなり神の為めに談話するも可なり神の為めに談話せざるも亦可なりと。
四十三、 己の心を和げよ、さらば心は改まらん、汝ぢ心を和ぐる程は我等が主ハリストス イイススに於ける永生の為めに思ふの念を心に発見せん。
四十四、 己の精舎に在る者にして己の意願を截つとはすべて身の安楽の如何に論なくこれに留心せざるの謂なり、肉に属するの意願は如何なる塲合に於ても身を安楽にするにあり、故に身に安楽を與へずんば知るべし精舎に在りて己が意願を断つなるを。されども魔鬼が勧むる所の意願は自ら己を義とせしむると己れに信ぜしむるとにあり、されば其時人は魔鬼の為めに捕へらるるなり。
四十五、 『主イイスス ハリストス神の子や我等を憐み給へ』と、此の祈祷を練習するは果して宜しきか、或は神の書を学び詩篇を誦するは更にこれより勝るか。彼も此も共に為すべく彼れ此れより多からず此れ彼れより少なからず交々これを為すべし、録する所の如し『此を行へよ彼も棄つべからず』〔馬太二十三の二十三〕。
