省庁間セクト対策室1997年度報告書

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1996年5月9日の政令によって創設が決定され、1996年11月13日に首相によって設置された省間セクト監視室は、首相に対して報告書を毎年提出し、首相はそれを国会に提出することになっています。 セクト現象に関する2件の報告書において掘り下げた分析が既に行われていることから、この報告書では、この問題についての新たな分析は行っていません。監視室は、その任務に従い、セクト現象及びセクト対策の現状報告や、セクト対策をより効果的なものにするための提案を政府に対して行って参ります。 この報告書は、国会議員・有識者・省庁責任者などの監視メンバーより提供された様々な情報を総括しています。

今ここで、「魔女狩り」・不寛容・新宗教裁判など、監視室に貼られているレッテルを剥がしておきたいと思います。省間セクト監視室は、いかなる圧力団体や利益団体とも関係を持たない、完全な独立組織です。それを保証する形になっているのが、あらゆる党派からの国会議員、専門的知識を持つ有識者、各省庁内で効果的且つ現実的な対策の推進を可能にする局長級責任者から成るメンバー構成です。 監視室は、アソシエーションや個人の案件を取り扱う官公庁(報告者・司法官・行政事務官・速記タイピスト)ではなく、連携・推進・考察・提案を行う省庁間組織です。 監視室のメンバーは年度の初めに、セクト現象の観察及び追跡調査を行うグループと、情報提供・研修・対策の調整を行うグループの2つに分かれました。監視室メンバー11名が、相談役となる常任担当者をそれぞれ1名ずつ任命し、彼らも監視室の作業に参加していることにも触れておきたいと思います。

首相に対して提案され、首相が採用した1997年度の作業プログラムでは、国民に対する情報提供、及び、セクト現象に直面している公務員(司法・憲兵・警察・教育・社会福祉・税務署・青少年スポーツ行政・・・)の研修を、第一段階における主な課題に挙げています。 今年度は合計18回の会合が、首相府もしくはブルゴーニュ通りの新しい監視室事務所で行われました。これにより、様々な情報源から寄せられた情報を共有化することが可能になりました。同時に、省庁間協同作業の再確認業務を可能にすることで、対策実行のブレキーとなり得る事務手続きが簡略化されました。 この報告書は、現状把握の第一ステップであると同時に、個人や社会全体及び社会活動に影響を及ぼしている複雑なこの問題への対策を打ち出そうとする第一ステップでもあります。

1996年5月9日の政令の第2条で定められている諸任務の第一番目を果たすべく、監視室は、セクト的性格を持つ団体の有害性に対する認識を高める発端となり、国がセクト対策を講じる発端ともなった「フランスにおけるセクト現象に関する国会報告書」の発表後、セクト現象の進展の観察・分析に力を注いできました。


セクト現象の進展状況の総括及び分析[編集]

本国・海外県・国外状況の追跡調査及び分析 総括を行う前に、国外の事象も含め、セクト関連の憂慮すべき事態が発生していることに触れておくことが望ましいでしょう。現在の状況を把握することが出来ます。 1996年は、遺体毀損を伴う墓荒らしやサタン信奉者による神父の刺殺など、悪魔崇拝主義者たちによる憂慮すべき犯罪行為が目立った年でした。また、墓地・宗教施設・宗教シンボルの破壊行為などが著しく増加し、その傾向は1997年も続いています。 フランスにおける状況は、そうした行為を犯すグループが組織化している(=有害性が強い)アメリカやスカンジナヴィア諸国における状況とは、比較できるものではありません。 フランス国内における悪魔崇拝は、殆ど組織化されていません。組織化されている数少ないグループは、ポルノ関連ビジネスを行っているのが特色です。一方で、個人や極小グループによる組織化されていないネットワークが若者の間で全国的に広がり、文化的・経済的社会現象となっています。 特別な注意を必要とする現象は、もう一つあります。それは、福音主義的な大型集会の、国内における拡大の危険性です。1997年7月にブルジェで開催された「救済と奇跡の十字軍」の集会がその例です。アメリカ人の福音伝道師モーリス・セルロのテレビ伝導に15000人が参加し、「祈り」「誓い」「奇跡的即時治癒」が行われました。 1996年の国外状況としては、バイエルン州内のサイエントロジー教会に対するドイツ連邦政府の政策に関しての、アメリカとドイツの意見の対立の激化が目立ちました。サイエントロジー教会は国際的な規模の団体で、「宗教の自由」のための戦いにおいて多くの支援者を得ましたが、その中には、無関係なアーティストたちが含まれていたことを付記しておくことが望ましいでしょう。 1997年の現状として、セクト的性格を有する団体による逸脱行為と関連した重大な出来事が挙げられます。それら全てについて列挙はしませんが、1997年3月23日にケベック州のサン・カジミールで起きた悲劇では、太陽寺院の信徒74名が犠牲になっています。その数日後には、「天国の門」の信徒の殆どが、カリフォルニアのランチョ・サンタ・フェへ移っています。国内においても、セクトが原因と考えられる様々な事件が起き、深刻で憂慮すべき事件も幾つか発生しました。現在、司法手続が行われています。 1997年の出来事としては、ベルギー国会の調査委員会が4月末に報告書を発表したことも挙げられます。その時に起きた論争は、フランスで同様の報告書が発表された時よりも激しいものでした。メディアによって公表されたリストには189のセクト団体が記載されており、その中には幾つかのカトリック系団体も含まれていたからです。結局、このリストは、前出の報告書に加えられませんでした。 フランス国内では、セクト情勢に若干の変化がありました。セクト現象は少し拡大し、思想的傾向が均質化しました。

本国における追跡調査と分析[編集]

A – 現在のセクト情勢[編集]

現在のセクト情勢の特徴は、異なる団体が独自的・分散的に進化している点です。その一方で、幾つかの教義に画一化していく傾向があります。

a) 比較的穏やかな量的増加 セクト現象は継続的に増加しています。不安定化したセクト団体がある一方で、活力を取り戻す団体もあります。現在、セクト特有の逸脱行為が見られるグループが、30以上あります。国内的にはグループの分散傾向があるわけですが、信者の総数に影響が出ているとは思えません。

  • 不安定になったセクト団体と新たな飛躍をしたセクト団体

国会議員によってリストアップされた172団体のうち、 - 2団体が解散 - 6団体が報告書発表や報道番組、教祖の裁判沙汰の後に弱体化 - 5団体が名称を変更 不安定化した団体があった一方で、活動が活発化した団体もあり、特に顕著なのが4団体あります。拡大傾向にあるグループは、教義の性格により、「黙示録系」「UFO崇拝系」「非認可療法(オカルト術・シンクレテイズム)系」に分類できます。

  • 新規アソシエーションの大量結成

ここ2年で、20余の新しいセクト団体が結成されました。国会の調査報告書の分類方法に従えば、「黙示録系」と「非認可療法系」が、その大半だということになります。 - 「黙示録系」に関して : 新たに結成されたのは8団体。その中の2団体は、「UFO崇拝系」の性格も有しています。これらの団体の殆どには信徒が数十名しかいませんが、2団体については信徒数が500を超えているようです。 - 「非認可療法系」に関して : 新たに10団体が結成されました。その中の1団体については2000人以上の信徒がいるようですが、その他の団体の信徒数は不明です。非認可療法系のセクト団体について考える時に重要なのは、「信徒・患者」の流動的な数ではなく、グル(教祖)の教義を広める中核組織の活動力です。これらの中の3団体は「オリエンタリズム(東洋趣味)」と称される団体で、別の4団体は「ニューエイジ」系です。

b) 明らかな質的進展 これは「黙示録系」や「非認可療法系」についていえる傾向で、「ニューエイジ」と呼ばれる新唯心論の分野でも憂慮すべき動きがあります。

  • 黙示録的教義及び非認可療法の隆盛

セクトの世界において隆盛しているものには、2種類あるようです。 1つ目は黙示録的教義で、西暦2000年という区切りが近づくにつれて、その規模が拡大しています。 カトリック教会は、その日に、大赦の実施を予定しています。従って、多くの信者にとって喜ばしい日になるのですが、病的なグループにとっては悪い徴候に成り得ます。 キリスト教暦は、唯心論者たちが使用する唯一の暦ではありません。ヒンズー教の教義によれば、人類は432万年のサイクル(マハユーガ)の終末を迎える、とされています。このマハユーガの第4期である「カリ・ユガ」は43万2千年続く「暗黒の時代」で、その終了時期が今の時期と丁度重なるというのです。その後には、「黄金の時代」である「クリタ・ユガ」が訪れることになっています。 占星術の影響を受けている新唯心論者たちは、水瓶座の時代に世界が入ることで物事の価値が変わる、と確信しています。 実際に、人類の歴史の1ページが捲られるという思いは、広く浸透しています。 黙示録に象徴される悲観的思想では、新世界の到来には産みの苦しみが伴い、その対価は旧世界が大災害によって破壊されること、と考えられています。 千年紀に触れずに黙示録について語ることは出来ません。この教義は、キリストと聖徒たちによる1000年間の支配について書かれた聖書の黙示録(XX、1-6)に由来するものです。この「千年王国」の後には、悪の最終的な勝利と聖なるエルサレムの陥落が起きるとされています。この点についても、悲観論者と楽天主義者は対立しています。 グルたちは慎重で、大災害が接近していると言いつつも正確な日時は言わないようにしています。 黙示録的教義の隆盛と同時に、非認可療法も人気を集めています。 健康関連分野に関与していると主張している唯心論者たちの特徴は、医療類似行為の力を借りていることです。これらの医者たちは多種多様で、着想も様々です。中国やヴェーダの古き伝統的な医療を復活させている者もいれば、身体と霊魂の全体としての人間という総体的概念を尊重することが望ましい、と考えている者もいます。 こうした違いに応じて、様々な治療法が提案されています。

- 神による治癒 : 「絶対神」の医療が唯一の医療であり、人間の科学に頼ることは不敬虔だと主張するところから、セクト的逸脱行為が現れてきます。 - 天使や死者、あの世に生きる指導者による瞑想霊的治癒。 - エネルギー医療のようなもの。従属義務や特定組織への服従義務があると患者に信じ込ませるような逸脱行為が行われる。 - 精神療法(とりわけセミナーを装う集団精神療法)。「患者の健康や生命にとっては危険で、グルは儲かる」、そういう憂慮すべき逸脱行為も例外ではありません。

セクトへの入会勧誘の際に、現代医学を悪者扱いすることがよくあることも、述べておきたいと思います。


  • ニューエイジの逸脱的行為

ニューエイジは、1961年にカリフォルニアで始まった「人間潜在能力開発運動」と、東洋の伝統技術(ヨガ・禅・太極拳・仏教医学)が出会って誕生したものであることを、述べておきましょう。 しかしニューエイジは、「魂の再来」、「生死を繰り返す魂の進化」、その終わりにある「エネルギーの貯蔵庫とされる絶対的なもの」(循環的にならず、地上で人類を救うために介入するもの。Grande Loge Blanche・Hiérarchie des Maîtres・Guides de Lumièreの会員たちに支持されている考え方)という3本柱の教義の上に成り立つところの、現代の新唯心論に分類されるべきものでしょう。 ニューエイジは、様々な方法で、フランス社会への侵入を続けています。 例えば、ありふれた方法ですが、リラックス療法なども、本物の伝統を継承しているグループ以外が行っている場合、催眠処置を行ううちに徐々に入信の勧誘に変わっていくことがあります。 「セクトであることが明白な団体」が「ニューエイジ団体」に様変わり(その逆も有り)するのは、新唯心論の世界では、よくある事です。非認可療法関連の逸脱行為は、多数あります。 こうした動きはフランス国内で明らかに増えており、新唯心論に関心を寄せている人々を対象に活動を行っているアソシエーションの数は、数千に及ぶと推定されています。報告されているセクト的逸脱行為を分析すると、多くの信者を抱えた「養殖場」を活用して、彼らを医学や心霊学の世界、更には政治の世界へ引きずり込もうと考えているグル的資質を持つ者が増えている、と断言できます。


B – 世間からの尊敬を得るための実践活動[編集]

国会報告書がメディアで大きく取り上げられたことで、セクトとしてリストアップされた団体の多くが数ヶ月の間、おとなしくせざるを得なくなりました。その一方で、幾つかの団体は、国会報告書が齎す悪影響を食い止めようと、勧誘活動や情報提供活動などを行い、正式に社会に根を下ろしたり、行政手続や司法手続などを行って新たな係争を起こしたりしました。

  • 勧誘や思想普及の活動

それらの活動は本当に攻撃的で、「中央組織」や「国際組織」の主導で展開されました。そして多くの場合、それらの活動は、大きな規模で莫大な資金を必要とする活動であるにも関わらず、末端組織によって目立たないように実行されました。 攻撃的という点で、国の注意を特に惹いた組織が一つありました。その組織は、パリの議員や、県庁・裁判所などの特定機関に、大量の資料を送りつけたのでした。教育機関について言えば、文盲の根絶を謳う教育方法に関するパンフレット1万(1万5千?)部が、全国の公立及び私立の学校や研修機関に送られてきました。 パンフレットの受取人には、追加分を受け取れるよう、カードに住所・氏名などを記入して返送するように案内がされていました。その一方で、大学区長たちには、それらの資料を生徒や教員たちが見ることがないように留意する旨の指示がありました。 新学年が始まる前には、同様の資料が教員研修学院に送られてきました。 また、同じ頃、精神医学の分野における人権侵害を告発する組織が、パリ地域の公道や精神病院前で定期的にデモを行っています。この組織は時々、精神医学に関する雑誌を議員たちに送付しています。 規模は小さいのですが、広告媒体にポルノが浸透していると国会議員に訴えたり、民事社会連合契約に関する案を官庁に提出したり、小児愛犯罪の厳罰化の法案作成を求める署名活動を全国レベルで行ったりするなど、行政に働きかけた団体が3つありました。ナチスの迫害に関する回想行事や展示会をフランス国内の主要都市で開催した組織も確認されています。同じ組織は現在、輸血の問題に関する冊子を諸官庁に送付しています。それは治療選択を理由としたもので、彼らの組織の医学研究に対する貢献を示したものになっています。また、自分たちの組織に対して寄せられた11300通(執達吏が数を保証)の好意的な証言を、監視室に提出しています。 これらの団体が当局からの信頼を得るために行っている活動は、慈善事業や人道支援などの分野における適宜な取組みという形をとることもあります。


  • 慈善事業への関与

周囲に溶け込むことを容易にすることを目的として、幾つかの団体は、慈善事業や人道支援などの分野に参加できるような大規模な物流・情報管理システムを(本当に)持っています。社会的に弱い立場にある人たち向けの国内外での「投資」は、現地で勧誘活動に変わります。 この件に関しては、ある国際的組織が1996年に行ったアフリカ住民に対する必需品の大規模支援や、同組織が最近行った障害者や老齢者への支援を、例として挙げることができます。 「Fédération pacifiste(平和主義者連盟)」は、アフリカ諸国における活動を拡大したり、旧ユーゴスラヴィアに衣類を送ったり、フランスの慈善団体との関係を確立しようとしていることで、目立った存在です。 2年前から、年末の祝祭日にオモチャや衣類を収集して恵まれない家族に配布している別の国際的組織もあります。


  • 法的活動

国会報告書でリストアップされた幾つかの団体は、「思想と表現の自由」や「法の前の平等」を守る基本原則を盾にして、教義に関する議論や裁判の討議を有利に進めることを可能にする「合法性」や「認可」を得ることに専心しています。

  • 教義に関して

調査委員会の報告書が発表されると、それまで「新しい少数派宗教」に対する支持を個別に表明してきた法学者・社会学者・宗教歴史学者たちが、国家の仕事に対して集団で抗議しました。そして、「現代の異教」と「新宗教団体とセクト的論理」に関するシンポジウムがパリで開催されたのを機に、「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立したのでした。 同センター寄りの関係者たちは1996年4月、セクト研究全国監視室を設立しました。その役割は「独立性と客観性を配慮しつつ、セクト指定された新宗教団体について継続的な調査研究を行い、信教の自由と公安の尊重の均衡を保証すること」となっています。彼らは、会議や研究会を定期的に開催しています。 また、「個人の自由と結社の意義のための総合組織(OLIVA)」が監視室によって確認されています。この組織は、寛容や品行方正に関する国際憲章の奨励・普及の他、少数派宗教の社会的及び文化的統合を目指した活動をしています。 これらの行動が、最もはっきりしているものです。


  • 行政手続き及び司法手続きの利用

前回の議会報告書(95年、フランスのセクト)においてセクト的性格を有すると指摘された団体は、過去2年間にわたり、セクト的逸脱行為に対する闘いを展開する議員または専門家などの人および非営利社団を対象に、名誉毀損、人種的または宗教的侮辱、さらには差別を理由とした訴訟活動を活発化させてきました。

この種の活動を続ける一方で、これら団体の一部は社会的認知を獲得し、かつ伝統的宗教に認められている特典と同様の権利を得るために、いまや地方行政裁判所への提訴に力を注ぐようになっています。

地方行政裁判所に対する申請はとりわけ、当初CNIL(情報処理と自由に関する全国委員会)またはCADA(行政文書開示請求審査委員会)を通して請求していた内務省保管の文書の開示を求めるものですが、こうした申請が増加している事実はこれらの団体の上記のような意図を示すものといえましょう。

しかしとりわけ注目すべきは、ある一つの組織が、そのメンバーの社会的同化を認めさせるために、自分の組織に有利な判例を引き出すことに腐心している事実です。   この団体はまた、礼拝のための集会所設置に反対する複数の自治体を相手どって係争中ですが、その一方で地方行政裁判所に400を超える申請手続きを行ない、1905年法の対象となる文化的非営利社団にのみ認められている免税措置の適用を得ようとしています。その財務上のメリットは無視しがたいものがあるにせよ、それ以上にこの団体が欲しているのは文化的非営利社団の地位を獲得することなのです。   今日までに出された各種の判決はほとんどが税務当局による控訴の対象となっていますが、ここでそれらについて議論するよりも、コンセイユ・デタの1997年10月24日付答申の一節を参照するほうが適切であろうと思われます。この答申は、上記団体の地方組織が行なった申請に関するクレルマン・フェラン地方行政裁判所の諮問に対して出されたものです。   行政系統の最高裁判所であるコンセイユ・デタは下記のように述べています:  ・まず、《礼拝の自由は1905年12月9日付法律第16条に基づき共和国によって保証されている。ただし、唯一の例外は公序の尊重のために課せられる制約であり、当該団体の活動のいくつかが公の秩序に反している事実は、当該団体が文化的非営利社団の地位を獲得し、しかるのちに建物が建っている土地に対する不動産税の免除を主張することと相容れない》  ・さらに、《定款規約のみならず現実の活動に照らして、当該団体が文化に限定された性格という条件を満たしているかどうかの判断は》裁判所の権限に属するとしています。   こうした団体のいくつかが、議論を宗教的レベルに持ち込むことに熱心なのは、それを通じて自分たちを認めさせたいという意図を持っているからです。そのためには、ときに自分たちに不利な判決をも利用しようとしている事実が指摘されています。リヨン控訴院における最近の裁判がその好例であり、1997年7月28日付判決は、現在破毀院において検察による取消しの申立てが行なわれています。

C – カギとなる分野への干渉[編集]

セクトの世界では、将来の信徒を早めに取り込むことの重要性およびカモフラージュされた子供の囲い込み装置がもたらす大きな経済的メリットに、とりわけ注目が集まっています。

国会報告書によれば、子供たちの取り込みを行なっている組織は28に上るとされていましたが、今日ではこの種の運動は50を超えることが確認されています。ことさらに子供の世界を標的にしたさまざまな組織体の設立およびその展開を通じ、強圧的なセクトグループは教育、文化、保健などの社会のカギとなるさまざまな分野への浸透を図っています。セクトの影響にさらされているのは、これらの分野にとどまりません。

セクトのこうした変幻自在の攻撃に対して、住民参加型の行政の活動、監視室によって支持された市民運動、地方自治体の長およびメディアの活動、さらには監視室に寄せられるたくさんの投書や電話が示すようにこうした現象の危険性にしだいに気づきはじめた世論の動向がこれを阻もうとしています。

以上から、フランス本国におけるセクトの状況は、国会報告書が出されて以降大きな変化はなかったということができましょう。量的な観点から見れば、セクトの進出は限定的であり、おおむね周辺的な運動にとどまっています。

海外県におけるセクト現象の追跡調査[編集]

監視室はまた、海外県および海外自治領におけるセクト現象を計量化し分析するように努め、このための調査を実施しました。

その結果、いまだに影響のおよんでいないワリス・エ・フトゥナ自治領を除けば、海外県および自治領におけるセクトの活動は、本国をしのぐ勢いで確実に弾みをつけていることが明らかになりました。推定信者数は比率的には本国を上回っています。

海外県および自治領においては、結局55のセクトまたは母体組織、そして197の支部(各種の非営利社団、民事会社および商事会社)がリストアップされました。前者は約34,000人の信者と22,000人の共鳴者を獲得しています。この数字は、これら海外県および自治領でのセクト支配の規模を如実に示すものです。


国際的追跡調査[編集]

実行された対策及び今後の展望[編集]

A – 情報提供・研修[編集]

a) 対応措置

  • 法務省
  • 国民教育省
  • 国防省(国家憲兵隊)
  • 雇用連帯省
  • 内務省
  • 青年スポーツ省
  • 予算事務局
  • 全国家族協会連合
  • 児童及び青少年の保護のためのフランス協会

b) 情報提供の限界 : セクトの判定

B – セクトの侵入に対抗するための団結[編集]

C – 被害者支援[編集]

  • セクト脱退者やセクト会員の家族への支援
  • 未成年セクト被害者への支援

D – セクト現象についてのより良い理解や多様な連携のための模索[編集]

  • 擁護団体
  • 地方自治体
  • フランス医師会
  • 公証人
  • 主要宗教団体指導者との連携
  • 大学関係者
  • 国際的連携

監視室の提案[編集]

  • 擁護団体に関する提案
  • 任意団体契約に関する1901年7月1日の法律(アソシエーション法)の改正の検討に関する提案
  • 政党及び政治団体の資金調達に関する選挙法の改正の検討に関する提案
  • セクト連絡員の各県への配置に関する提案
  • 研修開催会社に関する提案
  • ヨーロッパ連合内に常設の委員会を創設することに関する提案

結論[編集]