検索結果
表示
このウィキでページ「鼈甲」を新規作成しましょう。検索で見つかった他のページも参照してください。
- 「ね、港へ船見に行くの?……」と私は不安な気持できいた。 「うん。船に乗るかも知れない……」 父はそう返事しながら、胸のかくしから疎(あら)い紫の格子のある派手なハンカチと一緒に大きな鼈甲縁の眼鏡をとり出すと、それをそのハンカチでちよっと拭いて悪くもない眼へ掛けた。コティの香水の匂がハンカチからむせ返る程ふりまかれた。…10キロバイト (2,004 語) - 2019年9月29日 (日) 05:19
- の島から南は遠くペリリゥウ島に至る―ーを通じて指折の物持ちである。此の島の芋田の半分、椰子林の三分の二は此の男のものに属する。彼の家の台所には、極上鼈甲(べつかう)の皿が天井高く積上げられてゐる。彼は毎日海亀の脂や石焼の仔豚や人魚の胎児や蝙蝠の仔の蒸焼などの美食に饜(あ)いてゐるので、彼の腹は脂ぎつ…18キロバイト (3,940 語) - 2021年8月31日 (火) 22:21
- 物たりとも之を用ふる事を禁ぜられ、悉く公儀へ御買上に相成り、以来何品によらず銀を以て金物に遣ふ事を御禁制と相成る。如㆑此なれば金は尚更申す迄もなし、鼈甲も百目を限り、之より以上の櫛・笄・簪等を用ふる事を停止せられしにぞ、何品によらず総て唐物類は之に準じて、高価の品を取扱ふ事御法度となりし故、唐物も其…85バイト (13,123 語) - 2024年3月24日 (日) 11:34
- せられたりすることは、おとなげないとは思いながらも、誰しも悪い気持はしないものである。社会部記者と称する男は、快く支配人の部屋へ請じられた。 大きな鼈甲縁(べっこうぶち)の目がねをかけ、美しい口髭(くちひげ)をはやし、気のきいた黒のモーニングに、流行の折鞄(おりかばん)といういでたちのその男は、いか…57キロバイト (10,046 語) - 2021年8月31日 (火) 22:12
- 越あり。所の庄屋へ手自ら御菓子抔を下されし事等もあ【 NDLJP:60】りしといふ。如㆑此なる事故、市中大に恐怖をなし、至て物淋しき事なりといふ。又鼈甲の櫛・笄・刺物等、江戸中の町家より御取上になり、北町奉行遠山左衛門尉眼前に於て、悉く微塵に打砕き捨てられしと言へる事、委しく阿波の屋敷へ申来りしとて、其の噂を聞きぬ。…85バイト (13,350 語) - 2024年3月24日 (日) 11:36
- 人共より得と申諭し、前々御禁制の品々、其外分限不相応結構の衣類品等、用ひ申間敷儀は勿論、万事致㆓省略㆒無益の費不㆑致、質素倹約第一に心掛け可㆑申候。鼈甲櫛笄簪等も、先年申渡置候通り、百目以上の品堅売買致間敷候。若し心得違ひの者有㆑之ば、急度令㆓沙汰㆒候。 右之通り、三郷町中不㆑洩様可㆓触知㆒者也。…85バイト (14,236 語) - 2024年3月24日 (日) 11:51
- 同七両弐歩 唐真鍮のきせる中に金にて唐人の行列を三十六人象眼にて入置き候て、烟草たべ、烟を吹候時は、其烟にて唐人あらはれ候。 同三両三歩 芸子駒下駄。上を鼈甲に致し、廻り物金蒔絵にて、台の中に湯を入れ、寒中にてもつめたく無㆑之工風有㆑之由。 同一両 天鵞絨の半襟に金のぬひつぶし。…85バイト (10,577 語) - 2024年3月24日 (日) 10:53
- 右水煎 ○脚気上冲気急治シテ後麻痺痿弱スル者千金附子湯ヲ用ユヘシ若気急全ク去ラスンハ檳榔木瓜呉茱萸ノ類ヲ加ユヘシ若心下結聚久ク去リ難キハ鼈甲ヲ加フヘシ 千金附子湯方 桂枝 芍薬各大 甘草 附子 朮 茯苓各中 人参或代生姜 右水煎 ○脚気冲心治シテ後痿弱最甚シク小水不利或腫勢少ク小腹…3キロバイト (9,169 語) - 2023年8月19日 (土) 04:34
- 連れ立ちて話しながら來るを見れば、まがひも無き大黒屋の美登利なれども誠に頓馬の言ひつる如く、初々しき大嶋田結ひ綿のやうに絞りばなしふさふさとかけて、鼈甲(べつかう)のさし込、總(ふさ)つきの花かんざしひらめかし、何時よりは極彩色のたゞ京人形を見るやうに思はれて、正太はあつとも言はず立止まりしまゝ例(…93キロバイト (21,243 語) - 2023年10月17日 (火) 13:34
- ちえならぬ香風が吹き渡つて、雪にも紛(まが)はうず桜の花が紛々と飜(ひるがへ)り出(いだ)いたと思へば、いづくよりともなく一人の傾城(けいせい)が、鼈甲(べつかふ)の櫛(くし)笄(かうがい)を円光の如くさしないて、地獄絵を繍(ぬ)うた襠(うちかけ)の裳(もすそ)を長々とひきはえながら、天女のやうな媚…44キロバイト (9,185 語) - 2019年9月29日 (日) 04:48
- (テエブル)の上にゆうべから開けたままになっている、厚い、仮綴(かりとじ)の洋書に目を着けた。傍(かたわら)には幅の広い篦(へら)のような形をした、鼈甲(べっこう)の紙切小刀(かみきりこがたな)が置いてある。「又何か大きな物にかじり附いているね。」こう云って秀麿の顔を見ながら、腰を卸した。 ――――――――――――――――…74キロバイト (14,406 語) - 2020年6月18日 (木) 15:52
- 丁へ着〉 〈御普請方〉北村亮三郎・ 〈太郎左衛門町へ着〉 〈同〉桜井三郎 御法度の御申渡 【法度の条々】一、髪の餝は金銀類は不㆓成相㆒候。鼈甲・蒔絵物共、前々に御触の通り通り急度相守り、都て高直の品々相用ひ申間敷事。一、女帯は天鵞絨・繻子・小柳・博多不㆓相成㆒候。紬・太織八丈迄の内を相用ひ…85バイト (15,504 語) - 2024年3月24日 (日) 11:52
- 禁物 天鵞絨〈履物の鼻緒迄おしゝ〉・縮緬類〈但し綿類は苦しからず〉・諸絹物〈但売り又買ひもあしゝ〉・唐物類〈并に珊瑚〉・女髪結・鼈甲〈刺物〉・茶の湯〈高金の品を用ひず楽しむ計りはよし〉・遊里並に妾朝寝・芝居〈春秋両度軽くして手弁当にて行くべし〉・遊山〈上に同じ〉・大酒・遊芸〈嗜む…85バイト (16,444 語) - 2024年3月24日 (日) 11:36
- は全く破格な時候なので、高い枝がことごとく美しい葉をつけている。下から仰ぐと目に余る黄金(こがね)の雲が、穏(おだや)かな日光を浴びて、ところどころ鼈甲(べっこう)のように輝くからまぼしいくらい見事である。その雲の塊(かたま)りが風もないのにはらはらと落ちてくる。無論薄い葉の事だから落ちても音はしな…134キロバイト (26,387 語) - 2023年10月17日 (火) 13:50
- 豐田さんと言へば、姉が東京に居ました時分にはよく私も使に行きましたからそこの細君や隱居さんは全く知らない顏でもありませんでした。姉の家から細い路地を曲つて行くと、鼈甲屋(べつかふや)、時計屋などのある銀座の裏通りの町、そこにある黒い土藏造りの豐田さんの家、鐵格子の箝(はま)つた窓などは、私には既に親しいものでした…133キロバイト (28,873 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
- 者見掛け次第右居所・名前等相糺し、町役人差添へさせ直に奉行所へ召連れ、吟味致候問、左様に可㆓相心得㆒候事。 一、櫛・笄・髪さしの類、金は勿論不相成、鼈甲細工入組み、高直の品相止め、櫛代銀百目を限り、笄髪さし右に准じ下直に仕廻可㆑申事。 但し髷結に縮緬の色切を拵へ、又は女用ひ候履物の鼻緒等、高直の品売買致間敷事。…85バイト (20,051 語) - 2024年3月24日 (日) 11:52
- るゝ中にて、莫大の金銀を捨て費し、縮緬・天鵞絨・羅紗・猩々緋の類ひ切散じ、是を身に纏ひ不法なる大騒をなす事は申すに及ばず、高金を出さゞれば手に入難き鼈甲にて作れる櫛・警等の事は、聊か御頓著も之無き様子なり。又近年凶年にて諸人大困窮せし上に、西御丸御炎上、夫に付いては種々無量の風説あり。其中にも「せい…85バイト (19,767 語) - 2024年3月24日 (日) 10:35
- 入れの上に、青磁色の鶉縮緬(うずらちりめん)に三つ紋を縫わせた羽織を襲(かさ)ねて、髪を銀杏返(いちょうがえ)しに結(い)って、真珠の根掛を掛け、黒鼈甲(くろべっこう)に蝶貝(ちょうかい)を入れた櫛(くし)を挿(さ)している。純一の目には唯しっとりとした、地味な、しかも媚(こび)のある姿が映ったのである。…404キロバイト (79,999 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
- げ)で、普通の細君のような努力も苦痛も感ぜずに、思い切って亭主と口を利(き)く事ができた。亭主は五十恰好(かっこう)の色の黒い頬の瘠(こ)けた男で、鼈甲(べっこう)の縁(ふち)を取った馬鹿に大きな眼鏡(めがね)を掛けて、新聞を読みながら、疣(いぼ)だらけの唐金(からかね)の火鉢に手を翳(かざ)していた。…486キロバイト (96,246 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
- )った金具の付いている帯留(おびどめ)であった。最後に彼女は櫛(くし)と笄(こうがい)を示して、「これ卵甲(らんこう)よ。本当の鼈甲(べっこう)じゃないんだって。本当の鼈甲は高過ぎるからおやめにしたんですって」と説明した。自分には卵甲という言葉が解らなかった。芳江には無論解らなかった。けれども女の子…761キロバイト (147,307 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49