コロサイ人への書(文語訳)

提供: Wikisource
移動先: 案内検索

<文語訳新約聖書

w:舊新約聖書 [文語]』w:日本聖書協会、1950年

w:大正改訳聖書

コロサイ人への書

第1章[編集]

1:1[編集]

神の御心によりてキリスト・イエスの使徒となれるパウロ及び兄弟テモテ、

1:2[編集]

書をコロサイに居る聖徒、キリストにありて忠實なる兄弟に贈る。願はくは我らの父なる神より賜ふ恩惠と平安と汝らに在らんことを。

1:3[編集]

我らは常に汝らの爲に祈りて、我らの主イエス・キリストの父なる神に感謝す。

1:4[編集]

これキリスト・イエスを信ずる汝らの信仰と、凡ての聖徒に對する汝らの愛とにつきて聞きたればなり。

1:5[編集]

かく聖徒を愛するは、汝らの爲に天に蓄へあるものを望むに因る。この望のことは汝らに及べる福音の眞の言によりて汝らが曾て聞きし所なり。

1:6[編集]

この福音は全世界にも及び、果を結びて増々大になれり。汝らが神の恩惠をききて眞に之を知りし日より、汝らの中に然りしが如し。

1:7[編集]

汝らが、我らと共に僕たる愛するエパフラスより學びたるは、この福音なり。彼は汝らの爲にキリストの忠實なる役者にして、

1:8[編集]

汝らが御靈によりて懷ける愛を我らに告げたり。

1:9[編集]

この故に我らこの事を聞きし日より、汝等のために絶えず祈りかつ求むるは、汝ら靈のもろもろの知慧と穎悟とをもて神の御意を具に知り、

1:10[編集]

凡てのこと主を悦ばせんが爲に、その御意に從ひて歩み、凡ての善き業によりて果を結び、いよいよ神を知り、

1:11[編集]

また神の榮光の勢威に隨ひて賜ふもろもろの力によりて強くなり、凡ての事よろこびて忍び、かつ耐へ、

1:12[編集]

而して我らを光にある聖徒の嗣業に與るに足る者とし給ひし父に感謝せん事なり。

1:13[編集]

父は我らを暗黒の權威より救ひ出して、その愛しみ給ふ御子の國に遷したまへり。

1:14[編集]

我らは御子に在りて贖罪すなはち罪の赦を得るなり。

1:15[編集]

彼は見得べからざる神の像にして、萬の造られし物の先に生れ給へる者なり。

1:16[編集]

萬の物は彼によりて造らる、天に在るもの、地に在るもの、見ゆるもの、見えぬもの、或は位、あるひは支配、あるひは政治、あるひは權威、みな彼によりて造られ、彼のために造られたればなり。

1:17[編集]

彼は萬の物より先にあり、萬の物は彼によりて保つことを得るなり。

1:18[編集]

而して彼はその體なる教會の首なり、彼は始にして死人の中より最先に生れ給ひし者なり。これ凡ての事に就きて長とならん爲なり。

1:19[編集]

神は凡ての滿ち足れる徳を彼に宿して、

1:20[編集]

その十字架の血によりて平和をなし、或は地にあるもの、或は天にあるもの、萬の物をして己と和がしむるを善しとし給ひたればなり。

1:21[編集]

汝等もとは惡しき業を行ひて神に遠ざかり、心にて其の敵となりしが、

1:22[編集]

今は神キリストの肉の體をもて、其の死により汝等をして己と和がしめ、潔く瑕なく責むべき所なくして、己の前に立たしめんし給ふなり。

1:23[編集]

汝等もし信仰に止り、之に基きて堅く立ち、福音の望より移らずば、斯くせらるることを得べし。此の福音は汝らの聞きし所、また天の下なる凡ての造られし物に宣傳へられたるものにして、我パウロはその役者となれり。

1:24[編集]

われ今なんぢらの爲に受くる苦難を喜び、又キリストの體なる教會のために、我が身をもてキリストの患難の缺けたるを補ふ。

1:25[編集]

われ神より汝等のために與へられたる職に隨ひて教會の役者となれり。

1:26[編集]

これ神の言、すなはち歴世歴代かくれて、今神の聖徒に顯れたる奧義を宣傳へんとてなり。

1:27[編集]

神は聖徒をして異邦人の中なるこの奧義の榮光の富の如何ばかりなるかを知らしめんと欲し給へり、此の奧義は汝らの中に在すキリストにして榮光の望なり。

1:28[編集]

我らは此のキリストを傳へ、知慧を盡して凡ての人を訓戒し、凡ての人を教ふ。これ凡ての人をしてキリストに在り、全くなりて神の前に立つことを得しめん爲なり。

1:29[編集]

われ之がために我が衷に能力をもて働き給ふものの活動にしたがひ、力を盡して勞するなり。

第2章[編集]

2:1[編集]

我なんぢら及びラオデキヤに居る人々、その他すべて我が肉體の顏をまだ見ぬ人のために、如何に苦心するかを汝らの知らんことを欲す。

2:2[編集]

かく苦心するは、彼らが心慰められ、愛をもて相列り、全き穎悟の凡ての富を得て、神の奧義なるキリストを知らん爲なり。

2:3[編集]

キリストには知慧と知識との凡ての寶藏れあり。

2:4[編集]

我これを言ふは、巧なる言をもて人の汝らを欺くこと勿らん爲なり。

2:5[編集]

われ肉體にては汝らと離れ居れど、靈にては汝らと偕に居りて喜び、また汝らの秩序あるとキリストに對する信仰の堅きとを見るなり。

2:6[編集]

汝らキリスト・イエスを主として受けたるにより、其のごとく彼に在りて歩め。

2:7[編集]

また彼に根ざしてその上に建てられ、かつ教へられし如く信仰を堅くし、溢るるばかり感謝せよ。

2:8[編集]

なんぢら心すべし、恐らくはキリストに從はずして人の言傳と世の小學とに從ひ、人を惑す虚しき哲學をもて汝らを奪ひ去る者あらん。

2:9[編集]

それ神の滿ち足れる徳はことごとく形體をなしてキリストに宿れり。

2:10[編集]

汝らは彼に在りて滿ち足れるなり。彼は凡ての政治と權威との首なり。

2:11[編集]

汝らまた彼に在りて手をもてせざる割禮を受けたり、即ち肉の體を脱ぎ去るものにして、キリストの割禮なり。

2:12[編集]

汝らバプテスマを受けしとき、彼とともに葬られ、又かれを死人の中より甦へらせ給ひし神の活動を信ずるによりて、彼と共に甦へらせられたり。

2:13[編集]

汝ら前には諸般の咎と肉の割禮なきとに因りて死にたる者なりしが、神は汝らを彼と共に生かし、我らの凡ての咎を赦し、

2:14[編集]

かつ我らを責むる規の證書、すなはち我らに逆ふ證書を塗抹し、これを中間より取り去りて十字架につけ、

2:15[編集]

政治と權威とを褫ぎて之を公然に示し、十字架によりて凱旋し給へり。

2:16[編集]

然れば汝ら食物あるひは飮物につき、祭あるいは月朔あるいは安息日の事につきて、誰にも審かるな。

2:17[編集]

此等はみな來らんとする者の影にして、其の本體はキリストに屬けり。

2:18[編集]

殊更に謙遜をよそほひ御使を拜する者に、汝らの褒美を奪はるな。かかる者は見し所のものに基き、肉の念に隨ひて徒らに誇り、

2:19[編集]

首に屬くことをせざるなり。全體は、この首によりて節々維々に助けられ、相聯り、神の育にて生長するなり。

2:20[編集]

汝等もしキリストと共に死にて此の世の小學を離れしならば、何ぞなほ世に生ける者のごとく人の誡命と教とに循ひて

2:21[編集]

『捫るな、味ふな、觸るな』と云ふ規の下に在るか。

2:22[編集]

(此等はみな用ふれば盡くる物なり)

2:23[編集]

これらの誡命は、みづから定めたる禮拜と謙遜と身を惜まぬ事とによりて知慧あるごとく見ゆれど、實は肉慾の放縱を防ぐ力なし。

第3章[編集]

3:1[編集]

汝等もしキリストと共に甦へらせられしならば、上にあるものを求めよ、キリスト彼處に在りて神の右に坐し給ふなり。

3:2[編集]

汝ら上にあるものを念ひ、地に在るものを念ふな、

3:3[編集]

汝らは死にたる者にして、其の生命はキリストとともに神の中に隱れ在ればなり。

3:4[編集]

我らの生命なるキリストの現れ給ふとき、汝らも之とともに榮光のうちに現れん。

3:5[編集]

されば地にある肢體、すなはち淫行・汚穢・情慾・惡慾・また慳貪を殺せ、慳貪は偶像崇拜なり。

3:6[編集]

神の怒は、これらの事によりて不從順の子らに來るなり。

3:7[編集]

汝らもかかる人の中に日を送りし時は、これらの惡しき事に歩めり。

3:8[編集]

されど今は凡て此等のこと及び怒・憤恚・惡意を棄て、譏と恥づべき言とを汝らの口より棄てよ。

3:9[編集]

互に虚言をいふな、汝らは既に舊き人とその行爲とを脱ぎて、

3:10[編集]

新しき人を著たればなり。この新しき人は、これを造り給ひしものの像に循ひ、いよいよ新になりて知識に至るなり。

3:11[編集]

かくてギリシヤ人とユダヤ人、割禮と無割禮、あるひは夷狄、スクテヤ人・奴隷・自主の別ある事なし、それキリストは萬の物なり、萬のものの中にあり。

3:12[編集]

この故に汝らは神の選民にして聖なる者また愛せらるる者なれば、慈悲の心・仁慈・謙遜・柔和・寛容を著よ。

3:13[編集]

また互に忍びあひ、若し人に責むべき事あらば互に恕せ、主の汝らを恕し給へる如く汝らも然すべし。

3:14[編集]

凡て此等のものの上に愛を加へよ、愛は徳を全うする帶なり。

3:15[編集]

キリストの平和をして汝らの心を掌どらしめよ、汝らの召されて一體となりたるはこれが爲なり、汝ら感謝の心を懷け。

3:16[編集]

キリストの言をして豐に汝らの衷に住ましめ、凡ての知慧によりて、詩と讃美と靈の歌とをもて、互に教へ互に訓戒し、恩惠に感じて心のうちに神を讃美せよ。

3:17[編集]

また爲す所の凡ての事、あるひは言あるひは行爲、みな主イエスの名に頼りて爲し、彼によりて父なる神に感謝せよ。

3:18[編集]

妻たる者よ、その夫に服へ、これ主にある者のなすべき事なり。

3:19[編集]

夫たる者よ、その妻を愛せよ、苦をもて之を待ふな。

3:20[編集]

子たる者よ、凡ての事みな兩親に順へ、これ主の喜びたまふ所なり。

3:21[編集]

父たる者よ、汝らの子供を怒らすな、或は落膽することあらん。

3:22[編集]

僕たる者よ、凡ての事みな肉につける主人にしたがへ、人を喜ばする者の如く、ただ眼の前の事のみを勤めず、主を畏れ、眞心をもて從へ。

3:23[編集]

汝ら何事をなすにも人に事ふる如くせず、主に事ふる如く心より行へ。

3:24[編集]

汝らは主より報として嗣業を受くることを知ればなり。汝らは主キリストに事ふる者なり。

3:25[編集]

不義を行ふ者はその不義の報を受けん、主は偏り視給ふことなし。

第4章[編集]

4:1[編集]

主人たる者よ、汝らも天に主あるを知れば、義と公平とをもて其の僕をあしらへ。

4:2[編集]

汝ら感謝しつつ目を覺して祈を常にせよ。

4:3[編集]

また我らの爲にも祈りて、神の我らに御言を傳ふる門をひらき、我等をしてキリストの奧義を語らしめ、

4:4[編集]

之を我が語るべき如く顯させ給はんことを願へ、我はこの奧義のために繋がれたり。

4:5[編集]

なんぢら機をうかがひ、外の人に對し知慧をもて行へ。

4:6[編集]

汝らの言は常に惠を用ひ、鹽にて味つけよ。然らば如何にして各人に答ふべきかを知らん。

4:7[編集]

愛する兄弟、忠實なる役者、主にありて我とともに僕たるテキコ、我がことを具に汝らに知らせん。

4:8[編集]

われ殊に彼を汝らに遣すは、我らの事を知らしめ、又なんぢらの心を慰めしめん爲なり。

4:9[編集]

汝らの中の一人、忠實なる愛する兄弟オネシモを彼と共につかはす、彼等この處の事を具に汝らに知らせん。

4:10[編集]

我と共に囚人となれるアリスタルコ及びバルナバの從弟なるマルコ、汝らに安否を問ふ。此のマルコに就きては汝ら既に命を受けたり、彼もし汝らに到らば之を接けよ。

4:11[編集]

またユストと云へるイエス汝らに安否を問ふ。割禮の者の中ただ此の三人のみ、神の國のために働く我が同勞者にして我が慰安となりたる者なり。

4:12[編集]

汝らの中の一人にてキリスト・イエスの僕なるエパフラス汝らに安否を問ふ。彼は常に汝らの爲に力を盡して祈をなし、汝らが全くなり、凡て神の御意を確信して立たんことを願ふ。

4:13[編集]

我かれが汝らとラオデキヤ及びヒエラポリスに在る者との爲に甚く心を勞することを證す。

4:14[編集]

愛する醫者ルカ及びデマス汝らに安否を問ふ。

4:15[編集]

汝らラオデキヤにある兄弟とヌンパ及びその家にある教會とに安否を問へ。

4:16[編集]

この書を汝らの中にて讀みたらば、之をラオデキヤ人の教會にも讀ませ、汝等はまたラオデキヤより來る書を讀め。

4:17[編集]

アルキポに言へ『主にありて受けし職を愼みて盡せ』と。

4:18[編集]

我パウロ手づから安否を問ふ。わが縲絏を記憶せよ。願はくは御惠なんぢらと偕に在らんことを。