MIVILUDES2004年度報告書

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フランス首相宛て報告書 - セクトの危険


目次

はじめに
I 活動
11 - 立法関連活動
12 - 省庁間活動
13 - 国会活動 質問書
14 - 行政関連活動 省庁
15 - 行政関連活動 県庁
16 - 任意団体(アソシエーション)活動
17 - 情報提供及び研修活動
II 分析
21 - セクトによる危険
22 - 判決
23 - 進展
24 - 未成年者の保護
25 - 他国情勢との比較
26 - 2003年度報告書で提案された事項の結果総括
27 - 2005年度にむけての提案
結論
添付資料

はじめに

MIVILUDESは2003年度報告書において、「セクト的逸脱行為」の概念を定義するよう提案していました。 今回、セクト現象の分析と制圧を任されているMIVILUDES(Mission interministérielle de vigilance et de lutte contre les dérives sectaires =府省間セクト的運動警戒対策本部)には、微妙であり且つ極めて重要である「危険(性)」という角度から、この現象の新たな進展状況について示そうとするものであります。 予防対策を優先的に行うことで、MIVILUDESは与えられた義務を果たしております。

  • セクト的逸脱行為がもたらす危険性や被害について国民に伝えること。
  • 公共の自由の尊重しつつ、セクト団体の陰謀に対して国家権力が講じる予防的措置や抑止的措置のコーディネーションを促進すること。

当報告書の第一部「活動」においては、過年度の総評を行います。最初に、実施された法改正について検証します。この点においては、2004年度は重要な年だったと言えるでしょう。生命倫理に関する法律、及び、精神療法に関する法律は、我々が取り組んでいる分野における前進であり、クローン生産のプロパガンダに歯止めをかけ、逸脱行為の危険と同居している専門家たちの活動に対する監督指導の強化につながるものといえるでしょう。MIVILUDESの各支部の活動は、定期的に開催される執行委員会及び指導委員会(方針決定委員会)の作業によって検証されています。

この第一部ではまた、地域担当者や県庁警戒対策本部などによる地域レベルの活動についても報告を行っています。そして更に、国会での質問書(約50件)、及び、それらに対する大臣からの詳細な返答についても、総括を行っています。 次に、執行委員会に参加している各行政機関の報告書を取り上げますが、それらは、対策の多様さと同時にそれらの補完的性格を示しており、こうした行政体制が、総合的な公共政策の基本を成すことを示しています。

更に、新たな試みですが、被害者救済を行っている主な任意団体(アソシエーション)の活動についての総括を行います。

当報告書の第二部「分析」においては、「セクト団体の危険(性)」について、その特徴(特殊性)や異なる規模(次元)を検証します。 支配や損害という概念をもとに、MIVILUDESの指導委員会のメンバー・精神科医・心理学者・法学者・哲学者などの専門家たちが展開させた説の総括では、隷属状況下に置かれていた被害者が受けた被害の大きさを計り知ることの難しさが浮き彫りにされています。 そこで、こうした状況を改善し、公正な損害賠償のための必要不可欠な条件である、犯罪行為責任者の明確な特定に至ることが可能になるよう、考察の手がかりを提示しています。この中の1章では、刑事裁判及び民事裁判における主要な判決について触れています。重要な判決が幾つか下り、判例が豊富になりました。

第二部ではまた、実践的なアプローチとして、職業研修・健康・教育など、セクト団体が市場獲得を狙っている分野についての調査を行っています。 危険に晒されている子供の数が減少しない厳しい状況の中、MIVILUDESは、未成年者の保護を重要課題として取り組んでいます。 この件に関する章においては、閉鎖された共同体の中で育てられ、外部との接触を阻まれることで未来の開花が保証されていない子供たちに対して、セクトの危険性がもたらす事態についても述べています。MIVILUDESはまた、自己確立の最中である青少年についても取り上げたく思い、特定のセクト団体が、インターネット上の匿名性を利用した交流を通じて、どのような勧誘の言葉を使うのか、示すことにしました。悪魔崇拝のケースが、その好例として挙げられています。

最終章では、MIVILUDESによって行われている国際的連携について触れ、諸国が行っている政策の概要を示しています。考え方の違いは、しばしば微妙ですが、フランスの非宗教性の概念を説明し、その擁護を促しています。

第一部 活動[編集]

11 - 立法関連活動[編集]

1 - 精神療法医の資格に関する規則[編集]

立法者はここ数年、精神療法を希望する人たちを守ろうとしています。精神療法を謳う人の数は2万から3万に達する状況ですが、その人たちは以下の4つのカテゴリーに分類することが出来ます。

  • 精神科医、医師会に所属する専門医で、薬を処方することを認められている者。
  • 博士課程終了証書を持つ心理学者で、フランス心理学者学会の倫理規定に従っている者。
  • 大学卒業証書を所有もしくは所有していない精神分析医で、大概の場合に思想学派に属している者。
  • 上記のカテゴリーに該当しない精神療法医。

MIVILUDESは既に2000年度の報告書において、この職業に関する規定が不在となっている問題を取り上げ、新療法として行われている特定の治療行為がセクト的逸脱行為の可能性を秘めているにも拘らず、何の罪に問われることなく、誰でもこうした行為を行うことが出来ることの問題を取り上げました。

2003年10月8日、ベルナール・アコイェール議員から出された精神療法の規制に関する修正案を、国会は全会一致で可決しました。この修正案において、精神療法の実施は、政令により定められた資格を有する精神科医・医者・心理学者のみに認められることになりました。この修正案はまた、資格を有していないものの、既に5年以上前から治療行為を行っている者については、知識と実習について3年以内に審査委員会の検定を受けて合格すれば、仕事を継続することが出来るものと定めていました。

この修正案は、議論を重ねた末の2004年7月30日に可決され、2004年8月9日付の「保健政策に関する法律第2004-806号」に加えられました。この条文によって、精神療法医の呼称を使用できるのは、精神療法医名簿に登録されている専門家のみとなりました(第52条)。この登録は、国の代理人が作成する県ごとのリストにまとめられ、当該者が受けた教育課程や研修内容について記載されることになります。この名簿への登録については、医学博士・有資格の心理学者・同業者協会リストに正式に登録されている精神分析医が、その権利を持っています。この措置により、勝手に医療行為を行っている者を見極めることが可能になるでしょう。しかしながら、逸脱行為から患者を守るということを、可能にするわけではありません。

2 - クローン生産の有罪化、及び、生命倫理に関する法律における刑事罰則[編集]

2004年8月7日、2004年8月6日の法律第2004-800号は官報に掲載されました。その中の数ある条項の中で、以下の文は、優生学及びクローン生産に係る行為を有罪化し、懲役30年・罰金750万ユーロの科刑としています。

  • 人の選別に繋がる優生学的意図による行為の実行(第214-1条)。
  • 生存者もしくは死者と遺伝学的に同一である子供を誕生させることを目的とする行為の実施(第214-2条)。

この法律ではまた、これらの違反行為が組織的に行われた場合(第214-3条)や、そうした組織に参加したり、刑法の第214-1条及び第214-2条に定められている罪のひとつの準備を目的とした合意に参加した場合(第214-4条)には、無期懲役・罰金750万ユーロの科刑としています。また、新刑法の第511-1-2条は、優生学やクローン生産を支持するあらゆる形態のプロパガンダや広告に対し、懲役3年・罰金4万5千ユーロを科すと定めています。

この法律の公布後直ぐ、刑法の第214-4条及び第511-1-2がラエリアン・ムーブメントの行為や指導者たちに対して適用できる条件について、MIVILUDESは法務省に対して問い合わせをしました。この後、George FENECH国会議員が2004年8月31日に、前出の有罪化を実際に適用するための措置に関する質問書を、法務大臣に提出しました。 法務大臣は2004年10月5日、次のような返答をしました。

「・・・まず、ラエリアン・ムーブメントと関係がある会社や研究所の存在を確認しなくてはなりません。また、それらの組織が、例えば配偶子の提供者を探すなどの活動を継続したり継続しようとしていることを、確認しなくてはなりません。仮にそうである場合には、そうした活動への参加の度合いに関係なく、新法によって定められている全ての罪が適用されることになるでしょう。同様に、セクト団体が国外に本拠地(所在地)を置いている場合であっても、その代表者は、フランス国籍を有していれば、科刑されることになります。また、『クローン客』と呼ばれる犯罪行為、即ち、クローン生産のために細胞や配偶子を提供する行為を罰する場合にも、法の国外適用が規定されています。この他、クローン生産を実現するための実際的な行為や優生学的行為に手を染める医学専門家たちは、それぞれの罪について起訴されることになります。最後に、刑法の第511-1-2条は、あらゆる形態のプロパガンダや広告を科刑対象としています・・・ セクト的性格を有する団体の責任者やメンバーの責任を問える要素(情報)が集められ得る場合、法務大臣は、この新法に照らして、法務省が刑法を厳格に適用するよう、監視を怠らないことを保証します。」

立法者から出されたメッセージは、フランス・ラエリアン・ムーブメントに直ちに受け入れられたようで、「法に従い、クローン生産を行わない」ということを知らせる広告を、2004年8月28日に掲載しました。

12 - 省庁間活動[編集]

MIVILUDES指導(方針決定)委員会[編集]

「MIVILUDESの本部長は、首相により任命された有識者から成る指導委員会を定期的に召集する。この委員会は、セクト的逸脱行為に対する国の熟考を培い、MIVILUDESの活動方針を引き出し、その活動の評価を容易にすることに貢献する。」

指導委員会は2004年度中に4回開催され、そのうちの2回(1月15日と6月30日)は、執行委員会と共に開催されました。

1月15日の会議では、指導委員会と執行委員会のメンバーが集まり、2003年度報告書を再読しました。その数日後、「セクト的逸脱行為」と題された報告書が、LANGLAIS対策本部長より首相に提出されました。その後の1月26日には、報道関係者に発表されました。

4月28日の会議では、「共和国における非宗教原則の適用に関する検討委員会」の事務局長であるRe'my SCHWARTZ氏の話を聞きました。同氏は、セクト現象に関わる問題が、検討委員会として扱うには過大且つ微妙な問題であることを述べられました。同氏はそれでも、MIVILUDESの本部長の話を聞かれました。SCHWARTZ氏は主に、非宗教原則誕生の歴史的側面、とりわけ、1905年の教会と国の分離、及び、それに由来する共和国の中立性について、話をされました。同氏はまた、宗教に所属することを公然と表現する物や服装を公立学校において身に纏うことに関する法律に対して、検討委員会が賛成の意を示した理由について述べました。その後、指導委員会のメンバーとの間で議論が交わされました。「非宗教性の一世紀」と題された国務院の報告書についても、意見が交わされました。その他、休日、病院における非宗教性原則の尊重、移住による問題などについても意見が交わされました。

6月30日の会議では、MIVILUDESの本部長が「セクトと非宗教性」セミナーの総括を行い、科学技術省や国立高等研究院との提携を導いたこのセミナーのイニシアティブを評価しました。こうした意見交換は、セクト的危険の防止に関する政策を強化することにつながるでしょう。 また、2003年度報告書における10件の提案のうちの1つ、「セクト問題について法律関係者に注意を喚起する」に因んだシンポジウム、「セクト的逸脱行為に直面する弁護士」について意見が交わされました。被害者への損害賠償の問題が、重要であるように思われます。セクト被害者の救済を民事責任の分野で行う方針について、CAZALLE氏は提言しました。

医師会の代表は、被害者の扱いについての情報(指示)を、医師たちが待ちわびている状況だと話していました。

MIVILUDESの本部長は、セクト団体被害者の損害賠償拡大の可能性について研究を行う作業グループの設置を提案しました。

2004年度の10件の提案のうち、1つについて議論がなされました。法的な提案である「提案№2」の、「薄弱状態にある人の存在を通報することを奨励する」です。これには、法務省の代表、医師会、国務院などにより、多くの意見が寄せられました。詳しく述べますと、職業的守秘義務を負う人たち(医療関係者、弁護士・公証人などの法律関係者)が、業務上知りえた詐欺的背信行為について、司法機関に告発することを認めるというものです。

この会議において、MIVILUDESの本部長は、今後の活動方針を以下の通りにまとめて提案しました。

  • セクトの危険の定義について更に検討する
  • 被害者が受けた損害についての民事賠償の可能性を調査する
  • 青少年に伝えるメッセージの内容について、文部省と共に考察を進める
  • 悪魔崇拝についての考察調査を続ける
  • メディアと共に情報伝達に取り組む
  • MIVILUDES内に「資源センター(情報センター?)」を設置することの適切性を検討する

指導委員会の最後の会合は、2004年10月15日にランス郡庁で開催されました。ここでは、「セクト的逸脱行為に対する公務員用ガイドブック」の案と、「セクト主義、原理主義、狂信、共同体主義」に関する問題という、2つの重要な事項が取り上げられ、議論されました。

委員会のメンバーは、公務員向けの情報提供と研修を目的とするこのガイドブックを、好意的に受け入れました。実用的な面と教育的な面が支持されました。医師会の代表は、このガイドブックが公立医療機関で十分に配布されるように求めました。国防省の代表は、このガイドブックが全ての憲兵隊に配布されることを望みました。参加者の多くが、「公安を乱す」という概念についての的確さを称賛していました。海外県及び海外領土の状況に関する意見も述べられましたが、特殊性が考慮されなければならないでしょう。そして、公務員の職業倫理や共和国の価値感を考慮した姿勢が加えられなければなりません。

MIVILUDESのメンバーのひとりの予備報告は、セクト主義・原理主義・狂信・共同体主義の概念を定義することを重視したものでした。既存宗教内部に起こり得る逸脱行為や、イスラム教の立場についても、深い議論が交わされました。

最後に、指導委員会は2005年1月13日に、2004年度報告書の原案について意見を求められました。非常に建設的な意見交換が参加メンバーの間で行われ、それらの意見は報告書の編集に反映されました。

執行委員会[編集]

「MIVILUDESの本部長は、関係省庁の代表者によって構成される執行委員会の委員長を務める。この執行委員会は、本部長の招集により、少なくとも年に6回開催される。議題は、本部長によって決定される。」

2004年度中、執行委員会(CEPO)は6回開催され、そのうちの2回(1月15日と6月30日)は、指導委員会と共に開催されました。

3月3日の委員会では主に、2003年度の活動報告書の発表後に行政機構・世論・外国から寄せられた反響について、意見交換が行われました。外務省の代表は、セクト的逸脱行為の概念に対して良い反響があったことを強調しました。マスメディアの記事の殆どが肯定的だったとの報告がありました。 10件の提案をまとめるに当たり、処方規定の変更、司法手続きにおける社会調査の改善、研修者募集情報の監視、被害者援助に関して、とりわけ多くの意見交換がなされました。 MIVILUDESの本部長は、これらの点が、2004年度の活動の主軸となるよう求めました。 特定の任意団体が行政文書開示請求審査委員会(CADA)に対して行う行政文書開示請求に関しては、規定が設けられました。ホームページ公開について話し合い、サイトの枠組みと項目が発表されました。

5月6日の会議での重要な議題は、行政機構の具体的行動に関することでした。そして、偽装労働に関わる違法行為、「Enfant Indigo」論、閉鎖的共同体の行為について、検証が行なわれました。 この総括は、部分的ではありますが、地域レベルや中央レベルにおける行政機構の結束状況を見極めることを可能にしました。 文部省における「セクト連絡員」の研修、ポワティエの高等師範学校の共同セッション、パリ市役所幹部の研修など、公務員の研修についても話し合いがもたれました。公務員の研修については、MIVILUDESが教官の研修を行い、他の公務員の研修については各省庁が引き継いで実施するよう、決定しました。 本部長は、活動報告をオーストリアで行いました。外国(オーストリア・イタリアルーマニアロシアスペイン)における活動についての情報が、執行委員会のメンバーに定期的に伝えられています。

9月29日、「セクト的逸脱行為に対する公務員用ガイドブック」の案が提示されました。良い意見交換が行われ、公務員に対する情報提供と研修用の道具が、より良いものになりました。執行委員会のメンバーは、このガイドブックの編集と配布に、大きく寄与しました。 同じ頃、MIVILUDESの本部長は、2004年度の活動報告書の方向付けを発表しました。中心となるテーマは、「セクトの危険」です。本部長は、省庁レベルや地方レベルにおける「担当部署の活動」に関する報告について、執行委員会に協力を求めました。 内務省の代表は、教会と国の分離に関する法律の記念日に際し、今まで以上に非宗教原則に光を当てることを提案しました。 法務省と文部省の代表は、親権の問題が取り上げられることを求めました。リヨンの控訴院においては、宗教的な理由から子供を学校に行かせたくないという親の訴訟があるということです。

最後になりますが、執行委員会は国会の質問書とその回答について、定期的に情報提供を受けていました。

13 - 国会活動 質問書[編集]

2004年1月1日から同年11月30日までの間に、50件の質問書(2003年度は33件)が提出されました。これら全てが国会議員の提出によるものです。質問書を最も多く受けたのは、法務大臣・社会問題大臣・保健大臣で、次いで内務大臣・首相でした。教育大臣・経済金融産業大臣も1件ずつ受けています。

内容で多かったものは、「サイエントロジー(14件)」「エホバの証人(3件)」で、その他に「Kryeon(Kryon)」「Enfants indigos」「Tabitha’s Place」「安楽死教会」がありました。 アブ-ピカール法はそれ自体で7つの問いを提起していました。また、生命倫理法に含まれているクローン生産に関する規定について、医師の守秘義務と法的保護について、更には、精神療法医やソフロロジー医の規制(4件)について、そして、医療機関内や災害地における入信勧誘についても取り上げられました。 幾つかの回答は、新たな観点を示すものであったり、国の見解を明確にするものとなっていますので、以下に引用いたします。

教育 / 子供[編集]

家庭内学習をしている未成年者 / セクトの影響[編集]

1998年12月18日の法律の定めるところにより、家庭内学習をしている未成年者に対する義務教育については、教育省の監視委員によって定期的に審査が行われています。2002-2003年度には、1156名が家庭内学習をしていました。その中の何人が「ニセ宗教」的理由によるものかを把握するのは、とても困難です。これは、親が理由を正確に述べないことに因ります。多くの調査の結果(677名分)を見ると、かなりの割合(10-20%)の生徒が、ご質問の対象となっている人たちに該当しています。学習の評価義務を親が怠った場合、教育委員から検事に対して自動的に通報が行われます。これにより現在、数件の訴訟が行われています。既に、子供を親から引き取ることになったケースも数件あります。」

教育プログラムにおけるセクト現象の情報提供[編集]

「教育省内におけるセクト対策(通達第2002―120MEN-DAJ)と同時に、学校の基礎となる価値感を繰り返し伝え且つ明快に肯定することにより、社会的疎外についてや、セクト団体への加入に結びつく危険性について、生徒を啓蒙しなくてはなりません。小学校から高校まで義務となっている公民教育プログラムは、市民権の基礎を成す知識・価値観・原則への個人的適合を促進するように作成されています。「自由」「権利」「義務」「公正」「安全」というテーマの下、年齢とレベルに応じ、セクト現象について考えることが可能になるでしょう。」

健康[編集]

未成年者の保護 / 医療関係者による暴力事件告発[編集]

「子供の受け入れと保護に関する2004年1月2日の法律第2004-1号の第11条(第1節)及び第12条により、子供の虐待を告発する医療関係者の保護に関する見直しが行われました。この条文は、刑法第226-14条第2節を修正し、公衆衛生法第L4124―6条の最後から2番目の節を削除するものです。これは、“職務中に発見した肉体的もしくは精神的な虐待行為や剥奪行為、暴力・性的暴力・精神的暴力だと疑われる行為について、被害者の同意の下で検事に告発する医師”が守秘義務を課せられることなく、刑法第226-13条第2節に定められている処罰を受けることもない、ということです。また、被害者が未成年者であれば、その人の同意は必要ありません。尚、公衆衛生法第L4124―6条の最後から2番目の節、医師の懲戒や処罰に関する規定条項は、失効することになります。」

医療機関内における勧誘[編集]

「医療機関内において利用者を代表(代理・代弁)するとしている団体(アソシエーション)の認可条件や認可取消し条件を定める政令を準備している、と大臣は明言しています。大臣はまた、省内の各部門がセクト的逸脱行為の危険性について非常に注意深くなっており、そうした環境においては、前出の政令で定められた基準に従い、認可申請を入念に審査することが可能になるでしょう、と述べています。」

被災地において[編集]

「厚生・家族・障害者省は2004年の初めに、「集団事故・テロ・自然災害 : 医療関係者用ガイドブック」と題した49ページに及ぶ冊子を出版・配布しました。この冊子の44ページと45ページのテーマは、「セクト的逸脱行為の危険 : 被災地におけるセクト侵入」です。ここでは、セクト団体が被災者に近寄る時の手口についての説明があり、そうした場所で益々存在感を増しているセクト団体について警戒するよう、救援参加者に呼びかけています。」

任意団体(アソシエーション)[編集]

「1901年法に基づく任意団体」と「セクト団体」[編集]

「所謂セクト団体に対しての特別な法令はありません。団体の設立に関する事も含め、一般法が適用されます。セクト的な団体の多くが、1901年7月1日の任意団体契約に関する法律(アソシエーション法)に則って設立されています。申請書類が物質的に揃っていれば、行政機関は如何なる場合においても、その受領を拒否することが出来ません。受領証を発行しなくてはならない義務があるからです。行政がセクト団体を排除することを可能にするような審査は、存在しないのです。しかしながら、アソシエーション法第3条の定めるところに従い、全ての団体と同様、セクト団体も、法や道徳に反する目的や、国土の完全性や共和国政体を脅かすような目的を有していてはいけません。上記の場合、政府はアソシエーション法第7条の定めるところに従い、解散手続きの開始を決定することが出来ます。」

建物(場所)提供 / 文化団体の会計報告義務[編集]

「文化団体や組合など、自治体の利益の範囲を越える目的を有し、合法的に補助金を受けることが出来ない団体の場合、建物や機材等の提供については、補助金と同一視してはいけません。この場合、団体から自治体への会計報告は強制ではありません。」

エホバの証人 / 文化的資格[編集]

「エホバの証人が拒否している輸血について最高決定機関は、公序を脅かす要素ではないとの判断を下しました。しかしながら、そうした行為の背景に個人の自由を脅かす圧力があると医療関係者が判断し、暴力・脅迫・ゆすり・強要が継続的に行われていると認められる場合には、加害団体の解散を視野に入れた告発を司法機関に行うことが出来ます。」

エホバの証人 / CAVIMAC(聖職者年金)への加盟[編集]

「エホバの証人の聖職者制度への加盟は、当該条項である社会保障法の第L721-1条及び第R721-1条からR721-12条までの条項の定めるところに従って実行されました。もとより、このような制度の存在は、非宗教の原則に反するものではなく、今日でも、非宗教の原則に反するものになるという理由が見当たりません。」

税制 / 役務譲渡の記録[編集]

「税法第757条第2節として編集された1992年度の金融法第15条は、役務の譲渡を受けた際の税務署への申告や登記を義務付け、その他の贈与と同様に、譲渡税の対象とすることとしています。譲渡を証明する文書が無い場合には、受贈者は、規定の用紙(№2735)を使用して1ヶ月以内に税務署に申告しなくてはなりません。これらの条項は主に、団体(アソシエーション)に対して行われた譲渡に対して適用されます。」

不法労働 / 監視[編集]

「セクト的性格を持つ団体内部における不正な行為に関しては、労働監督局が既に立入り検査を実施しています。例えば、ウール県の労働監督局は1996年と1998年にエホバの証人に対し、労働法に違反する一連の行為についての違反調書を作成しています。それから、DILTI(不法労働対策省間委員会)は雇用労働省内に設置された対策グループを構成する委員会で、2002年11月に首相直属に設置されたMIVILUDESと協力しています。」

アブ-ピカール法の適用状況総括[編集]

「刑法第223―15―2条に定めるところの無知もしくは薄弱状態に付け込む行為に関してですが、2003年10月1日現在、3件の予備捜査と5件の予審が行われています。3件の予備捜査の内、無知もしくは薄弱状態に付け込む行為に関する捜査2件が立件に至らず、偽装労働に関する1件についても立件に至りませんでした。薄弱状態に付け込む行為と詐欺に関する5件の予審については、1件が不起訴、4件が審議中となっています。」

「法務大臣は国会に対し、2001年6月12日の法律第1条に定められた違反行為について有罪判決を受けたセクト団体の解散は、前提となる刑の確定がまだであるため、今のところ実施されていない旨、報告しました。この法律の適用については、特定的に列挙された違法行為に関し、法人の有罪判決、もしくは、その法人の法的責任者もしくは実質的責任者の有罪判決が、2件確定することを前提としています。」

司法[編集]

政策の準備及び実行に寄与する体制[編集]

「セクト問題に取り組むため、司法機関は3つの主要方針を打ち立てました。それらは、(1)検察庁内部にセクト問題の連絡員を任命、(2)司法官と反セクト団体の情報交換、(3)討議会の制度化、です。検察司法官は、地域レベルでの調整を図りつつ、訴訟手続きを行うことになります。今のところ、こうした司法官の任命以外に、セクト団体関連の案件を扱う特別な機関を設置することは、時宜を得ていません。実際問題として、人的もしくは物的な権利侵害の場合でも、刑法に係る訴訟であったり、特別法に係る訴訟であったり、多様です。また、司法官全員がこれらの問題について関心を持つということも重要です。このため、国立司法官学院では、この分野についての司法官の知識を完全なものにするよう、研修会を毎年開催しています。」

国際関係[編集]

アメリカ国務省の報告書[編集]

アメリカ国務省は毎年、合衆国全体を対象とした「信仰の自由に関する報告書」を作成しています。この報告書は2001年まで、フランスに対して批判的で、アメリカや他国で「新興宗教」と呼ばれている「セクト」に対する政策を疑問視していました。MILSの解散、及びMIVILUDESの設置が、この件に関しての落ち着いた対話の再開に貢献しました。アメリカ国務省作成による「世界における信仰の自由に関する報告書」2003年度版は、フランスの政策を非難していません。・・・粘り強い説明が、実を結びつつあります。継続しなくてはなりません。」

14 - 行政関連活動 省庁[編集]

  • 刑事事件・特赦局
  • 民事裁判・法務局

セクト本部(Mission sectes)の活動[編集]

政策のフォローアップ[編集]

セクト本部は、各控訴院の連絡員に任命されている司法官と定期的に連絡をとっています。 また、担当者が、他省庁の担当者、とりわけ税務総局や税関・間接税総局と、定期的に連絡をとっています。必要な場合には、刑事事件・特赦局に配属されている2人の専門家が仲介役を果たします。

研修[編集]

セクト現象に関する研修の枠組みにおいて、国立司法官学院(ENM)は、刑事事件・特赦局のセクト対策員が教官を務める1週間の研修会を、司法官やセクト現象に関わりのある公務員を対象に、7年連続で開催しています。 行政文書開示請求審査委員会(CADA)が2004年2月2日、1990年から2003年の期間に実施された研修の講師や受講者の氏名、及び、その人たちに渡された文書を対象とした開示請求に対して開示拒否の回答を行ったことは、言うまでもありません。

セクト本部の活動[編集]

2004年度のセクト本部の主な活動は、セクト団体内の子供たちのフォロー、そしてセクト団体員を両親に持つ子供たちを連れ出して保護することでした。 この他、MIVILUDESが指摘しているように、個人の自由を侵害している小さなグループが幾つか発見されました。 また、受刑者及び精神科病院で監視を担当する司法官に対して幾つかの団体が勧誘を行ったことから、刑事事件・特赦局が、司法官に対して情報提供を行う必要がありました。 また、刑事裁判を起こすセクト被害者の補佐について、検討する必要があります。裁判の際、セクト団体からの報復を恐れるあまり、告訴人が提訴内容を覆したり、過小申告したりするような事態になることが判明しています。

また、国がセクト現象の啓発を積極的に行っているにも係らず、セクト被害者の訴えを裏付ける証言が十分に得られない場合にその訴えの受理を司法機関が躊躇していることを、指摘しなくてはなりません。 2004年度中に得られた主な判決例については、この報告書の第2部で分析しています。 ここでは、UNADFI(個人と家族を守る会全国連合)が民事裁判を直接おこす資格を持たない、とした破棄院の決定(2004年9月28日)について述べるに留めます。 1982年3月18日に設立されたUNADFIの定款には、全国のADFI(家族と家族を守る会)及びその他のアソシエーションを結び付け、活性化させ、連絡調整をすることが、唯一の目的であると記載されているのです。「守る会」などは、セクト的性格を有するグループ・団体・組織から、家族や個人を守ることを使命としています。しかし、これらの「守る会」は、UNADFIとは異なり、公益法人の認定を受けておらず、原告となることが出来ないのです。 破棄院のこの判決により、UNADFIは、刑事訴訟法第2-17条が定める「原告」になることが暫定的に不可能になりました。この問題を解決するには、法の改正、もしくは、(進行中である)定款の変更しかありません。

若年層法的保護対策局[編集]

セクト問題に関する法務省内の連携[編集]

若年層法的保護対策局(DPJJ)は、刑事事件・特赦局のセクト本部と連携した活動を、2004年度も引き続き実施しました。 とりわけ、少年担当判事の監視下に置かれ、且つ、セクト問題と直接的な関係がある未成年者に対する教育補助の状況について、定期的な追跡調査を実施しました。未成年100名以上に関係がある10数件の「ホットな案件」が、2004年度中における追跡調査の対象となりました。 これらの案件については、当該未成年者の状況データを日々更新しています。また、2005年度の活動方針についての総合的な考察を行っていますが、各地域の若年層法的保護対策局の内部に、控訴院の連絡員と連携を取る担当者を新たに置くことが、特に望ましいように思われます。

裁判所への質問書[編集]

2003年4月15日、若年層法的保護対策局から少年担当判事全員に対して質問書が送られました。その目的は、セクト現象を理解するための方法を分析すること、そうした訴訟を扱う際に直面する困難により良く対処すること、研修を行う必要性がないかどうかを認識すること、でした。 この質問書に対しての返答は、回答者の名前を伏せた状態で分析を行い、2004年下半期に、報告書「セクトに関わる諸問題Les proble'matiques sectaires」として発表されました。 調査結果は、セクト関連問題の案件を審議している少年担当判事の割合が小さい(1,4/1000)ことを示しています。 しかしながら、質的な点から見ると、これらの案件は、より慎重なフォローアップを判事や教育関係者に対して強いていることを、指摘しておく必要があると思われます。 関係機関に配布された報告書は、研修用の教材として有益なものとなるでしょう。

教育扶助に関する判例[編集]

リヨン控訴院において2004年9月7日に下された判決は、未成年の3兄弟の教育に関する司法介入は出来ないとした、ヴィルフランシュ・シュール・サオンヌの少年担当判事の2003年12月11日の決定を、破棄しました。 検事は、両親がセクト団体のメンバーであり、その団体の教義が子供たちにとって危険なものであることを考慮した上で、教育補助の継続が不可欠であるとの判断を下し、一審判決を破棄したのです。 このケースでは、両親が「Sahaja Yoga」という団体のメンバーだったのですが、この団体は、団体内部で子供の教育を行うことを奨励していたのです。長男は、数ヶ月にわたるイタリア滞在を何度か行った後、インドに滞在しました。妹も同様の滞在を行う計画だったのですが、教育補助規定がこれを阻止したのです。 両親は、子供たちを外国に行かせることはないと明言していました。また、民法第375条で定められた条件を満たしていないと考えていました。

しかしながら、「Sohaja Yogaの教義へ傾倒している両親による強い影響力を考慮すると」子供たちは肉体的危険に晒されている、との鑑定結果が出されていました。 控訴院は、未成年者の教育環境が著しく損なわれていると判断し、開かれた環境での教育補助を3兄弟に対して1年間実施するよう、命じました。また、両親との「協定」が成功しなかった場合には子供を保護隔離する可能性も否定しないという、鑑定士の見解についても言及しました。 この判決は、セクト団体の教義と、民法第375条に係る危険の概念とを、直接的に結びつけるものとして、意義のあるものです。

外務省[編集]

諸外国の動向[編集]

国外では、セクト的逸脱行為の問題に対して、動きが全くありません。セクト現象が継続している一方で、状況が悪化しているという兆候は無く、世論の注意を惹くような大事件も起きていません。衝撃的な事件が発生すれば事態は一変するかもしれませんが、この問題に対するスタンスは変わっていません。アメリカなど幾つかの国々は、特殊な法規が、自由、とりわけ信仰の自由を脅かす危険性について、敏感になっています。監視活動を行う必要性を認識しているヨーロッパの隣国は、控えめな法体制に留め、それを強化しようという動きもなく、特殊な法体制を敷くよりは、防止対策、教育、人権及び個人の自由の推進に力を入れています。セクトに対する厳しい態度を他国に先駆けてとっている国は少なく、政治パフォーマンスとして行っているのではないか、と思われる懸念もあるようです。そうした中、例外的なフランスの政策は、真似をされることはありませんが、理解され、関心を集めています。アメリカ国務省が作成した「世界における信仰の自由に関する報告書」は、我々の政策を問題視していません。国際的には、OSCE(欧州安全保障協力機構)などから、フランスに対する批判もあるわけですが、本質的なことについては何も言っていません。ヨーロッパ諸国の幾つかの国は、経験及び情報の交換に興味を示しています。

ベルギーでは、1998年に法務省内に設置された独立団体「CIAOSN(有害セクト団体に関する情報センター)」が、この問題を担当しています。このセンターの構成とその機能については、2004年に法律で明確に定められました。任務は、国内におけるセクト現象や国外の関連事象を調査すること、情報を収集したり資料を提供すること、権利を行使する手段を求める人を補佐すること、です。センター自身が提訴することは出来ませんが、セクトの被害者に対して提訴を行うように後押しします。有害セクト団体の問題についての意見や勧告も行います。特に政策面での意見や勧告を行います。 CIAOSNは、メンバー8名と代理人8名で構成され、その半数は国会議員からの指名、残りの半数は閣議指名です。2年毎に報告書を作成します。このセンターの見解や態度は、常に世論の関心を惹きます。2004年度中は、サイエントロジー教会に反対する立場を示しました。発表文書中では、ラエリアン・ムーブメントや福音主義者グループが引き合いに出されています。

- 全体的に見て、ヨーロッパの隣国は、セクト現象に対して非常に寛大な姿勢をとっています。宗教の絶え間ない変化に長く接してきたアングロ・サクソン系の国々においては、これは意図的な姿勢です。英国では、「教会」の設立は完全に自由で、何の制約もありません。しかしながら、「チャリティー・コミッション」を介した一定の監視が行われています。この独立組織は補助金を受けており、文化団体の活動を監視したり、フランスでいう「公益団体」に相当する「チャリティー団体」法人格認可の可否を決定することが出来ます。国家権力とは直接的に関係がないところで、セクト情報提供団体や被害者擁護団体が結成されています。オランダには、セクトに適用される特別な法規はありません。宗教団体に関する統計を記載している公的文書は存在しません。公序や健康保護に関わる場合にのみ、宗教の自由が制限されます。一方、スカンジナヴィア系の幾つかの国においては、宗教的「法人格」が存在します。その認可には幾つかの基準があり、一定の監視を可能にしています(サイエントロジー教会は、その宗教法人格をデンマークで取得することが出来ませんでした)。

地中海沿岸諸国(イタリアスペインギリシャ)においては、個人の自由についての憂慮がそれほど強くありませんが、圧倒的影響力を持つ宗教の存在が同様の結果をもたらしています。その宗教的信念が強いため、新たな宗教団は、アウトサイダー的で取るに足らない存在に過ぎません。イタリアでは、精神操作(マインドコントロール)罪を刑法に導入する法案が提出され、今も審議が行われています。ギリシャには監視体制が全く無く、専門的組織も当然のことながら存在していません。刑法違反を犯した団体が相応の処分を受けるだけです。スペインでは、1960年代のセクト現象の出現以降、啓発や抑圧を中心とした慎重な対応(セクト現象調査委員会の設立、「破壊的」セクト団体を対象とした警察の活動)しか行っていません。1999年には法務省と内務省の合同委員会が勧告を出しましたが、法制化には至りませんでした。これらの国々においては、優勢的立場にある伝統的宗教がセクト現象の歯止め役になっているのは事実かもしれませんが、セクト団体が増えていないということではありません。ギリシャでセクトと見なされ得る団体の数は、数百に上ります。スペインにおいては、セクトは地盤固めを行っている段階にあり、インターネットの急速な普及がセクトの布教行為を容易にしています。最近のイスラム過激派テロの衝撃によって、宗教団体も含めた特定団体の活動を警戒する方向に向かうことになる筈です。

宗教的多様性と国家干渉主義の両方の伝統を持つ中央ヨーロッパにおける状況は、少し異なります。とりわけ旧東ドイツの各州においてセクト団体が増加しているドイツでは、予防啓発とセクト脱退者保護の政策が、地方レベルで実施されています。セクト担当委員のポストが各州に創設されました。中央レベルでは、教会法人格の取得に関する認証基準が定められました。情報交換を目的とした作業会議が、州職員と州代表者の間で何度も開かれました。とは言え、市民社会には秩序があり、国家宗教は揺るいでいませんので、この問題への関心は限定的です。現在のところ、禁止されたセクトはありません。その上、国家権力の行動の幅は狭くなっています。連邦憲法裁判所が、国家の中立及び宗教の自由の原則の厳格なる尊重を求めているからです。

特別な組織を持っているオーストリアは、踏み込んだ対策を講じています。州レベルでは、パンフレットや教育によって世論啓発を行うことを目的とする対策本部が設置されています。宗教団体に関する法律が存在しており、新興の宗教団体に対しては特典(とりわけ税制上の特典)が認められる法人格を一定の観察期間後に認可することになっていますが、これは、優遇策と監視手段の両方を兼ねています。内務省と教育省は、予防啓発を行っています。幾つかの州では、セクトの危険性に関する情報提供を行う組織を創設しました。スイスでは、連邦政府レベルでの政策や組織はありませんが、注意の喚起や非政府組織の設立が地方レベルで行われています。

こうした状況において、セクト現象に対するフランスのスタンスは驚きを与えるようですが、関心も集めています。我々の制度が好奇心を呼んでいること、我々の対応策についての情報交換が望まれていることを示す事例は沢山あります。我々とは全く異なった考え方を持つ国々(イギリスなど)からも関心が寄せられています。MIVILUDESの国外活動は、大きな関心をもって迎えられています。我々の制度や実施方法を広める為ではなく、固定観念を崩したり、合法性に対する認識の違いを越えて比較検討して収穫を得るために、こうした期待に応えることが重要になっています。

内務省[編集]

警戒[編集]

未成年者の保護、そして、自給自足を行っている団体の監視に特別な注意を払っています。 予防啓発体制は、2004年に地方レベルや県レベルに配置された連絡員が担っています。彼らは主に、憲兵を代表する形で県警戒本部に参加する、各部隊の行動をコーディネートする、政府組織や地方組織の各部署との連携を容易にする、という任務を負っています。研修に関して言えば、初期研修やフォロー研修の場において、セクト的逸脱行為に対する注意喚起、及び、国家機構の役割に関する教育活動を、憲兵に対して行っています。

対策活動[編集]

憲兵隊は、司法機関の判断もしくは提訴を受けて、法規や公序に反する行為に関わる捜査を行っています。

1 -- 確認された逸脱行為及び潜在的危険性[編集]

2004年度中に憲兵隊に寄せられた通報は、主として、財産の侵害(詐欺)と人に対する犯罪行為(背信行為・薄弱状態を詐欺的に利用する行為)に関するものでした。 2003年度と同様、人間的充足・より良い生き方の探求・自然との調和・リラックスを活動目的と申告しながら、一般的ではない怪しい行為を実践している団体が多く設立されました。幾つかの特徴(指導者が誇示している職業・法外な金銭要求)が目に付けば、警戒を続けなければいけません。 逸脱行為を行うセクト団体の活動は偽医療の分野に多く、病気や困難により精神的に弱くなっている人たち、そして医療関係者たちが、標的になっています。

医療の分野において
医療類似行為の分野においては、「無害で許容されている行為」と「有害行為」との境界線を引くことが困難なのですが、特定の行為については矢張り、放任しておくことは出来ません。幾つかの例を挙げておくことが望ましいでしょう。
  • ヴァル・ドワーズ県では、偽宗教団体が「病気は幻想でしかない」「病気や死は神によって創造されたのではない。故にそれらは存在しない」と主張しています。「医者から逃れなければならない」とも言っています。入院の拒否は団体の戒律を遵守するため、との報告があります。
  • 麻薬中毒者やアルコール依存症患者に対して幻覚作用がある植物を使った治療を行っている団体も、我々の注意を惹いています。ヘロイン中毒を一晩で治す、というような例があります。
  • 別の団体は、エイズ・ウィルスが未だに特定されていないと主張し、科学的に立証されていない治療を勧めています。
  • 精神療法や研修の実施を認められていない団体が、インターネット上で宣伝活動を行ったり、海外県・スイス・ベルギーなどで活動を開始したりしています。
  • 最後に、知能が高い子供や障害を負った子供を対象とした偽医療行為等を、何人かの親が告発しています。
子供の教育の分野において
団体内部で教育を受けている子供に関する相談がありました。親がセクトに加入していることが原因で、教育環境が悪化しているケースです。厳しく耐え難い教育規則に拘束されることに絶えられなくなった未成年者や成人の脱出が、二つの団体でありました。
職業教育や研修の分野において
自己成長や活力吸収をテーマとした研修、心理学の「資格認定」研修、援助に関する研修、等々を提案する研修センターが、南フランスを中心に沢山開かれており、地元の議員や市民から疑問の声が上がっています。これらのセンターのホームページを見ると、弱い人たち(苦しい状況にいる人や精神療法を受けたことがある人など)や医療関係者をターゲットにしていることが分かります。そして、非営利団体だと届け出ているにも関わらず、しばしば法外な金銭を要求しています。
その他の分野
最後に、インターネットを活用してフランス全土に勢力を伸ばそうとしている団体を幾つか挙げることができます。人種選別を説き、「自殺人工妊娠中絶人肉食獣姦」を柱とした行動をとる団体もあれば、「人種による兄弟思想を復活させ、白人化された輝かしい社会を早急に齎す」ことを目的に掲げる人種差別団体もあり、国が対応すべき逸脱行為の多様性を示しています。
2 -- 憲兵隊が扱った主な事件[編集]

司法機関の主導、もしくは、起訴により実施された主な捜査は、以下の違反行為に関するものです。

  • 薄弱状態に付け込む行為、背信行為
  • 詐欺、不法労働
  • 違法薬事行為、違法医療行為、資格詐称
  • 15歳以下の未成年者に対する親権者の日常的暴力行為(体罰や暗所監禁に基づく教育方法)
  • 殺人
  • 殺人脅迫
  • 宗教関連物件等の冒涜行為・破壊行為

冒涜行為や破壊行為に関する憲兵隊の捜査では、50人以上に対して尋問を行うことができました。

3 -- 海外県の状況[編集]

ポリネシアにおいては、家族との離別・退職・財産提供・土地売却・借金キャッシュカード提供・家族手当提供・団体への独占的奉仕、などを「黙示録」系の信者たちによって強制されて不安定な状況に陥った信者たちが、詐欺の告発を行いました。 マルチニック島では、偽福音主義団体の教祖が、未成年強姦と詐欺の容疑で取り調べを受けました。 ギアナでは、悪魔祓いの儀式中の暴行により、未成年者が死亡しています。

内務・治安・地方自由省[編集]

内務・治安・地方自由省は、セクト的逸脱行為に関する分析と対策を実行しています。特に関心を持っている点は以下の通りです。

  • 社会的分野もしくは経済的分野におけるセクト現象の進展、構築方法、活動
  • セクト的逸脱行為を実証する証拠集めの難しさ
  • 監視区域におけるセクト団体の進出規模と活動規模の減少

会員数の多さや有名人の加入などが世論の関心を集め、メディアから「セクト」と呼ばれている特定団体の活動も然る事ながら、熱心な勧誘行為や盲信利用を行っているのは、寧ろ、散在する小さな組織です。ですから、発見することが困難です。こうしたことは職業研修の分野に多く、自己成長をテーマとした偽研修が行われています。 総合情報局(DCRG)は、未成年者及び不安定な状態にある成人に対する特別な警戒を行っています。 「enfants indigo」現象の拡大は、未成年者に対するセクト的逸脱行為の執拗で多岐な危険性を例証しています。最も頻繁に指摘されているのが、「enfants indigo」や「communication facilite'e(容易なコミュニケーション)」と呼ばれる方法による逸脱的療法です。精神療法医を自任する者の多くが、子供が超活動的なのは「宇宙出身であるが故」なのだと言いながら金蔓を維持してきました。彼らはまた、読み書きが出来ない障害者でもキーボードを叩けば意思表現が出来る、というような事を吹聴してきました。「communication facilite'e」を謳い文句とする方法は、「Nouvel a^ge(=New age)」という団体によって行われています。

2004年4月、アルデンヌ県において、子供のための社会援助グループの教育官でありながら、セクトと指摘されている団体に所属している3名が、「未成年者の薄弱状況に付け込む行為、治療を受けさせない行為、精神的暴力行為、子供を隠す行為」の容疑により、取り調べを受けたことも指摘しておかなければなりません。 また、子供の補習授業や個人授業などを切っ掛けに、両親のセクト団体加入を誘うようなこともあります。 また、臨床治療や精神療法などもセクトに利用されることがあり、病人や精神薄弱者、医療関係者を多く集める手段になっています。7月には、ガンの治癒を謳う未認可の療法を実践していた団体の責任者である元医者が、「違法医療行為」及び「詐欺共犯」の罪で、シャンベリ控訴院で禁固3年の判決を受けています。

子供の保護活動、及び、臨床治療や精神療法に絡んだ逸脱行為の監視活動は、2005年のDCRGの優先的活動の二本柱になります。 2005年はまた、セクト対策として各県に設置された行政機関を再編成する年にもなります。現在のセクト対策は、1999年12月20日のフランス内務省通達で設置された「監視室」が行っています。各県の知事(共和国委員)が責任者を務めるこれらの監視室は、情報交換を促進すること、及び、セクト問題の啓発や対応策のコーディネーションを行うことを目的として、関係機関と連携をとっています。 「地方分権化された行政組織の簡素化」計画において、内務大臣(内務・治安・地方自由大臣)は、「監視室」を「非行防止・麻薬対策・被害者扶助県評議会」に吸収させることを提案しています。 その権限・構成・組織・機能については、現在準備中の政令で明確に定められることになっています。その実施期限は、2005年6月30日になっています。 セクト問題の啓発及び対策に係る地域レベルの体制は、以下のように強化されることになります。

  • その体制の創設は、単なる通達ではなく法文によって実行されます。
  • 評議会の構成メンバーの選考については、国家機関だけでなく地方自治体やアソシエーションにもその対象を広げます。情報交換が促進され、セクト的逸脱行為の発見が容易になるでしょう。

15 - 行政関連活動 県庁[編集]

経済金融産業省[編集]

税務総局[編集]

労働力無償供与に対し譲渡税課税化 - 2004年10月5日破棄院判決

文化団体に対する寄贈及び遺贈については、県庁が受贈団体を文化団体と認定して受贈許可証を発行している場合、譲渡税が免除になります(租税一般法第795-10条)。そうでない場合、労働力無償供与は課税対象となり、受贈者は税務署に申告をしなくてはなりません(租税一般法第757条)。 立入検査の際、会員からの入金を贈与と計上していた団体が見つかりましたが、税務署はこれを労働力供与とみなし、前出の許可証を受けていないのであれば譲渡税の課税対象であると判断しました。 2002年2月28日のヴェルサイユ控訴院の判決は、2000年7月4日のナンテールの大審裁判所の判決を支持しました。 破棄院は2004年10月5日、この団体が控訴院判決を不服として2003年6月に起こした上訴を、退けました。 破棄院は、この裁判での争点について、「税務署によって行われた定期監査の際に団体によって提示された経理内容は、租税一般法第757-2条の定めるところに該当するものであった」としています。

税関間接税総局(DGDDI)[編集]

税関は貨物検査業務の際、MIVILUDESが担当する分野に関する興味深い情報を得ることができ、税関情報調査局(DNRED)を通じて報告書を提出しました。 2004年度中はDGDDIもまた、監視活動を強化する対策を実施しました。 2004年9月にはMIVILUDESと会合を持ち、税関職員向けの資料を作成しました。この資料は、MIVILUDESの活動内容の周知、及び、セクト対策において税関が果たし得る役割の周知を目的としています

国民教育省[編集]

1996年以降、国民教育省は「セクト現象啓発対策本部(CPPS)」を設置しています。MIVILUDESの執行委員会のメンバーである視学官2名が主導するこの対策本部は、各学区の連絡官のネットワークを頼りにすることが出来ます。 2004年度のCPPSの活動は主に、家庭内学習をしている子供や、協定を結んでいない私立学校に通う子供たちの監視でした。教育義務の監督強化に関する1998年12月18日付けの法律に基づいて実施された調査は、677件に達しました。幾つかのケース(稀ですが)では、公立学校や協定を結んでいる私立学校へ子供を通学させるように変更した家族がありました。家庭内学習をしている子供が減少している(1998年度は6000人、2004年度は1000人強)ことを記しておきたいと思います。 こうした監視活動をより有効に行うことができるよう、セクト現象啓発対策本部は2004年5月、各学区の視学官2名(初等教育視学官1名と中等教育視学官1名)及びCPPSの学区内セクト連絡員を対象とした研修会を開催しました。これと時を同じくして法務課は、教育義務違反監視の現状をまとめた文書を作成しました。

この他にも、国民教育省は、セクト現象の啓発を数年前から継続して実施しています。学区内セクト連絡員は、社会医学関係者を対象とした研修を23回、教員教育大学院(IUFM)の生徒を対象とした研修を5回、教育委員を対象とした啓発(2004年の基礎研修の一環)を1回、それぞれ実施しました。

今年で8年になる研修は成果を上げており、教育現場におけるセクト現象発見の報告数は、著しく減少しています。 また、CPPSは、法務局や教育局と連携をとっています。これは、公共教育機関とそこに参加する団体との関係について定めた1992年11月6日の政令の改正に基づくものです。認可システムが変更されることになるかもしれません。目的は、参加団体の質を保証すること、そして、セクトの勧誘活動を予防することです。これは、今年度の課題です。公共教育システムから離脱する子供たちを監視監督する努力を続けていきます。教育委員や視学官に対する徹底的な啓発を行うことについても同様です。

青年スポーツ省[編集]

スポーツ選手[編集]

スポーツ界においては、高レベルの選手に接触しようという試みが見受けられます。体操クラブ・健康関連事業・自己成長関連分野・精神調整研修・ヨーガなどが、勧誘行為に好都合な場所となる可能性を有しています。 また、冒険行為・危険行為・自己超越などを勧める団体にも、注意する必要があります。

16 - 任意団体(アソシエーション)活動[編集]

それほど多くはありませんが、セクト団体が教育関連分野に参入しようとしたり、紛らわしい呼称を使用したりするケースが見られます。セクト団体は、正義・人権・薬物反対・暴力反対・平和などの名目を隠れ蓑として、勧誘行為を行うこともあります。

研修機関[編集]

「自己成長」のための研修のオファーは、勧誘や強制加入の機会を意味するものかもしれません。

教育支援[編集]

教育支援も勧誘に利用されますので、学校周辺の活動や催事の企画責任者には警戒が求められています。外部からの参加者には、身元を確認できる証明書類の提出が求められます。教育支援憲章は、例えば教育関連物件の賃貸借契約締結の際、保証となります。

連帯健康省[編集]

  • 保健総局
  • 入院医療機関局
  • 医療行為
  • 不法医療行為に関する法律

連帯健康省は、不認可医療行為(ソフロロジー、フィトロジーなど)や免許制の医療行為(鍼療法、同毒療法など)に関する情報提供を求める声が省の地方部署から寄せられた際、不法医療行為に関する法律の内容を繰り返して通達し、不法医療行為を発見した場合には告訴を行うよう、各県の保健福祉局(DDASS)に要請してきました。

治療及び輸血の拒否[編集]

連帯健康省は、治療や輸血の拒否に関する作業ファイルを作成しました。この資料は、権利や判例、医師の義務(とりわけ、患者が治療を拒否する権利を法的に有していることを踏まえた上で、適切な治療を受けるように患者を説得する義務)についてまとめたもので、そうした状況に直面しそうな医師に対し、状況に応じて慎重に講じるべき措置を明確に示すことを目的としています。

公立病院倫理委員会[編集]

腐敗防止及び経済生活や公共手続の透明化に関する1993年1月29日付けの法律をうけて設置された公立病院倫理委員会は、一定数の医療関係者が不認可医療分野へ身を転じたことを、2003年度報告書に記しています。2004年度は、地方保健福祉局(DRASS)・県保健福祉局(DDASS)・地方病院機構(ARH)・各医療機関に対し、警戒を呼びかけることになります。

精神的健康[編集]

精神療法医の肩書の使用(2004年8月9日付け法律の第52条) (この件は第11章で触れる)

人権に関する市民委員会(CCDH -- サイエントロジー協会)[編集]

サイエントロジー教会から派生したCCDHの行動は、精神科医や精神医学に対して強く反対していることや、「精神科強制的収容の逸脱」(2004年1月度CCDH報告書)と彼らが呼んでいる事態を非難していることが特徴的です。 CCDHは、精神病院に関する県委員会報告書や精神病院視察報告書の開示を、しばしば求めています。その開示請求が却下された場合には訴訟が起きており、その中の数件については2004年度も訴訟が継続中です。 精神医学分野における特定団体の参加に関する1997年5月27日の通達書には、満たされるべき条件が定められています。

健康省は2004年1月13日、精神障害に苦しむ人たちの権利に関する資料を省内サイトに掲載しました。これには、前述の通達書も含まれています。MIVILUDESは2004年1月15日付けの文書で、上記の書類を各医療機関の責任者、とりわけ、精神病患者が強制的に収容されている精神病院の責任者に配布するよう、各県のDDASSに対して要請しました。2004年8月25日には、県知事(共和国委員)もしくは代理人が法の定めるところに従って施設の視察を行うこと、また、精神病院の監督を行うのは精神病院委員会だけであり、その他の機関や団体は排除することを伝える文書が、各県のDDASSに送付されました。 精神医学による改悪的治療に反対する医師及び市民のグループ(サイエントロジー教会) 「精神医学による改悪的治療に反対する医師及び市民のグループ」は、電気ショック療法に反対の意を表しています。健康省は、このグループとサイエントロジー教会の関係について各県のDDASSに通達し、精神障害を持つ患者を受け入れる内科医や医療機関に対して関連資料を配布するよう要請しました。

被害者支援[編集]

保健総局は、精神的支配を受けた被害者の支援を求められました。 支配的状況に置かれたことで心的障害を受けている被害者の問題、そして医療関係者がそれを感知・治療することの難しさが、複数の会議で話題になりました。 セクト現象の被害者には、セクト内で彼らが置かれていた状況によるものと思われる特徴的な症状が見られます。それは、支配的状況下に置かれたり、肉体的・精神的虐待を受けたりしたことによるものです。診療上の困難は、別のタイプの被害者の診療上の困難と同様です。 このように、セクト被害者の精神的治療は、心的外傷を負った患者に対する診療全般の難しさと重なっています。

医療関係者のフォロー研修[編集]

研修選定の際の警戒 2006年度の医療関係者研修の優先事項に関する入院医療機関局(DHOS)の指導通達では、研修の選定を慎重に行うように求めています。 連帯健康省はまた、「国会内医療関係者研修監視室」と絶えず連携をとっています。

周産期プラン[編集]

「周産期プラン2005-2007」では、医療施設に隣接し、助産婦によって運営される公立もしくは私立の出産施設の試験的設置を計画しています。これらの施設では医療化が控えられるのですが、母子の安全を保証するよう、予め定めた基準に従って開発業者の選定を行います。周産ネットワークに登録されている業者でなくてはなりません。 同プランによって妊娠4ヶ月目の診断が追加され、母親が精神的に弱くなっていないかどうかを確認することになりました。 セクトに関連する問題を直接的に扱うことを可能にするわけではありませんが、これらの様々な対策は少なくとも、母子の肉体的・精神的安全の大切さを明確に示し得るものでしょう。

17 - 情報提供及び研修活動[編集]

連帯健康省は2004年、「大事故・テロ・自然災害:医療関係者がとるべき行動」と題した冊子を配布しました。この中の「セクト的逸脱行為の危険:災害現場におけるセクトの侵入」と題された章では、こうした状況におけるセクト団体の意図や行動について記載してあります。災害現場においてセクトが被害者に接近することが増えていることから、注意を呼びかけています。

雇用・労働・社会統合省[編集]

福祉活動総局[編集]

雇用労働社会統合省及び連帯健康家族省は、セクト的逸脱行為への対応と防止対策に最も関わりがある省です。社会福祉関連法令(労働法典・社会保障法典・公衆衛生法典・家族社会扶助法典)と多角的に関係してきます。セクト団体は主に、精神的に不安定な人や困難に陥っている人、社会的に疎外されている人や保護を必要としている人などを狙っているだけに、憂慮すべき状況です。 こうした状況に対応するため、この2省は、監視課と各局の動員を強化しました。そうして、公共機関及び民間アソシエーションの関係者による「プロのネットワーク」が形成されました。 これと並行して、この2省は、セクト的逸脱行為に関する常設的な情報提供ツールを導入することにしました。これは、この2省のホームページの掲載事項のひとつを構成することになり、MIVILUDESや関係省庁、そしてセクト関連アソシエーション等のホームページへとリンクします。これは、2005年に利用可能になる予定です。 幼少期に関わる問題も憂慮すべき状態が続いており、監視活動を様々な形で強化していく必要があります。特に、障害を持つ子供たちを守るべく警戒をしなくてはなりません。 2004年の最終四半期、福祉活動総局(DGAS)は、その担当分野であるセクト脱退者の支援活動(社会復帰・住居・収入・社会的扶助)において発生している問題について検討をしました。福祉活動総局は、2005年の初めには実践的な活動案を、家族と個人を守る会(ADFI)などの関係団体(アソシエーション)に対して提案していくことになっています。それは、社会支援活動に携るアソシエーションのボランティアの方々に対する意識喚起及び研修、という形になるでしょう。また、福祉活動総局は、社会福祉関連事業の従事者全体に対して、セクト的逸脱行為の問題について意識喚起をする必要性も認識しています。このため、社会福祉従事者の研修センターのネットワークの責任者たちとの会合を開きました。

雇用・職業訓練総局[編集]

2003年12月5日に労組が結んだ全職種全国協定(ANI)、及び、終身的職業訓練及び社会的対話に関する2004年5月4日付け法律第2004-391号により、職業訓練制度の本質が大きく変わりました。 この分野における法的変更は他にも行われました。それは、地方分権に関わる2004年8月13日付け法律第2004-809号の、自治体(特に地域圏議会)に帰属する義務と新たな権限について定めた「地方の自由及び責任に関する条項(第3章)」によるものです。 これらの構造的変化は、研修(職業訓練・自治体研修・企業研修・雇用者研修・個人研修)の運営者の責任負担の増大、そして、人的資源(研修を受ける権利・能力向上・専門職化・公認職業資格を取得する権利・既得能力び経験の認定など)及び所轄地域のより良い管理、を狙ったものです。 このような急激な進歩の中、職業訓練制度の監督と調整の任務も、適応化・近代化しており(参照:法の簡素化に関する2004年6月24日付け政令)、案件ごとの審査(=取決め)から、受給者搾取に特有の事情を考慮した上での批判的審査(=活動)へと移行しています。職業訓練に関連する活動に対する認識を高めることに繋がる筈です。 また、「セクト的逸脱行為に直面する公務員のためのガイド」において指摘された行政裁判の判例抜粋に加え、ボルドー行政控訴院が2004年11月18日に下した判決は、雇用労働社会統合省の見解を後押しするものとなりました。その判決は、次のような指摘をしています。

AvatarやObjectif butという名称の研修は、「シンプルで具体的な経験を通じて」、もしくは、「直感能力」を発展させることによって、「個人的な目標を発見すること」や「プライベートと仕事の両面において自分の生き方を取り戻すこと」を参加者に提案しているが、そのようなことは、労働法典第L-900-2-6条が定める「知識の習得・維持・向上のための活動」であると見なすことも、同条のいう「能力の総括診断を可能にする活動」であると見なすことも出来ない・・・ また、アキテーヌ地方圏の知事(共和国委員)が、そのような研修団体に対して公費を拠出することを拒否したり、前出の労働法典第L-920-10条で定められた納税義務を某団体に課したことは、正当なことである。

職業訓練の分野で見つかっているセクト的逸脱行為の危険性は、個人を傷つけ侵害する恐れがある「まやかし的行為」にあります。それらは、ウソの宣伝や紛らわしい宣伝(国の認可を受けているという宣伝をする組織もありますが、国はそのような認可は一切行っていません)を伴って行われます。宣伝手段は多様化(ホームページや関連著作物が増加)しており、個人(雇用者及び非雇用者)や企業がセクト現象に直面する危険性が増えています。 提案されている活動内容の多くが、職業的能力の取得や、職業的資格の取得・維持とは、直接的に関係が無いものです。 研修の目的や内容が曖昧・難解であること、あらゆる人を対象としていて、標榜されている研修の内容や目的に相応していないようなものであること、こうした特徴があることを覚えておく必要もあります。 職業訓練の監視部門が、極小組織や、自称「フリー研修員」の個人サービス提供者とぶつかることが増えてきています。中には「認定臨床医」を自称して「目玉商品」を販売する者たちもいます。彼らは、資格認定への道を提案することもあります。 これらのサービス提供者は、大抵の場合、ネットワーク的な組織に属しています。彼らの活動方法、サービス提供内容の多様性、集客手段の幅(講演・セミナー・実習・書籍・自立援助・補助機材)などが、セクト的逸脱行為の危険性を暗示している可能性があります。 「研修」の受益者である個人や企業は勿論、その研修サービスを買ったり、資金提供をしたりする個人や企業にも、これらの危険性は及びます。

18 -- 県庁の活動[編集]

県監視室[編集]

目的[編集]

県監視室は1999年に設置された重要な監視機関で、

  • 地方分散している国の諸機関の間での情報交換を促進する
  • 国の活動が分散化するのを避ける
  • 各県内におけるセクト的性格を有する団体の活動について国に情報提供をすると共に、危険性を予見する
  • 国の活動を調整する

ことを可能にしています。

会合[編集]

2004年度中には、海外県1県を含む35県で監視室が召集されました。ローヌ県やパリでは、2回召集されました。35県中、今回初めてこの機関を設置したのは13県(アルデシュ、オード、コレーズ、コート・ドール、エロー、イル・エ・ヴィレンヌ、アンドル、アンドル・エ・ロワール、ランド、ロゼール、マルヌ、ムーズ、セーヌ・サン・ドニ)です。1999年以降に監視室を設置したのは、2004年12月31日の時点で88県に上っています。 2003年度中には全県の半分近くが活動に取り組んだことに触れておきたいと思いますし、MIVILUDESが2004年度向けの10の提案の中で、監視室を少なくとも年1回開催することを知事(共和国委員)に促し、この機関の活性化を求めたことについても触れておきたいと思います。 2004年度にこの機関を召集した県が全体の34%だけだったことについて、触れておく必要があります。MIVILUDESや内務治安地域自由省の強い意向にもかかわらず召集が少なかったことに、懸念を抱き兼ねないからです。 知事(共和国委員)の何名かは、管轄する県内で「セクト活動」が少なく、そうした機関を設置したり維持したりする必要性や有効性が無い、と判断しています。他の何名かは、セクト問題を公安の問題と捉え、県安全会議で対応しています(サヴォア県など)。 監視室の会合の議事録を注意深く検証すると、県レベルでの活動の全容が分かります。このように、参加メンバー・セクト事情・国家機関の関わり・有益な対策・奨励すべき対策などの方向性を引き出すのです。

参加メンバー[編集]

司法を代表して参加しているのは、主に検事やその代理です。コート・ドール県のように、控訴院の検事総長が参加しているケースもあります。警察及び憲兵隊は特に積極的に参加しており、県内におけるセクト対策活動に関する報告を行っています。 セクト問題と余り関係がない設備局・農業局・獣医局を除けば、全ての国家機関が参加しています。 2003年のMIVILUDESの活動報告書の提言を受け、県内の市町村長会の代表者や県議会議員が出席することが多くなっています。 (こうした問題への対応が)県議会の任務であることから、社会福祉や連帯の問題を扱う県の諸部門が、未成年者や弱者(障害者・高齢者・社会復帰最低所得受給者)をセクト的逸脱行為から守るよう、一層気を付けるようになっていると思われます。こうしたことから、福祉事業や母子保護事業の代表者の参加が増えています。 最後に、県家族協会連合(UDAF)・家族と個人を守る会(ADFI)・精神操作防止センター(CCMM)などのアソシエーションも出席し、家族や被害者たちが行っている提訴に関する報告を行っています。幾つかの県では、電話相談(しばしば匿名)や家族との面会に関する統計をまとめています。パリ地域圏内の各県を、その例として挙げることが出来ます。

セクト事情[編集]

監視任務をきちんと行うため、MIVILUDESは、警察や憲兵隊から得る情報や独自調査による情報に加え、県監視室の分析結果を優先的に活用します。このため、既に認識されていた団体の存在を再確認すると同時に、新たに拡大している組織についても確認が出来ます。「Kryeon」や代替療法・自己成長などを謳う混沌とした「New Age(ニューエイジ運動)」に関する情報や、ガードが甘い公共部門・高齢者・障害者・求職者などに対する勧誘未遂の情報は、こうして指摘されました。例えばムルト・エ・モーゼル県では、社会復帰最低所得(RMI)受給者を対象とした社会復帰契約プラン作成において逸脱行為が存在したことが指摘されています。 最後に、演劇などの文化活動の分野において信者勧誘の新たな手口が出現していることが確認できます。「グル」が「現代的臨床医」に転向していることも確認できます。

第二部 分析[編集]

21 - セクトによる危険[編集]

  支配、被害、賠償   

セクトによる支配[編集]

あるグループをその規模や目的に関係なく『セクト組織』と認定するための定義の一つに、組織および教祖への無条件の忠誠心を育むために信者の人格を変える教団の能力が挙げられます。最初、人が新たに自分のよりどころとなるグループの要求に従おうとするのは自由意志によるものです。それは前向きな希望と約束に満ちた恵みの代償として、または満たされなかったあらゆる種類の渇望(求道、個人的充実への熱望、世界を変えたいという希望、虚無感を埋めたいという願いなど)を満足させるための選択なのです。やがて、しだいに以前のあらゆる価値基準を捨て、教団が課す価値観を受け入れるようになります。自分に代わって生活のすみずみまでを支配しようとする教団の干渉、教団が示す新たな行動基準、万人を同じ目的へと導くための学習や特殊用語、儀式、教団の規律に隷属し完全に服従する従順な信徒のモデルにしたがって行なわれる教育を受け入れます。教団による支配は恐るべき人格の変化となって表われます。感情面では他人にたいする過敏なまたは無感覚な反応、行動面では以前の道徳的基準を捨て去り、教団の利益を理由に違反行為に走り、批判精神を失い、自分自身にとってもまた他人にとっても不合理な、危険でさえある行為を実践するようになります。セクトによる支配が人間の尊厳にたいする犯罪的行動へと駆り立てるプロセスをいちばん明快に説明してくれるのは、アンヌ・フルニエとミシェル・モンロイがその共同研究のなかで描いてみせた、教祖の『反逆者』としてのイメージなのかもしれません。すなわち、『反逆者は人をタブーと禁忌とから解放する使命をもっている』からです。教団の理念の体現者として、グループの中心人物として、教祖は善悪の唯一の審判者なのです。彼の前では、信徒は彼の欲望を満足させるための道具としてのものの状態にまで貶められます。『信徒は従来の自分の倫理基準の拠ってきたるところを忘れ、自分の世界観の筋道を忘れ、もっぱら教祖の解釈に従わなければならない』

被害[編集]

反逆を唱える者は、当然ながら一般法の違反、自分自身および/または他人への危害をかえりみることはありません。ところで、セクトによる支配の特徴の一つは、損害の評価および法的責任の所在の決定の難しさにあることは疑いがありません。物的損害は容易に数字化できますが(詐欺、収入の横領など)、これは被害の一部にすぎません。セクト的運動の被害者となる信徒は、もう一つのタイプの遥かに評価の困難な被害を受けているのです。運動から脱け出るとき、信徒は自分の現在と未来とが重い心理的後遺症によって微塵に打ち砕かれていることに気づきます。しかし、信徒自身がある意味で自分がこうむった損害の合意上の実行者であり、原因となる行為に積極的に参加していたがために、自己の回復―すなわち自分の損害賠償―の問題はひどく困難になるのです。一方、性犯罪の犠牲者と同様に、ときには数年にもわたる長いセクト経験によって被害を受けた信徒が提訴の決心をするまでに法定の時効期間を過ぎてしまうことが往々にしてあります。刑事事件として予審に付すタイミングを逸してしまうのです。ようやく決心をし、こうむった損害の賠償を得るべく闘う準備ができたそのときになって、時効の問題に気づくケースが多いのです。MIVILUDESが2003年提案書においてセクト支配の被害に関する時効規則の変更案をまとめたのは、こうした現実を憂慮した上でのことでした。心理学者アンヌ=リジー・ディエットも『元信者の引き受け』のなかで指摘するように、セクト経験に罪悪感を抱く元信者は精神的にもろく、こうむった被害は癒されぬ傷として、教団を脱け出たあとも長年にわたってそのまま残ってしまいます。セクトの支配は倒錯した手法により、かつ集団心理下で強制されるために、犠牲者はディエットが明快な表現で『苦悩と不安によって侵略された思考の場』と指摘したトラウマを抱えるのです。民法典第1382条が明示する損害の定義は、直接的帰結として損害賠償を検討する義務を行為者に課しています。『他人に損害を生じさせるいかなる行為も、過失によってそれをもたらした者に賠償する義務を負わせる』   しかしながら、ことセクト関連の事案では刑法上および民法上の責任の問題はその評価がきわめて困難です。  すでに見たように、セクト支配は違法行為や軽罪を構成するような行動、とりわけ信徒が肉体的および/または心理的拘束状態におかれていなかったらあるいは取らなかったかもしれないような行動へと容易に駆り立てるため、その結果もたらされる損害の責任を判断することはひどく難しいのです。『支配下にある行為者の故意は往々にして否認されてしまう。その上、それら行為者の姿は相互に影響しあう関係にある共同体のなかに紛れ込んでしまう』とミシェル・モンロイは強調しています。『犠牲者であったからといって、起きたことにたいし何らの責任をとらないでいいということにはならない。支配下にあった人たちへの一種の〝一時的未成年者身分〟の認定を過度に推し進めると、それらの人たちの完全な権利を有する個人としての身分を無効にするような事態に陥ってしまうだろう。一方、もしいずれの裁判所においても法律が万人にたいして平等であることを望むのなら、単に主観的なだけの判決を許容するような法的曖昧さのなかにとどまることは許されない』

損害賠償[編集]

 賠償の問題は、MIVILUDESの指針検討委員会メンバーであるギヨーム・カゼル弁護士を始めとする複数の法律家によって研究されています。弁護士会全国評議会との共催で行なわれた『セクト的逸脱行為に直面する弁護士』をテーマにした討論会の折に、同氏はその講演のなかでこう述べています。『損害が賠償されるためには、その責任者を認定しなければなりません。1人ないしは複数の人間が、個人的または連帯の責任を問われることもありましょう。しかし損害の行為者が、所属する組織を代表して行動した場合には、その組織の責任が問われることもありうるのです』  カゼル氏はそこで、セクト的逸脱行為による各種の被害を一覧化する作業を、専門家、関係諸団体および犠牲者自身の協力を得て行なうことを提案しています。同氏はこう説明します。『もちろんそこには賠償すべき損害として、たとえば暴力による身体的障害、あるいは詐欺行為による財産の一部の収奪のように、特定的な行為の結果惹き起こされた損害を見出すことができるでしょう。しかし他方では、情緒的および心理的トラウマもリストアップされるはずです。この場合、問題はそれを同定することの困難に加えて、そうした損害をセクト的逸脱行為と結びつけることの難しさにあります。ある種のケースでは、たとえばグループに参加した時点と離脱した時点での状況の悪化を検証することによって、セクト的逸脱行為の存在を判定することがあってもいいのではないでしょうか?  あるいは心理的ダメージが犠牲者に与えた経済的影響(賃金および年金の損失、グループ参加以前と同等の職業的地位を得ることが不可能なこと、生活上の困難など)を計量化するために、精神科医が犠牲者が受けた心理的損害を詳述する努力をしなくてもいいのでしょうか? 近親者の苦しみもまた考慮されるべきでしょうし、それは交通事故で父、母または子供を亡くしたときと同様に斟酌されるべきでしょう。(……)  アブー=ピカール法によって強調された重要性にも関わらず、刑法が狭義の解釈に立脚している以上、セクト的逸脱行為にたいする強圧的手段には慎重な運用が求められます。これにたいして、民法典は第1382条以下の条項において、損害が刑法違反に関わるものか否かを問わず、損害賠償の義務を行為者に課すための一般規則を定めています。裁判所は当事者の申立てと専門家の報告書に基づき、こうむった損害の事実および重要性、犠牲者が標的となったと主張するセクト的逸脱行為との関連性、さらにはセクト的逸脱行為に当たる誤った行動が当該グループの誰と誰の責任によるものかを判断します。  犠牲者は、みずから損害賠償を求めて大審裁判所に直接的に提訴することができます。(……)この場合、裁判における方針を決めるのは犠牲者自身になります。  裁判官は、グループおよび損害の行為者にたいして連帯して損害を賠償するよう求めることができます。裁判官は賠償可能なものとそうでないものとを区別します。認定され計量化された損害、とりわけ他の責任問題訴訟においてすでに認められたものについて賠償決定を下すほうが容易であることは想像に難くありません』  民事裁判所への提訴をも視野に入れるという考え方は、原告に賠償請求の新たな展望を開くものといえます。  セクト的逸脱行為が刑法の処罰対象になりつつある状況と並行して、民事裁判官は犠牲者にたいし新たな希望の保証を与えることになります。  本報告書はしたがって、実質的損害賠償の方法を見出すべく、刑法上の責任のみならず民事責任の角度からもたらされる可能性についても注意を喚起しようとするものです。

22 - 判決[編集]

 今年は、非営利社団の税法上の地位または文化的非営利社団に適用される公序の概念といった多様な分野においていくつかの重要な判決が下されました。  2004年はまた、2001年6月12日付法律の弱者につけ込む行為に関する条項の適用による最初の判例が出た年でもありました。2004年11月25日ナント軽罪裁判所において下されたその判決は、一部のセクトのきわめて特異な危険性を証明するものでした。本件に関する報告を記載するのは、社会に対するセクト的逸脱行為の諸要件を明らかにするためです。

1. エホバの証人協会に関する2004年10月5日付破毀院決定  2004年10月5日、破毀院は非営利社団『エホバの証人』によって提起されたヴェルサイユ控訴院第一部による2002年2月28日付判決の破毀申立てを却下しました。同判決は、2000年7月4日付でナンテール大審裁判所が下した判決を支持し、同社団からのオー・ド・セーヌ税務署長に対するすべての請求を棄却するものでした。

 1995年11月から1999年1月にわたって行なわれた税務調査の結果、非営利社団『エホバの証人』は強制課税手続きならびに1996年および1997年の申告税額に関して22,920,382ユーロの修正に加えて罰金および延滞金利として22, 418,464ユーロの更正通知を受けました。  告発対象となった会計処理は、同社団が信者たちから寄付の名目で集めた金額に関するものでした。控訴院は次のような判断を下しています。 -帳簿に計上されている当該金額は手渡し贈与を構成し、無償による譲渡所得の課税対象である。 -税務調査の際に当該帳簿を提示した事実は、租税一般法典第757条第2項の意味での暴露に相当し、同社団は法律に定める期限内に手渡し贈与を申告する義務があり、それを怠れば強制課税手続きが課せられる。 -暴露が自発的であったか、偶発的であったか、または誘導的であったかは問わない。

 この判決から、文化的非営利社団の性格は、対象租税を管轄する行政裁判官の管理にゆだねられていることがわかります。控訴人である『エホバの証人』は、県知事による贈与および遺贈課税免除許可の根拠を自らの立場に照らして明らかにすることができなかったため、その他の『エホバの証人』の地方組織が1993年以降それぞれの知事から得ている許可を有効に利用することができなかったのです。これらの地方組織は、行政裁判所の管理の下で活動することにより税務規則による一定の利益を享受しています。

2. 非利益社団「勝利のヴァイラ」に関する2004年4月28日付の国務院決定:同じ信仰を実践する文化的非営利社団に対する公序侵害の概念がより十分に配慮された決定

1997年6月26日、非利益社団「勝利のヴァイラ」会長はアルプ・ド・オート・プロヴァンス県知事に対し寄付金や遺贈物の受け取りが認められるよう申請しました。行政当局は申請を認めませんでした。行政裁判所およびマルセイユの行政控訴院への訴えが却下された後、当社団は国務院に対し、団体が文化的非利益団体としての恩恵を受ける資格を有していることを認めるように要求しました。  国務院は、文化的非利益社団「勝利のヴァイラ」が教義上オーミズム信仰の公の場での実践を唱えていることを認めた上で、アルプ・ド・オート・プロヴァンス県知事に対し申請のあった時点において、その宗教活動と無縁ではない行為により宗派の創設者に対し複数の刑事訴訟が提起されていることを指摘しました。国務院はまた、都市計画法に対する重大かつ故意の違反により様々な有罪判決を受けている他の2つの非利益社団と密接に関係して活動を行っていることを付け加えました。国務院によると、これらの非利益社団の間では一種の「利害共同体」が形成されており、同じ教義に準拠し、共同の指導者に率いられているため、不可分な形態で同じ信仰を営んでいるとみなされます。  上級審では、知事がこれら2社団の不正行為による公序侵害を理由として、3つ目の社団に対し文化的非利益社団の地位による恩恵を与えることを拒否したことは法的に誤りではないと結論が出されました。

3.宗教社団イル=ド=フランスサイエントロジー教会(ASESIF)に関する2004年9月28日付け破毀院刑事部の判決:セクト的性格を有する運動に関係する法人に対する初の刑事上の確定有罪判決

 2004年10月1日に下された判決では、破毀院は宗教社団イル=ド=フランスサイエントロジー教会(ASESIF)およびその会長に対し、「情報および自由」に関する法律違反、この場合は関係者からの正当な異議を無視して個人情報を取り扱った件でパリの控訴院が下した執行猶予付き罰金5000ユーロの有罪判決を確認しました。というのも、社団の会員名簿から削除するよう関係者による明示的な要求があり、CNIL(情報処理と自由に関する全国委員会)が介入し、ASESIFの側から「表明された要求に応じるために必要な手続きを全て実施した」と回答があったにもかかわらず、状況に変化がなかったためです。社団の会長もまたCNILの行動を妨害した罪で有罪となりました。予審では、「サイエントロジーのすべての組織が信者管理に同一のソフトウェアを使用しており、ASESIF会員の連絡先が国際サイエントロジー教会のファイルに自動的に転送されていた」ことが明らかになりました。1978年1月6日付けの情報処理および自由に関する法律が適用され、2001年6月12日付けの法律施行前の行為に対して下されたこの有罪判決は、法人とみなされるサイエントロジー教会に関連した非営利社団に対するフランス初の刑事上の確定有罪判決となりました。

4.隷属状態にある人の弱みを利用し詐欺行為を働いたことに対する初の有罪判決

アブ=ピカール法適用の可能性について示した最も重要な事件は間違いなくネオファール運動に関する事件です。2004年11月25日、ナントの軽罪裁判所はネオファールの指導者に対し、執行猶予付き禁固3年、保護観察5年の有罪判決を下しました。裁判所は、重大あるいは反復的な圧力の行使、あるいは自身に対し非常に有害な行動や意見放棄を行わせるために判断力を歪める独自の手法が使用されたために心理的または肉体的に隷属状態に置かれた信者4人の無知および弱さに付け込んだ罪で指導者を有罪と認定しました。  この有罪判決は被告が控訴したためまだ確定していませんが、人権および基本的自由を侵害するセクト的運動の予防および取締りの強化を目標とする2001年6月12日付けの法律の規定に基づき、刑法223-15-2条の規定に従い裁判所の下した初の有罪判決となりました。

事実経過

2002年7月、失職中の体育教師が車に身を投げました。彼はすでにその数週間前、静脈を切り込み、病院に搬送中に走行中の車から飛び降りていました。そのすぐ後、さらに2人が自殺未遂を起こしました。1人目は休職中の教育指導主事が、入院していた病院の屋上からまさに飛び降りようとするところで裸の状態で発見されました。彼女は、自らを別の惑星へ導いてくれるはずの「王子」を探していたと説明しました。翌日、彼女の夫が同じ建物の窓から飛び降りようとしました。いずれも「ネオファール」と呼ばれる同じ教団に属していました。

ネオファール教団

1997年に死亡したこのブルターニュ出身の密教創設者の書や思想に感銘を受けてネオファール教団に入信した者は20人を超えたことはありません。その教義の起源は密教、キリスト教、交霊術、黙示録など非常に幅広く及んでいます。教義や信仰に関する要素を見るだけでは、教団の逸脱を説明するには不十分です。しかし最近の歴史を見ると、近年非常に衝撃的な事件が、世界の終わりがまもなく到来するという神格化された万能の教祖の元に結成された閉鎖的な共同体で発生しています。司法捜査により、夫婦が教団の定める基準に従い、教団の得られる利益が最大になるように再婚させられていたことが判明し、教団の指導者が信者に対し非常に大きい影響力を及ぼしていたことが判明しました。信者はまた、指導者が信者に対し受けさせていた屈辱的で下劣な浄化儀式についても語りました。 信者に対するコントロールは、指導者に加担する者により準備された儀式である魂との交信の儀式を執り行う際に一層明確に現れます。そのため、このような術策は同じように信仰や信者の従属を強化する目的で、偉大な祖先が蘇り現れたかのように偽装を行っていた太陽寺院のある種の活動を思い出させます。

最後に、教団内では選ばれし者として認められた信者が、邪悪で有害と考えられた外界を拒絶し、自給自足の生活様式を追求するという理想を行動に移すよう求められていたことも判明しました。信者の中には職業活動や社会生活を全て放棄し、家族との縁を切った者も存在します。このため、それまで家族に強い関心を持っていた信者が、子供に関心を持たなくなることがあります。教団の主な被害者3人は失業中であったり、医者である別の信者が発行した名目的な病気の診断書を利用して休職していました。このように、ネオファール教団の有する外界と断絶しようとする願望、そして指導者の人格ゆえに、教団が基本的自由を侵害する行動を取り、法律や規則に違反する公序を脅かす存在になったことがわかります。

 絶えず大災害が差し迫っていると説き、常に説きながらいつも先延ばしにすることで、非常に弱い信者は困憊状態に陥り、自己破壊的な行動を取るまでに至りました。

ネオファール教団の責任者に対し有罪判決を下すことで、2001年6月12日付けの法律はセクト的性格を有する一部の運動による特に有害な術策に対する追及や取締りに利用できることをナントの裁判官は示しました。しかし被告が控訴しているため、判決はまだ確定していません。

23 -- 進展[編集]

24 - 未成年者の保護[編集]

25 - 他国情勢との比較[編集]

26 - 2003年度報告書で提案された事項の結果総括[編集]

27 - 2005年度にむけての提案[編集]

結論[編集]

添付資料[編集]

関連項目[編集]

目次