フランス政府セクト対策一覧

提供:Wikisource

序文[編集]

ページの目的[編集]

このページはフランス政府のセクトカルト)対策に関わる行政資料の紹介と日本語訳を行っています。 またフランスのセクト対策は日本でも紹介されたので、それら記事の紹介もします。

ここの資料を読む利点を記載しておきます。

詳しい方なら行政資料を読むことをお勧めします。 そうでない方は、セクトについて論じている他のサイトを開いた時「そういえば新聞記事がどうとかいっているページがあったな」と思い出し新聞記事の方も読んでみるか。と考える一助となれば幸いです。

記事の紹介順序と内容[編集]

記事を紹介する順番としては、まずセクト対策の概論を紹介し、次にネット上でのデマの類を紹介、最後に翻訳物の掲載となっている。 翻訳は複数のプロの翻訳家に、一部の翻訳のチェックは大学の教授に依頼した。 この記事そのものは翻訳依頼者である筆者(60.237.191.64)[1]が中心となって作成した。

年表[編集]

1985年 フランス政府による本格的なセクト対策と呼べるものも特に無かった。 この年、議会の一部勢力がセクト問題を取り上げるが、週刊誌を証拠の一つとして論じるなど質の悪いものであった。

1995年 カルト対策の引き金となる議会報告書「フランスにおけるセクト」(新聞記事によっては「フランスのセクト」、 「フランスにおけるセクト(カルト)教団」、 「1995年度報告書」とも)が提出された。 この報告書はフランス国内で活動中のセクト(カルト的)傾向の見られる団体の紹介と、それによって引き起こされる社会問題への対処を提案したものだった。 フランスではこの報告書等に基づきセクト対策室が設置され、継続的なセクト対策が行われることとなる。

セクト対策の課程で提案され実行に移されたのは、脱税対策、人権侵害調査、子供への洗脳的教育が行われてないかの監視、人権の侵害を行う団体への対処、異文化とカルトの線引きをどうするか、異文化の受け入れ、裁判実績の積み重ね、各県(海外県を含む)における専門部署の設置などである。

特にフランス政府のセクト対策で問題となったのは人権だけが人類の価値観でない以上、セクトと他文化の線引きをどうするかと、旧来のライシテとの調和であった。 この問題は根幹的なものであり、政府のみならずフランス国内でも話題となり膨大な議論が行われた。 またフランスのセクト対策は、宗教に対し踏み込んだものであったため、ヨーロッパ各国から注目された。 これらの資料については日本語訳がほとんど無い以上、現地の資料に当たるしかない。


セクト対策が継続的に行われる過程でMils(Mission interministérielle de lutte contre les sectes、府省間セクト対策本部))設置、その後セクト対策は2002年にMiviludes(Mission interministérielle de vigilance et de lutte contre les dérives sectaires、w:セクト的逸脱行為関係省庁警戒対策本部に引き継がれる。 Miviludesの時代になると、上記であげたセクト対策の具体的な成果と問題点が認識されはじめ、各省庁ごとによる行政レベルでの取り組みが紹介されるようになる。 参考資料。


2004年時点のフランスのカルト教団対策の内実の一部をまとめると以下のようになる。

  • 児童虐待が常態化している団体への専門家による監視
  • 組織的詐欺や高額なインチキ医療が常態化している団体への監視と市民への警告
  • 社会復帰できなくなるほど搾取(例えば貯金を全部洗脳によって絞り取られ借金までさせられる等)されたり、社会復帰できなくなるほど洗脳された信者を救済するための判例実績の積み重ね
  • 信者を利用して組織的犯罪を行うことが常態化している団体の法的責任の追及

他にもあるが代表的なものは以上のようなものである。 フランス政府の対策の基本は、信教の自由に犯罪の自由は含まれないという立場にある。 セクトと目された団体のうち特に犯罪性の高い団体から優先して対策取り締まりをおこなっているため、同じセクト分類でもそんなに危険でない団体もセクトとされている点に注意が必要である。 狭義の刑法解釈を根拠にセクト対策を行っているため、犯罪性の高い団体から優先して取り締まっており、この点は特に重要となる。


一橋法学、中島宏氏による学術的な観点からの論文。

紹介する資料の一覧[編集]

新聞記事その他[編集]

まずは紹介する資料の一覧を掲載する。 新聞社の公式サイトでは十分な検索が出来ないため記事検索にはデータベース検索サービスのG-Searchを使用した。 日本語の記事一覧。

  • 新聞記事

朝日新聞社 - 22 読売新聞社 - 5 毎日新聞社 - 6 しんぶん赤旗 - 7 北海道新聞 - 1 熊本新聞 - 1 産経新聞 - 1 産経新聞社 - 1 中国新聞社 - 1 中日新聞社 - 2

他に 日本弁護士連合会公式文書や文部科学省中央審議会の資料へのリンクなどを掲載する。

行政資料[編集]

フランス政府の報告書についてはMILSやMIVILUDESの報告書とその日本語訳, フランス政府国民議会の資料などを紹介する。

専門家向けの資料[編集]

残念ながら、この分野に関し日本語で書かれた専門書はほとんど無いのが現状である。

フランスのライシテとセクト対策、欧州人権条約の関係について、甲南大学の小泉洋一教授が中立的、学術的な観点から分析した本が良書となっている。

小泉洋一(著)『政教分離の法フランスにおけるライシテと法律・憲法・条約』(法律文化社 2005年10月) ISBN 978-4589028570

一般向けの資料[編集]

  • より一般向けの情報を得たい場合新聞記事が適している。

読売新聞のデータベース「ヨミダス文書館[2]」で検索するとセクトに関する記事を得ることが出来る。 本格的に調べたい場合、新聞・雑誌記事などの有料検索サービス”G-Search”で検索することで、より多くの新聞記事を参照可能である。

日弁連と毎日新聞が合同で調査チーム(「日弁連消費者問題対策委員会委員」)を送り、日弁連の公式文書ではその成果を報告し、毎日新聞では一面で連載がなされた。 [[3]] 新聞記事はG-Searchで、日弁連の報告書「反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」は公式サイトで閲覧可能である。 『カルト宗教のトラブル対策―日本と欧米の実情と取り組み』(教育資料出版会、ISBN 978-4876523818 )という著書に視察の成果の報告がある。

創価学会の危険性について書いた記者を創価学会側が訴えて、全面敗訴した裁判の判決文。

新聞記事一覧[編集]

  • 序文

ここではフランスのセクト対策について報じた日本の新聞記事の解説をします。

  • 追加資料として文部科学省の教科書作りに関する資料や日弁連の公式文書からの抜粋なども行います。
  • 検索方法の説明

10年以上前の記事を検索する必要もありましたが新聞社の公式サイトでは十分な検索をすることが出来ません。 検索には有料の新聞記事データベースG-Searchを使用しました。

  • 記事解説
    • 用語と用法。
    • 「〈解〉カルト 2000.03.21 東京朝刊 13頁 読売新聞社
    • 「〈解〉カルト 2002.07.17 東京朝刊 25頁 読売新聞社」
    • 「なんだっけ/カルト 2003.05.10 日刊紙 6頁 国際 w:しんぶん赤旗

読売の記事ではカルトの解説の一部としてセクトについて言及している。 重要な記事に尽き全文を抜粋しておく。

  元来は宗教社会学の用語で、社会の伝統的価値観から大きく逸脱した宗教教団やその運動を指していたが、そこから転じて、最近では「社会に危害を及ぼす狂信的な宗教集団」といった意味合いで使われることが多い。こうしたカルトが注目され始めたのは1978年。南米のガイアナに拠点を置いていた米国のカルトが、視察に訪れた下院議員を殺害した上、集団自殺した「人民寺院事件」が発端。フランスでは国民議会が「セクト」という名称で同様の集団を規定するなど、世界的にカルトへの警戒感は高まっている。

w:読売新聞』の2002年の記事ではカルトを (ラテン語の「崇拝」に由来する言葉。転じて「熱狂的な崇拝者からなる小集団」、さらに反社会的な行為に走る閉鎖的集団、といった意味で用いられる。学術的な定義はないが、フランス語でほぼ同義の「セクト」について、同国国民議会は96年採択の報告書で「精神の不安定化を狙った操作」により、会員から「無条件の忠誠」などを引き出そうとする集団、との定義を試みている。) と説明している。 『しんぶん赤旗』の記事でも同様である。

(『しんぶん赤旗』の記者は反創価を打ち出しているため、中立性には少々疑問点が残る。その反面最も詳しい事実を書いてもいる人でもある。 事実は外さず書くが、論調が攻撃的な記事となっている。)

用法の確認として産経新聞の記事もあげておく。

    • 「オウム破防法棄却決定 仏反応 ジョルジュ・フェネシュ仏検事職業協会会長 1997年2月1日 東京朝刊 30頁 第2社会 産経新聞社

抜粋すると

フランスではセクトはまだ、自殺や集団自殺など内部被害にとどまっているが、市民生活を脅かす場合は通常の刑法、民法を適用して厳重に処罰している。国際的なセクト「科学教会」の仏支部の信徒一人が「純化治療」のための費用が捻出(ねんしゅつ)できず自殺した事件ではリヨン軽罪裁判所が昨秋、過失致死、医師法違反など刑法を適用して元支部会長に三年の禁固、罰金五十万フラン(約一千百万円)の有罪判決を行った) とある。

反セクト法を紹介する記事[編集]

Wikipedia
Wikipedia
ウィキペディア反セクト法のページがあります。

コラム  先に重要な事実を解説しておく。 反セクト法は日本でも話題になったが 日本では「反セクト法」、「セクト防止法」、「セクト法案」、「カルト防止法」。など多数の俗称で呼ばれた。 ここではインターネット上で最も通りがよい反セクト法に準拠する。 正確な日本語訳名は 「人権及び基本的自由を侵害するセクト的運動の防止及び取り締まりを強化する2001年6月12日の法律第2001-504号」 フランス語の名前は

「LOI no 2001-504 du 12 juin 2001 tendant à renforcer la prévention et la répression des mouvements sectaires portant atteinte aux droits de l'homme et aux libertés fondamentales (1)」 となっておりフランス政府の公式サイトLegiFranceで原文を読むことが可能である。

法案は2001年5月30日に採択され同年6月12日に施行された。

新聞記事の紹介に戻る。 反セクト法について紹介した記事。

「神かたり、人格破壊 国際手配、海外から教義 カルト「摂理」」朝日新聞 2006年7月28日,大阪朝刊第31頁 「カルト教団、本気で規制 仏国民議会、裁判所に解散命令権付与」朝日新聞社 2001年6月1日,東京朝刊第7頁 「宗教に名を借りたカルト/仏下院で禁止法案可決 第一読会全会一致」しんぶん赤旗 2000年6月23日,日刊紙第1頁 「しんぶん赤旗 仏でカルト防止法成立/人権侵害取締まり/創価学会、統一協会も対象 2001.06.02 日刊紙 1頁」

2001年6月の朝日新聞の記事では

カルト教団(セクト)によるマインドコントロール的な行為の違法性を広く認め、場合によっては裁判所が解散を命じることもできる「セクト法案」が30日、フランス国民議会で、左右両派の賛成により採択された。) と法律の制定を伝え、

法案は、セクトを「信者の心理的、身体的依存状態をつくり出し、利用しようとする団体」と規定。詐欺行為や不法医療行為、薬物利用などによって有罪となった場合、大審裁判所(地裁)が解散させることができると定めた。また、不安定な精神状態にある信者や未成年をだましたり操ったりする行為の違法性を広く認定。被害者が団体や教祖の責任を追及しやすくした。

と概論を伝えている。

同年7月の『朝日新聞』の記事では (セクト(カルト)的団体の解散を宣告できる「反セクト法」をもつフランスでは、) と反セクト法の存在を紹介している。 『しんぶん赤旗』の記事では制度や罰則などのより詳細な内容を読むことが出来る。

  • フランス政府の活動を伝える記事

「「カルトは国土なき国家」」朝日新聞 2001年10月22日,東京夕刊第8頁 「カウンセラーが洗脳?医療現場にカルト フランス(世界のくらし)」朝日新聞 2002年2月23日,東京朝刊第8頁 「「カルト」に厳しいフランス/国会の報告書でも創価学会批判」 新聞あかはた 2001.06.02 日刊紙 6頁 「文部科学省 阿部美哉氏(國學院大学長)の意見陳述の概要(中央教育審議会第20回基本問題部会(平成14年12月19日)より)」 (教科書作りに関する重要な会議の記録、文部科学省のサイトで読める)

2001年の『朝日新聞』の記事は フランスのセクト対策に関する重要人物であるアラン・ビビアン委員長が来日したことを伝える記事となっている。 この記事中ビビアン氏がフランス政府のセクト対策に関する重要な指針を語っている。 重要につき抜粋する

日本のカルト対策について調べるため、フランス政府セクト委員会のアラン・ビビアン委員長=写真=が15日に来日し、国会議員、文部科学省などの担当者、宗教団体代表らと話し合った。国会議員や外務副大臣を務め、1983年にはカルトの実態を「ビビアン報告」としてまとめた人だ。(中略) 「私たちが憂慮しているのは、彼らの信仰ではなく、行動です。脱退を認めない、医療行為を妨害する、といった人権を無視する組織は宗教団体として認めず、税制面で優遇するなどはしていません」

文部科学省の記事では

フランスではカルト団体のリストを国会でつくり、カルト問題を教育するための公益団体に公費補助を行っている。) という記述がある。

しんぶん赤旗』の記事では フランス政府がセクト対策のために出した報告書について解説している。 解説されている記事は(九五年の『フランスのセクト』、九九年の『セクトと金』)となっている。 『フランスのセクト』が前述の文部科学省の記事中で言及されているカルト団体のリストである。 参考リンク。 フランスのセクト

2002年の『朝日新聞』の記事は カルト問題に取り組むフランス首相機関「セクト対策省庁間委員会」(Miviludes) の報告書の内容を紹介している。 抜粋する。

カルト集団のメンバーが医療機関に職員や心理療法士として入り込み、勝手な宗教的理論に基づいた“医療”を施そうと試みるケースが2001年、フランス各地で相次いだ。) ことを伝えている。

<-- 新聞雑誌記事データベースのG-Searchで フランス AND セクトと検索した結果。

朝日新聞[50件] 読売新聞[13件] 毎日新聞[18件] 産経新聞[24件]

ここまでの4紙ではフランス政府のセクト対策について 扱っている記事が中心であることを確認済み。 記事の検索精度は極めて高いので読む価値がある。 ただし朝日新聞のみイベント情報などで関係の無い記事が半分ほど引っかかっている。

以下未確認記事一覧。 共同通信[4件] 北海道新聞[8件] 河北新報[3件] 東京新聞[1件] 中日新聞[4件] 中国新聞[1件] 信濃毎日新聞[2件] 静岡新聞[3件] 京都新聞[1件] 愛媛新聞[1件] 熊本日日新聞[6件] 琉球新報[1件] 沖縄タイムス[1件] 公明新聞[1件]   しんぶん赤旗[10件]   日刊スポーツ[3件] 繊研新聞[2件] 化学工業日報[1件] 建設通信新聞[1件] 日刊産業新聞[1件] 日本食糧新聞等3紙[1件] 連合通信[1件] 朝鮮日報[1件] 週刊エコノミスト[9件] 日経BP雑誌横断検索[2件] AERA[4件] 週刊朝日[1件]

新聞記事を読む方のために予備知識[編集]

ほとんどの記事はフランスのセクト対策について概論もしくは事件を紹介しているだけだが、一つだけ異色の記事がある。『産経新聞』の記事に 「【談話室】カルト指定、事実でない 」 という記事があり、この記事中にフランスでは反セクト法というものがあり、この法律に創価学会の名前が記載されていない、よって創価学会はセクトとしてみられていないという創価学会側の主張がなされている。 この主張は詭弁である。 何も知らない人が記事を読んだ時、反セクト法には特定団体の名前が書いてあると錯誤するような主張をしている部分が詭弁となっている。 好意的に創価側の主張を解釈すると嘘とも言えない。

反セクト法は一般的な刑法であり、いかなる特定団体の名前も記載されていない。

故にこの法律に創価学会の名前が載ってないことは何の証拠にもならず、偽の前提に基づいている以上結論も無効となる。 セクトの選別は行政レベルの実用性でなされたのであり、創価学会の名前はそちらに載っている。

フランスのセクト対策はフランス国内で活動中の団体のみが対象となっており、そのため外国の宗教や団体に対する場合、フランス国内の現地法人だけが対象となっている。

創価学会の場合、創価学会のフランス現地法人だけが対象となった。 これは「日本の創価学会」をセクトとすると内政干渉に当たるので、極めて当たり前の話となっている。 世界には多様な文化があり、フランス政府はそこにまでは口出ししない。ただフランス国内で活動するなら人権は守って欲しいし、被害届けや社会的問題等の多い団体には対処すべきである、という立場である。

この立場にのっとて創価学会の現地法人が1995年や1999年、事後になるが2005年の報告書にセクトとして載ったのであり、「日本の創価学会」はセクトのリストに入ってない。故に創価学会側の主張は必ずしも嘘ではない。創価学会の主張を捻じ曲げずに、そのまま報じた『産経新聞』には落ち度はないが、読者に十分な情報を提示しなかったこの記者はモラルに反する行為をしたといえる。

フランスのセクト対策は単なるリストアップではなく、行政レベルで多数の省庁が参加して広域に行われた。 それはMiviludesの報告書を読めばよく分かる。 リストに載ったという単純なレベルで判断するだけでなく、もっと高度な流れの中で見る必要がある。

Miviludesはフランスのセクト対策の中心的組織のひとつで、フランス政府の公式サイトでMiviludesに関する情報が入手可能、詳細を知るにはそちらを参考にすると良い。

備考[編集]

1 セクトのリストは誰にでも閲覧可能、国民議会のサイトで読むことが可能となっている。 また民間レベルの反セクト団体などの情報でも創価学会の名前を見つけることが可能。 Mils,Miviludesからも特に注意すべきセクトの紹介が成されている。 これらの報告書には注意すべきセクトが掲載されており毎年掲載されている団体にばらつきがある。 これを根拠として、ある年の報告書に置いて特定団体の名前が載って無いことを理由にその団体がセクト指定から外されたとする意見がある。 これは明白な間違いである。 理由は全ての団体が掲載されているわけではないからである。 その年特に注目すべき団体。


政府関係の報告書では極めて慎重な情報提供がなされている。 これはセクトと目される団体によるネガティブキャンペーンを警戒してのことである。 報告書に置いて間違い、名誉毀損、不公平な取扱などがみつかり裁判で敗訴すれば今まで積み上げた信頼に大きな傷がつく。 これを警戒してのことである。


対するセクト側は裁判で敗訴しまくっても問題が無い場合が多い。 内輪に対しては敗訴を勝訴に塗り替えて発表する選択肢があるからである。


フランス国内では裁判の勝敗を塗り替えて宣伝した場合、これを処罰する刑法が存在する。 日本では裁判の勝敗を反対にして発表した場合、裁判所の処罰規定が適用される可能性があるが、実際の適用事例は少ない。 日本では裁判の勝敗を入れ替えて宣伝しても処罰されないのである。

裁判の勝敗については難しい部分も存在する。 勝利か負けか判断の難しいグレーゾーンの判決の場合である。


具体的には部分的勝訴の場合である。 例えば裁判に置いてカルト的な宗教団体が訴訟を起こしたとする。 訴訟内容に名誉棄損を主題に10の要求をし、1つだけ裁判の本筋と全く関係ないどうでもよい要求を混ぜている。 裁判に置いてこのどうでもいい要求以外、全部棄却されたとしよう。


常識的な判断では訴えた団体の敗訴である。

カルト的な団体では全く違う考え方をする。 宣伝の場ではこうなる。


裁判で我々は11の要求をし裁判所がこれを受理し訴えを認めた、これは勝訴である。 名誉棄損した相手は間違っていた。 我々はいつも正しい、今回も正しさが認められた。 このようになる。


典型的な例として、某教団が完全敗訴した裁判について、その教団の信者に裁判についてどう思うか聞いてみた例をあげておく。

  • 「敵が卑怯な手を使ったために負けた」

という意見や

  • 「裁判では負けたけど事実は別だから」
  • 「この裁判は世間の耳目を集めるための裁判、敵の極悪非道を世間に知らしめるための裁判だから、敗訴も予定通り。裁判では負けたけど戦略的には勝利した。目的は達成したので、この裁判は実は勝利」

という意見が存在していた。


2 フランスでは1980年代、1995年からのセクトのリストアップがあり、この件はインターネット上ではよく取り上げられた。

1995年のセクトのリストアップの根拠が週刊誌記事を基にしたものであり、信頼性が低いという意見があるがこれは完全な誤解である。

  • 週刊誌記事が元になったのは1980年代である。
  • 1995年はGDRDGの資料が元になった。

この二つをごっちゃにして理解している人も多いが、10年の開きがあることを理解するべきであろう。 1995年にフランス政府が行ったセクトのリストアップを金科玉条のように取り扱う人もいるが、それは単純な見解である。 むしろ1995年以降の政府によるカルト対策の活動。

活発な情報収集と専門部署の設置、裁判実績の積み重ねや警察との連携などより堅実な活動に注目すべきである。


3 「首相セクト的逸脱行為対策に関する2005年5月27日の通達」により、フランス政府はセクト団体のリストアップを取りやめた。 このリスト方式の取り止めをセクト指定解除の根拠とする論もあるが、これにも無理がある(主に創価学会員が主張していた)。 理由は3つ。

  • 1つ目の理由は、調査の進展の結果セクトとみなされる団体の数が増加したため、単純なリストアップ方式では数が膨大になり効果が低下したため。
  • 2つ目の理由は、政府の行動指針がセクトとみなされる団体のリストアップから、セクト的な行動を取る団体全般への対処へと変化したからである。
  • 3つ目の理由は、前述の通り、フランス政府は指定など行っていないからである。

フランス政府が行ったのは行政上の実用性に基づいたセクトのリストアップだったのであり、指定が無い以上その解除もありえない。

毎日新聞一面連載記事を書くための視察団について。

  • 視察団には宗教問題に詳しい弁護士である山口広弁護士が参加した。

氏もフランスのセクト対策に関する本を出版している。 参考資料 本「カルト宗教のトラブル対策」 [[4]] この本の中でフランスのセクト対策が行政資料に基づいて解説がなされている。

またこちら[[5]]に山口氏の話が記載されている。

  •  2007年現在、MIVILUDESという組織がフランスのセクト対策を担当していますが、どのような組織かは、フランス政府の公式サイトで検索すると色々と確認できます。

一例として国民議会のサイトでmiviludesとして検索すると関連文書が見つかります。 原文を知りたいと言う方はそちらを参照してください。

  • 山口広氏プロフィール
  • 「反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」の執筆に参加している。これは弁護士が宗教団体のかかわる裁判等にあたって指針とすべき内容を提言した日弁連の公式文書。「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の連絡組織の事務局長。この組織は毎年1000件以上の相談を受け付けている(日弁連:日弁連とはそこに所属してないと日本での弁護士活動が出来ないきちんとした団体のことです、詳しくは日弁連のサイトで)

以下フランス政府のカルト対策に関する翻訳物を掲載する[編集]

初めに。 ここに記載されている翻訳は個人で行っていることであり全部非公式翻訳です。 プロの翻訳家が翻訳していますが公式というわけではないですので誤記誤訳があっても原文の保持組織であるMIVILUDESには何の責任もありません。掲載許可ですが掲載されているのは公文書であり、フランスの公文書に著作権は存在しません。なので掲載についても許可は要らないのですが一応MIVILUDESから掲載許可は頂いております。

掲載内容について特に問題はなくちゃんとした翻訳であるとの返事は頂いておりますが難しく微妙な問題を扱うので誤訳等があった場合MIVILUDESは何の責任も負わないとのことです。返事も掲載しておきます。 文中にある「私には何の問題もありません」というのは,翻訳家によればフランス風のお役所言葉で実質許可しますという意味だそうです。

翻訳許可に関するフランス政府からの返事(日本語訳)[編集]

フランス共和国

首相

MIVILUDES

パリ、2006年5月10日

MIVILUDESに関する文書3件の日本語訳についての貴殿のお手紙を確かに拝領 いたしました。 貴殿がウェブサイト上で掲載されておられることについて、私には何の不都合も見当たりません。 ただ、あくまでも個人的な翻訳であり、原文の著作者が翻訳文の内容について保証していない点については、ご承知いただきたく存じます。

従いまして、翻訳や解釈のミスがある場合でも、MIVILUDESとしては責任を負えません。とりわけ微妙な内容であり、専門的な用語も含まれていますので、翻訳は非常に困難を伴うと思われるからです。 MIVILUDESのウェブサイト(www.miviludes.gouv.fr)へのリンクをインターネット利用者にご紹介いただければ幸いです。こちらでは、仏文と英文の資料にアクセスできます。

敬具

Jean-Michel ROULET 共和国委員

省庁間セクト対策室MIVILUDES関連[編集]

Wikipedia
Wikipedia
ウィキペディアMIVILUDESのページがあります。

Miviludesはフランス政府におけるセクト対策の中心組織です。 フランス政府の公式サイトで検索するとMiviludesに関する資料や紹介が多数見つかりますし公式サイトもありますので、より詳しく知りたい方はそちらを参考にしてください。

    • 原文 http://www.miviludes.gouv.fr/article.php3?id_article=125
    • (主に各省庁の行政施策による犯罪規制、防止や今までの被害者救済の成果や問題点、これからの予定などを雑多に纏めた報告書、キリスト的文化の見える部分もあるが香り的なもので基本犯罪対策が中心、ヨーロッパ人権条約に準拠し9条2項の定める範囲内で対策が行われている)

短い通達なので読んだ方が早いです。

1997年におけるフランス国内でのセクトの活動状況と海外県における 現状を記載した報告書。 各省庁に置いて取りえるセクト対策について記載している。 現在完訳しておりません。 印刷物で入手したい場合はこちらです。

上記URLは 「ドキュマンタション・フランセーズのホームページ」で 多くの 公的報告書をPDFで公開している点等、その充実が目に付く、官報を扱う (刑事立法研究会のサイトより解説を引用。

新聞記事よりは多少信頼性が劣りますが2005年度報告書の翻訳記事があります。 [6] この翻訳物の信頼性を確認するためいつかは別口で同じ部分を、翻訳家に頼んで翻訳してもらい翻訳の信憑性をチェックする予定です。


翻訳のダブルチェックを行いました。下記は甲南大学の小泉洋一教授に翻訳物の再チェックをしていただいたものです。ほとんど変化はなく単語の訳し方の差が中心です。

法律[編集]

本文の翻訳はプロが行ったものの、引用されている条文の解説(313-1条~313-3条(313-1~13詐欺、競売妨害、刑罰に公契約からの排除あり)の部分は、「法務大臣官房司法法制調査部編:フランス新刑法典」に基づいて素人が付加したものであり不十分な状態です。 訂正してくださる方を募集しております。 フランス政府の公式法律検索サイトLegifrance[7]より原文が入手可能。 LegiFranceがどんなサイトかは、詳しく解説したページが多数ありますのでそちらに譲ります。フランス法や判例を調べる時欠かせないサイトでして。検索して調べて見ることをお勧めします。

法案[編集]

未訳[編集]

  • 宗教セクト委員会による1月10日の報告書
    • 東京朝刊 外電B 04頁 646字 03段 【パリ10日=鶴原徹也】

の記事にこのような報告書が存在することが記述されているが原文は未確認。記事の詳細については読売新聞の新聞記事検索サイト、ヨミダス文書館でご確認ください。

その他[編集]

国民議会「フランスにおけるセクト (カルト) 教団」 : 調査委員会リポートno.2468 情報資料 国立国会図書館に日本語訳あり。有名なフランス政府によるセクトのリストとはこれを指します。この翻訳の正確性を確かめるための追翻訳を実施中です。科学の世界ではよく行われるのですが実験の正確性を確かめるために何度も実験を再現し検証するのは常識です。翻訳においてもそれを行おうというわけです。

原文

報告書の要旨を纏めると以下のようになる。

  1. 最近セクト被害やそれによる社会問題が増加している
  2. 問題の多い団体を10の基準に適合するかどうかで選別しリストアップした。
  3. 司法警察の記録を中心に、それと人権団体の仲介をしている団体への被害報告も加えて選別した。選別基準はフランス国内での実害、人権侵害、犯罪性である。
  4. セクトは大衆の受容を満たしている面もある。またたいていの団体で少数ながら人生が向上しているひともいるので単純に否定は出来ない。そして異文化排斥にならないように注意しなくてはいけない。(後フランスはライシテの概念が憲法に盛り込まれているので教義や宗派で団体を差別できない)
  5. 全てのセクトが危険なわけではないが、被害が多いのが問題であり特に危険な団体を選別しなくてはならない。
  6. どのようなセクトがあるのかの説明、代表的なセクトとセクト側の主張を説明。またほとんどのセクトは1901年法による簡易設立で国家がきちんと認めた団体ではないとの説明。95年時点ではきちんとした宗教法人格どころかより簡易の法人格を持っている団体は一つもない。
  7. セクトを取り締まるための法整備が十分ではなく(この当時フランスは組織犯罪全般に対する処罰が甘かった、その中でもセクトに対する法は未整備)取り締まりも十分でないため刑法などをしっかり適用して犯罪は取り締まるべきである。
  8. 脱税が非常に多いのに徴税が不十分なのでその辺もしっかりして欲しい。
  9. 被害の増加に対し監視組織が十分でないので対策を講じるべきである。

と文中で主張している。

この報告書以降、司法省、国民教育省、青年スポーツ省、内務省、雇用連帯省などセクト問題に関係する各省庁がセクト対策を打ちだした。 セクトに関する関係省機関や議会と連携しながら、通達により実行に移された。「小泉洋一著政教分離の法」より抜粋 ライシテの原則に反するのではないかとの意見も存在し慎重論も存在した。

  • 以上終わり

参考文献[編集]

  • B.ウィルソン 『宗教セクト』 池田昭訳 恒星社厚生閣 1991年 ISBN 978-476990720-6
  • 小泉洋一 『政教分離の法フランスにおけるライシテと法律・憲法・条約』 2005年 ISBN 978-4-589-02857-0
  • 田畑茂二郎 竹本正幸 松井芳朗 薬師寺工夫 『国際人権条約・宣言集[第二番]』(ヨーロッパ人権条約を掲載)

外部リンク[編集]

関連項目[編集]