第二「カフィズマ」

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<聖詠経

第九聖詠

伶長に之を歌わしむラベン死する後作る所。ダワィドの詠。

主よ、我心を尽くして爾を讃揚げ、爾が悉くの奇迹を伝えん。

至上者よ、我爾の爲に慶び祝い、爾の名に歌わん。

我が敵は退けらるる時、躓いて爾が前に亡びん。

蓋爾は我が裁きを行い、我が訴えを理さめたり、義なる審判者よ、爾は宝座に坐せり。

爾は諸民を憤り、悪者を亡ぼし、其の名を永遠に抹せり。

敵には武器悉く尽き、城邑は爾之を毀ち、其の記憶は之と偕に滅びたり。

唯主は永遠に存す、彼は審判の爲に其の宝座を備えり。

彼は義を以て世界を審判し、直きを以て、審判を諸民に行はん。

一〇 主は苦しめらるる者の爲に避所となり、憂いの時に於いて避所とならん。

一一 爾の名を知る者は爾を頼まん、主や爾は尋ぬる者を棄てざればなり。

一二 シオンに居るの主に歌えよ、彼の行う事を諸民の中に伝えよ。

一三 蓋彼は血の爲に報い、之を記憶して苦しむ者の呼ぶを忘れず。

一四一五 主よ我を憐れめ、我を死の門より升して、爾が悉くの讃美をシオンの女の門に伝えしむる者よ、我を憎む者の我に加うるの苦しみを見よ、我爾が救いの爲に喜ばん。

一六 諸民は掘る所の落とし穴に陥り、其の隠せる所の網に、己の足を纏われたり。

一七 主は其の行いし審判に依りて知られ、悪者は己が手の所爲にて執えられたり。

一八 願わくは悪者、凡そ神を忘るるの民は地獄に赴かん。

一九 蓋貧しき者は永く忘れられず、乏しき者の望みは永く絶たれざらん。

二〇 主よ、起きよ、人に勝を得しむる毋れ、願わくは諸民は爾が顔の前に審判せられん。

二一 主よ、彼等をして懼れしめよ、諸民が己の人たるを知らん爲なり。

二二 主よ、何ぞ遠く立ち、憂いの時に己を隠す。

二三 悪者は誇りに依りて貧しき者を凌ぐ、願わくは彼等自ら設ける所の謀に陥らん。

二四 蓋悪者は其の霊の慾を以て自ら誇り、利を貪る者は己を讃む。

二五 悪者は其の驕りに依りて主を軽んじて、糺さざらんと云う、其の悉くの思いの中に神なしとす。

二六 彼の道は恒に害あり、爾の定めは彼に遠ざかる、彼は其の悉くの敵を軽んじ視る。

二七 其の心に謂う、我動かざらん、代々禍に遭わざらんと。

二八 其の口には詛呪と詐欺と詭計とを満て、其の舌の下には窘迫と残害あり、

二九 彼は垣の後、埋伏所に坐し、罪なき者を隠れたる所に殺し、目を以て貧しき者を窺う。

三〇 隠れたる所に伏し狙うこと、獅子が窟に在るが如し、埋伏所に伏し狙いて、貧しき者を執えんとす、貧しき者を執え、牽いて己の網に入る。

三一 彼は屈みて伏し、貧しき者は其の強き爪に落つ。

三二 彼は其の心に謂う、神は忘れ、己の面を隠せり、永く見ざらんと。

三三 主我が神よ、起きて、爾の手を挙げよ、苦しむ者を永く忘るる毋れ。

三四 何ぞ悪者は神を軽んじて、其の心に爾は糺さざらんと云う。

三五 爾之を見る、蓋爾は凌ぎと虐げを鑑みる、爾の手を以て之に報いん爲なり。貧しき者は爾に頼る、孤児を扶くる者は爾なり。  

三六 求む、悪者と罪者の臂を折きて、其の悪事を尋ぬとも得るなきに至らしめよ。

三七 主は王となりて、世々に終わりなからん、異邦民は其の地より絶たれん。

三八 主よ、爾は謙卑の者の望みを聞く、彼等の心を固めよ、爾の耳を開きて、

三九 孤児と苦しめらるる者の爲に審判を行い給え、人に復地上に於いて恐嚇さざらん爲なり。

第十聖詠

伶長に之を歌わしむ。ダワィドの詠。

我主を恃む、爾何ぞ我が霊に謂う、鳥の如く飛びで爾の山に至れ。

蓋視よ、悪人弓を張り、其の矢を弦につがえ、暗きに在りて心の義なる者を射んと欲す。

基壞られたれば、義人何を爲さん。

主は其の聖堂にあり、主の寶座は天に在り、其の目は貧しき者を見、其の瞼は人の子を試みる。

主は義者を試み、其の心は悪人と暴虐を好む者を疾む。

彼は熱炭烈火硫黄を雨の如く悪人に注がん、炎風は彼等が杯の分なり。

蓋主は義にして義を愛し、其の顔は義人を視る。

光榮讃詞
第十一聖詠

伶長に八弦の楽器を以て之を歌わしむ。ダワィドの詠。

主よ、我を救い給え、蓋義人は絶えたり、人の子の中に忠信の者なし。

人各々其の隣に偽りを言い、媚び諂う口にて二心より言う。

主は悉くの媚び諂う口、誇り高ぶる舌を絶ち、

彼の言いて、我が舌に勝たん、我が口は我等と共にあり、誰か我等に主たらんと言う者を絶たん。

主曰く、貧しき者の苦しみ乏しき者の嘆きに因りて、我今興き、執えられんとする者を危うからざる處に置かん。

主の言葉は浄き言葉なり、爐に於いて土より浄められて、七度錬られたる銀なり。

主よ、爾は我等を保ち、我等を護りて、斯の世より永遠に至らん。

人の子の中、小人高きに在れば、悪者四方に環る。

第十二聖詠

ダワィドの詠伶長に之を歌わしむ。

主よ、我を全く忘るること何れの時に至るか、爾の面を我に隠すこと何れの時に至るか、

我が己の霊の中に謀り、心の中に日夜憂いを懐くこと、何れの時に至るか、我が敵の我に高ぶること、何れの時に至るか。

主我が神よ、顧みて我に聴き給え、我が目を明らかにして、我を死の眠りに寝ねざらしめ給え。

我が敵が我は彼に勝てりと曰わざらん爲、我を攻むる者が我の動く時に喜ばざらん爲なり。

我爾の憐れみを恃み、我が心爾の救いを喜ばん、我恩を施すの主を讃め頌い至上なる主の名を崇め歌わん。

第十三聖詠

伶長に之を歌わしむ。ダワィドの詠。

無知なる者は其の心に云えり。神なしと彼等は自ら壞れ憎むべき事を行えり、善をなす者なし。

主は天より人の諸子を臨み、或いは智、明らかにして神を求むる者あるや否やを見んと欲す。

皆迷い、均しく無用と爲れり、善を行う者なし、一も亦なし。

凡そ不法を行い、餅を食らうが如く、我が民を食らい、及び主を呼ばざる者豈悟らずや。

彼等は懼れなき處に懼れん、蓋神は義人の族にあり。

爾等は貧者の意に、主は彼の恃みと謂うを嘲りたり。

誰かシオンより救いをイズライリに与えんやと主が其の民の虜を返さん時、イヤコフは喜びイズライリは楽しまん。

光榮讃詞
第十四聖詠

ダワィドの詠

主よ孰か爾の住所に居るを得る、孰か爾の聖山に在るを得る。

玷なきを行い、義をなし、其の心に真実を言う者、

其の舌にて讒言せず、其の親しき者に悪をなさず、其の隣を誹るの謗りを受けず。

邪僻なる者を藐んじ、主を畏るる者を尊み、誓いを発すれば悪人に於いてすと雖も変えず。

銀を貸して利を取らず、賄を受けて辜なき者を責むることをせざる者なり。此の如く行う者は永く揺撼かざらん。

第十五聖詠

ダワィドの歌

神よ我を護り給え、我爾を恃めばなり。

我主に云へり、爾は我が主なり、我の福は爾の賜物に非ざるなし。

地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我専ら之を悦ぶ。

趨りて他の神に向かう者は、願わくは其の憂い益々多からん、其の濯ぎ奠りの血は我之を濯がず、其の名は我が口に称えざらん。

主は我が嗣業と我が爵の分なり、爾は我の籤を執る。

我の畦は美しき地を繞る、我の嗣業は我が喜ぶ所なり。

我は我が悟りを啓きし主を讃揚げん、夜に於いても我が中心我を晦う。

我恒に主を我が前に見たり、蓋彼は我が右にあり、我動かざらん爲なり。

此に因りて我が心は喜び、我が舌は楽しめり、我が肉体も望みに安んぜん。

一〇 蓋爾我が霊を地獄に遺さず、爾の聖者に朽つるを見ざらしめん。

一一 爾我に生命の道を示さん、爾が顔の前に喜びの充満あり、爾が右の手に世々の福楽あり。

第十六聖詠

ダワィドの祈祷

主よ我の直きを聴き、我の呼ぶを聞き入れ、偽らざる口より出ずる祷を受け給え。

願わくは我を裁くの裁きは、爾の顔より出で、爾の目は義に注がん。

爾は既に我が心を験し、夜中に臨み我を試みて得る所なし、我が口は我の思いに離れず、

人の行爲に於いては、我爾が口の言葉に従いて、迫害者の途を慎めり。

我が歩みを爾の路に固めよ、我が足の躓かざるが爲なり。

神よ、我爾に呼ぶ、蓋爾我に聴かん、爾の耳を我に傾けて、我が言葉を聴き給え。

爾を頼む者を爾の右の手に敵する者より救うの主よ、爾の妙なる憐れみを顕わし給え。

我を瞳の如く護れよ、爾が翼の蔭を以て、

我を攻めむる不虔者の面、我を環る我が霊の敵より我を覆い給え。

一〇 彼等は己の脂に包まれ己の口にて高ぶり言う。

一一 今我が歩む度に我等を環り、目狙うて地に顛さんと欲す。

一二 彼等は獲物を貪る獅子の如く、密かなる處に蹲る小獅子の如し。

一三 主よ起きよ、彼等に先立ちて彼等を倒し、爾の剱を以て我が霊を不虔者より救え。

一四 主よ爾の手を以て人、即世の人より救い給え。彼等の業は今生にあり、爾は爾の寶蔵より其の腹を満たし、彼等の子も飽きて余りを其の裔に残すに至らん。

一五 惟我は義を以て爾の顔を見んとす、覚め起きて爾の容を以て自ら飽き足らん。

光榮讃詞