検索結果

(前の20件 | ) (20 | 50 | 100 | 250 | 500 件) を表示
  • (何でありますと問返す言詞(ことば)) 子ックセ(如何(どふだ)) チコノ、アタヘアン(何(なに)程(ほど)價(あたへ)なるや) 〈土人は、物品の交換のみにて、金錢を以て、賣買せしとあらざしも、近來內地人と交際するに際
    708バイト (3,142 語) - 2023年8月17日 (木) 18:00
  • 夜晩(おそ)く鏡を覗くのは時によつて非常に怖ろしいものである。自分の顔がまるで知らない人の顔のやうに見えて来たり、眼が疲れて来る故か、ぢつと見てゐるうちに醜悪な伎楽(ぎがく)の腫(は)れ面(おもて)といふ面そつくりに見えて来たりする。さつと鏡の中の顔が消えて、あぶり出しのやうにまた現はれたりする。片方の眼だけが出て来て暫くの間それに…
    21キロバイト (4,666 語) - 2021年8月31日 (火) 22:29
  • 『赤蛙』(あかがへる) 作者:島木健作 1942年 底本:昭和45年6月25日筑摩書房発行現代日本文學大系70『武田麟太郎・織田作之助・島木健作・檀一雄集』 寝つきに寝つくやうになる少し前に修善寺へ行つた。その頃はもうずゐぶん衰弱してゐたのだが、自分ではまだそれほどとは思つてゐなかつた。少し体を休…
    21キロバイト (4,651 語) - 2021年8月31日 (火) 22:40
  • 事のみおほせ候て、ふね〳〵にめされ候て、御大事にあはせ給候御事は、大まうあくの人に候と○(□)上のけさむに入まいらせ候べく候、式部房証人の事はうけ給候ぬ、御尋候はゝ申へく候とありしによて、かさねてせう人にこれをたつ、○(□)〔絵〕…
    47バイト (6,213 語) - 2024年4月5日 (金) 23:07
  • ば、十人でも二十人でも、五十人でも百人でもきっと狩り集めてやる。まず種あかしをしろ」 「きっとですね」 念を押して置いて、お粂はこういう出来事を報告した。ゆうべ末広町の丸井(まるい)という質屋へ怖(おそ)ろしい押借り(おしが)が来たと云うのである。丸井はそこらでも旧い暖簾(のれん)の店で、ゆうべ…
    51キロバイト (10,203 語) - 2019年2月27日 (水) 14:41
  • りをあわせたまま埃(ほこり)をかぶっていた。夜更けて彼が便所へ通うと、小窓の外の屋根瓦には月光のような霜が置いている。それを見るときにだけ彼の心はほっと明るむのだった。 固い寝床はそれを離れると午後にはじまる一日が待っていた。傾いた冬の日が窓のそとのまのあたりを幻燈のように写し出している、その毎…
    37キロバイト (7,629 語) - 2021年12月10日 (金) 09:31
  •  仁右衛門は声の主が笠井の四国猿奴(しこくざるめ)だと知るとかっとなった。笠井は農場一の物識(ものし)で金持(まるもち)だ。それだけで癇癪(かんしゃく)の種には十分だ。彼れはいきなり笠井に飛びかかって胸倉(むなぐら)をひっつかんだ。かーっといって出した唾(つば)を危くその面(かお)に吐きつけようとした。…
    111キロバイト (23,376 語) - 2023年10月17日 (火) 13:37
  •  さるは、宮の御心あかぬところなく、らうらうじく心にくくおはしますものを、あまりものづつみせさせたまへる御心に、何とも言ひ出でじ、言ひ出でたらむも、後ろやすく恥なき人は、世にかたいものとおぼしならひたり。げにものの折など、なかなかなることし出でたる、後れたるには劣
    106キロバイト (22,607 語) - 2020年7月26日 (日) 02:43
  • 、木犀果(アヴオガドオ・ペア)・ビスケット・赤葡萄酒(あかぶどうしゅ)。 食後、詩を纏(まと)めようとしたが、うまく行かぬ。銀笛(フラジオレット)を吹く。一時からまた外へ出てヴァイトリンガ河岸への径(こみち)を開きにかかる。斧を手に、独(ひと)で密林にはいって行く。頭上は、重なり合う巨木、巨木。そ…
    264キロバイト (47,546 語) - 2020年11月3日 (火) 00:50
  • ら深い淵(ふち)をのぞいたような気を起させる。  対岸の山は半ばは同じ紅葉につつまれて、その上はさすがに冬枯れた草山だが、そのゆったりした肩には紅(あか)い光のある靄(もや)がかかって、かっ色の毛きらずビロードをたたんだような山の肌(はだ)がいかにも優しい感じを起させる。その上に白い炭焼の煙が低く山…
    14キロバイト (2,775 語) - 2019年9月29日 (日) 05:15
  • 「でも、先生も、ちっともお変りなさいません――それは、お髪(ぐし)や、お髯は、めッきり白うお成なさいましたけれど――」 「わしの方は、もう寄る年波じゃよ。が、兎(と)に角、生きていることは悪うない。そなたに、こうして邂逅(めぐりあ)えたのも、いのちがあったればこそじゃ」 と孤軒先生なる老人は笑ましくいったが、いくらか、眉をしかめるようにして、…
    36キロバイト (6,997 語) - 2024年1月12日 (金) 09:39
  • (のつみや〔ママ〕)古(ふる)田(た)長(なが)久保矢(くぼや)板(いた)など 停車場(すてしよん)をば跡(あと)になし 西(にし)那須野(なすの)にぞ着(つ)きにける これより西北(にしきた)六七里() 野路(のぢ)をたどれば鹽原(しほばら)の 温(いで)泉(ゆ)にこそは行(ゆ)かれける…
    19キロバイト (3,686 語) - 2023年9月5日 (火) 14:50
  • と云うのである。このワには厭味(いやみ)もなければ思慮もない。理もなければ非もない。詐(いつわ)もなければ懸引(かけひき)もない。徹頭徹尾ワである。結晶した精神が一度に破裂して上下四囲の空気を震盪(しんとう)さしてワ
    134キロバイト (26,387 語) - 2023年10月17日 (火) 13:50
  • しんめんたる常盤木の重なりあふところで ひきさまたよせかへす美しい浪をみるところで かのなつかしい宗教の道はひらかれ かのあやしげなる聖者の夢はむすばれる。 げにそのひとの心をながれるひとつの愛憐 そのひとの瞳孔(ひとみ)にうつる不死の幻想 あかるくてらされ またさびしく消えさゆく夢想の幸福とその怪しげなるかげかたち…
    134キロバイト (26,710 語) - 2023年10月17日 (火) 13:53
  • あないか――高々、この弱むしおんなの、手の中のいたずら物が怖いといって、そんなにすくんでしまわなくったっていいよ。大方、さすが、人をそらさぬ人気渡世―わざと怖ろしがって見せているのであろうが――ほ、ほ、ほーーこれだけいっても、飛びついて来ないのを見ると、ほんとうに怖毛(おじげ)をふるっているのかねえ――」…
    50キロバイト (9,683 語) - 2019年2月27日 (水) 15:15
  • 「せんせい。」「せんせい。」  と口々に叫ぶのである。鶏三が歯を見せて笑つてゐることを知らせてやると、彼女等は蜘蛛の子を散らせたやうに駈けよつて来て、ばらばらと山の斜面に這ひつき、栗や小松の葉をぱちぱちと鳴らせて、見る間に鶏三の腰のまは
    2キロバイト (11,651 語) - 2019年6月25日 (火) 14:12
  • でもう貴嬢にもお眼に懸るまい……ネお勢さん」  お勢は尚お黙然としていて返答をしない。 「お勢さん」  ト云いながら昇が項垂(うなだ)れていた首を振揚げてジッとお勢の顔を窺(のぞ)き込めば、お勢は周章狼狽(どぎまぎ)してサッと顔を※(あか
    429キロバイト (83,606 語) - 2023年10月20日 (金) 13:54
  • 杯飲み、独りで寝どこを敷いて、そこへもぐり込んだ。 寝苦しいので、右を向いたり、左を向いたり、うつ伏しになったりしながら、渠は女の帰りを待った。―― お鳥は、おれに身をまかせる前に、ちょッと朝鮮人へ目見えに行ったことがあるぞ!然しあれは仲働きの候補で、いやだから一日でよしたと云った。…
    258キロバイト (51,635 語) - 2021年8月31日 (火) 22:28
  • た、細長い人影――雪之丞が身をひそめた、つい側まで来て、ピタリと草履(ぞうり)の音を止めた。 「ほ人くさいぞ!」 雪之丞、だしぬけに、不思議な嗄(しわが)れごえのつぶやきを耳にして、暗々たる杜(も)の中に、ハッと立ちすくんでしまた。 老い、掠れた声がなおつづく。…
    49キロバイト (9,625 語) - 2019年2月26日 (火) 14:51
  • 、げを持続している。やがて頭を分け終って、西洋手拭(てぬぐい)を肩へかけて、茶の間へ出御(しゅつぎょ)になると、超然として長火鉢の横に座を占めた。長火鉢と云うと欅(けやき)の如輪木(じょりんもく)か、銅(あか
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
(前の20件 | ) (20 | 50 | 100 | 250 | 500 件) を表示