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  • ← あま酒売 蝶合戦 → 『半捕物帳』(はんしちとりものちょう) 第三巻/半先生 作者:岡本綺堂 底本:1999年10月10日春陽堂書店発行『半捕物帳第三巻』 わたしがいつでも通される横六の座敷には、そこに少しく不釣合いだと思われるような大きい立派な額がかけられて、額には草書で『報恩額』と…
    52キロバイト (10,660 語) - 2019年2月27日 (水) 14:40
  • た。鼠の足跡もみえた。そのほこりの上を爪立ってゆくと、どの座敷もをあげてあったが、台所につづく六の暗い一と間だけには敗れた琉球が敷かれていて、湿(しめ)っぽいような黴(かび)臭いような匂いが鼻にしみついた。半は腹這いになって古の匂いをかいだ。 「おめえも嗅いでみろ。酒の匂いがするな」 松吉もおなじく嗅いでみて、うなずいた」…
    25キロバイト (5,026 語) - 2024年2月4日 (日) 09:53
  • れを受け取って、自分のうしろの障子を音のしないようにするりとあけた。入口は二で、その傍(そば)に三ぐらいの女中部屋が続いているらしかった。半はその二に這い上がって、つき当りの襖をあけると、そこには造作の小綺麗な横六があって、縁側にむかった障子ばかりが骨も紙もひどく傷(いた)んでいるのが、薄…
    49キロバイト (10,224 語) - 2020年7月19日 (日) 08:43
  • 幾らか楽寝(らくね)をする積りであったのとで、庄五郎が草鞋(わらじ)をはいて出るのを見送って、女房は表の戸を閉めさせた。女房は茶の間の六に、小僧は台所わきの三に寝ることになっているので、二人は再びめいめいの寝床にもぐり込んで、あたたかい春のあかつきの眠りをむさぼっていると、やがて表の戸を軽くたたく者があった。…
    40キロバイト (8,088 語) - 2019年2月27日 (水) 14:48
  • は一応の挨拶をして、まず善昌の死骸を丁寧にあらためた。死骸の手足はあら縄で厳重にくくられていたが、ほとんど無抵抗で縄にかかったらしいことは、多年の経験ですぐに覚(さと)られた。そこらのには血の痕らしいものは見えなかった。もしや綺麗に拭き取ったのかと、半は犬のように腹這っての上をかいでみた。…
    48キロバイト (9,851 語) - 2019年2月27日 (水) 14:42
  • 射られて、お亀は蒼くなって顫え出した。掛合いはもう手詰めになって来た。 「あの女はおまえ識っているか」と、半は小声でお蝶にきくと、お蝶は無言で首を振った。半はすこし考えていたが、やがて三から台所へ這い出して、水口(みずぐち)からそっと表へぬけた。 露地のそとは月が明るかった。角から四、五軒さき…
    51キロバイト (10,717 語) - 2019年2月27日 (水) 14:40
  • 「どうも素直に行きそうもねえ。面倒でものっほこりを立てろ」と、半は云った。 その声の終らないうちに、式部は腰にさしている一刀をそこへ投げ出して起ったかと思うと、奥の襖を蹴放すようにして逃げ込んだので、半はすぐに追って行った。こういう徒(やから)の習い、得物(えもの)をわざと投げ出したのは、こっちに油断させる為であろうと、半
    52キロバイト (10,544 語) - 2019年2月27日 (水) 14:40
  • 拠だ。師匠の家にはお浚いの床(ゆか)があるだろう」 師匠の家は四畳半と六の二間で、奥の横六に二間(にけん)の床があると松吉は云った。床の下は戸棚になっているのが普通である。その戸棚のなかに男を隠(かく)まってあるものと半は鑑定した。 「さあ、松。すぐ一緒に行こう。奴らは銭がなくなると、また何…
    49キロバイト (9,969 語) - 2021年12月24日 (金) 08:42
  • 隣りのおかみさんに一応ことわって、半は格子の中へはいった。上がり框(かまち)に腰をかけて煙草を一服すっているうちに、かれはふと思い付いて、そっと入口の障子を細目にあけた。内は六と四畳半の二間で、入口の六には長火鉢が据えてあった。次の四畳半には炬燵(こたつ)が切ってあ…
    51キロバイト (10,308 語) - 2021年8月31日 (火) 23:11
  • にも容易に判断がつかなかった。 「芝居の晩にはおまえさんも無論見物に行っておいでになったんでしょうね」と、半は猪口をおいて訊いた。 「はい。見物して居りました」 「楽屋には大勢詰めていたんでしょうね」 「なにしろ楽屋が狭うございまして、八
    50キロバイト (10,115 語) - 2024年2月5日 (月) 11:32
  • もすぐに駈け付けた。 俳諧師の庵(いおり)というだけに、家の作りはなかなか風雅に出来ていたが、其月の宅は広くなかった。門のなかには二十坪ほどの庭があって、その半分は水苔(みずごけ)の青い池になっていた。玄関のない家で、女中部屋の三。そのほかには主人が机をひかえている四畳半と、茶の間の六と、
    55キロバイト (11,261 語) - 2022年1月2日 (日) 00:26
  • りどたばたして方々へ塵芥(ほこり)を立てねえ方がいい」 半は内へはいった。女中のお滝はどうしたと訊くと、けさから番屋へ留められたままで、まだ下げられないとの事であった。お照も無論帰って来なかった。新兵衛の死骸はもう検視が済んで、茶の間の六に横たえてあった。お照の下げられるのが遅いようならば、この…
    50キロバイト (10,195 語) - 2019年2月27日 (水) 14:48
  • その留め男が半であると判って、要作もお高も恐縮した。濡れた着物を拭くやら、汚れた足を洗わせるやらして、かれらはしきりに半に謝った。 「いや、あやまる事はねえ。そこで、番太のかみさん。おめえにもう一度訊きてえことがある」 半はお霜を二階へ連れてあがると、そこは三と横六
    71キロバイト (14,226 語) - 2019年2月27日 (水) 14:47
  • 見物の人たちで広い二階は押合うように埋められて、余った人間は縁側までこぼれ出していたが、楽屋の混雑は更におびただしいものであった。楽屋は下座敷の八と六をぶちぬいて、踊り子全体をともかくもそこへ割り込ませることにしたのであるが、何を云うにも子供が多いのに、又その世話をする女や子供が大勢詰めかけてい…
    35キロバイト (7,164 語) - 2019年2月27日 (水) 14:49
  • それから与七に案内させて、半七は二階じゅうをひと廻り見てあるいた。表二階から裏二階へまわって、お駒の部屋も無論にあらためた。部屋は三と六との二間(ふたま)つづきで、六の突き当りは型のごとく欞子窓(れんじまど)になっていた。去年の暮あたりに手入れをしたらしい欞子はそのままになっていて、外から忍び込…
    50キロバイト (10,346 語) - 2019年2月27日 (水) 14:50
  • 奥には茶の間らしい六の間がある。つづいて八の座敷である。茶の間へはいって、押入れの破(や)れ襖(ぶすま)をあけると、押入れのなかも埃だらけになっていたが、下の板の間には隅ずみだけを残して、他に埃のあとが見えない。誰かが掃き出したのではなく、そこに人間が這(は)い込んでいたのではないかと想像された。 半
    69キロバイト (14,020 語) - 2019年2月27日 (水) 14:48
  • 大阪屋花鳥 大森の鶏 → 『半捕物帳』(はんしちとりものちょう) 第五巻/正雪の絵馬 作者:岡本綺堂 底本:2000年7月10日春陽堂書店発行『半捕物帳第五巻』 これも明治三十年の秋と記憶している。十月はじめの日曜日の朝、わたしが例によって半老人を訪問すると、老人は六
    81キロバイト (16,273 語) - 2019年2月27日 (水) 14:46
  • 狭い露地の奥へはいって、良次郎の家というのを探しあてると、二と六とのふた間の家に五十近い女と、十四、五の小娘とが向いあって、なにか他人(ひと)の賃仕事でもしているらしかった。裏店(うらだな)の割には家のなかが小綺麗に片付いているのが半の眼をひいた。 「あの早速でございますが、こちらの良次郎さんは唯今どちらへおいででしょうか」…
    39キロバイト (8,057 語) - 2019年2月27日 (水) 14:49
  • 「なんぶんよろしく願います」と、要助は繰返して頼んで帰った。 それを見送って、寄付きの二へ出て来た半は、誰か表に忍んでいるような気配を覚(さと)った。要助が格子を閉めて出たあとから、半もつづいて草履を突っかけて沓脱(くつぬぎ)へ降りて、そっと格子をあけて表を窺(うかが)うと、今夜は…
    70キロバイト (14,056 語) - 2019年2月27日 (水) 14:46
  • 「わたくしです」と、小僧は答えた。「お此さんがいつも仕事をしている六の障子です。なんでも猫がいたずらをしたとかいうことで、下から三、四段目の小間(こま)が一枚やぶけていました」 「いつ頃だか、その日をたしかに覚えていないかえ」と、半は訊いた。 「おぼえています。お節句の日でした」 半はまたほほえんだ。それぎりで三人は黙ってあるいた。…
    59キロバイト (11,816 語) - 2021年12月14日 (火) 10:52
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