コンテンツにスキップ

検索結果

  • ものを御目にかけようかな、と言つた。まだ動悸がをさまらず蒼ざめた顔をしてはゐたが、紀昌は直ぐに気が付いて言つた。しかし、弓はどうなさる?弓は?老人は素手だつたのである。弓?と老人は笑ふ。弓矢の要る中はまだ射之射ぢや。不射之射には、烏漆(うしつ)の弓も粛慎(しゆくしん)の矢もいらぬ。…
    19キロバイト (4,317 語) - 2021年8月31日 (火) 22:15
  • お目にかけよう」と紀昌に言つた。まだ動悸が定まらず蒼ざめた顏をしてゐたが、紀昌は直ぐに氣がついて言つた。 「しかし、弓はどうなさる?弓矢は。」老人は素手〔で石の上〕だつたのである。「弓?」と老人は笑〔つた〕ふ。 「不射之射にはな、烏漆の弓も、肅愼の矢も要らぬ〔のぢや〕。弓矢のいる中はまだ射之射ぢや。…
    24キロバイト (5,404 語) - 2021年8月31日 (火) 22:15
  • 数日間、ロシア人とスペイン人は、この作業に精力的に取り組んだ。暖かい服装にしっかりとしたフードをかぶり、低い気温の中でも平然と過ごしていた。ただ、運搬する金属類には素手で触れないようにしていた。指の皮膚は、まるで火で赤くなったかのように、そこに残っていたことだろう。そのため、作業は無事終了し、ハンザ号の積荷は最終的…
    20キロバイト (3,734 語) - 2022年2月20日 (日) 13:08
  • 。然陸唐初人。而云一本作二趨進一者誤。則唐初兩文並行。其有二進字一者。疑渉二上章一誤衍耳。初入過レ位。勃如躩如。始見二君位一也。復二其位一。踧踖如。素手既見レ君而退。不二復變一レ色也。皇云。宁人君揖レ賓之處。江以爲二治朝一。未レ是。此節記二孔子見レ君之儀一。江以爲二内朝論レ政之時一。尤謬。…
    109キロバイト (16,637 語) - 2023年9月5日 (火) 01:16
  • んで、藤吉から売って貰うつもりであったんですが、あいにく富蔵はどこへか出て行った留守で、川春の店にいない。と云って、立派に受け合って来た以上、今さら素手(すで)で帰れない。見ず識らずの草履屋へ行って、だしぬけに鯉を売ってくれと云ったところで相手が取りあう筈もない。思案に暮れた挙げ句の果てに、思いつい…
    52キロバイト (10,544 語) - 2020年7月17日 (金) 13:20
  •     江の水に白魚匂へ梅のはな      伊賀のある方にて     旅烏古巢は梅になりにけり     隙とりて八重に咲きけり梅の花     盛りなる梅に素手引く風もがな     梅咲くやしらゝ落窪京太郞     あこくその心は知らず梅の花     梅さくや臼の挽木のよき曲り     旅人の寐てから霞む野梅哉…
    391バイト (18,319 語) - 2019年9月28日 (土) 21:54
  • ,仮に被告人が供述するとおりの状況で被害者が「殺すぞ」と言ったことがあったとしても,本件当時の被害者の動きを見ても,一定の間隔が空いた位置に立って,素手で前記の姿勢を取っていたにすぎず,それ以上に被告人の行く手を阻んだり,追い掛けたり,攻撃を加えたりするような動きは見せていなかったというのであるから…
    37キロバイト (7,202 語) - 2023年9月3日 (日) 10:01
  • もって執拗(しつよう)に土と他の植物の根とに、からみついている。クイクイを片づけてから、野生のライムにかかる。棘(いばら)と、弾力ある吸盤とに、大分素手を傷(いた)められた。 十時半、ヴェランダから法螺貝(プウ)が響く。昼食―冷肉、木犀果(アヴオガドオ・ペア)・ビスケット・赤葡萄酒(あかぶどうしゅ)。…
    264キロバイト (47,546 語) - 2020年11月3日 (火) 00:50
  • 三斎隠居が、ニヤニヤしながら、 「と、申して、あまりその方たちが愛しすぎると、折角の、彼の芸がどんなことになるかも知れぬぞ」 「ふ、ふ、素手で蝿を追うようになるより、いっそ、一日も早う、西へ帰してやるが、雪之丞のためになろうも知れぬ」 と、浜川が、尾についてざれ口を叩く。…
    82キロバイト (15,924 語) - 2019年2月26日 (火) 14:51
  • 「何しろ、性分が性分で、さっきにから、申し上げるように、一度盗みたいとなると、どうも遠慮が出来ねえ生れつき、こちらのようなお屋敷に、足踏をしていると、たまにゃあ、素手では帰られねえような気持になることもあるでしょう。だから、まあ、出来るだけ、この近所へは、足踏をしねえことに、いたしやしょうよ」 「ところがわしは、何となく、貴様が好ましくなって来たよ」…
    96キロバイト (18,832 語) - 2019年2月26日 (火) 14:51
  • 温氣にはびこる蘚苔(こけ)のやうな雜輩や おいぼれ共や 懦弱で見榮坊な令孃たちや 甘つたるい戀人や 陰險な奧樣や 皆ひとちぢみにちぢみあがらして 素手で大道を歩いて來た冬 葱の畠に粉をふかせ 青物市場に菜つぱの山をつみ上げる冬 萬物に生(いのち)をさけび 人間の本心ゆすぶり返し 慘酷で、不公平で 憐愍を輕蔑し、感情の根を洗ひ出し…
    107キロバイト (22,262 語) - 2023年1月8日 (日) 15:09
  • 月寝つきりに寝てゐたひよろひよろした肺病やみの若者がいきなりすつくと立ち上つた。あつけに取られてゐる同居人を尻目にかけて、病み衰へた手に拳を握ると、素手で片つぱしから窓ガラスをぶつこはし始めたのである。恐ろしい大きな音を立ててガラスの破片が飛び散つた。後難を恐れた同居人の一人が制止しょうとして後から…
    113キロバイト (23,636 語) - 2023年9月10日 (日) 05:44
  • 来た。腰つきがなんとなくしつかりときまつて来た。肉刺(まめ)が出来てはつぶれ、出来てはつぶれして、手の平の皮が次第に厚くなつて来た。もうぢき、平気で素手(すで)で燠(おき)をつかむといふやうなことにもなるだらう。石臼(いしうす)のやうな木の根をかなり離れた所まで持ち上げて運んでも行くし、重い唐鍬を、…
    488キロバイト (100,873 語) - 2019年10月21日 (月) 00:51
  • って遣(や)ったが、それを一々嵌(は)めたり脱いだりして、台所の用が出来るものでは無いと思った梅は、貰った手袋を大切にしまって置いて、矢張(やはり)素手で水を汲む。洗物をさせるにも、雑巾掛(ぞうきんがけ)をさせるにも、湯を涌(わ)かして使わせるのに、梅の手がそろそろ荒れて来る。お玉はそれを気にして、…
    240キロバイト (49,639 語) - 2021年5月20日 (木) 17:25
  • 戯な心が動いて、わざと木村に開封させた。その内容がどんなものであるかの想像もつかないので、それを木村に読ませるのは、武器を相手に渡して置いて、自分は素手(すで)で格闘するようなものだった。葉子はそこに興味を持った。而してどんな不意な難題が持ち上がるだろうかと、心をときめかせながら結果を待った。その手…
    1.07メガバイト (224,993 語) - 2023年3月24日 (金) 10:36
  • ――女房に擬して愛撫した枕と毛布製の人形―― ――手品を使うと称して、嚥下(のみくだ)した真鍮煙管(しんちゅうきせる)―― ――素手(すで)で引裂いた錻力板(ブリキいた)―― ――女患者が捻じ曲げた檻房の鉄柵――  ……といったようなモノスゴイ品物が、やはり狂人の作った優美な、精…
    1.34メガバイト (257,350 語) - 2023年10月17日 (火) 13:34
  • ば苦にもならず宛(あて)に成らぬ事を宛にして、文三は今歳の暮にはお袋を引取ッて、チト老楽(おいらく)をさせずばなるまい、国へ帰えると言ッてもまさかに素手でも往(い)かれまい、親類の所への土産は何にしよう、「ムキ」にしようか品物にしようかと、胸で弾(はじ)いた算盤(そろばん)の桁(けた)は合いながらも…
    429キロバイト (83,606 語) - 2023年10月20日 (金) 13:54
  •  風早は聴ゐるだに心苦くて、 「蒲田、君一つ談判してやり給へ、ええ、何とか君の弁を揮(ふる)つて」 「これは外の談判と違つて唯金銭(かね)づくなのだから、素手(すで)で飛込むのぢや弁の奮(ふる)ひやうが無いよ。それで忽諸(まごまご)すると飛んで火に入る夏の虫となるのだから、まあ君が行つて何とか話をして見た…
    1.02メガバイト (208,408 語) - 2024年1月28日 (日) 21:05
  •  と、叫んだり、一人の鷹匠が 「大変だっ」  と、叫びながら、走り出したのを見ると (斬られるな)  と、思った。だが、三人の近侍は、馬側へ集まって、一人は、素手で 「広岡っ。たわけっ、たわけっ」  と、狂的に絶叫しながら、広岡へ組みつこうとした。広岡は、初太刀を払われて、二の太刀を――片手突きに突いた。 「誰か」…
    1.47メガバイト (284,070 語) - 2023年11月2日 (木) 05:59