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臺灣總督府地方官官制 (大正九年七月二十六日勅令第二百十八号)

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朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ臺灣總督府地方官官制中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽

大正八年八月十六日

內閣總理大臣

勅令第二百十八號

臺灣總督府地方官官制

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第一條

臺灣ニ左ノ州及廳ヲ置ク
臺北州
新竹州
臺中州
臺南州
高雄州
臺東廳
花蓮港廳
州及廳ノ位置及管轄區域ハ臺灣總督之ヲ定ム

第二條

州及廳ニハ通シテ左ノ職員ヲ置ク
知事 五人 勅任
廳長 二人 奏任
事務官 十人 奏任
理事官 專任二十九人 奏任
警視 專任二十一人 奏任
技師 專任十九人 奏任
視學 專任十二人 判任
專任四百六十二人 判任
警部 專任二百六十一人 判任
技手 專任百八十六人 判任
通譯 專任二十人 判任
警部補 專任二百九十八人 判任
稅務吏 專任百六十二人 判任
森林主事 專任百四十二人 判任
前項職員ノ中知事、事務官及技師ハ州ニ、廳長ハ廳ニ之ヲ置ク

第三條

理事官ハ臺北州及臺南州ニ在リテハ各專任六人、其ノ他ノ州ニ在リテハ各專任五人、廳ニ在リテハ各專任一人ヲ以テ定員トス
警視ニシテ各州又ハ各廳ニ在勤スル者專任一人、支廳長ニ充ツル者ハ三人、警察署長ニ充ツル者ハ四人、郡ニ配置スル者ハ七人ヲ以テ定員トス
技師ハ臺北州ニ在リテハ專任五人、臺中州及臺南州ニ在リテハ各專任四人、其ノ他ノ州ニ在リテハ各專任三人ヲ以テ定員トス
前條ニ揭クル判任官ノ各州及各廳ニ於ケル定員ハ臺灣總督之ヲ定ム

第四條

高等官官等俸給令第二十三條第三項ノ規定ニ依リ俸給最低額以下ヲ受クル技師及判任官俸給令第六條ノ規定ニ依リ俸給最低額以下ヲ受クル技手ハ前二條ノ定員ノ外トス

第五條

知事又ハ廳長ハ臺灣總督ノ指揮監督ヲ承ケ法令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ管理ス

第六條

知事又ハ廳長ハ部內ノ行政事務ニ付其ノ職權又ハ特別ノ委任ニ依リ管內一般又ハ其ノ一部ニ州令又ハ廳令ヲ發スルコトヲ得
知事ハ其ノ發スル法令ニ二月以下ノ懲役若ハ禁錮、拘留、七十圓以下ノ罰金又ハ科料ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
廳長ハ其ノ發スル法令ニ拘留又ハ科料ノ罰則ヲ附スルコトヲ得

第七條

知事又ハ廳長ハ管內ノ靜謐ヲ維持スル爲兵力ヲ要スルトキハ之臺灣總督ニ具狀スヘシ但シ非常急變ノ場合ニ際シテハ直ニ當該地方ノ陸海軍ノ司令官ニ兵力ノ使用ヲ請求スルコトヲ得

第八條

知事又ハ廳長ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ奏任官ノ功過ヲ臺灣總督ニ具狀ス
判任官ノ進退ハ知事ハ自ラ之ヲ行ヒ廳長ハ臺灣總督ニ之ヲ具狀ス

第九條

知事ハ郡守、市尹又ハ警察署長ノ爲ス處分ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
廳長ハ街庄長ノ爲ス處分ニ付テハ前項ノ例ニ依リ之ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得

第十條

知事事故アルトキハ官等ノ順序ニ從ヒ事務官其ノ職務ヲ代理ス
廳長事故アルトキハ官等ノ順序ニ從ヒ理事官又ハ廳在勤ノ警視其ノ職務ヲ代理ス
前二項ノ規定ニ依リ職務ヲ代理スル者ナキ場合ニ於テハ臺灣總督ハ當該ノ州又ハ廳ノ高等官ノ一人ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシム
知事又ハ廳長ハ其ノ職務ニ屬スル事務ノ一部ヲ部下ノ官吏ヲシテ臨時代理セシムルコトヲ得

第十一條

知事ハ其ノ職務ニ屬スル事務ノ一部ヲ郡守、市尹又ハ警察署長ニ委任スルコトヲ得

第十二條

州ニ知事官房、內務部及警務部ヲ置ク其ノ事務ノ分掌ハ臺灣總督之ヲ定ム
廳ニ於ケル事務ノ分掌ハ臺灣總督之ヲ定ム

第十三條

事務官ハ內務部又ハ警務部ノ部長ト爲ル知事ノ命ヲ承ケ部ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス

第十四條

警務部長ハ警察及衞生ノ事務ノ執行ニ關シ知事ノ命ヲ承ケ郡守、警視、警部、警部補及巡査ヲ指揮監督ス

第十五條

理事官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ掌ル

第十六條

警視ハ上官ノ命ヲ承ケ警察及衞生ノ事務ヲ掌リ部下ノ警部、警部補及巡査ヲ指揮監督ス

第十七條

技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル

第十八條

視學ハ上官ノ指揮ヲ承ケ學事ノ視察其ノ他敎育ニ關スル事務ニ從事ス

第十九條

屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス

第二十條

警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察及衞生ノ事務ニ從事シ部下ノ警部補及巡査ヲ指揮監督ス

第二十一條

技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス

第二十二條

通譯ハ上官ノ指揮ヲ承ケ通譯ニ從事ス

第二十三條

警部補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察及衞生ノ事務ニ從事シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス

第二十四條

稅務吏ハ上官ノ指揮ヲ承ケ徵稅ニ關スル事務ニ從事ス

第二十五條

森林主事ハ上官ノ指揮ヲ承ケ林野ノ取締及保護ニ從事ス

第二十六條

州及廳ニ警察醫ヲ置ク奏任官又ハ判認官ノ待遇トス
警察醫ノ定員ハ州及廳ヲ通シテ奏任官待遇者ニ在リテハ六人以內、判任官待遇者ニ在リテハ八人以內トシ其ノ各州及各廳ニ於ケル定員ハ臺灣總督之ヲ定ム
警察醫ハ上官ノ命ヲ承ケ警察及衞生ニ關スル醫務ニ從事ス

第二十七條

州及廳ニ巡査ヲ置ク判認官ノ待遇トス
巡査ニ關スル規程ハ臺灣之ヲ定ム

第二十八條

廳長ハ廳ノ事務ヲ分掌セシムル爲臺灣總督ノ認可ヲ受ケ支廳ヲ置クコトヲ得
支廳長ハ警視又ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ
支廳長事故アルトキハ上席官吏其ノ職務ヲ代理ス

第二十九條

市ニ警察署ヲ置ク
知事ハ必要アリト認ムルトキハ警察署ノ下ニ警察分署ヲ置クコトヲ得
警察署ノ名稱、位置及管轄區域ハ臺灣總督之ヲ定ム
警察分署ノ名稱、位置及管轄區域ハ知事之ヲ定ム

第三十條

警察署長ハ警視、警察分署長ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ
警察署長又ハ警察分署長ハ上官ノ指揮監督ヲ承ケ部內ノ警察及衞生ノ事務ヲ掌理シ部下ノ職員ヲ指揮監督ス

第三十一條

知事ハ徵稅ニ關スル事務ヲ分掌セシムル爲臺灣總督ノ認可ヲ受ケ稅務出張所ヲ置クコトヲ得
稅務出張所長ハ理事官又ハ屬ヲ以テ之ニ充ツ

第三十二條

州ニ郡及市ヲ置ク
郡ノ數ハ四十七、市ノ數ハ三トス
郡及市ノ名稱、位置及管轄區域ハ臺灣總督之ヲ定ム

第三十三條

郡及市ニハ通シテ左ノ職員ヲ置ク
郡守 四十七人 奏任
市尹 三人 奏任
理事官 專任 三人 奏任
視學 專任 五十人 判任
專任 四百人 判任
技手 專任 五十人 判任
前項職員ノ中郡守ハ郡ニ、市尹及理事官ハ市ニ之ヲ置ク
第一項職員ノ外臺北市ニ技師專任一人ヲ置ク奏任トス
臺灣總督ハ州ノ警視、警部、警部補又ハ巡査ヲ郡ニ配置スルコトヲ得

第三十四條

各市ニ於ケル理事官ノ定員ハ專任一人ス
各郡及各市ニ於ケル視學、屬及技手ノ定員ハ臺灣總督之ヲ定ム

第三十五條

第四條ノ規定ハ郡及市ノ技師及技手ノ定員ニ付之ヲ準用ス

第三十六條

郡守又ハ市尹ハ知事ノ指揮監督ヲ承ケ法令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ所部ノ官吏ヲ指揮監督ス
郡守ハ警察及衞生ノ事務ニ關シ郡ニ配置セラレタル警視、警部、警部補及巡査ヲ指揮監督ス

第三十七條

郡守又ハ市尹ハ其ノ指揮監督スル判任官ノ進退ヲ知事ニ具狀ス

第三十八條

郡守ハ街庄長ノ爲ス處分ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得

第三十九條

郡守又ハ市尹事故アルトキ其ノ職務ヲ代理スル官吏ハ知事之ヲ指定ス
郡守又ハ市尹其ノ職務ニ屬スル事務ノ一部ヲ部下ノ官吏ヲシテ臨時代理セシムルコトヲ得

第四十條

郡又ハ市ニ於ケル事務ノ分掌ハ知事之ヲ定ム

第四十一條

市ノ理事官ハ市尹ノ命ヲ承ケ事務ヲ掌ル

第四十二條

市ノ技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル

第四十三條

郡又ハ市ノ視學ハ上官ノ指揮ヲ承ケ學事ノ視察其ノ他敎育ニ關スル事務ニ從事ス

第四十四條

郡又ハ市ノ屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス

第四十五條

郡又ハ市ノ技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス

第四十六條

郡ニ街又ハ庄ヲ置ク但シ臺灣總督ノ指定スル蕃地ニハ之ヲ置カサルコトヲ得
臺灣總督ハ地方ノ狀況ニ依リ廳ニ街又ハ庄ヲ置クコトヲ得
街庄ノ名稱及管轄區域ハ臺灣總督之ヲ定ム
街ニ街長、庄ニ庄長ヲ置ク判任官ノ待遇トス但シ街長ハ十人ヲ限リ之ヲ奏任官ノ待遇ト爲スコトヲ得
街庄長ハ上官ノ指揮監督ヲ承ケ街庄內ノ行政事務ヲ補助執行ス
街庄長ニ關スル規程ハ臺灣總督之ヲ定ム

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本令ハ大正九年九月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ街庄ニ關スル規定ハ同年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
明治四十二年勅令第二百十七號ハ大正九年九月三十日限リ之ヲ廢止ス
別ニ定ムルモノヲ除クノ外他ノ勅令中臺灣總督府ノ廳ニ關スル規定ハ州又ハ廳ニ關スル規定トシ廳長ニ關スル規定ハ知事又ハ廳長ニ關スル規定トス

この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。