コンテンツにスキップ

検索結果

(前の20件 | ) (20 | 50 | 100 | 250 | 500 件) を表示
  • っちへ走たのです。  けれどもそれは方角がちがっていたらしく雪童子はずうっと南の方の黒い松山にぶっつかりました。雪童子は革むちをわきにはさんで耳をすましました。 「ひゅ、ひゅ、なまけちゃ承知しないよ。降らすんだよ、降らすんだよ。さあ、ひゅ。今日は水仙月の四日だよ。ひゅ、ひゅ、ひゅ、ひゅうひゅう。」…
    19キロバイト (3,766 語) - 2021年5月14日 (金) 15:59
  • と書いてあって、ちいさなクリームの壺がここにも置いてありました。 「そうそう、ぼくは耳には塗らなかた。あぶなく耳にひびを切らすとこだた。ここの主人はじつに用意周到(しゅうとう)だね。」 「ああ、細かいとこまでよく気がつくよ。ところでぼくは早く何か喰べたいんだが、どうも斯どこまでも廊下じゃ仕方ないね。」…
    23キロバイト (3,272 語) - 2019年9月29日 (日) 05:18
  • ように云た。「あの娘は幾つだたね」 「十九の厄年です」 「十九といえばもう子供じゃあねえ。お月さまの顔を拝んでから芒を取りに行くほどにうっかりもいねえ筈だ。親孝行でも、おとなしくても、十九といえば娘盛りだ。おまけに評判の容貌よしと云うんだから、傍(はた)が打っち
    53キロバイト (10,824 語) - 2019年2月27日 (水) 14:40
  • た。眞理(しんり)の靈(れい)がお出(いで)になって、永遠(えいゑん)に止(とゞま)り、すべての真理(しんり)を教(をし)へて下(くだ)さる、と云(い)ふならば、公敎会(こうけくわい)は何(ど)したって謬(あやまり)に陥(おちい)る筈(はず)が無(な)い。若(も)し謬(あやまり)に陥(おちい
    22キロバイト (3,436 語) - 2023年9月6日 (水) 05:40
  • 花のようなものをみつめて無造作(むぞうさ)にすわっている 日はあかるいなかへ沈んではゆくが みている私(わたし)の胸をうってしずんでゆく 秋になると 果物はなにもかも忘れてしまって うっとりと実(み)のってゆくらしい 秋だ 草はすっかり色づいた 壁のところへいって じぶんのきもちにききいっていたい 湯あがりの桃子は赤いねまきを着て…
    18キロバイト (3,228 語) - 2023年10月22日 (日) 05:08
  • 「あいにく少し降って来ました」 「梅雨(つゆ)前ですからね」と、半七老人は鬱陶(うっ)しそうに空を見あげた。「今年は本祭りだというのに、困たもんです。だがまあ、大したことはありますまいよ」 約束の通りに強飯やお煮染(にし)めの御馳走が出た。酒も出た。わたし…
    52キロバイト (10,620 語) - 2021年8月31日 (火) 23:09
  • )以後の江戸の世界には、相当の物種(ものだね)をつかって世間をさわがせて、蔭で手をうって喜んでいるような悠長なにんげんは少なくなた。したがって、前の説の方が勢力を占めて、これはきっと盗賊の仕業に相違ないと云うことに決められてしまった。 しかしその盗賊は判らなか
    49キロバイト (9,969 語) - 2021年12月24日 (金) 08:42
  • たと思うと、もう口笛の声が森中にひびき渡って、一匹の斑犬(ぶちいぬ)が牙(きば)をむき出しながら、駈けて来ました。 「これは噛めという犬だ。この犬を相手にしたが最後、どんな恐しい鬼神(おにがみ)でも、きっと一噛(ひとか)みに噛み殺されてしまう。ただ、己(おれ)たちのや
    28キロバイト (5,398 語) - 2023年10月17日 (火) 13:47
  • 「よく振りますね」 「いくら商売でも、降ると出這入りが不便でいけねえ」と、半七はうっしそうに云た。 「大木戸の方はどうなりました」 「どうも眼鼻が付かねえで困っている。そこで、どうだ、こっちの一件は……」 「伝馬町の牢抜けは二人挙げられました」 「誰と誰だ」 「二本松の惣吉と川下村の松之助です」…
    67キロバイト (13,580 語) - 2019年2月27日 (水) 14:39
  • 「飛んだことになたもんだ」と、半七は思わず溜息をついた。 「わたしはどうなるでしょう」と、お竹はまきぞえの罪がどれほどに重いかをひたすらに恐れているらしかた。そうして「わたし、もういっそ死んでしまいたい」などと狂女のように泣き悲しんでいた。 「馬鹿云っち
    51キロバイト (10,308 語) - 2021年8月31日 (火) 23:11
  • 為(なり)て彼(かれ)は常(つね)に原告(げんこく)たり。遇(たまた)ま我(わが)人民(じんみん)より訴(うっ)ることあるも、能(よ)く曲(きょく)を伸(の)ばす者(もの)は十中一(じゅっちゅういつ)に過(す)ぎず。概(がい)して言(い)えば我日本(わがにほん)は欧米諸国(おうべいしょこく)の人…
    143キロバイト (11,803 語) - 2023年2月27日 (月) 08:18
  • た。彼女(かれ)はいつのまにか冷たくなって永い眠りに陥(おちい)っているのであった。それを発見した吉助は張子の虎をほうり出して飛び起きた。彼は顫(ふる)え声で人を呼んだ。 大勢(おおぜい)が駈け集まってだんだんに詮議すると、お駒は何物にか絞め殺されていることが判
    50キロバイト (10,346 語) - 2019年2月27日 (水) 14:50
  • 八丁堀(はっちょうぼり)同心岡崎長四郎(おかざきちょうしろう)からの迎えをけて、半七はすぐにその屋敷へ出かけて行た。それは秋らしい雨のそぼ降る朝であった。 「悪い天気で困ります」 「よく降るな。秋はいつもこれだ、仕方がねえ」と、岡崎は雨に濡れている庭先をながめながら鬱陶(うっ)しそうに云
    52キロバイト (10,544 語) - 2019年2月27日 (水) 14:40
  • た兜、黒具足、馬は葦毛でござったな。」 「そのとおり、また川村うじは十文字の槍、四半の指し物、馬は黒駒であったな。」 「はい。」 「具足も黒、胴には輪違いの紋があった。」 「いかにも。」 「ならばまちがいはない。あのときの敵はたしかに川村うじだ。 「おうおう。」 伝右衛門はおぼえず膝をうった。…
    21キロバイト (4,108 語) - 2021年8月31日 (火) 22:22
  • 「死骸の見付けられたのはきのうの朝のことだが、虚無僧はその四日前の十五夜の晩から泊り込んでいたらしい。それを知っている者は、ここらにたった一人あるんだが、うっかりした事を喋(しゃべ)って飛んだ係り合いになっちゃいけねえと思って、黙って口を拭(ふ)いているのだ。そいつの話によると、ほかに一人の若いけえ女が付いていたそうだ」…
    66キロバイト (13,394 語) - 2019年2月27日 (水) 14:49
  • 児に別条はねえ。親元が判たらこっちから渡してやる。おめえにうっかり渡して、又なにかの種に使われちゃあ堪まんねえから」 市丸太夫はもう一言もなかた。彼はゆがんだ皺面(しわづら)を灰いろにして、死んだ者のようにうずくまっていた。 長い牙を持
    51キロバイト (10,402 語) - 2021年12月13日 (月) 14:26
  • ぶばかりじゃあねえ。大きい声で近所の人を呼んで、なんとか又、工夫のしようもあるんだが、なにをいうにも場所が悪い。うっかり大きな声を出してみろ、こっちの身の上にもかかわることだ。もうこうなたら仕方がねえ。これもまあ為さんの運の悪いのだと諦めて、おれもそのまま帰って来たが、どうも心持がよくねえ。ああ、忌(いや)だ、忌だ」…
    52キロバイト (10,544 語) - 2020年7月17日 (金) 13:20
  • 「ええ。白粉(おしろい)でも買えと云って、一朱(いしゅ)くれたことが二度あります」 「紋作のところへ、女でもたずねて来るようなことはねえか」 男はいろいろの人が来るので、いちいちかぞえ尽されないが、女でここの家(うち)へたずねて来たものは一人もないとお浜は云た。それでも半七に釣り出されて、彼女は根岸の…
    49キロバイト (10,344 語) - 2019年2月27日 (水) 14:39
  • う常習犯のような奴になると、向うでもその呼吸(いき)を呑み込んでいるので、こっちの詞(ことば)が少したるむとすぐに、その隙(すき)をみて、『恐れながら恐れながら』と打ちかえして来て、なにか云い訳らしいことを云う。それをいちいち云わせると、吟味が長びくばかりでなく、しまいには変な横道の方へ引摺り込まれ…
    40キロバイト (8,088 語) - 2019年2月27日 (水) 14:48
  • 「まだご返事をする段には行きませんが、ちっとばかり手がかりは出来たようです」 きょうの探索の結果を聞かされて、熊谷はいちいち首肯(なず)いていたが、かの三島屋の話を聞くと、彼はいよいよ熱心に耳を傾けていた。 「じゃあ、三島屋へも外国ドルを両替えに行た奴があるのか。実は半七、奉行所の方へもこういう訴えが出たのだ」…
    66キロバイト (13,280 語) - 2019年2月27日 (水) 14:45
(前の20件 | ) (20 | 50 | 100 | 250 | 500 件) を表示